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第一二話
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店を出ると、行き交う人々が楽しそうに歩いている。王都なので人が多く、大半が普通の一般人なのだろう。そう思ってちょっと眺めていたら僕と同じ耳の人を発見!
「ツティーちゃん、エルフがいるよ」
「うん? あぁ、あの人はハーフよ」
「ハーフ!」
「そんなに驚く事? 森から出て行ったエルフが人間と関係を持ってできた子よ。そして、エルフのように見える彼らはその子孫」
「……いや、それはわかっている。ただあまり中が良くないのかと思ったから」
「そうね……」
なぜかツティーちゃんは、間を置いた。
「私はあまり好ましく思っていないわ。でも憧れはあるの。人間にではなく、この世界にね。森の外ってどんなところなの? 海ってどういう感じ? とかね。あの人には、エルフの様なアニマを感じないわ」
「アニマか。それで判断をしているのか。じゃ僕は?」
「凄いわよ。クロバー様を凌ぐ量よ!」
エルフ並みにあるのかと聞けばそれどころではなく、たぶんツティーちゃんが知る中で一番多そうだ。だから勇者だと思っているのだと納得。もしかして僕、魔法を使えちゃったりして。
「逃げろ!」
のほほんとしていたらいきなり逃げろと言う声。見れば必死に逃げて来る人々が公園の方から駆けて来る。なんだろう? まさか、通り魔なんていうのが出たとか?
「モンスターだ!」
あ、そっち。そうだよね……って、
「モンスター!? この世界って街の中って安全じゃないの? しかもここ王都だよね?」
「おかしいわね。街には結界を張っているって聞いていたのに。というか、張ってあるのに」
「え? 張ってあるの?」
そうよとツティーちゃんが頷く。
僕には気づけなかったけど、ではなぜにモンスターが現れたの?
「どうやら何か裏がありそうね」
「へ? 裏?」
「外から侵入したのではないでしょう? 公園から逃げて来ているわ。つまり発生した」
「モンスターってどこでも沸くの?」
「うーん。どういう風に発生しているかわかってないけど、アニマに群がるから基本的に結界内に発生はしないと思うのだけど。行ってみましょう!」
ツティーちゃんが目をキラキラさせて僕に言った。
いや自分から危険な事に飛び込む事なんてしたくないのだけど。
「いや危険だよ。皆と同じく逃げよう。うん。それがいい!」
「何を言っているの? 勇者なのだからここは活躍の場でしょう」
え! そういうスタンスなの? いやいやいや……これは早めに勇者じゃないとわかってもらわないと、僕の命がいくつあっても足りないかもしれない。
「おい、あんた。来てくれ。なぜか公園にモンスターが出現したようだ!」
逃げる人混みの中、流れに逆らって公園に向かう冒険者だろう男に声を掛けられた。
この人、僕より強そうなのになぜだ。
「あんたSランクだろう?」
「あ……」
そういう事か! 失敗した。まさかまた外套でランクを判別されるとは思わなかったよ。今さっき、ギルドに所属した成りたてだって言っても通じないだろうか。
「ほら彼もそう言っているわ。行くわよ」
「ちょ、ツティーちゃん!」
ツティーちゃんが公園に向かって走り出したので仕方なく僕も駆け出した。声を掛けた男も一緒に向かう。
勇者の像がある公園には、先程はなかった大きな樹が生えていた。いやあれがモンスターなのかも。だって、枝が動いている。あれは風になびいているって感じではない。
「何あれ……」
「たぶん、ドレンドよ……」
「ドレンド? トレントではなくて?」
トレントなら聞いた事がある。それこそ樹の精霊とかそういうのだったかと。
「彼らと一緒にしたらかわいそうだわ。でもそうね、元はそうだった。それを私達はそう呼んでいるわ」
「元は? もしかしてモンスター化したとかいう事?」
ツティーちゃんが、険しい顔つきで頷く。
もしかして、邪気でモンスター化というのもあるのか。
「彼らは、人間によって作り上げられたモンスターよ!」
「なんだって!」
どういう事? モンスターが増えたら何とかしてほしいと願って勇者を遣わしてもらいながら、モンスターを作り出しているっていうの?
「トレントも私達と同じく森に住むモノなの。しかも浄化もできるのよ」
「え……それが真逆になっている」
こくんとツティーちゃんが頷く。
「人間は、自分たちが助かる為に彼らを狩った」
「え? もしかしてモンスターと間違って?」
「いいえ。自分たちの周りに置いて浄化する為よ」
なるほど。浄化も出来ると気づいたって事か。
「人間は、私利私欲の為に彼らを改良しようとした。ビジネスっていうの? その為に森から連れ出され、森から彼らの姿が消えた。そうしたらどんどんモンスターが増えたのよ」
バカなのか人間は! というか、その人間達の願いを叶えてやる神様も何を考えているのやら。
「しかも、その過程でモンスターを作り上げてしまった。一部の人間がそれを悪用していると聞いたけど本当だったのね」
「で、突然現れたのはなぜ?」
「そのモンスターは、普通の植木にしか見えない。それを土に植えると地中のアニマを吸い取り、ドレンドに変貌する。そして、邪気をバラまく。実際に見たのは初めてよ」
「なんて事を……って、知らないで植えちゃったの?」
「さあどうでしょうね……早く倒してね。でないと私もどうなるか」
そうだった! 邪気の中に居たら正気を無くすのだった。って、冒険者達が向かって行っているけど、振り払われている。結構強い。
「くそう、さすが上位モンスターだ」
「上位モンスター!? なんてもの作り出したんだよ」
「おい、君。ぼーっとしてないで加勢しろ」
ただ突っ立いる僕に振り向いた冒険者が言った。
仕方がないから剣を抜いたけど、一度も戦闘を経験した事がない僕に何ができると言うのだろう。大ピンチ!
