【完結】モンスターに好かれるテイマーの僕は、チュトラリーになる!

すみ 小桜(sumitan)

文字の大きさ
183 / 245

◇180◇ロドリゴの息子

しおりを挟む
 僕達は、ノラノラシチ街で一番高級な料理店に連れて行かれた。
 きっと、一介の冒険者なんて来る事がないだろう。

 「すご……」

 イラーノは、ボソッと呟く。
 うん。凄い。
 この凄い店の一室に入ると、やはりアベガルさんがいた。そして、もう一人ゼルダグさんもいる。二人共騎士団の格好だ。
 ロドリゴさんとアベガルさんは、握手を交わした。

 「突然押しかけて申し訳ない。アベガルです」

 「いえ。イラーノ達がお世話になったようで」

 二人共、にこやかだけど目が笑ってない。

 「どうぞ。お座りください」

 「では、失礼する」

 アベガルさん、ゼルダグさんと並んで座ると、アベガルさんの向かい側にロドリゴさんが座り、隣にダイドさん、イラーノに僕と座った。
 まずは乾杯と、イラーノと僕達以外は、お酒をたしなむ。

 「これは、美味しいですね」

 「この街の人達が作ったお酒です。売ってはいませんが、料理店でお出ししています」

 アベガルさんの言葉に、ロドリゴさんはそう説明した。
 知らなかった。お酒なんて作っていたんだ。
 そして、料理が運ばれ、僕達の前に置かれた。

 「温かいうちにどうぞ」

 ロドリゴさんは、そう言って料理に口をつける。
 お肉だ。一口サイズになったお肉に、フォークを刺すと抵抗なく突き刺さる。凄く柔らかそうだ。
 パクッと口に入れると肉が溶けた!
 はぁ。幸せ。

 「美味しいですな。それにしても勇敢な息子ですな」

 酒を一口ごくりと喉に流し込み、アベガルさんが言った。
 そうだった。アベガルさんが何をしに来たかを確かめないと。

 「ありがとうございます」

 「さすが、ギルドマスターの息子です。我々も驚きました」

 「驚いた?」

 何の話だと、ロドリゴさんがジッとアベガルさんを見つめる。
 まさかと思うけど、あの話をする気なんじゃ……。
 チラッとイラーノを見ると、顔を強張らせている。

 「おや? 聞いてませんか。武勇伝を」

 「武勇伝?」

 ロドリゴさんが、僕達に振り返る。
 何かあったのかという顔だ。
 まさかロドリゴさんもグルだと思っている訳じゃないよね?

 「ルイユと言う女が、モンスターを手なずけようとして、逆にやられましてね。そのモンスター、街の上空まで来たのです」

 「上空だと!」

 ロドリゴさんもダイドさんも驚く。
 結界をすり抜け、モンスターがやって来たと言う事になる。

 「えぇ。エルフ達の話だとモンスターのボスらしいのですが、大きな漆黒の鳥。果敢にも二人は最前線まで行きましてね……」

 凄い形相で、ロドリゴさんとダイドさんは僕を見た。
 二人は一度、キュイを見ている。僕の眷属だというのも知っている。
 まずい!
 僕は、だらだらと嫌な汗が流れた。

 「そこで、提案なのですが……」

 「提案?」

 ロドリゴさんが、アベガルさんを睨み付ける様に見つめる。

 「そんなに警戒しないで下さい。ただの勧誘です。あなたの息子のイラーノを騎士団に入れませんかって言う提案です」

 「え……」

 イラーノが驚いて声を上げた。
 まさか、そんな提案をしてくるとは思わなかった。こんなに早く来たのは、イラーノが街に戻ったからだ。
 本人がいる間に、ロドリゴさんに提案しようと。
 もしかして、ロドリゴさんを取り込もうとしてるんじゃないよね?
 ロドリゴさんに入れと言われたらイラーノも断りづらい。

