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第9話 本物の神官
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彼は、本物の神官だったのか……。
惚けた様にディアルディは、ルナードを見つめていた。精霊は、いつの間にかいなくなっていた。
うーん。まさかと思うが今ので、私に惚れちゃったりしないよな? 逆効果だったか?
ルナードは、自分を怒らせると怖いと、二人に見せつけたつもりだった。だが、ディアルディの思わぬ放心状態に戸惑っていた。
あぁ。やりすぎた。恐怖で固まったか。さて、どうするか……。
しかし、彼女はどうしてのこのことこんな所までついて来たのか。今までだって、寄って来る男はいただろうに。
「驚かせてすまなかった。歩けないのなら少し落ち着くまでここにいよう。そこに座るといいよ」
座れそうな岩に座らせようとルナードが手を伸ばすと、ディアルディがビクッと体を震わす。
まいったなぁ。
断って抜けて来たとはいえ、そんなに長居はできない。だがしかし、ディアルディは動けないのだ。
ディアルディは、どうしたらいいか思案していた。
自分の精霊が姿を現せば、ルナードにばれてしまう。女性の姿でそうなれば、魔女だ。かと言って、男だとばらせば理由を話さなければならない。それは、できないのだ。
絶対にばれてはいけない!
しばらくは、精霊は呼ばない事にした。ルナードとも距離を置こう。そうディアルディは思う反面、騙している罪悪感が湧いて来た。
さっきまでは、少しムカつく奴だと思っていた。だが、ルナードは、特別な力を持った本当の神官だったのだ。きっと、生涯独身を通し神官を全うしようと本気で思っていた。そこに、ディアルディが現れて、そうできなくなった。
子供が出来なければきっと、第二婦人を娶る事になる。独身だったらそれをしなくてすんだ。
俺に絶対手を出さないとマカリーさんは、ふんでいたって事か。
興味がないではなく、神に誓ったって事だろうと、ディアルディは完結した。
ディアルディは、深々とお辞儀を突然し、ルナードを驚かす。
「やっと正気に戻りましたか。帰りましょう。送ります」
ディアルディは、こくりと頷く。
ルナードが歩き出すと、その後ろをついていく。
やれやれだ。
軽くため息をつき、ルナードはディアルディを家まで送り届けたのだった。
□□□
戻って来たディアルディは、湯を浴び一息ついていた。
「参ったな。あの人、なんで黙っていたんだ」
あの人とは、勿論マカリーの事だ。彼は、ディアルディを男だと知っている。だがマカリーが、特別な力を持っているのをディアルディも知っていた。ルナードが持っているかもしれないと警戒すべきだった。
いやばれてはいないのだから、これから気を付ければいい。ルナードは、昼間いないのだから。
しかしあの男、神官のくせに無理やりってあるか? やばい、ルナードが彼を傷つけた。あの男が、大人しく引き下がってるといいけど……。
ふと、マカリーにも迷惑がかかった事に気がついた。
惚けた様にディアルディは、ルナードを見つめていた。精霊は、いつの間にかいなくなっていた。
うーん。まさかと思うが今ので、私に惚れちゃったりしないよな? 逆効果だったか?
ルナードは、自分を怒らせると怖いと、二人に見せつけたつもりだった。だが、ディアルディの思わぬ放心状態に戸惑っていた。
あぁ。やりすぎた。恐怖で固まったか。さて、どうするか……。
しかし、彼女はどうしてのこのことこんな所までついて来たのか。今までだって、寄って来る男はいただろうに。
「驚かせてすまなかった。歩けないのなら少し落ち着くまでここにいよう。そこに座るといいよ」
座れそうな岩に座らせようとルナードが手を伸ばすと、ディアルディがビクッと体を震わす。
まいったなぁ。
断って抜けて来たとはいえ、そんなに長居はできない。だがしかし、ディアルディは動けないのだ。
ディアルディは、どうしたらいいか思案していた。
自分の精霊が姿を現せば、ルナードにばれてしまう。女性の姿でそうなれば、魔女だ。かと言って、男だとばらせば理由を話さなければならない。それは、できないのだ。
絶対にばれてはいけない!
しばらくは、精霊は呼ばない事にした。ルナードとも距離を置こう。そうディアルディは思う反面、騙している罪悪感が湧いて来た。
さっきまでは、少しムカつく奴だと思っていた。だが、ルナードは、特別な力を持った本当の神官だったのだ。きっと、生涯独身を通し神官を全うしようと本気で思っていた。そこに、ディアルディが現れて、そうできなくなった。
子供が出来なければきっと、第二婦人を娶る事になる。独身だったらそれをしなくてすんだ。
俺に絶対手を出さないとマカリーさんは、ふんでいたって事か。
興味がないではなく、神に誓ったって事だろうと、ディアルディは完結した。
ディアルディは、深々とお辞儀を突然し、ルナードを驚かす。
「やっと正気に戻りましたか。帰りましょう。送ります」
ディアルディは、こくりと頷く。
ルナードが歩き出すと、その後ろをついていく。
やれやれだ。
軽くため息をつき、ルナードはディアルディを家まで送り届けたのだった。
□□□
戻って来たディアルディは、湯を浴び一息ついていた。
「参ったな。あの人、なんで黙っていたんだ」
あの人とは、勿論マカリーの事だ。彼は、ディアルディを男だと知っている。だがマカリーが、特別な力を持っているのをディアルディも知っていた。ルナードが持っているかもしれないと警戒すべきだった。
いやばれてはいないのだから、これから気を付ければいい。ルナードは、昼間いないのだから。
しかしあの男、神官のくせに無理やりってあるか? やばい、ルナードが彼を傷つけた。あの男が、大人しく引き下がってるといいけど……。
ふと、マカリーにも迷惑がかかった事に気がついた。
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