【完結】モンスターに好かれるテイマーの僕は、チュトラリーになる!

すみ 小桜(sumitan)

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◆199◆マドラーユは知っている

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 突然ギュッとイラーノが僕の手を握った。
 驚いて、イラーノの顔を見ると、ほほ笑んだ。

 「君は何も悪くない。自分を責めないで」

 「でも……」

 「俺は生きている」

 そうだ。生きている……。
 そう思うと、涙は止まるどころか溢れ出て来る。
 イラーノが生きていると実感すると、安堵から涙が止まらなくなった。

 「ううう……」

 「大丈夫だから」

 イラーノが僕を優しく抱きしめて来て驚く。

 「俺は生きている。殺されなかった。その意味を考えよう」

 ボソッとイラーノは僕に耳打ちし、僕を離した。

 「落ち着いた?」

 僕は頷く。
 そうだ。ルイユなら殺せた。毒などを使わなくても殺せたんだ!
 マジックアイテムをしていない状態なんだから、アベガルさんでさえ殺せるだろう。
 毒を使ったのは、イラーノを本気で殺そうとしたと思わせる為だ。
 ルイユは、錬金術師のマドラーユさんがいるから、アベガルさんが思った様に毒消しを持っていると踏んだんだ。
 イラーノが目を覚ませば、僕はヒールで助けられる。
 でもなぜ、こんな事をしたんだ?
 姿を現したらダメだって言ってあったのに……。

 僕は、ため息をついた。

 「あの、俺達は馬車で向かいたいんだけど……」

 そう言うイラーノを見れば、チラッと僕を見てからアベガルさんに向く。そうすると、アベガルさんが僕を見て頷いた。

 「そうだな。自殺防止にもなるか……。我々が乗って来た馬に馬車を引かせよう」

 いや、自殺しないから!
 イラーノは、ホッとしている。
 もしかしてだけど、空を飛んで帰りたくなかったとか? 僕もあれ嫌だけど。

 「では、私も馬車に乗るわ。いいわよね?」

 「あなたが手配した馬車だ。いいだろう。俺も乗せて頂く」

 アベガルさんがそうマドラーユさんに答えると、彼女はうんと頷いた。
 これって、二人に質問攻めにあいそうなんだけど!

 「だが救援隊が来るまでは待機する。君達三人は、馬車に乗って待っていてくれ」

 アベガルさんの言葉に僕達は、わかったと頷いて馬車へ向かう。

 「君は、俯いて黙っていてね」

 隣を歩くイラーノが、ボソッと言った。
 そうだ。落ち込んでるフリをしないといけないから大人しくしていよう。
 僕達は馬車に乗り込んだ。
 今回は、イラーノと並んで座る。イラーノの前にマドラーユさんが座った。

 「二人共大丈夫?」

 僕達は、大丈夫だと頷く。

 「ごめんね。二人がルイユに騙されているって知っていて泳がせていたの」

 そうマドラーユさんは、僕達に言った。そして、驚く事を口走る。

 「彼女は、モンスターよ」

 「「え!」」

 さすがに僕達は、声を出して驚いた!
 どうして気づいたんだろう? 普通は思わない。だって人間の姿をしているんだから……。

 「そ、そんな突拍子もない事を……。なぜそう思うんですか?」

 イラーノもかなり動揺している。

 「読唇術どくしんじゅつって知ってる?」

 「あれですか? 口の動きで言葉を読み取る……」

 イラーノの言葉に、そうだとマドラーユさんは頷く。

 「私、読唇術が出来るのよ」

 「え!」

 僕は驚いて声を上げた。まさかマドラーユさんも出来るなんて思わなかった。いや、僕が出来るんだから出来てもおかしくないけど。

 「覚えてる? 私がペンダントをあげた時の事を」

 そう言えば、僕達の話を盗み聞きしていて……。
 あの時は、小声で話していた。だから聞こえていたとしても『僕と一緒に居るとイラーノの居場所がばれる』と言う最後の台詞だけ聞かれたんだと思っていた……。
 けど全部盗み見て、会話をわかっていたんだ!
 あの時、何を話したっけ?
 そうだ。ルイユにエルフの事を聞くって、僕は言った!

 あ、そう言えば、マドラーユさんが席を外した場面ってまだあった。
 着替えに部屋に行った時だ。
 あの時は、僕の正面がドアだったからロドリゴさんとイラーノは背を向けていた。僕の言葉しか読み取ってないはず……。
 僕は、何を口走った? 思い出せ――。

 やばい! ルイユは最初から飛べると言った! しかもマントは僕が作ったとも……。

 「クテュールくんは、ルイユにエルフの事を聞いてみるって言っていたわよね? あなた達、ルイユになんて言われてエルフに会ったの?」

 「誤解があるようだけど、俺の父親を捜しに行ったんだ。本当の父親をね。ロドリゴさんと俺、似ていないでしょう?」

 「あの人は、育ての親って事?」

 イラーノは頷く。

 「ルイユがエルフの事を知っているって言うから……」

 「ふーん。で、なぜ街であんな騒ぎを起こしたのよ。飛べる彼女にマントを作ってあげたのよね? あれはあなた達の小芝居だった。違う?」

 やっぱりあの言葉は、読み取られていた。

 「えーと……」

 どうしよう。
 言い訳が思いつかない。変な事を言えば、つじつまが合わなくなる。
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