【完結】大きな声では言えないが俺が魔王だ!

すみ 小桜(sumitan)

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第三章 ヒカルのお誘い。緊急事態発生!?

第一六話

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 「赤魔法使いのクエスト受けたいのですが」

 カウンターのお姉ちゃんに話しかけると、「ご説明はお聞きになりますか?」と問いかけて来たので、「はい」と返事を返すと説明を始めた。

 取得するのには、ギルドで用意した試練クエストをクリアする事。クリアすれば、タード街に戻って来た時に自動的に取得できる。途中で死亡またはクリア出来ずにリタイアした場合は取得できない。但し、クリア後に死亡した場合は、タード街で復活又は戻って来た時に取得する。クリアできるまで何度でも挑戦できる。
 と説明を受け、わかりましたと返事を返すと……。

 「では、五〇Tになります」

 と言われ、お金がかかると知らなかった俺は焦ったが、持ち合わせがあったので払った。残金一五〇Tを切った。青魔法使いも受けると一〇〇Tを切る。
 貧乏だな、俺……。

 「赤湖あかこに向かって下さい。頑張って下さい」

 赤湖か。確か近くの森を越えて進むと、双子の丘があり、その西側に数個の湖があって、それぞれ色の名前だついていた。そこだな。
 俺は、ヒカルの元へ戻った。

 「お待たせ」

 「ううん。何か目指す職業でも思いついた?」

 俺達は冒険者ギルドをでると、歩きながら話す。

 「いや、料理スキルを獲得しようかと思って」

 「料理か。特殊料理作り目指すの?」

 「え?」

 俺は驚いた。まさか魔法茶を作ろうとした事がバレたか?
 ……魔法茶の事は知らないよな? 何のイベントを受けたなんてわからないだろうし。茶葉を持っているのだって知らないはず。
 落ち着け俺……。

 「あれ? 違うの? 一時的に攻撃とか防御とか上げるのとか、魔法防御とかもあたっけ?」

 「あぁ、そっちか!」

 「そっち?」

 「いや、なんでも。俺は、MP回復系な!」

 そうだよな。普通はそっちを思いつくんだよな。

 料理スキルは、空腹を回復する料理、ヒカルが言ったように一時的に強化の付加をする料理、そしてHPやMPを回復する料理がある。
 大抵は、空腹を回復は選ばない。そうそう使わないからだ。

 「MP回復! 作れる様になったら是非売って! 買うから!」

 「え? あぁ……売れるの作れる様になったらな」

 「よろしく」

 ヒカルは嬉しそうに言った。

 魔法茶は、他人に上げられないから他のが作れるようになったらだな。

 「しかしあの色の名前の湖が、試練の場所だったとはな」

 「えぇ! 知らなかったの? もしかしてテスターの時、受けてない?!」

 俺の何気ない言葉に、ヒカルは大袈裟だろうと思う程驚いた。

 「受けてないな。最初から職業持っていたし……」

 「受けない人っていたんだ……」

 やっぱり大抵は受けているよな。
 俺はテスターでモンスター使いを選んだ。名の通り、モンスターを従える事が出来る職業だ。

 『choose one』の世界のモンスターは、動物系でカワイイのが多く、俺はそれだけで満足していたので試練を受けなかった。

 「そこまで驚かれるとは……。結構まったりしていたんだよな。俺」

 「へえ。まあ、テスターの目的半分は、グッドラックランダム入手目的だっただろうからまったりはわかるけど。あの語りのおじいさんのお話は聞いた?」

 『グッドラックランダム』の話は、テスターが始まる前から入手できる触れ込みで、チートが手に入るかもと、テスターは抽選になるほど希望者が多かった。

 そのテスターは世界観を体験が主な目的で、何種類かの職業の中から一つを最初から選べ体験できた。そして、タード街に職業語りのじいちゃんがいて、一〇〇種類もあると言われる職業を語っていた。

 俺も語りを聞いてみた。次もモンスター使いを目指そうと思い、その職業を聞くとまずは一〇〇種類のモンスターを倒し、どこかの仙人からイベントを受けるとモンスター使いになれると語った。

 思ったよりサラッとだった。因みに賢者にも興味があったので聞いてみた。それで条件を知っていた。

 だが一〇〇種類もの職業の条件を覚えられる訳もなく、メモ機能があるもののテスターでしか使えない。イチイチ聞くのも面倒で、結局俺はその二つしか聞いていなかった。

 「あぁ……。賢者とモンスター使いしか聞いてないな」

 「え? 錬金術師とかは?」

 「錬金術師?」

 俺が聞き返すと、ヒカルは目をぱちくりとする。本当に驚いているようだ。

 「え、だって。今、料理スキルの話していたから……」

 『もしかして、錬金術師になると料理スキルが手に入るのか?』

 『はい。錬金術師は、色んなモノを作る職業です』

 俺が突然質問するもピピは、即座に返事を返してくれた。

 「そうそう錬金術師な。それは小耳にはさんでいて……」

 「なのに、錬金術師の話は聞かなかったの? もしかして、取説とか全く読まないタイプ?」

 「……いや、サラッとは見るかな。錬金術師になりたいと思ったのは、こっちをやってからだから」

 別にいいだろうが。少しムッとして答えると、ヒカルはハッとする。

 「あ、ごめん。つい、思った事を言っちゃうんだ、私」

 「そうみたいだな……」

 俺がボソッと呟くと、ヒカルは顔の前で手を合わせた。

 「ホントごめん。気を付けているんだけど、VRは口に出したらそのままだからさ」

 ヒカルは顔の前で手を合わせ謝った。

 まあ入力なら自分の打った文字を見るから気を付けれるが、出した声は取り消せないからな。
 しかし何だろう? テスターの時と雰囲気が違う気がする。まあ数度しか話した事なかったけど。

 「大丈夫だ。別に怒ってないから。そこまで謝らなくてもいいって」

 「ありがとう」

 こうして俺達は、赤湖に向かった。
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