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◆195◆更なる不安
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ロドリゴさんとタリューグさんに見送られ、馬車は四人を乗せて出発した。
アベガルさん達が、僕達を捕らえに来た時にはすでに日が暮れていた。だから明日、出発する手配だと思ったのに、今日出発だった。
しかも、今日は夜通し走るらしく寝るのは馬車の中。いや、寝かせる気はなかったと思う。
ルイユの事を聞き出す気だったはず。けど――僕の隣にはもう一人の客が座っている。
「はぁ……」
マドラーユさんのため息だ。
僕の前の席にイラーノ。その隣にマドラーユさんが座っている。だから、マドラーユさんの目の前には、客の男性が座っていた。
その人は、僕達をつけていたあの男!
今回も堂々と僕の横に座っている。でも、今回はそのお蔭で助かった。
他人がいるのに、ルイユやエルフの話はしないだろう。
この馬車は、特別直行馬車らしくウィールナチ街に直行らしい。直行と言っても途中で下ろしたり乗せたりしないだけて、本来は宿で寝て食事もする。
一括で先払いをすれば、誰でも乗れるらしい。
遠い場所に早く行きたい時に手配する馬車。まあ、お金持ちにしかできないけどね。
貸きりと違うので、他に乗りたいお客が居れば乗せる。
ただ今回は、本当に急で募集は一時間だけ。
だから他に客がいると聞いて、マドラーユさんは本当に驚いていた。彼のお蔭で、マドラーユさんの作戦が失敗したのだ。
「ねえ、自己紹介しない? 私はマドラーユ。錬金術師よ」
いきなりそう言って、隣に座るイラーノを見る。
「あ……えーと。俺は、イラーノ。ヒーラーです」
そう自己紹介をすると僕を見るので僕も自己紹介をする。
「僕は、クテュール。ただの剣士です……」
「俺は、コーリゼ。剣士だ」
そう言った彼は、思ったより小さな声で話す。
コーリゼさんは水色の髪で、髪より濃い色の青系の服の上に胸当てを付けている。思ったより目立つ出で立ち。
ついて来ている時は、外套を羽織っていた。今それは、畳んで膝の上だ。
「私は、ウィールナチに里帰りなの。コーリゼさんは?」
うわぁ。聞くんだ。
マドラーユさんもきっと、彼がアベガルさんが寄こした見張り役だと思っているんだ。
「急な用事で知り合いに会いに行く所だ」
それだけ言うと、コーリゼさんは目を瞑った。
もう話しかけるなって事だろう。
取りあえず、今日の夜は寝れそうだ。
僕も目を閉じた。
◆ ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◇ ◆
馬車が止まった気配で目を覚ます。
「クテュール。ついたみたいだよ」
イラーノにそう言われ、ふらふらと馬車から降りる。
ね、眠い……。
まだ周りは朝もやがかかっていて、少しひんやりしている。
「朝ごはんを食べて、昼ごはんを調達して、一時間後に出発よ」
連絡を入れてあったのか、朝早いと言うのに朝食の用意が出来ていて四人で食べる。
あぁ、ここの宿で眠りたい……。
「ねえクテュール。あのリスは?」
「あぁ、ご飯を食べる為に放した」
「凄いわね。自給自足させてるの?」
僕の返事に驚いて、マドラーユさんが言った。
そう言われれば、そうなるのか……。
ルイユは、周りの偵察に向かった。
「悪いけど、一時間後に戻って来なかったらそのまま出発だからね」
「え……。うん」
大丈夫だよね。一時間後に出発するって知っているから……。
食後に僕は、ルイユを迎えに行く。
迎えにと言っても、放した場所に行っただけ。
ここは小さな村らしく、馬車は出入り口の近くに停車しているので、そこでルイユを待つ。
『主様。お待たせしました』
「よかった。ル……」
屈んでルイユを抱き上げようとすると影が落ちる。驚いて振り向くと、マドラーユさんがいた!
危なくルイユって言う所だったよ。
「間に合ったみたいね。で、その子の名前は?」
「……ルーだけど?」
頑張って平然を装った。
「ふーん。随分と懐いているのね。で、その子はルイユと関係あるのかな?」
「え……」
僕が、返答に困ると、マドラーユさんはニッコリと微笑んだ。
「さあ、乗りましょう」
くるっと踵を返し、マドラーユさんは馬車へと向かう。
ばれたかもしれない……。
馬車まで来ると、イラーノが居た。
二人はもう、馬車に乗ったようだ。
「コーリゼさんが、俺に接触してきた」
ボソッと、イラーノが言った。
「エルフの事を聞いて来た。もしかしたら彼は、アベガルさんの手下じゃないかも」
『正確には何と聞いて来たのですか?』
「エルフが墓守をしているのは本当かって……」
もしアベガルさんが寄こしたのだったら、それも疑っている事になるけど。でもそれじゃ、キュイをどうやって街におびき寄せられたのかって事になるんじゃない?
マドラーユさんの感覚が一般的なら、キュイは眷属に出来ないって事だろうから。命令して従わせているわけではないと思っているはず。
一体、コーリゼさんの目的は何だろう?
