成り上がりたいのなら勝手にどうぞ。僕は『テリトリー』で使い魔と楽しく過ごす事にします

すみ 小桜(sumitan)

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 「ほら飯だ」

 僕は、馬車で運ばれて牢屋の中に入れられた。
 そこには、僕より明らかに年下の子供達が十数人。そして皆、同じ色のチョーカーをしている。シルバーだ。

 スキル持ちのチョーカーはシルバーで、国からスキルを買ってスキルを初めて得た者はブラックだった。

 パンが放り込まれると、皆一目散にパンに群がった。僕も一つ手にして食べる。
 固いけどいつも食べているパンと一緒だ。

 次の日、パンを食べ終わると全員が荷馬車に乗せられた。
 休憩を挟みつつ三日ぼど馬車に揺られた早朝だった。荷馬車に座ったまま寝ていると、外が騒がしい。
 ホロがめくられ、知らない人が中を覗き込んで来た。
 皆、身構える。

 「安心しろ。我らカモミール隊が助けに来た」

 そう言われても僕は、彼が何者かわからなかった。
 その後、国営の部隊だと説明を受ける。

 「私達は、ルエタール街に配属されている騎士団だ。君達を保護する。悪いが人数が多いので、この馬車で街まで行く。具合が悪い者はいるか?」

 赤髪のお兄さんがそう言うも誰も何も返さない。
 仕方なさそうにお兄さんは、馬車に乗り込んで来た。
 こうして、僕達はルエタール街へと運ばれたのだった。



 「君は、ラシルさんでいいかな? おや、今日が誕生日で15歳になったみたいだね」
 「あ、そう言えばそうかも」

 とうとう15歳になってしまった。
 お金も巻き上げられ、これからどうしたらいいのだろうか。

 「君は、ジャト町に住んでいたのかい?」
 「いえ、その町の近くの村なんですけど。あの、どうしてそんな事までわかるんですか?」
 「そのチョーカーに記憶されている。と言ってもシルバーの者だけだ。えーと、君のスキルは『テリトリー』? 聞いた事がないスキル名だね。もしかして、固有スキルかい?」

 僕はそうだと頷いた。

 「なるほどそういう事か」
 「えーと、どういう事ですか?」
 「大抵の者は、スキル鑑定後にスキル隊になるべく連れて行かれる。そして、15歳になって大人になる時には、自分で生計を立てられるようになる」

 そうなんだ。
 でも連れて行かれなかったって事は、僕のスキルではなれなかったって事かな。

 「うーん。どうする? 前の場所に戻るかい。たぶん、合わない職業だとかなり稼ぎが少ないと思うのだけど。前は何をしていたの?」
 「農業です。実は、大人になっちゃうのでジャト町に農業系のスキルを買いに来たのだけど、思っていたより高いというか……」
 「なるほどね。スキルがあるから農業系のスキルを買わずにいたんだね。そして、合わなかったら14歳になったら買いに行くつもりでいたと。スキルの仕組みを知らなかったんだね」

 カモミール隊員は、うんうんと頷いている。

 「うーん。戻ってもきっとお金にならないだろうね。今月から君は、魔四マヨ銅貨1枚を払わないといけないだろうし」

 そうだった! それが問題なんだよね。僕の給金は殆どが食費に消えていく。だからこのままだと僕だけでは税金が払えないんだ。その為にスキルを取得しに来たのだった。

 「本来なら君の意見など聞かずに親元か職場に送り届けるのだけど、君はもう大人だから君の意見を聞ける。どうする? ここで冒険者になってみるかい」
 「ボウケンシャ?」
 「知らないか。色んな依頼を受けて、仕事を達成すると報酬が貰える。報酬が給金って事だね。1回に貰えるお金は多いけど、毎日出来るとは限らないし、決まった寝床もない。ただしギルドに入る事が出来れば、自身が依頼をこなしていなくても給金は貰える。金額は、契約内容によるけどね」

 そんな仕事があるんだ。でも僕に出来るだろうか。

 「僕にできますか?」
 「冒険者は、国民なら誰でも登録できるよ。他の仕事をしつつ冒険者をやっている人もいるから。ただ登録料がかかるんだ」
 「え……僕、お金取られちゃったし、お金なんてありません」

 カモミール隊員が少し考え込んだ。そして頷いた。

 「だったら判定球はんていきゅうで、判定しよう。大人になら使えるんだ」
 「えーと、それを使うとどうなるんですか?」
 「本当の事を言っているかの判定に使うものなんだけど、君が持ってきたという金額を正直に言ってもらって、それが本当だとなれば、手続きして返金される可能性がある」
 「え! 本当ですか?」
 「申請しないとなんとも言えないけど。たぶん通ると思うよ」
 「だったらそれします!」

 帰るにしろ、冒険者になるにしろ、お金が戻って来るならするしかない。
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