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1時間程で全員が戻って来たので、早くに出かける事が出来た。
今日は、東側の3地点での魔獣討伐だ。
街からその場所に到着するのに歩きなので6時間ぐらいかかる。
拠点を持つDランクギルドになれば、荷馬車を持つギルドもあるらしく、トムはできればそれぐらいまで大きくしたいという。
きっとそうなれば、森まで1時間ぐらいで行けると思う。随分と楽になるんだろうな。
森に着くころに雨が降り出した。
まさか買った毛布を早速使う事になるなんてね。
「まずいな」
トムが、空を見上げ言う。
「着くまでに出る可能性が高くなった。皆宜しく頼む」
「おう」
トムがそう言うと、一番に返事をしたのはノガさんだ。
「任せておけ」
「雨だと視界が悪くなるし、霧が濃くなる」
ミードさんが、ぼそりと呟くのが聞こえた。
テリトリーは、雨は弾かないので雨足が強くなれば視界は悪くなるかもしれないけど、テリトリー内には邪霧はないから、いつもの雨降りよりは見やすいのかな?
いや、結局テリトリーの外の視界は悪いから一緒か。
雨降りの森の中って、かなり歩きづらい。
新しい靴でよかったかも。
前の靴なら、泥で靴が脱げていたかも。
ロングブーツで膝まであるので、足首まで泥の中に埋まっても平気だ。
「くそ。歩きづらい」
僕の後ろからイラついた声が聞こえる。
ミードさんだ。
先頭をトム、その次がシューさんで真ん中が僕。ミードさんと続き、しんがりはノガさん。
僕からあまり離れるとテリトリーから出てしまうので、ぴったりとついて行く。
「止まれ」
トムが、そう言って止まった。
魔獣が現れたのかもしれない。
トムは、ガッツさんと違って魔獣を感知するスキルは持っていないようで、魔道具を手にしていた。
「右斜め方向に2体の魔獣がいる。こちらに移動しているみたいだから、俺達に気付いている。シューも攻撃を頼む」
「了解した」
「できるだけ引き寄せてから倒したいけど、出来るか?」
「問題ない」
シューさんが頷いて、答えた。
目を凝らしていると、2体の魔獣の姿が見えた。
「ダブルアタック」
「風の刃」
結構近くまで来てから放った攻撃は命中し、魔獣は消滅し魔石が地面に落ちた。
「魔石をチェック」
2つの魔石が光る。
僕は素早く魔石のもとへ行き、回収すると皆のもとへと戻った。
まだ2地点だけど、もう遭遇した。やっぱり雨が降ると、魔獣が沸くのが早いんだ。
「雨足が強くなる前に、3地点に入ってすぐの洞窟で今日は休もう」
僕達は頷いて、また歩き出した。
◇
「くそ、びしょ濡れだ」
濡れた服を脱ぎ、ミードさんは絞っている。
シューさんもノガさんもだ。
トムは、毛布とは別に雨をはじく外套を持っていて、それを羽織って歩いていたので、僕同様たいして濡れていない。
濡れていないけど、肌寒い。
濡れた3人は、もっと寒いだろうな。
本来なら洞窟の中で焚火をするのだろうけど、雨降りなので枝が濡れて、火がつかなかった。
ただトムが用意したランプがあるので、暗くはない。
僕達は、毛布に包まって温まるしかなかった。
「すまない。温まる魔道具はないんだ」
「いえ。Eランクギルドですから、なくてもおかしくないです」
トムが謝ると、シューさんがそう言った。
「テリトリーって邪霧を退けるだけなのかよ」
「使えねぇ」とミードさんが言う。
「そう言うなって。寝て起きてみたら違いがわかるからさ」
トムがフォローしてくれた。
ミードさんの言う通り、明るく照らすわけでも適温を保つわけでもない。魔獣も入って来る。ただ邪霧を退けるだけで頭痛を起こさないですむだけだ。
ガッツさん達は、凄いと言ってくれたけど実際どうなのだろうか。僕に報酬を分けるだけの価値あるスキルなのか。
明日の3人の意見でわかるはず。
それよりトムって、思ったよりお金持っていたんだな。
「それ、魔獣レーダーってやつですよね?」
さっき魔獣を発見した魔道具をシューさんが指さし聞いた。
「あぁ。リーダーになる時の条件で、魔獣の把握は必須だからな」
そういうもんなんだ。
まあわからなかったら突然襲われるようなもんだもんね。
「それ、いくらするんですか?」
シューさんが興味津々で聞く。
「魔三金貨1枚かな。これでも安い方。使い捨てのやつ」
「魔三金貨1枚もして、使い捨てなの?」
僕は驚いて声を上げてしまった。
「何言ってんだ。魔導具なんて、使い捨てだろう。まあ引き取ってはくれるけどよ」
バカにしたようにミードさんに言われてしまった。
「Cランク以上のギルドでないと、メンテナンス付きの魔道具は買えないだろうね」
ノガさんが言うと、シューさんが頷く。
そういうものなのか。
「俺は、使い捨てで十分だと思っているけどな。要は、魔獣を倒せれば問題ないんだし」
トムがそう言って、僕に魔三金貨1枚もする魔獣レーダーを見せてくれた。
丸い形で、片面がほのかに光っているだけだ。
「赤い点が見えたらそれが魔獣なんだ」
そう説明してくれた。
本当に魔道具って凄いな。
今日は、東側の3地点での魔獣討伐だ。
街からその場所に到着するのに歩きなので6時間ぐらいかかる。
拠点を持つDランクギルドになれば、荷馬車を持つギルドもあるらしく、トムはできればそれぐらいまで大きくしたいという。
きっとそうなれば、森まで1時間ぐらいで行けると思う。随分と楽になるんだろうな。
森に着くころに雨が降り出した。
まさか買った毛布を早速使う事になるなんてね。
「まずいな」
トムが、空を見上げ言う。
「着くまでに出る可能性が高くなった。皆宜しく頼む」
「おう」
トムがそう言うと、一番に返事をしたのはノガさんだ。
「任せておけ」
「雨だと視界が悪くなるし、霧が濃くなる」
ミードさんが、ぼそりと呟くのが聞こえた。
テリトリーは、雨は弾かないので雨足が強くなれば視界は悪くなるかもしれないけど、テリトリー内には邪霧はないから、いつもの雨降りよりは見やすいのかな?
