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偶然ってあるもんだ
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ピンポーン。
憲一は、チャイムの音で玄関のドアを開けた。
今日は土曜日。約束通りお呼ばれした細谷が、憲一を訪ねて来た。
「いらっしゃい。悪いなわざわざ」
「ううん。お邪魔します」
首を軽く横に振り、細谷は家に上がる。憲一について行き、居間に入った。
憲一は、何となく不思議な感じがした。
中学生の時は、友達を家に連れて来た事はなかった。塾に通っていたし、親がいない時は呼ぶなと言われていた。
それなのに、今週知り合ったばかりのクラスメイトを招いている。
「先日はありがとう。お蔭で事なき終えました。さあ、どうぞそこに座って」
「はい……」
母親に言われ少し緊張気味にソファーに座る。憲一も細谷の向かい側に座ると、母親が紅茶とケーキをテーブルの上に置いた。
「ここのケーキおいしのよ」
「はい。頂きます」
勧められるままに細谷は、ケーキを一口頬張る。それは甘さ控えめでスポンジが柔らかくとても美味しかった。
「美味しい! 僕、こんなに美味しいケーキ初めて食べました!」
「でしょう?」
細谷の言葉に母親は上機嫌で、対面式のキッチンの奥に戻って行く。憲一は、そこまで褒めなくともいいのにと思いつつ、彼もまたケーキを頬張った。
「真倉のお母さんって、専業主婦なの?」
紅茶を一口飲み細谷は聞いた。
「うん? いや、弁護士」
「弁護士! 凄いね!」
見慣れた態度に憲一は苦笑いする。大抵の奴は、こうやって親が弁護士だというと驚くのだ。
「で、細谷の母親は?」
「僕のお母さんは、看護師みたい」
「ふ~ん……」
みたいってなんだよ。――と、思ったが言わなかった。
まるで他人の事のような口ぶりに、憲一は違和感を持つ。
「もしかして、細谷……恵くんって言う名前?」
いつの間にかティーポット持って憲一達の側に来ていた母親が聞いた。
「はい……」
細谷は頷いて答える。それを聞いて母親は、少し驚いた表情になる。憲一は、母親の態度を不思議に思った。
「俺が通っている病院の看護師なのか?」
「いえ、違う病院よ。お話した事があって……」
憲一が質問すると、母親は答えながらティーポットをテーブルに置いた。
「おかわり置いておくわね」
母親はそう言ってまた、キッチンの奥に去って行った。それをジッと憲一は見つめる。
何だ? あの態度。――知っている相手ならいつももう少しくだらない話を聞かされていた。
「僕のお母さんと知り合いだったんだね」
「みたいだな」
母親の態度にも違和感を抱き、何となく落ち着かない憲一だった。
その後二人は、憲一の部屋に移った。
「何もないけど……」
憲一はそう言って、部屋に細谷を入れた。
「広いね。あ、パソコン持っているだ……」
ぐるっと見渡し細谷は言った。
広いと言っても八畳の部屋。パソコンは、ここ一か月電源を入れていない。
「座布団も何もないけど……」
憲一はそう言って、小さいテーブルの横に座ると、向かい側に細谷も座った。
憲一は、チャイムの音で玄関のドアを開けた。
今日は土曜日。約束通りお呼ばれした細谷が、憲一を訪ねて来た。
「いらっしゃい。悪いなわざわざ」
「ううん。お邪魔します」
首を軽く横に振り、細谷は家に上がる。憲一について行き、居間に入った。
憲一は、何となく不思議な感じがした。
中学生の時は、友達を家に連れて来た事はなかった。塾に通っていたし、親がいない時は呼ぶなと言われていた。
それなのに、今週知り合ったばかりのクラスメイトを招いている。
「先日はありがとう。お蔭で事なき終えました。さあ、どうぞそこに座って」
「はい……」
母親に言われ少し緊張気味にソファーに座る。憲一も細谷の向かい側に座ると、母親が紅茶とケーキをテーブルの上に置いた。
「ここのケーキおいしのよ」
「はい。頂きます」
勧められるままに細谷は、ケーキを一口頬張る。それは甘さ控えめでスポンジが柔らかくとても美味しかった。
「美味しい! 僕、こんなに美味しいケーキ初めて食べました!」
「でしょう?」
細谷の言葉に母親は上機嫌で、対面式のキッチンの奥に戻って行く。憲一は、そこまで褒めなくともいいのにと思いつつ、彼もまたケーキを頬張った。
「真倉のお母さんって、専業主婦なの?」
紅茶を一口飲み細谷は聞いた。
「うん? いや、弁護士」
「弁護士! 凄いね!」
見慣れた態度に憲一は苦笑いする。大抵の奴は、こうやって親が弁護士だというと驚くのだ。
「で、細谷の母親は?」
「僕のお母さんは、看護師みたい」
「ふ~ん……」
みたいってなんだよ。――と、思ったが言わなかった。
まるで他人の事のような口ぶりに、憲一は違和感を持つ。
「もしかして、細谷……恵くんって言う名前?」
いつの間にかティーポット持って憲一達の側に来ていた母親が聞いた。
「はい……」
細谷は頷いて答える。それを聞いて母親は、少し驚いた表情になる。憲一は、母親の態度を不思議に思った。
「俺が通っている病院の看護師なのか?」
「いえ、違う病院よ。お話した事があって……」
憲一が質問すると、母親は答えながらティーポットをテーブルに置いた。
「おかわり置いておくわね」
母親はそう言ってまた、キッチンの奥に去って行った。それをジッと憲一は見つめる。
何だ? あの態度。――知っている相手ならいつももう少しくだらない話を聞かされていた。
「僕のお母さんと知り合いだったんだね」
「みたいだな」
母親の態度にも違和感を抱き、何となく落ち着かない憲一だった。
その後二人は、憲一の部屋に移った。
「何もないけど……」
憲一はそう言って、部屋に細谷を入れた。
「広いね。あ、パソコン持っているだ……」
ぐるっと見渡し細谷は言った。
広いと言っても八畳の部屋。パソコンは、ここ一か月電源を入れていない。
「座布団も何もないけど……」
憲一はそう言って、小さいテーブルの横に座ると、向かい側に細谷も座った。
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