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呪いの箱庭の真実 1
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(気まずいわ)
アルデンとイグナシオが出て行ったドアを眺め、ランゼーヌはどうしたらいいのだろうと思い悩む。
まさか、モンドが強行突破を行うなど思ってもみなかった。
「ランゼーヌ様」
「は、はい」
「宜しくお願いします」
クレイは、ランゼーヌに頭を下げる。
「え? あ、はい。こちらこそ宜しくお願いします」
慌ててランゼーヌも頭を下げた。
嫌がってはいない様子だとランゼーヌは安堵する。
「しかし驚きました。サインして来ていたとは」
「え? サイン?」
「婚約誓約書です」
ランゼーヌは、それを聞き固まった。サインなどしていない。いやそれどころか、婚約誓約書なんて見たこともなかった。
「ランゼーヌ様、顔色が悪いですけどもうお休みになられますか?」
リラが青ざめた顔のランゼーヌを見て聞く。
「そうね。今日は疲れたわ」
「色々ありましたものね」
「先に休みます。おやすみなさい」
「はい。おやすみなさい」
怖くてクレイの顔を見れないランゼーヌは、フラフラと寝室へと向かう。
「大丈夫ですか?」
「え、えぇ」
(大丈夫。受理されたという事は、バレてはいない。私がサインなんてしていないと言わなければいいだけよ)
そう思うも、良心が痛むランゼーヌは、気分がすぐれかった。
「もうランゼーヌ様ったらいつの間にサインしたのですか?」
「うん……おやすみ、リラ」
「おやすみなさいませ。ランゼーヌ様」
リラにも本当の事を言えない。言えば、悪事に加担させる事になるからだ。
(このままだと結婚できないと思ったのね。聖女なら貰ってもらえると……。あれ? 私、帰る場所がなくなったのでは?)
ランゼーヌは、ふと自分が本当の聖女ではない事を思い出す。一緒に祈りの間にいる事になるクレイにはその内バレるだろう。そうなれば、婚約破棄される可能性が大だ。
借金がある偽聖女などと結婚するはずもない。
『また泣いているのか?』
「……ワンちゃん、なんで聖女なんかにしたの? 一体私に何をさせたいの?」
『もしかして泣いている原因は、俺っちのせいなのか?』
「ううん。ワンちゃんは何も悪くない……」
『聖女にしないと、近づけないからってそうなったんだ。ごめんよ』
「近づけない? あの箱庭の事?」
『うん。これぐらいの距離なら何とかなるだろうってピュラーア様が』
近づかないと祈っても効果がないって事? でも私は聖女ではいないんだよね?
「私は、ここから祈ればいいの?」
『祈る。そうだね。結界が解けるようにと……』
「結界を解く!?」
ランゼーヌは、跳ね起きた。
「待ってワンちゃん。それは無理よ。というか、認められないわ」
『認めないって人間がか?』
「人間と言えばそうだけど、陛下……王様よ。私だって嫌だわ」
『だから呪われてないって。ピュラーア様でも解けないからランゼに解いてほしいんだ』
「そのピュラーア様って何モノ? なんであの中にいるの?」
『ピュラーア様は、俺っち達の代表的な存在。人間でいえば王だって。どうしてあそこにいるかというと……俺っちは知らない』
(知らないの? 騙されたりしてない?)
ランゼーヌは、不安になった。
「本当に精霊王なの?」
『俺っちが言う事を疑うのか?』
「ワンちゃんを疑っている訳ではないわ。騙されていないかと、心配しているのよ」
ワンちゃんがじっとランゼーヌを見つめる。
『俺っち信じて貰えると自信があったのになぁ』
ワンちゃんがしょんぼりとすると、ランゼーヌは慌てて違う違うと両手を振った。
「ワンちゃんの事は信じているってば。ピュラーア様が信じられないだけよ」
『同じ事だろう?』
「同じじゃないわ。私はピュラーア様に会った事も話した事もないのよ。奇術師とかじゃないよね?」
『奇術師? よくわかんないけど、そいつ人間なんだろう? ピュラーア様は精霊だ』
「わかったわ」
ランゼーヌは、一先ずワンちゃんの言う事を信じる事にした。いや、信じるふりをする。
『わかってくれたか!』
「うん。でもちゃんと直接話してみたいの。出来ないか聞いてくれないかな?」
『うん? 祈りをしている時に話しかけるって言っていた』
「え? そうなの?」
対話する気があったのかとランゼーヌは驚いた。
しかしなぜ、ランゼーヌが選ばれたのか。今まで誰も呪いを解く事が出来なかった事を自分が出来るとは思えない。
いやそれどころか、結界を解かせようとしている。
もしワンちゃんが騙されていて結界が解けてしまったら、呪いが広まるかもしれない。そんな恐ろしい事、できるわけがない。
ランゼーヌは、ピュラーアは奇術師なのかもしれないと怯えだした。
ワンちゃんを信じているが、偽聖女にまでしてランゼーヌを呼び寄せた相手だ。何をさせるかわかったものではない。
(とりあえず、話してみよう。そして、相手の本当の目的を暴かなくては!)
