【完結】ケーキの為にと頑張っていたらこうなりました

すみ 小桜(sumitan)

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第59話

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 あぁ。今日は、帰りに魔法博士図書館に寄って行こうと思っていたのに、学園舞踏会の催しを決める打ち合わせだなんて。
 打ち合わせは、第一会議室で行う。30名程が収容できる広さがある。
 要は、優良クラスが使う会議室よね。

 私達、一年生7名はぞろぞろと会議室に入って行く。
 8名で一列だったので、イルデフォンソ殿下、マルシアール殿下と座り、その二人の護衛の三人が座る。その横に私、フロール嬢と座った。

 8名分ずつが四角形になるように席が設置してあるので、本来なら2名は一緒に並べない。

 「おい、君達」

 私達の後に入って来た3年生の令息が、私達に声を掛けて来た。どこかで見た事がある気がするわ。
 王族であるイルデフォンソ殿下達ではなく、フロール嬢と私に言ったみたいだけど。

 「本来は、1年生が5人ずつに分かれて座るのだが」

 って、どうでもいいような事を言われたわ。
 入って来て左側の列とすぐ目の前の列に二人座っていたので、私達は正面の一番奥に並んで座っていた。

 「席が決まっていたのか? 彼らは何も言わなかったが?」

 彼らとは2年生の事でしょうけど、最初に座ったのがこの国の王子なのだもの、彼に何も言えないでしょう。
 しかも半分ずつとなれば、今回は王子組と私とフロール嬢の二人で分かれ座れるけど、通常は護衛の一人か二人が私達と同じ列か、イルデフォンソ殿下三人組とマルシアール殿下三人組が別の列に座り、私とフロール嬢も分かれて座る事となる。
 まあ私的には、どうでもいいけどね。

 一応後に来る3年生が離れて座る事にならないように、2年生の正面になる入って右側の列に座らなかったのだと思うのだけど。
 そこに私達が座ってしまうと、入ってすぐの列と奥の正面の席に分かれてしまうからね。
 まあ今回、2年生の二人が座る列に座るのが一番正しかったのかもしれない。

 「そ、それは……」

 2年生が困り顔だ。板挟みよね。

 「いいでしょう。席ぐらいどこでも」

 文句を言った3年生を諫めると、2年生二人が座る列に一つ席を空けて令嬢が座った。
 文句を言った3年生の先輩も彼女の隣に座る。
 そうすると、話を見守っていた他の3年生達も席についた。

 レオンス様がお休みなので、2年生が座る席も角一つ空席。
 ルイス様も欠席しているので、2名が欠席しているけど問題ないでしょう。
 今日は、曲などを決めて終わりでしょうから、早く済ませましょう。って、私は大人しく頷くだけにするけどね。

 「さて、私が進行役を務めますわね。私は、クリステル。気軽にクリステル嬢とお呼び下さい」

 立ち上がりクリステル嬢が、そう述べる。

 「ルイス様のお姉様ね」

 え!
 フロール嬢がボソッと呟いた。
 あの方が、ルイス様の姉か。

 凛としていて、紺のストレート髪が優等生っぽい。瞳は、ルイス様と同じ紫の瞳で、ぐるりと私達を見渡している。
 進行役をするぐらいだから、3年生のトップの成績なのでしょうね。

 「曲ですが……」
 「クリステル嬢。その前に提案があるのですが」

 彼女の隣に座るあの文句を言った令息が軽く手を上げ、クリステル嬢の話を遮った。

 「何かしら?」
 「では失礼して」

 彼は立ち上がる。

 「私は、サルバドルと申します。今回、ピアノとヴァイオリンに分かれて曲を弾く、毎度お馴染みの演奏を披露する予定でしたが、少し趣向を凝らしてみませんか。楽団の様に他の楽器も使うのです。どうでしょうか。イルデフォンソ様、マルシアール様」

 このイエロー野郎!
 ごほん。そこの髪がイエローの令息。
 って、言い直しても仕方がないけど、何を言い出すのよ。
 私、ピアノしか弾けないわよ。
 というか、ここにいる子達もそうでしょう。

 そして、そんな時間あるわけないじゃない。開催日は、1か月半後よ。
 しかも、次の打ち合わせは一週間後でしょう。

 「そうだな。面白そうだ。私は、フルートを演奏しよう。自前がある」

 って、マルシアール殿下が言っちゃいました!

 「なら私は、ドラムだ」

 待って! イルデフォンソ殿下。
 なぜ王子様が、ドラムを習っているのよ。ってこの世界では、普通に習うの? そういう設定の世界なの?

 いや、みんな目が点になっているから普通ではないみたいね。

 「お二人は賛成のようだ。クリステル嬢。楽団として披露しないか?」
 「確かに素晴らしい案ではあるとは思います。ですが、今から楽器をそろえるとなると……」
 「提案をしたのですから、それはこちらで揃えます」
 「それなら心配ない。一通り揃っている」

 そう述べたのは、イルデフォンソ殿下。
 どうしてそんなものが。って……え? フロール嬢がほほ笑んだ?
 いやニヤリと笑ったという方が正しいかもしれない。
 口の端が一瞬上がった。

 まさか、彼女の策略ではないでしょうね。もとい、ガムン公爵の策。
 というか、楽団にする意味があるのかわからないけど。

 「あの……」

 そう思っていたら隣で手を上げたのだけど。

 「えーと、あなたはフロール嬢だったかしら」
 「はい。そうです」
 「意見があるならどうぞ」

 皆が注目する。
 そりゃそうよね。一年生の令嬢で、しかも子爵家なんだから。いわゆる一番下っ端が何意見を述べようとしているんだという視線が彼女に突き刺さっている。

 「意見ではないのですが……大変お恥ずかしいのですが、私はご存じの通り子爵家なので、嗜む程度でピアノしか習っておりません。というか、披露するのもおこがましいぐらいなのです」

 そう言ってフロール嬢が俯く。
 うん? この提案って彼女の策ではないのね。

 「では、リズムを刻むのはどうだ? 楽団は色んな楽器を合わせ音楽を奏でるのだ。タンバリンなんてどうだ? 令嬢でも扱える」

 イルデフォンソ殿下にそう言われたら断れないわよね。
 フロール嬢は、驚いた顔をしたけど頷いた。
 こうしてなぜか、扱う楽器が割り振られて行くのだった。
 というか、イルデフォンソ殿下が凄く楽しいそうなんだけどなんで?
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