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第一三話
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「だぁ」
ただ突っ立っていても仕方がないので、一応攻撃をしかけに向かう。剣を右手に持ちドレンドに向け駆ける。吹き飛ばされた冒険者が吹っ飛んで来るも僕はそれをかわし進む。
うん? なんだろう。体が軽い。というか僕、条件反射凄い?
よくわからないけど、スピードを緩めずに走り、タンっとジャンプ。
僕が思ったより高く飛び、自分自身で驚く。って、ジャンプした僕にドレンドが攻撃を仕掛けてきた。木のとげ? が向かって来る。空中にいる僕には避けようがない……。
はずだったのに、咄嗟に剣でそれをはじいていた!
ふんわりと、地面に僕は着地した。
「凄いじゃない」
「……う、うん。驚いた」
「そうね。結構硬いのね」
硬い? 何の話だろう?
僕はツティーちゃんの話に首を傾げる。
「おい、君、この剣を使え」
「へ?」
僕に声を掛けてきた冒険者に振り向けば、立派な剣を手にしていた。それを僕に貸すって言うの? なぜに? 自分で使ってよ。
「いやそれは……」
「遠慮しなくていい。それじゃもう無理だろう。君の様な人がなぜ初心者用の武器を使っているかわからないが、これなら折れないだろう」
「折れる……?」
驚いて僕が握っている剣を見ればぽっきりと折れていた。
ツティーちゃんが言っていた硬いとは、ドレンドの攻撃の事だったか。攻撃をはじいて、剣を折ってしまっていたようだ。
僕は、何が何だからわからないうちに、剣ではじいていたから気づかなかった。
「借りておきなさいよ。壊さなきゃいいのだから」
「そうは言うけど。僕が攻撃するより、この人がした方がよくない?」
「俺よりは君の方がいいさ。今Aランク以上は、近くに出没したモンスター退治に出向いている。運がよかった。君みたいな人が残っていて」
「運がいいって……」
全然よくないよ。僕、ドレンドに攻撃できてないよね?
でも期待に満ちた二人の視線を受け、断れなかった。
借りた剣をギュッと握る。初めて握るはずなのに、しっくりくる感じ。これならさっきと変わらなく剣を振れそうだ。まあ振るだけならね。
僕は、またドレンドに向け駆け出した。そうすると、冒険者達が僕に道を開けてくれる。いや、そこまでしなくていいんだけどね。後で期待外れだったと思うに違いないから。
シュ。
考え事をしながら走っていたからドレンドが僕に向けて枝を向けてきたに気づくのに遅れた。避けられない。そう思ったら考えるより先に手が動いていた。
スパーン。
枝は見事に切り落とされる。
「すご……」
自分で斬っておいてなんだけど、鮮やかだ。切れ味がいい剣だね、これ。当たればこれなら真っ二つにできる?
そう思ったら今度もまた体が動いていた。先ほどの様にジャンプし、両手で剣を持ち頭上に持ち上げ振り下ろす!
ババーン!
バキッ!
「え?」
僕は、ゆっくり降下しながら唖然としていた。
振り下ろした剣から雷の様なモノが出て、ドレンドを真っ二つにしたのだ。
確かに真っ二つに出来そうとは思ったけど、斬ってないよね、僕。
パチパチパチパチ。
拍手とワーッという歓声が起きた。
「凄いです! ライトニングソードを使いこなすなんて!」
「え? あれってこの剣の効果?」
「さすが勇者ね。どんな剣でも使いこなすなんて」
いやいやいや。勇者じゃないし。まあ、よくわかんないうちにだけど倒せてよかった。
ドレンドは、真っ二つになってからなぜか丸焦げになり炭に。
かわいそうに。人間によってモンスターになってしまったなんて。
チャリンチャリンチャリン。
聞き覚えのある音が聞こえた。ドロップアイテムをゲットした音だ。
「あ、そうだ。これ、ありがとうございました」
「いや、いつでもお貸ししますよ」
「……新しいのを買うので大丈夫です」
本気ではないと思うけど、どちらにしても新しいのを買わないといけないな。折れた剣の先を僕は拾う。
「あの、お名前をお伺いしても?」
声の方に振り向くと、兵士が数人立っていた。
「えーと……」
「倒して頂いたお礼をしたいのです。情けないですが、私達では倒しきれなかったかもしれません」
そんなに強いモンスターなの?
「あの、ドレンドってそんなに強いモンスターなのですか?」
「おやご存じない? それなのに適切な攻撃。素晴らしい」
「ドレンドは、時間が経つにつれ魔素を取り込んで、どんどん強くなっていくモンスターなのです。しかも吐き出す邪気も強さと比例して濃くなっていく。私達が到着した時にはかなり強くなっていて……」
僕が到着するまでに三十分はかかっている。きっとその間にもどんどん強くなっていた。彼らが倒せない相手を僕が簡単に倒しちゃった!?
「もし偶然にあなたが居なければ、この街は壊滅的な被害に遭っていました。どうか、陛下に会っていただけないでしょうか」
「え! 王様に!」
この流れはまずい。絶対に面倒事を押し付けられるパターンだ。
「やっぱり裏があったのね」
「裏?」
「裏とは?」
僕がツティーちゃんの言葉を拾えば、兵士が僕の言葉を拾い首を傾げる。
「えーと、今回の事件は、なんか裏がありそうだなって。し、調べてみますね! では!」
「え!?」
驚く兵士に軽く会釈して僕は、走り出す。まるで逃げ出すように。いや、この場から逃げ出す為に走り出したんだけどね。
追いかけてこないけど、皆頭を下げている。
本当に調べるつもりはない。王様に会うのを避ける為のその場しのぎの言葉だったのだけど。期待されていたらどうしよう。
ただ突っ立っていても仕方がないので、一応攻撃をしかけに向かう。剣を右手に持ちドレンドに向け駆ける。吹き飛ばされた冒険者が吹っ飛んで来るも僕はそれをかわし進む。
うん? なんだろう。体が軽い。というか僕、条件反射凄い?
