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呪いの箱庭の真実 2
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「ここら辺で宜しいですか?」
「あ、はい……」
次の日の朝食後に、椅子が届いた。徹夜したのだろう。あまりにも早く届いた椅子に驚いていた三人だが、更に驚く事が続く。それは……。
「これが、聖女用の椅子か」
椅子を挟んだクレイの向かい側から椅子をのぞき込むイグナシオ。クレイもランゼーヌも困惑していた。
精霊の間には、聖女と聖女の騎士しか基本入れないが、そこは権力者。
椅子が届いたと聞いたイグナシオがアルデンと一緒に訪ねてきたのだ。しかも、祈りの間に一緒に入り、祈りを見学するようだ。
椅子は、呪いの箱庭を望める大きな窓の所に設置された。カーテンを開ければ、よく見える位置。
「朝から鬱陶しく申し訳ありません。お伝えしたい事があり、ここに赴くと聞いた陛下が一緒に伺うと言い出しまして」
「鬱陶しいとはなんだ。いいではないか。この様な機会でもないと、聖女が祈るのを見学する事などないのだからな」
「だからと言って、今日でなくても機会ならいつでもおありでしょう」
言い合いをする二人をランゼーヌとクレイは、枢機卿とは、陛下にモノ言う事が出来る立場なのかと驚いて見ていた。
他国に比べ、現国王は若いからかもしれないが。
「それより伝えたらどうだ」
「そうでした。精霊がどうしようと思っているかわかってはおりませんが、本来聖女様は、精霊の像に祈りを捧げます。ですが、精霊の像は祈りの間に設置してあり、予備などはないのです。つまりここには、設置する事ができません」
「え? あぁ……」
ランゼーヌは、本で読んだ聖女の祈りの事についての文章を思い出す。詳しく書かれていたわけではないが、アルデンの言う通り聖女は、精霊を形どった蝶の様な像に祈りを捧げると書かれていた。
『そんなものは要らない。でもまあちょうどよかった』
(ちょうどよかったって何? 陛下達に変な事しないでよ。何かあったら私たちの命がないわ)
「ワンちゃん、何をする気?」
ランゼーヌは、こっそりとワンちゃんに話しかける。
『別に俺っちが伝えるって事』
(伝えるって何をどうやって?)
「残念だ。像が七色に光る所を見てみたかったのだが」
「え? 七色? あ、申し訳ありません」
イグナシオの言葉につい反応して、不敬な言葉使いになったとランゼーヌは、慌てて謝った。
「よい。聖女の祈りには不思議な力があるらしい。精霊の像に祈りを捧げると、像が精霊の様に七色に輝くそうだ。君も見てみたかっただろう。聖女なのにそれを体験できないとはなぁ」
「そう言われましても、製法がわからないのですから造りようがありません。普通に作ってもそうはならないのは、実証済みのようなので」
イグナシオとアルデンの会話を聞き、ランゼーヌは精霊の像がなくて良かったと安堵する。あれば一発で、聖女ではないとバレていた。
「顔色が悪いが大丈夫ですか?」
気づけばクレイが、じっとランゼーヌを見つめている。
「え? あ、ちょっと緊張して……」
「お座りになりますか?」
座るかと聞いた場所は、クレイが設置した祈るための椅子だ。
座りたくないなと思いつつも、ランゼーヌは腰を下ろす。
座り心地は最高だ。自分にフィットした椅子。ちょうどいい柔らかさに高さ、背もたれの位置。首も疲れないように、頭も預けられるようになっている。
「ほう。聖女にぴったりに作ると聞いていたが、まさにぴったりだな」
イグナシオは感心して、椅子に座るランゼーヌを見下ろした。
「カーテンはどう致しますか?」
クレイは、カーテンを開けるかどうか、ランゼーヌに問う。
『開けてもらった方がいい』
「開けてもらえる?」
