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手元に残っているのは、銀貨40枚。
「うぉ。お前、一瞬誰かわからなかった! いくら使ったんだ? やっぱりついていくべきだったか……」
って、僕を上から下まで見て防具屋に来たアーズラッドが言った。彼は、腰に剣を下げている。買ったんだ。
「俺、靴と外套買うから待ってて」
『では、私達は武器屋に行きましょう』
「え? でも待っててって……」
『武器屋で待ってればいいわよ』
「そう?」
チラッとアーズラッドを見ると、真剣に外套を選んでいる。
まあいっか。どうせ、ラスが選ぶんだし。
僕達は、武器屋に向かった。そして、ラスが言うコーナーへと行く。
僕は魔法系だから杖なのかと思ったら、リングだった。
これも武器屋にあるのだから、武器なんだろうか?
「ねえ、リングって武器なの?」
『そうね。正確には違うと思うけど、ここでは武器扱いみたいね』
「そうなのか。リングってどういうものなの?」
『そうよね。使った事がないものね。杖はわかる?』
「え? うーん。魔法を使う時に使う物だよね?」
『まあね。別に杖がなくても魔法を使えるのよ。でも杖があると、魔力が一定するの。たとえば、火の魔法を使った時に、火がちょろっとだったり、ゴーって出てしまったりする人は、杖を使う事で毎回、ちょうどよい火加減になるのよ』
火加減って……。なるほどね。
「リングは?」
『リングは、魔法をセットしておくものよ。例えばMP切れや魔法を封印されても、リングがあれば魔法は発動するの。大抵は、ヒールなどをセットしておくのよ』
「へえ。そうなんだ。僕は、杖よりリングの方がいいって事?」
『そうよ。だってあなたは、魔法を使えないでしょう?』
「え!? そうなの? 魔法系だって言われたけど……」
『あなたの家系は、召喚師よ。知らなかったの?』
知りませんでした。お父さん達と一緒にいたのは五歳までだし、誰も教えてくれなかった。確かに魔法は使った事はないけどね。
「じゃ、誰かにこのリングに魔法を入れてもらうの?」
『私が入れてあげるわ』
「え!? ラスって魔法使えるの?」
『はぁ……。そこからなのね。その話は、時間があった時ね。どうせなら一番いいのにしましょう』
「一番いいの?」
『軽いやつよ』
なるほど。持ってみると全然重さが違った。重いのは靴一足分と同じぐらい重かった。ずっと靴をぶら下げているのと同じだ。軽いのは布のように軽い。
「え? 銀貨5枚!?」
『武器なんてそんなものよ。あと、ナイフも買っておくわよ。持っているのは、刃がぼろぼろだから捨てましょう』
……大丈夫かな? 人間と妖精の感覚が違うって事ないよね? でもまあ、銀貨がまだいっぱいあるから大丈夫かな?
「もう! 待ってろって言っただろう。で? 杖は買ったのか?」
と突然声を掛けられ僕は、驚いて悲鳴を上げるところだった。
「あ、アーズラッド。杖は買ってないけど、ナイフと……」
「え? 杖じゃなくてナイフ買ったのかよ。まさか杖を買うお金ないとかいわないよな?」
「いや、僕、魔法使えないし……」
「使えない? 魔法系だって言われたんじゃなかったっけ?」
「そうだけど……使った事ないし」
「……そうだな。じゃ、あの人達いる間に、魔法の使い方教えてもらえよ。だから杖を買え!」
「……え」
『仕方ないわね。まあいいわ。一番安い杖を買っておきましょう』
「魔法が使えないのに?」
『いいから』
「だから買っておけって」
「……はい」
誰と会話しているのかわからなくなりそうだよ。
二人に言われた通り杖を買った。今まで買った中で一番安かった! 銅貨50枚。お店の人に、本当にこれでいいのって言われちゃった。何せ、リングは一番高いのを買ったんだからね。
「うぉ。お前、一瞬誰かわからなかった! いくら使ったんだ? やっぱりついていくべきだったか……」
って、僕を上から下まで見て防具屋に来たアーズラッドが言った。彼は、腰に剣を下げている。買ったんだ。
「俺、靴と外套買うから待ってて」
『では、私達は武器屋に行きましょう』
「え? でも待っててって……」
『武器屋で待ってればいいわよ』
「そう?」
チラッとアーズラッドを見ると、真剣に外套を選んでいる。
まあいっか。どうせ、ラスが選ぶんだし。
僕達は、武器屋に向かった。そして、ラスが言うコーナーへと行く。
僕は魔法系だから杖なのかと思ったら、リングだった。
これも武器屋にあるのだから、武器なんだろうか?
