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第51話 王族の証
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「顔を上げよ」
陛下に言われディアルディは、顔を上げ真っ直ぐと見つめる。
「あなたが、ディアルディであると申すのだな?」
「はい。そうです」
「よかろう」
そう言うと陛下は、ディアルディの額に触れた。すると、額に輝きが灯る。ディアルディと周りの者は驚いた。
「確かに私の息子だ。生まれてすぐに、精霊によって刻印を刻んでいる。これは、私が死んだとしても消える事はない。ご苦労だった、マカリー」
信じてもらえて四人はホッとする。
「陛下、もしかしてマカリーさんにも個別に探索をお願いしておいででいたのですか? 何故ですか? 極秘と言う事になったではありませんか」
イグーレンは問う。他の王臣も同じ疑問を持っていた。
「そうだが……」
「俺は……いえ、私は命をあなた方の誰かに狙われていると思ったからです」
すくっと立ちあがったディアルディは、四人の王臣に向き直り言った。これには、王臣達は驚く。
「陛下、それは誠ですか? この者より私達の方が怪しいと?」
ミルアビが訪ねる。
「あの時の事を覚えているか? あれは精霊と契約しているからと出来る事ではない。それなりの能力がいる」
「我々の能力を認めて下さっておられるのなら、なぜ信じて下さらないのですか」
「いやミルアビさん、それよりもなぜ彼なのかを知りたい。マカリーさんは神官長だ。確かに信用と能力もある。ですが、今回の山火事の事件に当たり、彼の履歴を拝見いたしましたが、マカリーさんが神官長になったのは、あの事件の後です。つまり、信用と能力はあの時点ではなかった。陛下は、彼とは個人的の知り合いだったという事でしょうか?」
サイグルドの問いに陛下は戸惑う。
知らない事はない。王都の神官は、城に出入りしていた。ただ王臣と同じ、いや次に信用と能力がある者として託した訳ではない。偶然居合わせただけだった。
ハッキリ言って、ずっとこれでよかったのだろうかと自問していたのだ。彼らとは連絡もとれず、そして結局は何もわからないまま、十年以上も経ってしまった。
今更息子だけ戻せと行った所で、王臣達に説明のしようがなかった。今回の様に、本当の事を言うしかないのだ。
「私から話しましょう。あの日私達は偶然、エルドアリス様をお助けしました。勿論お助けした時は気がつきませんでしたが、治癒する時にわかったのです。小さな子もおり、それがディアルディ様でした」
「お助けしたのち、私はあるお願いの為に城に向かいました。その時点では、エルドアリス様だと私は知らずにおりました。城に来てみると、精霊パニックになっており、頼みごとをするところではありませんでした。そこに連絡が入ったのです。助けたのは、本妻のエルドアリス様だったと」
マカリーとフィタードのここまでの話に、王臣達は驚いていた。二人は、忽然と消えた事になっていたからである。
陛下に言われディアルディは、顔を上げ真っ直ぐと見つめる。
「あなたが、ディアルディであると申すのだな?」
「はい。そうです」
「よかろう」
そう言うと陛下は、ディアルディの額に触れた。すると、額に輝きが灯る。ディアルディと周りの者は驚いた。
「確かに私の息子だ。生まれてすぐに、精霊によって刻印を刻んでいる。これは、私が死んだとしても消える事はない。ご苦労だった、マカリー」
信じてもらえて四人はホッとする。
「陛下、もしかしてマカリーさんにも個別に探索をお願いしておいででいたのですか? 何故ですか? 極秘と言う事になったではありませんか」
イグーレンは問う。他の王臣も同じ疑問を持っていた。
「そうだが……」
「俺は……いえ、私は命をあなた方の誰かに狙われていると思ったからです」
すくっと立ちあがったディアルディは、四人の王臣に向き直り言った。これには、王臣達は驚く。
「陛下、それは誠ですか? この者より私達の方が怪しいと?」
ミルアビが訪ねる。
「あの時の事を覚えているか? あれは精霊と契約しているからと出来る事ではない。それなりの能力がいる」
「我々の能力を認めて下さっておられるのなら、なぜ信じて下さらないのですか」
「いやミルアビさん、それよりもなぜ彼なのかを知りたい。マカリーさんは神官長だ。確かに信用と能力もある。ですが、今回の山火事の事件に当たり、彼の履歴を拝見いたしましたが、マカリーさんが神官長になったのは、あの事件の後です。つまり、信用と能力はあの時点ではなかった。陛下は、彼とは個人的の知り合いだったという事でしょうか?」
サイグルドの問いに陛下は戸惑う。
知らない事はない。王都の神官は、城に出入りしていた。ただ王臣と同じ、いや次に信用と能力がある者として託した訳ではない。偶然居合わせただけだった。
ハッキリ言って、ずっとこれでよかったのだろうかと自問していたのだ。彼らとは連絡もとれず、そして結局は何もわからないまま、十年以上も経ってしまった。
今更息子だけ戻せと行った所で、王臣達に説明のしようがなかった。今回の様に、本当の事を言うしかないのだ。
「私から話しましょう。あの日私達は偶然、エルドアリス様をお助けしました。勿論お助けした時は気がつきませんでしたが、治癒する時にわかったのです。小さな子もおり、それがディアルディ様でした」
「お助けしたのち、私はあるお願いの為に城に向かいました。その時点では、エルドアリス様だと私は知らずにおりました。城に来てみると、精霊パニックになっており、頼みごとをするところではありませんでした。そこに連絡が入ったのです。助けたのは、本妻のエルドアリス様だったと」
マカリーとフィタードのここまでの話に、王臣達は驚いていた。二人は、忽然と消えた事になっていたからである。
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