成り上がりたいのなら勝手にどうぞ。僕は『テリトリー』で使い魔と楽しく過ごす事にします

すみ 小桜(sumitan)

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 次の日、目が覚めると雨は上がっていた。

 「うぉ。なんだこれ。体が軽い」
 「3地点に12時間はいるのに頭が痛くない」

 シューさんが叫ぶように言うと、ノガさんも驚きながら言った。
 ミードさんは、何も言わないけど軽く頷いている。

 「どうだ。テリトリーの効果は」
 「いやぁ。半信半疑だったが、全然違うよ。俺、頭痛はそれほどないんだが、体がとにかく重くなっていたからさ。驚いた!」
 「俺もこんなに違うとは思わなかった」
 「でも、魔道具買ったら必要ないだろう」

 褒める2人に対し、ミードさんは否定的な言葉を言った。
 でもその通りなんだろうな。
 トムもEランクギルドならとか言っていたし。

 「そう思うなら、自分で魔道具買って使えばいいだろう」
 「そ、それは……」

 トムの言葉にミードさんは言い返せない。
 僕と同じで、靴しか装備を買えていないミードさんが、邪霧を退ける魔道具を買えるはずもない。

 「まあ、確かにラシルは、攻撃スキルを持っていない。それは、君達と同じで今まで農夫として過ごしていたからだ」
 「は?」

 ミードさんが、目を丸くして僕を見た。

 「どこかの何も知らないボンボンだと思っていたのだろう。まあモノは知らないのは合ってるけどな。金はブラックと同じでないんだ。だから魔法陣スキルが買えないでいる」
 「マジか……」

 庇ってくれたのは嬉しいけど、なんかちょっとしょげる。

 「もしかして、それで魔石をあげたのか?」

 シューさんが言った。
 そう言えば、毛布を買う所を見ていたんだっけ。

 「こいつだけ、贔屓じゃないか? 靴だってロングブーツだし!」

 ミードさんが、僕のロングブーツを指さし怒鳴るように言う。
 ずるいって事なんだろうけど、これは自分で買ったんだ。

 「贔屓? 魔石は2人で稼いだ時の分け前だ。それに気に入らないのならこのクエストが終わったらギルドを抜けるといいだろう。止めやしない」

 えー! せっかく人数が揃ってきたのに辞めろだなんて。ほんとに抜けたらどうするんだ。

 「トム、落ち着いて」
 「別に落ち着いているさ。嫌ならメンバーは好きにギルドから抜ける事は可能だ。ただし、ギルドに入るのにはマスターの許可がいる。言っただろう。お試し期間はないけど、ダメだったら辞めさせると」
 「え!」

 そんな事言ってあったの?
 驚いて3人を見れば、3人共気まずそうだ。
 ミードさんだけではなく、シューさんとノガさんも同じ条件らしい。

 「わ、悪かったよ。ただ、優遇されているように感じたからさ。そのリュックだって、持っていなかっただろう」
 「これか? もう1人のメンバーのリュックだ」
 「ケガしたメンバーって女性だったのか」

 ミードさんが驚いたように言う。

 「あぁ。鞄は買えないと思ったからな。かなり違和感があるだろうけどな。それにこれ、魔道具じゃないし」
 「え? 違うの?」

 確かに、魔道具だって言ってなかったけど。

 「防水らしいけど、それもって家を出て来たらしいからな」

 そうだったんだ。それじゃ、くれるはずだよ。
 魔導具の鞄を買えばいらなくなるのだから。

 トムが、徐に右手の指を3本立てて前に突き出した。
 皆なんだろうと、トムを見つめる。

 「あと3回ぐらいで、Dランクギルドに昇格させる」
 「3回だって!?」

 シューさんが驚きの声を上げた。いや声を上げてないけど、ノガさんもミードさんも驚いた顔をしている。

 「北側の4地点だったら距離的に、ここと一緒だ。いや目的地にまでかかる時間は一緒だが、森までの距離が近いので、森の中を歩く距離が増える。4地点に行くまでに魔獣に遭遇する確率が上がるだろう。テリトリーがあれば、体調がいい状態で狩りができる。今日は、7体のクエストだけど、14体のクエストをすればDランクが可能だと思う。前々のギルドのDランクギルドにそれなりにいたからな」

 え? マイペースの前のギルドはDランクギルドだったの?

 「Dランクギルドに2年以上いたメンバーがギルドマスターになった時は、Dランクギルドに上がるのが早いと聞いたけど本当だったんだ」

 シューさんの言葉に、トムが頷く。

 「Eランクに3日で上がったからな」
 「3日!?」

 驚きの声を上げたのは、ミードさんだ。

 「Dランクギルドになれば、すぐに拠点になる建物を購入するつもりだ。だから協力してくれないか」
 「「えー!!」」

 3人が声を揃えて驚いた。

 「スキル隊の時の給料で足りないと聞いたけど?」
 「建物購入で使える上限があるからな。普通はすぐに買えないが、安い物件を見つけたんだ。だがDランクにならないと買えない」
 「拠点が出来るっていうのなら、少しぐらいハードでも俺はやる!」
 「俺もだ!」

 シューさんが言うとノガさんも握りこぶしを上げて言う。

 「お、俺も頑張る。さっきはすまなかった」
 「よし、頑張ろう」

 僕も~って言いたいけど、僕の場合ただ居ればいいだけだからなぁ。邪魔にならないように頑張ります。
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