「ねえ、リングって武器なの?」
『そうね。正確には違うと思うけど、ここでは武器扱いみたいね』
「そうなのか。リングってどういうものなの?」
『そうよね。使った事がないものね。杖はわかる?』
「え? うーん。魔法を使う時に使う物だよね?」
『まあね。別に杖がなくても魔法を使えるのよ。でも杖があると、魔力が一定するの。たとえば、火の魔法を使った時に、火がちょろっとだったり、ゴーって出てしまったりする人は、杖を使う事で毎回、ちょうどよい火加減になるのよ』
火加減って……。なるほどね。
「リングは?」
『リングは、魔法をセットしておくものよ。例えばMP切れや魔法を封印されても、リングがあれば魔法は発動するの。大抵は、ヒールなどをセットしておくのよ』
「へえ。そうなんだ。僕は、杖よりリングの方がいいって事?」
『そうよ。だってあなたは、魔法を使えないでしょう?』
「え!? そうなの? 魔法系だって言われたけど……」
『あなたの家系は、召喚師よ。知らなかったの?』
知りませんでした。お父さん達と一緒にいたのは五歳までだし、誰も教えてくれなかった。確かに魔法は使った事はないけどね。
「じゃ、誰かにこのリングに魔法を入れてもらうの?」
『私が入れてあげるわ』
「え!? ラスって魔法使えるの?」
『はぁ……。そこからなのね。その話は、時間があった時ね。どうせなら一番いいのにしましょう』
「一番いいの?」
『軽いやつよ』
なるほど。持ってみると全然重さが違った。重いのは靴一足分と同じぐらい重かった。ずっと靴をぶら下げているのと同じだ。軽いのは布のように軽い。
「え? 銀貨5枚!?」
『武器なんてそんなものよ。あと、ナイフも買っておくわよ。持っているのは、刃がぼろぼろだから捨てましょう』
……大丈夫かな? 人間と妖精の感覚が違うって事ないよね? でもまあ、銀貨がまだいっぱいあるから大丈夫かな?
「もう! 待ってろって言っただろう。で? 杖は買ったのか?」
と突然声を掛けられ僕は、驚いて悲鳴を上げるところだった。
「あ、アーズラッド。杖は買ってないけど、ナイフと……」
「え? 杖じゃなくてナイフ買ったのかよ。まさか杖を買うお金ないとかいわないよな?」
「いや、僕、魔法使えないし……」
「使えない? 魔法系だって言われたんじゃなかったっけ?」
「そうだけど……使った事ないし」
「……そうだな。じゃ、あの人達いる間に、魔法の使い方教えてもらえよ。だから杖を買え!」
「……え」
『仕方ないわね。まあいいわ。一番安い杖を買っておきましょう』
「魔法が使えないのに?」
『いいから』
「だから買っておけって」
「……はい」
誰と会話しているのかわからなくなりそうだよ。
二人に言われた通り杖を買った。今まで買った中で一番安かった! 銅貨50枚。お店の人に、本当にこれでいいのって言われちゃった。何せ、リングは一番高いのを買ったんだからね。
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