よくわからないけど、スピードを緩めずに走り、タンっとジャンプ。
僕が思ったより高く飛び、自分自身で驚く。って、ジャンプした僕にドレンドが攻撃を仕掛けてきた。木のとげ? が向かって来る。空中にいる僕には避けようがない……。
はずだったのに、咄嗟に剣でそれをはじいていた!
ふんわりと、地面に僕は着地した。
「凄いじゃない」
「……う、うん。驚いた」
「そうね。結構硬いのね」
硬い? 何の話だろう?
僕はツティーちゃんの話に首を傾げる。
「おい、君、この剣を使え」
「へ?」
僕に声を掛けてきた冒険者に振り向けば、立派な剣を手にしていた。それを僕に貸すって言うの? なぜに? 自分で使ってよ。
「いやそれは……」
「遠慮しなくていい。それじゃもう無理だろう。君の様な人がなぜ初心者用の武器を使っているかわからないが、これなら折れないだろう」
「折れる……?」
驚いて僕が握っている剣を見ればぽっきりと折れていた。
ツティーちゃんが言っていた硬いとは、ドレンドの攻撃の事だったか。攻撃をはじいて、剣を折ってしまっていたようだ。
僕は、何が何だからわからないうちに、剣ではじいていたから気づかなかった。
「借りておきなさいよ。壊さなきゃいいのだから」
「そうは言うけど。僕が攻撃するより、この人がした方がよくない?」
「俺よりは君の方がいいさ。今Aランク以上は、近くに出没したモンスター退治に出向いている。運がよかった。君みたいな人が残っていて」
「運がいいって……」
全然よくないよ。僕、ドレンドに攻撃できてないよね?
でも期待に満ちた二人の視線を受け、断れなかった。
借りた剣をギュッと握る。初めて握るはずなのに、しっくりくる感じ。これならさっきと変わらなく剣を振れそうだ。まあ振るだけならね。
僕は、またドレンドに向け駆け出した。そうすると、冒険者達が僕に道を開けてくれる。いや、そこまでしなくていいんだけどね。後で期待外れだったと思うに違いないから。
シュ。
考え事をしながら走っていたからドレンドが僕に向けて枝を向けてきたに気づくのに遅れた。避けられない。そう思ったら考えるより先に手が動いていた。
スパーン。
枝は見事に切り落とされる。
「すご……」
自分で斬っておいてなんだけど、鮮やかだ。切れ味がいい剣だね、これ。当たればこれなら真っ二つにできる?
そう思ったら今度もまた体が動いていた。先ほどの様にジャンプし、両手で剣を持ち頭上に持ち上げ振り下ろす!
ババーン!
バキッ!
「え?」
僕は、ゆっくり降下しながら唖然としていた。
振り下ろした剣から雷の様なモノが出て、ドレンドを真っ二つにしたのだ。
確かに真っ二つに出来そうとは思ったけど、斬ってないよね、僕。
パチパチパチパチ。
拍手とワーッという歓声が起きた。
「凄いです! ライトニングソードを使いこなすなんて!」
「え? あれってこの剣の効果?」
「さすが勇者ね。どんな剣でも使いこなすなんて」
いやいやいや。勇者じゃないし。まあ、よくわかんないうちにだけど倒せてよかった。
ドレンドは、真っ二つになってからなぜか丸焦げになり炭に。
かわいそうに。人間によってモンスターになってしまったなんて。
チャリンチャリンチャリン。
聞き覚えのある音が聞こえた。ドロップアイテムをゲットした音だ。
「あ、そうだ。これ、ありがとうございました」
「いや、いつでもお貸ししますよ」
「……新しいのを買うので大丈夫です」
本気ではないと思うけど、どちらにしても新しいのを買わないといけないな。折れた剣の先を僕は拾う。
「あの、お名前をお伺いしても?」
声の方に振り向くと、兵士が数人立っていた。
「えーと……」
「倒して頂いたお礼をしたいのです。情けないですが、私達では倒しきれなかったかもしれません」
そんなに強いモンスターなの?
「あの、ドレンドってそんなに強いモンスターなのですか?」
「おやご存じない? それなのに適切な攻撃。素晴らしい」
「ドレンドは、時間が経つにつれ魔素を取り込んで、どんどん強くなっていくモンスターなのです。しかも吐き出す邪気も強さと比例して濃くなっていく。私達が到着した時にはかなり強くなっていて……」
僕が到着するまでに三十分はかかっている。きっとその間にもどんどん強くなっていた。彼らが倒せない相手を僕が簡単に倒しちゃった!?
「もし偶然にあなたが居なければ、この街は壊滅的な被害に遭っていました。どうか、陛下に会っていただけないでしょうか」
「え! 王様に!」
この流れはまずい。絶対に面倒事を押し付けられるパターンだ。
「やっぱり裏があったのね」
「裏?」
「裏とは?」
僕がツティーちゃんの言葉を拾えば、兵士が僕の言葉を拾い首を傾げる。
「えーと、今回の事件は、なんか裏がありそうだなって。し、調べてみますね! では!」
「え!?」
驚く兵士に軽く会釈して僕は、走り出す。まるで逃げ出すように。いや、この場から逃げ出す為に走り出したんだけどね。
追いかけてこないけど、皆頭を下げている。
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