クレイが頷きカーテンをシャーっと開けると、明るい日差しが部屋に差し込んだ。晴天で見上げる空は澄んでいるが、目線を下げれば禍々しい呪いの箱庭が目に入る。全員、箱庭を見つめた。
『ピュラーア様の方はいつでもいいそうだ。祈れば答えてくれる』
ワンちゃんの言葉にランゼーヌは軽く頷くも、不安でたまらなかった。
本当は、祈りの前――ピュラーアと会話をする前に、色々とクレイに伝えておこうと思ったのだ。
だが、イグナシオとアルデンが祈りの間まで来てしまい、伝える事が出来ていない。
しかも、陛下であるイグナシオと枢機卿であるアルデンがいる事で、万が一ランゼーヌが奇矯な行動を起こせば、クレイに殺される恐れがある。
クレイが、聖女の騎士だとは言え、陛下を最優先するはずだ。そして、もともとここにいる事になっていないランゼーヌは、人知れず処理される事だろう。
せめて、これからする事をクレイに伝えられたらとランゼーヌが思うも、イグナシオとアルデンが少し距離を置くと、クレイも別な場所に移動してしまった。
三人は、ランゼーヌに注目する。
もしランゼーヌが本当の聖女で本当に祈りをしたところで、精霊の像がなければ、ただ祈りを捧げる聖女の姿があるだけだが。
(仕方がないわ。気をしっかり持って挑みましょう)
「ワンちゃん、私が万が一、いつもと違う様子になったら眠らせて」
ランゼーヌは、ボソッと呟く。
たぶん、それぐらいならワンちゃんにでも出来るだろうと思いそう伝えた。
『うん? よくわからないけど、泣き出したら眠らせればいいのか?』
(いや違うから、伝わってないわ……)
「怒ったり暴れたりしたら……」
『わかった。怒るようような事は言わないと思うけどな』
(あぁ、やっぱり伝わってないわ。でももうやるしかない)
ランゼーヌは、ちらっとクレイとイグナシオ達を見ると、祈る為にいやピュラーアと会話する為に目を瞑る。
乗っ取られる事がありませんようにと、まずは祈るランゼーヌだった。
「あ、はい……」
次の日の朝食後に、椅子が届いた。徹夜したのだろう。あまりにも早く届いた椅子に驚いていた三人だが、更に驚く事が続く。それは……。
「これが、聖女用の椅子か」
椅子を挟んだクレイの向かい側から椅子をのぞき込むイグナシオ。クレイもランゼーヌも困惑していた。
精霊の間には、聖女と聖女の騎士しか基本入れないが、そこは権力者。
椅子が届いたと聞いたイグナシオがアルデンと一緒に訪ねてきたのだ。しかも、祈りの間に一緒に入り、祈りを見学するようだ。
椅子は、呪いの箱庭を望める大きな窓の所に設置された。カーテンを開ければ、よく見える位置。
「朝から鬱陶しく申し訳ありません。お伝えしたい事があり、ここに赴くと聞いた陛下が一緒に伺うと言い出しまして」
「鬱陶しいとはなんだ。いいではないか。この様な機会でもないと、聖女が祈るのを見学する事などないのだからな」
「だからと言って、今日でなくても機会ならいつでもおありでしょう」
言い合いをする二人をランゼーヌとクレイは、枢機卿とは、陛下にモノ言う事が出来る立場なのかと驚いて見ていた。
他国に比べ、現国王は若いからかもしれないが。
「それより伝えたらどうだ」
「そうでした。精霊がどうしようと思っているかわかってはおりませんが、本来聖女様は、精霊の像に祈りを捧げます。ですが、精霊の像は祈りの間に設置してあり、予備などはないのです。つまりここには、設置する事ができません」
「え? あぁ……」
ランゼーヌは、本で読んだ聖女の祈りの事についての文章を思い出す。詳しく書かれていたわけではないが、アルデンの言う通り聖女は、精霊を形どった蝶の様な像に祈りを捧げると書かれていた。
『そんなものは要らない。でもまあちょうどよかった』
(ちょうどよかったって何? 陛下達に変な事しないでよ。何かあったら私たちの命がないわ)
「ワンちゃん、何をする気?」
ランゼーヌは、こっそりとワンちゃんに話しかける。
『別に俺っちが伝えるって事』
(伝えるって何をどうやって?)
