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◇038◇冒険者の装備とは◎
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「君はもしかして、薬草に詳しいのか?」
ナットスさんも近づいてきて、トゲムシもどきを覗きながら僕に聞いた。
「僕は元々、冒険者じゃなくてお店とかで働くつもりだったので、薬草とか勉強したんです……」
「そうか。まあ、冒険者でも活かせる知識だ。ほらこれを使え」
腰からホルダーごと外したナイフをナットスさんが僕の前に出した。
「ありがとうございます」
受け取ると早速、トゲムシもどきを切った。切れ味は抜群だ。依頼の通り30センチだけ取る。
あまり取り過ぎると、あの小動物が食べ物を求め森を出るらしいからだ。
僕はナイフをホルダーにしまうと立ち上がった。
「ありがとうございました」
ナイフを返そうとすると、ナットスさんはほほ笑んだ。
「それは君にやる。ナイフがないと色々不便だからな」
「……ありがとうございます」
僕は素直に受け取る。くれるというものは、素直にもらうのに限る。実際なくて困ったのだから。
「相変わらず貧乏くさいな」
やっと落ち着いたのか、エジンは寝っころがりながら僕に嫌みを言う。
蹴ってやろうか?
「誰かさんのせいでナイフを無くしたもんでね!」
嫌みたっぷりに返すと、無言で立ち上がった。
「イラーノ。どうも」
「もう、ありがとうでしょ?」
リゼタが腰に手を当てて言うと、エジンは小さな声でありがとうと言った。
「全く。間に合ったからよかったものの、何であれを請け負ったんだ?」
呆れた様にナットスさんが聞く。
「私がトゲ何とかに気づかなくて……」
リゼタが素直にそう言うと、ナットスさんは溜息をついた。
「でもこのトゲムシもどきって、売れば3000Zぐらいしませんか? 本にはそう書いてあったんだけど……」
「そうだ。二つの依頼を受けたのに、手違いで一つの依頼にしてしまった。300Zと安いので、誰も請け負わないでいたんだ! まあ、おたくらが受けてくれたお蔭で、間違いに気付けたけどな……」
「え? じゃ、これ持って行っても意味ないの?」
僕がそう言うと、ナットスさんは頷く。
「まず、依頼書の再発行だな。トゲムシもどきも手に入れらのだから二つ持って行けばいい」
そう言われ安堵する。
僕達は早速、森から出る為に移動する。
「そう言えば、クテュール。ちゃんと装備せずに出たのか?」
「うん? 何がいるの?」
僕が言った台詞に皆、目が点になっている。
そもそも冒険者になる予定がなかったのだから、何が必要かわからない!
「せめてそういう物を入れるものとか……」
ナットスさんが、僕が手に持っているトゲムシもどきを指さした。
リゼタはどうしたんだろうと見れば、手に何も持っていない。斜め掛け鞄が膨らんでいる。そこに薬草を入れたらしい。
「うーん。そう言えば、そういう鞄もないや」
「買えよ!」
僕がリゼタの鞄を見て言うと、速攻エジンからそう返ってきたのだった。
ナットスさんも近づいてきて、トゲムシもどきを覗きながら僕に聞いた。
「僕は元々、冒険者じゃなくてお店とかで働くつもりだったので、薬草とか勉強したんです……」
「そうか。まあ、冒険者でも活かせる知識だ。ほらこれを使え」
腰からホルダーごと外したナイフをナットスさんが僕の前に出した。
「ありがとうございます」
受け取ると早速、トゲムシもどきを切った。切れ味は抜群だ。依頼の通り30センチだけ取る。
あまり取り過ぎると、あの小動物が食べ物を求め森を出るらしいからだ。
僕はナイフをホルダーにしまうと立ち上がった。
「ありがとうございました」
ナイフを返そうとすると、ナットスさんはほほ笑んだ。
「それは君にやる。ナイフがないと色々不便だからな」
「……ありがとうございます」
僕は素直に受け取る。くれるというものは、素直にもらうのに限る。実際なくて困ったのだから。
「相変わらず貧乏くさいな」
やっと落ち着いたのか、エジンは寝っころがりながら僕に嫌みを言う。
蹴ってやろうか?
「誰かさんのせいでナイフを無くしたもんでね!」
嫌みたっぷりに返すと、無言で立ち上がった。
「イラーノ。どうも」
「もう、ありがとうでしょ?」
リゼタが腰に手を当てて言うと、エジンは小さな声でありがとうと言った。
「全く。間に合ったからよかったものの、何であれを請け負ったんだ?」
呆れた様にナットスさんが聞く。
「私がトゲ何とかに気づかなくて……」
リゼタが素直にそう言うと、ナットスさんは溜息をついた。
「でもこのトゲムシもどきって、売れば3000Zぐらいしませんか? 本にはそう書いてあったんだけど……」
「そうだ。二つの依頼を受けたのに、手違いで一つの依頼にしてしまった。300Zと安いので、誰も請け負わないでいたんだ! まあ、おたくらが受けてくれたお蔭で、間違いに気付けたけどな……」
「え? じゃ、これ持って行っても意味ないの?」
僕がそう言うと、ナットスさんは頷く。
「まず、依頼書の再発行だな。トゲムシもどきも手に入れらのだから二つ持って行けばいい」
そう言われ安堵する。
僕達は早速、森から出る為に移動する。
「そう言えば、クテュール。ちゃんと装備せずに出たのか?」
「うん? 何がいるの?」
僕が言った台詞に皆、目が点になっている。
そもそも冒険者になる予定がなかったのだから、何が必要かわからない!
「せめてそういう物を入れるものとか……」
ナットスさんが、僕が手に持っているトゲムシもどきを指さした。
リゼタはどうしたんだろうと見れば、手に何も持っていない。斜め掛け鞄が膨らんでいる。そこに薬草を入れたらしい。
「うーん。そう言えば、そういう鞄もないや」
「買えよ!」
僕がリゼタの鞄を見て言うと、速攻エジンからそう返ってきたのだった。
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