でも一つ不安があった。いや不安だらけだが、もし自分が取り込まれたらどうしようという不安だ。ワンちゃんが思いこまされている様に、自分も同じ様に操られるかもしれない。
そうなったら止めてくれる相手が必要だ。
(クレイ様に話した方がいいかしら)
そう思うも信じて貰えるかどうかすらわからない。
まずワンちゃんと普通に会話が出来る事を信じてもらわなくていはいけなかった。
アルデンとイグナシオが出て行ったドアを眺め、ランゼーヌはどうしたらいいのだろうと思い悩む。
まさか、モンドが強行突破を行うなど思ってもみなかった。
「ランゼーヌ様」
「は、はい」
「宜しくお願いします」
クレイは、ランゼーヌに頭を下げる。
「え? あ、はい。こちらこそ宜しくお願いします」
慌ててランゼーヌも頭を下げた。
嫌がってはいない様子だとランゼーヌは安堵する。
「しかし驚きました。サインして来ていたとは」
「え? サイン?」
「婚約誓約書です」
ランゼーヌは、それを聞き固まった。サインなどしていない。いやそれどころか、婚約誓約書なんて見たこともなかった。
「ランゼーヌ様、顔色が悪いですけどもうお休みになられますか?」
リラが青ざめた顔のランゼーヌを見て聞く。
「そうね。今日は疲れたわ」
「色々ありましたものね」
「先に休みます。おやすみなさい」
「はい。おやすみなさい」
怖くてクレイの顔を見れないランゼーヌは、フラフラと寝室へと向かう。
「大丈夫ですか?」
「え、えぇ」
(大丈夫。受理されたという事は、バレてはいない。私がサインなんてしていないと言わなければいいだけよ)
そう思うも、良心が痛むランゼーヌは、気分がすぐれかった。
「もうランゼーヌ様ったらいつの間にサインしたのですか?」
「うん……おやすみ、リラ」
「おやすみなさいませ。ランゼーヌ様」
リラにも本当の事を言えない。言えば、悪事に加担させる事になるからだ。
(このままだと結婚できないと思ったのね。聖女なら貰ってもらえると……。あれ? 私、帰る場所がなくなったのでは?)
ランゼーヌは、ふと自分が本当の聖女ではない事を思い出す。一緒に祈りの間にいる事になるクレイにはその内バレるだろう。そうなれば、婚約破棄される可能性が大だ。
借金がある偽聖女などと結婚するはずもない。
『また泣いているのか?』
「……ワンちゃん、なんで聖女なんかにしたの? 一体私に何をさせたいの?」
『もしかして泣いている原因は、俺っちのせいなのか?』
「ううん。ワンちゃんは何も悪くない……」
『聖女にしないと、近づけないからってそうなったんだ。ごめんよ』
「近づけない? あの箱庭の事?」
『うん。これぐらいの距離なら何とかなるだろうってピュラーア様が』
近づかないと祈っても効果がないって事? でも私は聖女ではいないんだよね?
「私は、ここから祈ればいいの?」
『祈る。そうだね。結界が解けるようにと……』
「結界を解く!?」
ランゼーヌは、跳ね起きた。
「待ってワンちゃん。それは無理よ。というか、認められないわ」
『認めないって人間がか?』
「人間と言えばそうだけど、陛下……王様よ。私だって嫌だわ」
『だから呪われてないって。ピュラーア様でも解けないからランゼに解いてほしいんだ』
「そのピュラーア様って何モノ? なんであの中にいるの?」
『ピュラーア様は、俺っち達の代表的な存在。人間でいえば王だって。どうしてあそこにいるかというと……俺っちは知らない』
(知らないの? 騙されたりしてない?)
ランゼーヌは、不安になった。
「本当に精霊王なの?」
『俺っちが言う事を疑うのか?』
「ワンちゃんを疑っている訳ではないわ。騙されていないかと、心配しているのよ」
ワンちゃんがじっとランゼーヌを見つめる。
『俺っち信じて貰えると自信があったのになぁ』
ワンちゃんがしょんぼりとすると、ランゼーヌは慌てて違う違うと両手を振った。
「ワンちゃんの事は信じているってば。ピュラーア様が信じられないだけよ」
『同じ事だろう?』
「同じじゃないわ。私はピュラーア様に会った事も話した事もないのよ。奇術師とかじゃないよね?」
『奇術師? よくわかんないけど、そいつ人間なんだろう? ピュラーア様は精霊だ』
「わかったわ」
ランゼーヌは、一先ずワンちゃんの言う事を信じる事にした。いや、信じるふりをする。
『わかってくれたか!』
「うん。でもちゃんと直接話してみたいの。出来ないか聞いてくれないかな?」
『うん? 祈りをしている時に話しかけるって言っていた』
「え? そうなの?」
対話する気があったのかとランゼーヌは驚いた。
しかしなぜ、ランゼーヌが選ばれたのか。今まで誰も呪いを解く事が出来なかった事を自分が出来るとは思えない。
いやそれどころか、結界を解かせようとしている。
もしワンちゃんが騙されていて結界が解けてしまったら、呪いが広まるかもしれない。そんな恐ろしい事、できるわけがない。
ランゼーヌは、ピュラーアは奇術師なのかもしれないと怯えだした。
ワンちゃんを信じているが、偽聖女にまでしてランゼーヌを呼び寄せた相手だ。何をさせるかわかったものではない。
(とりあえず、話してみよう。そして、相手の本当の目的を暴かなくては!)
でも一つ不安があった。いや不安だらけだが、もし自分が取り込まれたらどうしようという不安だ。ワンちゃんが思いこまされている様に、自分も同じ様に操られるかもしれない。
そうなったら止めてくれる相手が必要だ。
(クレイ様に話した方がいいかしら)
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まずワンちゃんと普通に会話が出来る事を信じてもらわなくていはいけなかった。
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