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やる気満々になった3人は、魔獣を恐れず攻撃をし、気づけば昨日の2体を含めると、10体になっていた。
「ここでの討伐は7体を越えたな。枝も採取したし下山する」
トムの言葉に皆は頷いて、軽やかに街へと向かう。
行きとは違い天気も良く、昨日雨が降ったはずなのにぬかるみはなく、歩きやすくなっていた。
水はけがいい森なんだな。
僕は、畑へ向かう道を思い出していた。
その道は、雨が降れば3日ぐらいは滑りやすく歩きづらい状態になる。
そして、一番大変なのは大雨の後で、水が濁るんだ。
一応、飲み水にする分だけ浄化装置に入れていた。今思えばあれは、魔道具だったんだろうな。
◇
「おつかれさん。今日は俺のおごりだ」
「え? いいんですか?」
シューさんが嬉しそうに言う。
「もちろんだ。まずは、今回の報酬だ。一人19,200ハカリだ」
トムが、皆に報酬を払っていく。もちろん僕も貰う。
魔獣の討伐自体はしていなから、何だか申し訳ない気もするけどね。やったのは、魔石集めだけ。
「で、食べながら聞いてくれ」
「おう」
テーブルに運ばれてきたお肉に早速かぶりついたノガさんが返事を返す。ほかの2人も食べながら頷く。
「悪いが、Dランクなるまで休みなく連続で受けようと思う。なので明日もクエストに向かう。言っていたように倍の14体にしようと思う。皆はどう思う?」
「俺は、それでいい」
「俺も」
シューさんに続きノガさんも頷いて賛成した。
「あの俺もいいけど、その……魔石は分け合わないのか?」
ミードさんが、チラッと僕をみた。
魔石で毛布を買った事をまだ妬んでいるのだろうか。
「元々、魔石を分け合う約束ごとになってねーだろう」
トムが、ジロリとミードさんを睨む。
トムって切れやすくない? ミードさんが息を呑んだ。
「で、でも! 彼にはあげたんだろう」
「そうか。だったら今回の分は、倒した魔獣の数で分けよう。そうすれば、ラシルは1つも魔石を手にしない。異議はあるか?」
確かに僕はもらえない。別に僕はそれに異議はない。
けどそうなると、ミードさんもほとんど貰えない。彼の攻撃は、ことごとくはずれて倒したのは1体のみだ。
トムは、誰が攻撃するか指示していた。
初めに現れた2体の魔獣は、ノガさんとミードさんに頼んだが、ミードさんが外したのでトムが始末した。
その後に、3体が現れ、3人に倒す様に言うが、またミードさんが外す。それもトムが始末した。
次に2体現れた時に、ミードさんが「俺にもう1度チャンスを」と言ったので、ミードさんとシューさんにお願いして、この時初めて成功して倒したんだ。
3人は同じブラックだけど、経験から言えばミードさんはまだ日が浅いのかもしれない。
なので文句を言うミードさんを黙らせる為に言ったのだろう。
その思惑通り、ミードさんは何も言えなくなった。
2人も文句はないだろうね。貰えないと思っていた魔石がミードさんのお陰で貰える事になるのだから。
トムが、魔石が入った袋の中身をテーブルの上に出した。
「まず、この小ぶりのは俺とシューの分だ」
3地点に向かっている最中に出くわした魔獣の魔石だ。
トムは、自分とシューさんの前に置いた。
「本当にいいのか?」
シューさんが、控えめに聞く。
くれるというのなら欲しいのかもしれない。いや、欲しいに決まってる。
「あぁ、今回はな。魔石は拠点の魔道具に使ったりすると聞いたので、溜めておこうと思っていたが今日だけは奮発するよ」
トムはそう言いつつ、残りの8個の魔石から1個をミードの前に置いた。
「お前の分だ。まさか、これ以上欲しいなんて言わないよな」
「あ、ありがとうございます……」
ミードさんは、俯いて礼を言った。
なんか微妙な雰囲気になったんだけど。
「いやぁ。ミードのお陰で魔石を貰える事になってラッキー」
ノガさんがおちゃらけて、魔石を2個持って行った。
場の雰囲気を和ませようとしたのだろうけど、ミードさんがギュッと唇を噛んだのが見えた。
ビワードさんは場を取り持とうとするタイプだったから、あのギルド解散になる事態の時以外は大したいざこざは起きなかったけど、トムは場を和ませる気ないよね。
「さて、明日も昨日と同じ時間に集合だ。誰かが抜けたとしても続行する」
「わかった。明日からもよろしくな」
シューさんが、テーブルに残された魔石をもらうとそう返した。
遠回しに、ミードさんを牽制したんだよね。