「ツティーちゃん、エルフがいるよ」
「うん? あぁ、あの人はハーフよ」
「ハーフ!」
「そんなに驚く事? 森から出て行ったエルフが人間と関係を持ってできた子よ。そして、エルフのように見える彼らはその子孫」
「……いや、それはわかっている。ただあまり中が良くないのかと思ったから」
「そうね……」
なぜかツティーちゃんは、間を置いた。
「私はあまり好ましく思っていないわ。でも憧れはあるの。人間にではなく、この世界にね。森の外ってどんなところなの? 海ってどういう感じ? とかね。あの人には、エルフの様なアニマを感じないわ」
「アニマか。それで判断をしているのか。じゃ僕は?」
「凄いわよ。クロバー様を凌ぐ量よ!」
エルフ並みにあるのかと聞けばそれどころではなく、たぶんツティーちゃんが知る中で一番多そうだ。だから勇者だと思っているのだと納得。もしかして僕、魔法を使えちゃったりして。
「逃げろ!」
のほほんとしていたらいきなり逃げろと言う声。見れば必死に逃げて来る人々が公園の方から駆けて来る。なんだろう? まさか、通り魔なんていうのが出たとか?
「モンスターだ!」
あ、そっち。そうだよね……って、
「モンスター!? この世界って街の中って安全じゃないの? しかもここ王都だよね?」
「おかしいわね。街には結界を張っているって聞いていたのに。というか、張ってあるのに」
「え? 張ってあるの?」
そうよとツティーちゃんが頷く。
僕には気づけなかったけど、ではなぜにモンスターが現れたの?
「どうやら何か裏がありそうね」
「へ? 裏?」
「外から侵入したのではないでしょう? 公園から逃げて来ているわ。つまり発生した」
「モンスターってどこでも沸くの?」
「うーん。どういう風に発生しているかわかってないけど、アニマに群がるから基本的に結界内に発生はしないと思うのだけど。行ってみましょう!」
ツティーちゃんが目をキラキラさせて僕に言った。
いや自分から危険な事に飛び込む事なんてしたくないのだけど。
「いや危険だよ。皆と同じく逃げよう。うん。それがいい!」
「何を言っているの? 勇者なのだからここは活躍の場でしょう」
え! そういうスタンスなの? いやいやいや……これは早めに勇者じゃないとわかってもらわないと、僕の命がいくつあっても足りないかもしれない。
「おい、あんた。来てくれ。なぜか公園にモンスターが出現したようだ!」
逃げる人混みの中、流れに逆らって公園に向かう冒険者だろう男に声を掛けられた。
この人、僕より強そうなのになぜだ。
「あんたSランクだろう?」
「あ……」
そういう事か! 失敗した。まさかまた外套でランクを判別されるとは思わなかったよ。今さっき、ギルドに所属した成りたてだって言っても通じないだろうか。
「ほら彼もそう言っているわ。行くわよ」
「ちょ、ツティーちゃん!」
ツティーちゃんが公園に向かって走り出したので仕方なく僕も駆け出した。声を掛けた男も一緒に向かう。
勇者の像がある公園には、先程はなかった大きな樹が生えていた。いやあれがモンスターなのかも。だって、枝が動いている。あれは風になびいているって感じではない。
「何あれ……」
「たぶん、ドレンドよ……」
「ドレンド? トレントではなくて?」
トレントなら聞いた事がある。それこそ樹の精霊とかそういうのだったかと。
「彼らと一緒にしたらかわいそうだわ。でもそうね、元はそうだった。それを私達はそう呼んでいるわ」
「元は? もしかしてモンスター化したとかいう事?」
ツティーちゃんが、険しい顔つきで頷く。
もしかして、邪気でモンスター化というのもあるのか。
「彼らは、人間によって作り上げられたモンスターよ!」
「なんだって!」
どういう事? モンスターが増えたら何とかしてほしいと願って勇者を遣わしてもらいながら、モンスターを作り出しているっていうの?
「トレントも私達と同じく森に住むモノなの。しかも浄化もできるのよ」
「え……それが真逆になっている」
こくんとツティーちゃんが頷く。
「人間は、自分たちが助かる為に彼らを狩った」
「え? もしかしてモンスターと間違って?」
「いいえ。自分たちの周りに置いて浄化する為よ」
なるほど。浄化も出来ると気づいたって事か。
「人間は、私利私欲の為に彼らを改良しようとした。ビジネスっていうの? その為に森から連れ出され、森から彼らの姿が消えた。そうしたらどんどんモンスターが増えたのよ」
バカなのか人間は! というか、その人間達の願いを叶えてやる神様も何を考えているのやら。
「しかも、その過程でモンスターを作り上げてしまった。一部の人間がそれを悪用していると聞いたけど本当だったのね」
「で、突然現れたのはなぜ?」
「そのモンスターは、普通の植木にしか見えない。それを土に植えると地中のアニマを吸い取り、ドレンドに変貌する。そして、邪気をバラまく。実際に見たのは初めてよ」
「なんて事を……って、知らないで植えちゃったの?」
「さあどうでしょうね……早く倒してね。でないと私もどうなるか」
そうだった! 邪気の中に居たら正気を無くすのだった。って、冒険者達が向かって行っているけど、振り払われている。結構強い。
「くそう、さすが上位モンスターだ」
「上位モンスター!? なんてもの作り出したんだよ」
「おい、君。ぼーっとしてないで加勢しろ」
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