 「御冗談でしょう? イラーノは、剣など扱えませんよ」

 そうロドリゴさんが返し、僕達はホッとする。

 「そうですか。それは問題ありません。俺も元はそうです。ご存知の通り騎士団の入団条件は、ヒールが扱える事です。彼なら誰も反対しませんよ」

 「………」

 その言葉を聞いてロドリゴさんは、何か考え込んでいる。
 これまずくない? ノーと言える材料がない。

 「お断りします」

 イラーノ自身が、断った。
 本人が嫌と言えば、ロドリゴさんも無理強いはしないだろう。

 「俺、クテュールとここを出る事が決まっているので」

 え!? ちょっと何言ってるの。
 あ、断る口実か。

 「ね、クテュール」

 そうクルッと僕に向き聞いた。
 その目は、連れて行けと言っている。口実じゃなくて本気だ。

 「あ……うん」

 「だそうです。よい申し出ですが、本人は騎士団には入る気はないようです」

 「それは残念だ。騎士団の者にイラーノを是非と言われ、急かされて来たものでな。……不躾な質問なんだが、一つだけ確認がある」

 アベガルさんが、フッと真面目な顔つきになる。

 「なんでしょう」

 「イラーノの本当の父親ですが、エルフだとご存知でしたか?」

 「いえ。さきほど聞きました。父親を捜しに行くと出て行って、すぐに出会えた様で驚いています。それを探りに来たのですか? ドドイが連れて来た子だとイラーノに話しました。それで、ドドイの息子のクテュールと共に探しに出たのです。他に聞きたい事は、ありますか?」

 淡々とロドリゴさんは語る。

 「いえ。大事な事だったので確認させて頂きました。不快な思いをさせて申し訳ない」

 そう言って、アベガルさんは軽く頭を下げた。

 「一つだけ言って置きます。イラーノは、私の息子です」

 一瞬驚いた顔をしたアベガルさんは、うむっと頷く。
 イラーノは、嬉しそうな顔を浮かべていた。
しおりを挟む
感想 71

あなたにおすすめの小説

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。 でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ! これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

レンタル従魔始めました!

よっしぃ
ファンタジー
「従魔のレンタルはじめました!」 僕の名前はロキュス・エルメリンス。10歳の時に教会で祝福を受け、【テイム】と言うスキルを得ました。 そのまま【テイマー】と言うジョブに。 最初の内はテイムできる魔物・魔獣は1体のみ。 それも比較的無害と言われる小さなスライム(大きなスライムは凶悪過ぎてSランク指定)ぐらいしかテイムできず、レベルの低いうちは、役立たずランキングで常に一桁の常連のジョブです。 そんな僕がどうやって従魔のレンタルを始めたか、ですか? そのうち分かりますよ、そのうち・・・・

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜

長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。 コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。 ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。 実際の所、そこは異世界だった。 勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。 奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。 特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。 実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。 主人公 高校2年     高遠 奏    呼び名 カナデっち。奏。 クラスメイトのギャル   水木 紗耶香  呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。  主人公の幼馴染      片桐 浩太   呼び名 コウタ コータ君 (なろうでも別名義で公開) タイトル微妙に変更しました。

貧乏奨学生の子爵令嬢は、特許で稼ぐ夢を見る 〜レイシアは、今日も我が道つき進む!~

みちのあかり
ファンタジー
同じゼミに通う王子から、ありえないプロポーズを受ける貧乏奨学生のレイシア。 何でこんなことに? レイシアは今までの生き方を振り返り始めた。 第一部(領地でスローライフ) 5歳の誕生日。お父様とお母様にお祝いされ、教会で祝福を受ける。教会で孤児と一緒に勉強をはじめるレイシアは、その才能が開花し非常に優秀に育っていく。お母様が里帰り出産。生まれてくる弟のために、料理やメイド仕事を覚えようと必死に頑張るレイシア。 お母様も戻り、家族で幸せな生活を送るレイシア。 しかし、未曽有の災害が起こり、領地は借金を負うことに。 貧乏でも明るく生きるレイシアの、ハートフルコメディ。 第二部(学園無双) 貧乏なため、奨学生として貴族が通う学園に入学したレイシア。 貴族としての進学は奨学生では無理? 平民に落ちても生きていけるコースを選ぶ。 だが、様々な思惑により貴族のコースも受けなければいけないレイシア。お金持ちの貴族の女子には嫌われ相手にされない。 そんなことは気にもせず、お金儲け、特許取得を目指すレイシア。 ところが、いきなり王子からプロポーズを受け・・・ 学園無双の痛快コメディ カクヨムで240万PV頂いています。

処理中です...