ビワードさんとトムのやり方が違いすぎて、ハラハラがとまらないんだけど。
フォローしたいけど、僕が何か言えばかえってミードさんを怒らせる事になるだろう。
「ここでの討伐は7体を越えたな。枝も採取したし下山する」
トムの言葉に皆は頷いて、軽やかに街へと向かう。
行きとは違い天気も良く、昨日雨が降ったはずなのにぬかるみはなく、歩きやすくなっていた。
水はけがいい森なんだな。
僕は、畑へ向かう道を思い出していた。
その道は、雨が降れば3日ぐらいは滑りやすく歩きづらい状態になる。
そして、一番大変なのは大雨の後で、水が濁るんだ。
一応、飲み水にする分だけ浄化装置に入れていた。今思えばあれは、魔道具だったんだろうな。
◇
「おつかれさん。今日は俺のおごりだ」
「え? いいんですか?」
シューさんが嬉しそうに言う。
「もちろんだ。まずは、今回の報酬だ。一人19,200ハカリだ」
トムが、皆に報酬を払っていく。もちろん僕も貰う。
魔獣の討伐自体はしていなから、何だか申し訳ない気もするけどね。やったのは、魔石集めだけ。
「で、食べながら聞いてくれ」
「おう」
テーブルに運ばれてきたお肉に早速かぶりついたノガさんが返事を返す。ほかの2人も食べながら頷く。
「悪いが、Dランクなるまで休みなく連続で受けようと思う。なので明日もクエストに向かう。言っていたように倍の14体にしようと思う。皆はどう思う?」
「俺は、それでいい」
「俺も」
シューさんに続きノガさんも頷いて賛成した。
「あの俺もいいけど、その……魔石は分け合わないのか?」
ミードさんが、チラッと僕をみた。
魔石で毛布を買った事をまだ妬んでいるのだろうか。
「元々、魔石を分け合う約束ごとになってねーだろう」
トムが、ジロリとミードさんを睨む。
トムって切れやすくない? ミードさんが息を呑んだ。
「で、でも! 彼にはあげたんだろう」
「そうか。だったら今回の分は、倒した魔獣の数で分けよう。そうすれば、ラシルは1つも魔石を手にしない。異議はあるか?」
確かに僕はもらえない。別に僕はそれに異議はない。
けどそうなると、ミードさんもほとんど貰えない。彼の攻撃は、ことごとくはずれて倒したのは1体のみだ。
トムは、誰が攻撃するか指示していた。
初めに現れた2体の魔獣は、ノガさんとミードさんに頼んだが、ミードさんが外したのでトムが始末した。
その後に、3体が現れ、3人に倒す様に言うが、またミードさんが外す。それもトムが始末した。
次に2体現れた時に、ミードさんが「俺にもう1度チャンスを」と言ったので、ミードさんとシューさんにお願いして、この時初めて成功して倒したんだ。
3人は同じブラックだけど、経験から言えばミードさんはまだ日が浅いのかもしれない。
なので文句を言うミードさんを黙らせる為に言ったのだろう。
その思惑通り、ミードさんは何も言えなくなった。
2人も文句はないだろうね。貰えないと思っていた魔石がミードさんのお陰で貰える事になるのだから。
トムが、魔石が入った袋の中身をテーブルの上に出した。
「まず、この小ぶりのは俺とシューの分だ」
3地点に向かっている最中に出くわした魔獣の魔石だ。
トムは、自分とシューさんの前に置いた。
「本当にいいのか?」
シューさんが、控えめに聞く。
くれるというのなら欲しいのかもしれない。いや、欲しいに決まってる。
「あぁ、今回はな。魔石は拠点の魔道具に使ったりすると聞いたので、溜めておこうと思っていたが今日だけは奮発するよ」
トムはそう言いつつ、残りの8個の魔石から1個をミードの前に置いた。
「お前の分だ。まさか、これ以上欲しいなんて言わないよな」
「あ、ありがとうございます……」
ミードさんは、俯いて礼を言った。
なんか微妙な雰囲気になったんだけど。
「いやぁ。ミードのお陰で魔石を貰える事になってラッキー」
ノガさんがおちゃらけて、魔石を2個持って行った。
場の雰囲気を和ませようとしたのだろうけど、ミードさんがギュッと唇を噛んだのが見えた。
ビワードさんは場を取り持とうとするタイプだったから、あのギルド解散になる事態の時以外は大したいざこざは起きなかったけど、トムは場を和ませる気ないよね。
「さて、明日も昨日と同じ時間に集合だ。誰かが抜けたとしても続行する」
「わかった。明日からもよろしくな」
シューさんが、テーブルに残された魔石をもらうとそう返した。
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