「残念だ。像が七色に光る所を見てみたかったのだが」
「え? 七色? あ、申し訳ありません」
イグナシオの言葉につい反応して、不敬な言葉使いになったとランゼーヌは、慌てて謝った。
「よい。聖女の祈りには不思議な力があるらしい。精霊の像に祈りを捧げると、像が精霊の様に七色に輝くそうだ。君も見てみたかっただろう。聖女なのにそれを体験できないとはなぁ」
「そう言われましても、製法がわからないのですから造りようがありません。普通に作ってもそうはならないのは、実証済みのようなので」
イグナシオとアルデンの会話を聞き、ランゼーヌは精霊の像がなくて良かったと安堵する。あれば一発で、聖女ではないとバレていた。
「顔色が悪いが大丈夫ですか?」
気づけばクレイが、じっとランゼーヌを見つめている。
「え? あ、ちょっと緊張して……」
「お座りになりますか?」
座るかと聞いた場所は、クレイが設置した祈るための椅子だ。
座りたくないなと思いつつも、ランゼーヌは腰を下ろす。
座り心地は最高だ。自分にフィットした椅子。ちょうどいい柔らかさに高さ、背もたれの位置。首も疲れないように、頭も預けられるようになっている。
「ほう。聖女にぴったりに作ると聞いていたが、まさにぴったりだな」
イグナシオは感心して、椅子に座るランゼーヌを見下ろした。
「カーテンはどう致しますか?」
クレイは、カーテンを開けるかどうか、ランゼーヌに問う。
『開けてもらった方がいい』
「開けてもらえる?」
クレイが頷きカーテンをシャーっと開けると、明るい日差しが部屋に差し込んだ。晴天で見上げる空は澄んでいるが、目線を下げれば禍々しい呪いの箱庭が目に入る。全員、箱庭を見つめた。
『ピュラーア様の方はいつでもいいそうだ。祈れば答えてくれる』
ワンちゃんの言葉にランゼーヌは軽く頷くも、不安でたまらなかった。
本当は、祈りの前――ピュラーアと会話をする前に、色々とクレイに伝えておこうと思ったのだ。
だが、イグナシオとアルデンが祈りの間まで来てしまい、伝える事が出来ていない。
しかも、陛下であるイグナシオと枢機卿であるアルデンがいる事で、万が一ランゼーヌが奇矯な行動を起こせば、クレイに殺される恐れがある。
クレイが、聖女の騎士だとは言え、陛下を最優先するはずだ。そして、もともとここにいる事になっていないランゼーヌは、人知れず処理される事だろう。
せめて、これからする事をクレイに伝えられたらとランゼーヌが思うも、イグナシオとアルデンが少し距離を置くと、クレイも別な場所に移動してしまった。
三人は、ランゼーヌに注目する。
もしランゼーヌが本当の聖女で本当に祈りをしたところで、精霊の像がなければ、ただ祈りを捧げる聖女の姿があるだけだが。
(仕方がないわ。気をしっかり持って挑みましょう)
「ワンちゃん、私が万が一、いつもと違う様子になったら眠らせて」
ランゼーヌは、ボソッと呟く。
たぶん、それぐらいならワンちゃんにでも出来るだろうと思いそう伝えた。
『うん? よくわからないけど、泣き出したら眠らせればいいのか?』
(いや違うから、伝わってないわ……)
「怒ったり暴れたりしたら……」
『わかった。怒るようような事は言わないと思うけどな』
(あぁ、やっぱり伝わってないわ。でももうやるしかない)
ランゼーヌは、ちらっとクレイとイグナシオ達を見ると、祈る為にいやピュラーアと会話する為に目を瞑る。
乗っ取られる事がありませんようにと、まずは祈るランゼーヌだった。
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