【完結】煙にまかれた記憶

すみ 小桜(sumitan)

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母親たちの関係は?

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 「招待したけど、何もないな……」

 「あ、いや別に……大丈夫」

 よく考えれば、席が隣同士というだけで特段仲がいいわけでもない。二人は会話に困った。

 「優しそうなお母さんだね」

 ボソッと細谷ほそたには言った。

 「いや、口うるさいだけだ」

 「でも仲良さそう……」

 「……な、仲悪いのか?」

 「え、いや、そういう訳ではないかな……」

 そう返すも細谷の表情は暗い。

 もしかして聞いちゃいけない事だったか! ――細谷は病気で学校を一か月も休んでいた。彼が病気がちならば、親同士が仲が悪い場合もあるし、そうでなくても自分が病気の為に親に迷惑を掛けていると思っている者もいるだろう。

 憲一けんいちは、この件には触れない方がいいと思った。
 そこで話題を変える。

 「えっと、俺、中学は第二だったんだけど、細谷は?」

 「……違う市で、今年の春からここに」

 何故か俯いてそう細谷は答えた。

 これも聞いちゃいけない内容だったのか? ――憲一は、小さくため息をついた。

 「あ、じゃ母とは前の職場で知り合ったのか?」

 ふと憲一は言った。

 細谷の母親が働いている職場の事だ。こっちに引っ越して来たと言う事は、病院を移っていると思った発言だった。

 「どうなんだろう? 前は飯田病院だと言っていたけど、今は市立病院かな」

 「え? 市立?」

 俺が通っている病院なんだけど……。――憲一は飯田病院は知らないが、母親が知っていてもおかしくはない。ただ本当にその病院で知り合ったのだろうかと、ふと疑問が浮かんだ。
 少なくても、市立病院にいるのは知らない事になる。

 「どうかした?」

 「あ、いや別に……」

 また場が静まり返った。

 「えっと。そろそろ帰ろうかな」

 細谷がそう言いながら立ち上がる。

 「あ、うん」

 憲一は、細谷を玄関まで送る。

 「おじゃましました」

 「あら、おかえり?」

 「はい」

 母親が居間から出て来て、靴を履く細谷に声を掛けた。

 「その、めぐみくん……体調とか大丈夫?」

 「え?」

 その問いに驚いたように細谷は振り向いた。

 「あ、ほら、この子がこの前具合悪くなったでしょ? だから、ね」

 「あ、はい。大丈夫です」

 「そう、よかった」

 「では失礼します」

 細谷が頭を下げる。

 「気を付けてな」

 玄関から出て頭を下げる細谷を二人で見送った。
 何事もなかったように母親は、居間に入って行く。その後姿をジッと憲一は見つめた。

 何であんな事聞いたんだ? ――病気で入院していた事は話していない。

 あ、そっか。母親と知り合いだったんだっけ? ――ふと、母親同士知り合いだった事を思い出す。
 だが何故か違和感があった。

 憲一は自分の部屋に戻りベットに腰掛ける。

 何故かいつもと違う態度の母親に憲一は、もやもやしていた。
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