【完結】 ご存知なかったのですね。聖女は愛されて力を発揮するのです

すみ 小桜(sumitan)

文字の大きさ
1 / 11

第一話

しおりを挟む
 「リンリー。今日からあなたは、ベルと名乗りなさい。名前を受け継ぐのは、リンナールよ」

 新しい母親が出来て、妹が生まれた。そのお義母様に妹リンナールの顔を見せられてそう言われたが、まだ三歳だった私には意味がわからなかったのです。
 だから「はい。おかあさま」と答えベルと名乗っていた。

 その私を唯一リンリーと呼ぶ王太子ヘルーラド様。彼は、私の婚約者。
 彼は唯一の私の味方。

 「リンリー、私はリンナールと婚約し直す事にした」

 「え……」

 唯一、私の味方ではなかったのですか?

 「本当のせ、聖女なのが私だとご存知ですよね?」

 「あぁ、知っている。私を誰だと思っている」

 「ではなぜ……」

 「彼女を好きだからだ。フォオルソード家の娘と結婚しなければならない事になっている。聖女の血筋だと皆知っているからな。だが長い年月の間に、聖女の力は衰退したとも言われている。だったら別に形だけでいいだろう?」

 国民がそれで納得するのだからいいと仰るのですか?
 ひどすぎます!

 「問題もなかろう。婚約は、発表されておらず内々だった。明日、リンナールと婚約したと発表予定だ。彼女もようやく15歳だからな」

 そう。婚約発表は大抵二人共結婚できる年齢なってから。このアンドルダール国は、15歳で成人とみなされる。
 ヘルラード様は、私より一つ上で私もなぜ発表なさらないかと思っておりましたが、そんな事をお考えでしたのね。

 「わ、わかりました」

 抗議したところで、何も変わらないでしょう。
 だから受け入れるしかなかった。

 世間的には、私は「ベル」。「リン」が入っていない。
 聖女には、「リン」と名に入れるのが習わしだったらしく、それで私の本当の名前はリンリー。ですが世間的には、リンナールが聖女として扱われている。

 別に聖女でなくても「リン」の文字は入れても問題ない。ただフォオルソード家は、聖女が生まれる家系として知られていたから特別だった。
 私は、お義母様の策略にはまったのでしょう。

 ヘルラード様が言う通り、聖女の力は発揮できていません。数百年に一度の不作になる年があり、聖女の力で乗り切っていたとされていた。
 その兆候があり、不作が続いています。

 ヘルラード様は常々「あなたの力で何とかならないのか?」と言っておりました。陛下もそうです。
 その度に私は「申し訳ありません」と、頭を下げていた。

 私を責めるだけでなく、何か対策をすればよろしいのにといつも思っておりましたが、口になど出せません。
 特段、ヘルラード様を愛していたわけでもなかったのです。ただ、リンリーと呼んで下さるヘルラード様は、私の味方だと勝手に思い込んでいただけでした。

 もうよろしいです。
 聖女として責められる事もないのですから。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

第一王女アンナは恋人に捨てられて

岡暁舟
恋愛
第一王女アンナは自分を救ってくれたロビンソンに恋をしたが、ロビンソンの幼馴染であるメリーにロビンソンを奪われてしまった。アンナのその後を描いてみます。「愛しているのは王女でなくて幼馴染」のサイドストーリーです。

義妹が聖女を引き継ぎましたが無理だと思います

成行任世
恋愛
稀少な聖属性を持つ義妹が聖女の役も婚約者も引き継ぐ(奪う)というので聖女の祈りを義妹に託したら王都が壊滅の危機だそうですが、私はもう聖女ではないので知りません。

いちゃつきを見せつけて楽しいですか?

四季
恋愛
それなりに大きな力を持つ王国に第一王女として生まれた私ーーリルリナ・グランシェには婚約者がいた。 だが、婚約者に寄ってくる女性がいて……。

妹の方がかわいいからと婚約破棄されましたが、あとで後悔しても知りませんよ?

志鷹 志紀
恋愛
「すまない、キミのことを愛することができなくなった」  第二王子は私を謁見の間に連れてきて、そう告げた。 「つまり、婚約破棄ということですね。一応、理由を聞いてもよろしいですか?」 「キミの妹こそが、僕の運命の相手だったんだよ」 「そうですわ、お姉様」  王子は私の妹を抱き、嫌な笑みを浮かべている。 「ええ、私は構いませんけれど……あとで後悔しても知りませんよ?」  私だけが知っている妹の秘密。  それを知らずに、妹に恋をするなんて……愚かな人ですね。

【完結】女王と婚約破棄して義妹を選んだ公爵には、痛い目を見てもらいます。女王の私は田舎でのんびりするので、よろしくお願いしますね。

五月ふう
恋愛
「シアラ。お前とは婚約破棄させてもらう。」 オークリィ公爵がシアラ女王に婚約破棄を要求したのは、結婚式の一週間前のことだった。 シアラからオークリィを奪ったのは、妹のボニー。彼女はシアラが苦しんでいる姿を見て、楽しそうに笑う。 ここは南の小国ルカドル国。シアラは御年25歳。 彼女には前世の記憶があった。 (どうなってるのよ?!)   ルカドル国は現在、崩壊の危機にある。女王にも関わらず、彼女に使える使用人は二人だけ。賃金が払えないからと、他のものは皆解雇されていた。 (貧乏女王に転生するなんて、、、。) 婚約破棄された女王シアラは、頭を抱えた。前世で散々な目にあった彼女は、今回こそは幸せになりたいと強く望んでいる。 (ひどすぎるよ、、、神様。金髪碧眼の、誰からも愛されるお姫様に転生させてって言ったじゃないですか、、、。) 幸せになれなかった前世の分を取り返すため、女王シアラは全力でのんびりしようと心に決めた。 最低な元婚約者も、継妹も知ったこっちゃない。 (もう婚約破棄なんてされずに、幸せに過ごすんだーー。)

妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~

岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。 本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。 別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい! そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。

妹に幼馴染の彼をとられて父に家を追放された「この家の真の当主は私です!」

佐藤 美奈
恋愛
母の温もりを失った冬の日、アリシア・フォン・ルクセンブルクは、まだ幼い心に深い悲しみを刻み付けていた。公爵家の嫡女として何不自由なく育ってきた彼女の日常は、母の死を境に音を立てて崩れ始めた。 父は、まるで悲しみを振り払うかのように、すぐに新しい妻を迎え入れた。その女性とその娘ローラが、ルクセンブルク公爵邸に足を踏み入れた日から、アリシアの運命は暗転する。 再婚相手とその娘ローラが公爵邸に住むようになり、父は実の娘であるアリシアに対して冷淡になった。継母とその娘ローラは、アリシアに対して日常的にそっけない態度をとっていた。さらに、ローラの策略によって、アリシアは婚約者である幼馴染のオリバーに婚約破棄されてしまう。 そして最終的に、父からも怒られ家を追い出されてしまうという非常に辛い状況に置かれてしまった。

婚約破棄の夜の余韻~婚約者を奪った妹の高笑いを聞いて姉は旅に出る~

岡暁舟
恋愛
第一王子アンカロンは婚約者である公爵令嬢アンナの妹アリシアを陰で溺愛していた。そして、そのことに気が付いたアンナは二人の関係を糾弾した。 「ばれてしまっては仕方がないですわね?????」 開き直るアリシアの姿を見て、アンナはこれ以上、自分には何もできないことを悟った。そして……何か目的を見つけたアンナはそのまま旅に出るのだった……。

処理中です...