【完結】大きな声では言えないが俺が魔王だ!

すみ 小桜(sumitan)

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第二章 マルとバツ。とんだハプニング!?

第一四話

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 「……私一人で十分だ!」

 へ? あ、戦う気はあるのか?

 「ほう。やってみろよ!」

 リーダーは、ブーメランを投げてきた!
 って、こっちに向かって! 早すぎる!
 俺はよけれそうだが、どければリナに当たる!

 たぶん、俺達が一番弱そうだから狙われたんだろうけど……。
 俺は刀を体の前で構えた! 出来るかどうかわからないが刀ではじくしかない!
 だが、刀に衝撃はこなかった。ダウが俺達を庇ったのだ!

 身を挺して攻撃を受けたダウは、その場に倒れた。
 戻りはしなかったが、動けなくなった所をみると、HPを二〇%を切ったんだろう。思いっきり攻撃を受けたのでクリティカルになったのかもしれない。

 ブーメランは、弧を描き男の所に戻って行く。
 今、回復してやる!

 「ダウに回復魔法! ダウに回復魔法! ダウ……」

 バチッ!

 「ぐわー!」

 大きな音と同時に叫び声が聞こえ、ダウから音の方を見て驚いた。
 リーダーが倒れていた。……え? 一撃?!

 俺はあんぐりと口を開けたまま、その情景を見つめていた。彼の言う通り、一人で十分だった!
 一体どれだけ強いんだ!

 俺は戦闘中だというのに、手をかざし虫眼鏡をタッチした。
 ポン。

 名前:ジャック
 種族:魔族
 ランク:魔導士
 スキル:以心伝心 反射
 その他:攻撃型。魔王にしか扱えない

 なんかこいつすごいな。魔王にしかって……。攻撃型でもHPとかは表示ないのか……。

 バチッ!

 「ぎゃー!」

 俺はハッとして、声の主を見た。
 忘れていた! 俺と戦闘している男がいたんだった!
 命令はしてないが、逃げ出そうとした男にジャックが攻撃を加えたようだ。

 「ひ~! い、命だけは!」

 「だったらそこで大人しくしていろ!」

 男はこくんこくんと首を縦に振った。

 「ありがとう。助かった……」

 「戦闘中に何をしてるんだか」

 う。ごもっともで……
 うん? あれ? あの問いがこない!

 『なあ、ピピ。ジャックはどうやったら従えられるんだ?』

 『メッセージ出ませんでしたか?』

 『いまだに出てきてないな……』

 ピピは大きなため息をついた。

 『ジャックは、魔王に匹敵する程の魔法を使いこなす者で、性格もやや問題がありますので、もしかしたら今のキソナ様には従わないのかもしれません』

 マジか! まあ、彼のお蔭で今回はなんとかなったみたいだし。俺が強くなれば問題ないって事だな。

 それよりも今は……。

 「さて、こいつらどうしたらいいか」

 よく考えてみれば、束縛するものを何も持っていなかった! 相手は三人もいる。流石に連行するのは無理だ。

 「あの! 私、城に連絡しに行って来ます!」

 「いやでも、こいつらの仲間が周りに居たら……」

 「彼らは三人組の盗賊なんです!」

 三人だけなのかよ。まあ、助かったけど。

 「じゃ、お願いします。気を付けてな!」

 リナは頷くと城に向けて駆けて行った。
 やはりというか五分待たされた。この、いるか? リアリティーの演出に疑問を持ちつつも無事? 三人を捕らえる事が出来た。

 三人組のリーダーは、『バツ』という名らしく、『バツ盗賊団』と名乗っていた。マルとバツかよ……。俺は突っ込まずにいられなかった。
 バツ盗賊団を引き渡した後、俺はリナと一緒に村に戻り大歓迎を受けた。


 ×× × ××


 「本当にありがとうございました!」

 マルさんのお宅でまた、魔法茶を頂いていた。

 「お礼なのですが、我々には余分なお金はありません。申し訳ありませんが、その代わりにですがこれを受け取り下さい」

 何やらポケットティッシュ程の袋を報酬に貰った。

 ポン。
 《魔法茶の茶葉が入った袋を手に入れました!》

 え! まじ!

 「いいんですか? こんな高価なものを頂いて!」

 城に卸している品だ。一般には出回っていないだろう。

 「はい。勿論です。ですがお願いがあります。それは、売ったりあげたりしないでほしいのです。キソナさんだけで使用して頂き、他言無用でお願いします。その袋に入れておけば茶葉は劣化しません。また良からぬ者がでないとも限りませんので……」

 「わかりました。大切に使わせて頂きます!」

 流石、高難易度イベントだ!

 俺はその後、皆に見送られて意気揚々と村を出た。

 そう言えば、これ飲み物だよな? 入れ物買わないといけないか。うん? もしかしてだけど、調合のスキル必要とかないよな? 俺的には、ただ水に入れるだけって思うんだけど……。

 『なあ、この報酬の茶葉って、魔法茶にするのに入れ物さえあれば飲める?』

 『残念ながら料理のスキルが必要になります』

 げ! それって料理のスキル覚えないと宝の持ち腐れって事じゃないか! まあ劣化しないようだからいいけどさ。はぁ……。

 そう言えばレベル……上がってない! っていうか経験値すら増えてない!

 よく考えれば、誰も倒していないので戦闘では経験値は入っていない。報酬は茶葉のみなので、お金も増えていない。って、これマジで料理スキルを手に入れないと、骨折り損のくたびれ儲けに終わる……。

 「なんでこんなイベント発生したんだか……」

 俺は愚痴をこぼさずにはいられなかった。

 『私もビックリ致しました。まさかリンゴを手に入れた事で、条件が成立してしまうとは!』

 「リンゴ?!」

 ピピは頷く。

 『あのイベントは、パーティーを組んでいない回復魔法保持者で、冒険者以外の職業を取得している者が、空腹度を回復するアイテムを「一つだけ」所持した状態でイベント発生ポイントを訪れると発生致します』

 ちょっと待てよ。ソロで活動していて、回復魔法は最初から所持していた。隠しステータスだけど幻覚魔導士を取得している。リンゴはドロップして……。
 マジか。幻覚魔導士の魔法なんて一度も使ってない。お飾り職業なのに!

 『空腹に気づかずにリンゴを手渡していなければ、バットエンドでした』

 自然に始まるイベントはいいのか悪いのか、気づかなければ報酬を貰うまで気づけない時もある。まあそれも『choose one』ならではだけど。

 この森は、初心者用だ。他の職業を持った者が立ち寄るのさえ稀だろう。このイベントは、発生率は低いはずだ!

 気を付けないといけないな。チートがあることで、本来発生しないイベントが発生してしまうとは。今後も危ない目に遭いそうだ!

 『いい教訓になったよ』

 『はい。戦闘は大変上達したと思われます』

 だよな。死に物狂いだったもんな……。
 そう言えば、冒険者にNPCいないと思っていたけど、いるんだな。

 俺は街に戻りその日はログアウトした。
 疲れたが、満足したプレイだった。
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