僕達は、更なる不安の中、馬車に乗り込んだ。
アベガルさん達が、僕達を捕らえに来た時にはすでに日が暮れていた。だから明日、出発する手配だと思ったのに、今日出発だった。
しかも、今日は夜通し走るらしく寝るのは馬車の中。いや、寝かせる気はなかったと思う。
ルイユの事を聞き出す気だったはず。けど――僕の隣にはもう一人の客が座っている。
「はぁ……」
マドラーユさんのため息だ。
僕の前の席にイラーノ。その隣にマドラーユさんが座っている。だから、マドラーユさんの目の前には、客の男性が座っていた。
その人は、僕達をつけていたあの男!
今回も堂々と僕の横に座っている。でも、今回はそのお蔭で助かった。
他人がいるのに、ルイユやエルフの話はしないだろう。
この馬車は、特別直行馬車らしくウィールナチ街に直行らしい。直行と言っても途中で下ろしたり乗せたりしないだけて、本来は宿で寝て食事もする。
一括で先払いをすれば、誰でも乗れるらしい。
遠い場所に早く行きたい時に手配する馬車。まあ、お金持ちにしかできないけどね。
貸きりと違うので、他に乗りたいお客が居れば乗せる。
ただ今回は、本当に急で募集は一時間だけ。
だから他に客がいると聞いて、マドラーユさんは本当に驚いていた。彼のお蔭で、マドラーユさんの作戦が失敗したのだ。
「ねえ、自己紹介しない? 私はマドラーユ。錬金術師よ」
いきなりそう言って、隣に座るイラーノを見る。
「あ……えーと。俺は、イラーノ。ヒーラーです」
そう自己紹介をすると僕を見るので僕も自己紹介をする。
「僕は、クテュール。ただの剣士です……」
「俺は、コーリゼ。剣士だ」
そう言った彼は、思ったより小さな声で話す。
コーリゼさんは水色の髪で、髪より濃い色の青系の服の上に胸当てを付けている。思ったより目立つ出で立ち。
ついて来ている時は、外套を羽織っていた。今それは、畳んで膝の上だ。
「私は、ウィールナチに里帰りなの。コーリゼさんは?」
うわぁ。聞くんだ。
マドラーユさんもきっと、彼がアベガルさんが寄こした見張り役だと思っているんだ。
「急な用事で知り合いに会いに行く所だ」
それだけ言うと、コーリゼさんは目を瞑った。
もう話しかけるなって事だろう。
取りあえず、今日の夜は寝れそうだ。
僕も目を閉じた。
◆ ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◇ ◆
馬車が止まった気配で目を覚ます。
「クテュール。ついたみたいだよ」
イラーノにそう言われ、ふらふらと馬車から降りる。
ね、眠い……。
まだ周りは朝もやがかかっていて、少しひんやりしている。
「朝ごはんを食べて、昼ごはんを調達して、一時間後に出発よ」
連絡を入れてあったのか、朝早いと言うのに朝食の用意が出来ていて四人で食べる。
あぁ、ここの宿で眠りたい……。
「ねえクテュール。あのリスは?」
「あぁ、ご飯を食べる為に放した」
「凄いわね。自給自足させてるの?」
僕の返事に驚いて、マドラーユさんが言った。
そう言われれば、そうなるのか……。
ルイユは、周りの偵察に向かった。
「悪いけど、一時間後に戻って来なかったらそのまま出発だからね」
「え……。うん」
大丈夫だよね。一時間後に出発するって知っているから……。
食後に僕は、ルイユを迎えに行く。
迎えにと言っても、放した場所に行っただけ。
ここは小さな村らしく、馬車は出入り口の近くに停車しているので、そこでルイユを待つ。
『主様。お待たせしました』
「よかった。ル……」
屈んでルイユを抱き上げようとすると影が落ちる。驚いて振り向くと、マドラーユさんがいた!
危なくルイユって言う所だったよ。
「間に合ったみたいね。で、その子の名前は?」
「……ルーだけど?」
頑張って平然を装った。
「ふーん。随分と懐いているのね。で、その子はルイユと関係あるのかな?」
「え……」
僕が、返答に困ると、マドラーユさんはニッコリと微笑んだ。
「さあ、乗りましょう」
くるっと踵を返し、マドラーユさんは馬車へと向かう。
ばれたかもしれない……。
馬車まで来ると、イラーノが居た。
二人はもう、馬車に乗ったようだ。
「コーリゼさんが、俺に接触してきた」
ボソッと、イラーノが言った。
「エルフの事を聞いて来た。もしかしたら彼は、アベガルさんの手下じゃないかも」
『正確には何と聞いて来たのですか?』
「エルフが墓守をしているのは本当かって……」
もしアベガルさんが寄こしたのだったら、それも疑っている事になるけど。でもそれじゃ、キュイをどうやって街におびき寄せられたのかって事になるんじゃない?
マドラーユさんの感覚が一般的なら、キュイは眷属に出来ないって事だろうから。命令して従わせているわけではないと思っているはず。
一体、コーリゼさんの目的は何だろう?
僕達は、更なる不安の中、馬車に乗り込んだ。
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