いや、結局テリトリーの外の視界は悪いから一緒か。
雨降りの森の中って、かなり歩きづらい。
新しい靴でよかったかも。
前の靴なら、泥で靴が脱げていたかも。
ロングブーツで膝まであるので、足首まで泥の中に埋まっても平気だ。
「くそ。歩きづらい」
僕の後ろからイラついた声が聞こえる。
ミードさんだ。
先頭をトム、その次がシューさんで真ん中が僕。ミードさんと続き、しんがりはノガさん。
僕からあまり離れるとテリトリーから出てしまうので、ぴったりとついて行く。
「止まれ」
トムが、そう言って止まった。
魔獣が現れたのかもしれない。
トムは、ガッツさんと違って魔獣を感知するスキルは持っていないようで、魔道具を手にしていた。
「右斜め方向に2体の魔獣がいる。こちらに移動しているみたいだから、俺達に気付いている。シューも攻撃を頼む」
「了解した」
「できるだけ引き寄せてから倒したいけど、出来るか?」
「問題ない」
シューさんが頷いて、答えた。
目を凝らしていると、2体の魔獣の姿が見えた。
「ダブルアタック」
「風の刃」
結構近くまで来てから放った攻撃は命中し、魔獣は消滅し魔石が地面に落ちた。
「魔石をチェック」
2つの魔石が光る。
僕は素早く魔石のもとへ行き、回収すると皆のもとへと戻った。
まだ2地点だけど、もう遭遇した。やっぱり雨が降ると、魔獣が沸くのが早いんだ。
「雨足が強くなる前に、3地点に入ってすぐの洞窟で今日は休もう」
僕達は頷いて、また歩き出した。
◇
「くそ、びしょ濡れだ」
濡れた服を脱ぎ、ミードさんは絞っている。
シューさんもノガさんもだ。
トムは、毛布とは別に雨をはじく外套を持っていて、それを羽織って歩いていたので、僕同様たいして濡れていない。
濡れていないけど、肌寒い。
濡れた3人は、もっと寒いだろうな。
本来なら洞窟の中で焚火をするのだろうけど、雨降りなので枝が濡れて、火がつかなかった。
ただトムが用意したランプがあるので、暗くはない。
僕達は、毛布に包まって温まるしかなかった。
「すまない。温まる魔道具はないんだ」
「いえ。Eランクギルドですから、なくてもおかしくないです」
トムが謝ると、シューさんがそう言った。
「テリトリーって邪霧を退けるだけなのかよ」
「使えねぇ」とミードさんが言う。
「そう言うなって。寝て起きてみたら違いがわかるからさ」
トムがフォローしてくれた。
ミードさんの言う通り、明るく照らすわけでも適温を保つわけでもない。魔獣も入って来る。ただ邪霧を退けるだけで頭痛を起こさないですむだけだ。
ガッツさん達は、凄いと言ってくれたけど実際どうなのだろうか。僕に報酬を分けるだけの価値あるスキルなのか。
明日の3人の意見でわかるはず。
それよりトムって、思ったよりお金持っていたんだな。
「それ、魔獣レーダーってやつですよね?」
さっき魔獣を発見した魔道具をシューさんが指さし聞いた。
「あぁ。リーダーになる時の条件で、魔獣の把握は必須だからな」
そういうもんなんだ。
まあわからなかったら突然襲われるようなもんだもんね。
「それ、いくらするんですか?」
シューさんが興味津々で聞く。
「魔三金貨1枚かな。これでも安い方。使い捨てのやつ」
「魔三金貨1枚もして、使い捨てなの?」
僕は驚いて声を上げてしまった。
「何言ってんだ。魔導具なんて、使い捨てだろう。まあ引き取ってはくれるけどよ」
バカにしたようにミードさんに言われてしまった。
「Cランク以上のギルドでないと、メンテナンス付きの魔道具は買えないだろうね」
ノガさんが言うと、シューさんが頷く。
そういうものなのか。
「俺は、使い捨てで十分だと思っているけどな。要は、魔獣を倒せれば問題ないんだし」
トムがそう言って、僕に魔三金貨1枚もする魔獣レーダーを見せてくれた。
丸い形で、片面がほのかに光っているだけだ。
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そう説明してくれた。
本当に魔道具って凄いな。
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