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なぜこうなった 5
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「誰に聞いた!」
「誰に聞いたかなど、どうでもいいでしょう! 今回の相手は暴いたわ」
先ほどまでとは違い、厳しい口調になったイグナシオにやっぱりそうだったと確信したカンデラは、自信満々に言った。
「待て、私がずっと浮気していると思っていたのか!?」
「そうなのでしょう? お義父様がある日こう言ったのよ。どんな事が起きても私の娘に王位を継がせる。それだけは約束すると!」
「な、なんだそれは……」
「なぜそのような事を……」
カンデラの言葉に二人は、意味がわからなかった。
「それはいつの事ですか?」
「そうね、あなたが枢機卿の地位についた頃かしら」
カンデラが嫌味を含ませて言うも、アルデンはイグナシオと目くばせをするだけだ。
オーガスは、その頃色々混乱していたのだろう。二人は、アルデンの子に王位を継がせないというつもりで言ったのだと思った。
アルデンには王位継承権はない。もし万が一、オーガスと双子だと知れてもそれは覆されない。
「全く余計な事を」
「余計な事とは何よ! 絶対に許さないわ」
「女など連れ込んでいない。探してみればいいだろう」
急に余裕を取り戻したイグナシオにフンと鼻をならし、カンデラは寝室に入りそこら辺をひっくり返す。それを二人はため息交じりで見つめる。
「気が済んだか?」
「どうして……では、一時間以上も二人はここで何をしていたというの!」
グルンと振り返えり言うカンデラは、悲しみに満ちていた。
「あの子は、カモフラージュだというの?」
「待て! 枢機卿とも何もないからな。今日はここで話し合っていただけだ」
少し苦しい言い訳をするイグナシオだが、そう言うしかない。
「しかし、彼女の存在をどのように知ったのですか?」
「お義父様が教えて下さったのよ」
「なぜ、父上が!?」
アルデンの問いの答えに、イグナシオは驚きの声を上げた。
オーガスにも告げてはいなかったのだ。出来るだけアルデンにかかわる事柄は報告しないようにしていた。しかし、オーガスは自身で調べていたのだ。
「そんなに私が気になりますか……」
アルデンがボソッと呟く。
調べるのはいいが、それをカンデラに告げるなど色々こじれるだけだ。
「カンデラ。私が愛しているのは君だけだ」
イグナシオは、そっとカンデラを抱きしめそう言った。
リダージリ国は、一夫一妻制だ。そして、王位は男女どちらでも継げる。二人には、娘しかいないが問題はなかった。
「本当?」
「あぁ、本当だ」
「ご、ごめんなさい。私……」
「よい。父上が紛らわしい事を言ったからだ」
カンデラは、今までずっと不安でたまらなかった。今までは女の影はなかったのに、寝室に結界を張りこもっていたので、確かめずにいられなくなったのだ。
「本当に、枢機卿とも……」
「当たり前だ! 彼は相談役だからな」
枢機卿は、宰相の様な役割も担っていた。なので、カンデラはそうよねと頷く。
事は収まったと、イグナシオは安堵した。なのに……
「一つお聞きしても宜しいですか? 先王はどのように聖女の事を言っておられましたか?」
アルデンが蒸し返すように聞いた。
「お、おい!」
「偽聖女を使い王宮に乗り込んできたと言っておられましたわ」
「……そうですか。ありがとうございます。陛下、お話がありますので私はここでお待ちしていて宜しいですか?」
「はぁ……わかった。送って来る」
カンデラを部屋に送る為、アルデンを残しイグナシオは部屋を出て行った。しばらくしてイグナシオが戻って来る。
「落ち着きましたか?」
「あぁ。全く父上は何を考えておられるんだ」
イグナシオはしっかりと部屋のドアのカギを掛け、自分の指定席のソファーに腰を下ろす。
「その事なのですが、おかしな点があります」
「おかしな点? カンデラが嘘を言っていると?」
「いえ。そういう事ではなく、私の行動を監視していたとして、なぜカンデラ様に言ったのかです」
アルデンの言葉にイグナシオは首を傾げる。
「言う相手がいなかったからではないか?」
「いえ。言う必要があるでしょうか。私が王座を狙っていると思っていたとして、それが偽聖女につながりません。陛下に内緒で行っていたのならまだしも、一緒に行ったからこそカンデラ様も勘違いなさったのですし」
「それもそうだな。では父上はどういうつもりでカンデラに言ったんだ?」
イグナシオが怪訝な顔でうなる。
「何か思い当たる事はございませんか?」
「私にか?」
「私も初め、私を監視していたのかと思ったのですが先王の言い回しですと、私ではないようです」
「どういう意味だ?」
「王宮に乗り込んできたと仰った。浮気をされていると思い込んでいたカンデラ様は、浮気相手が乗り込んで来たと思ったのでしょう。ですが、乗り込んで来た相手はランゼーヌ様ではなく、騎士のクレイという事になりませんか?」
「………」
アルデンの言葉に、イグナシオが固まった。
「やはりそうですか」
「……や、やはりってなんだ」
「私はランゼーヌ様を気にかけていると思っていたのですが、彼女ではなく騎士の方だった。さて、陛下と先王が気にかけている彼の正体とは何でしょうね」
鋭い目つきで問うアルデンに、イグナシオはごくりと唾を飲み込むのだった。
「誰に聞いたかなど、どうでもいいでしょう! 今回の相手は暴いたわ」
先ほどまでとは違い、厳しい口調になったイグナシオにやっぱりそうだったと確信したカンデラは、自信満々に言った。
「待て、私がずっと浮気していると思っていたのか!?」
「そうなのでしょう? お義父様がある日こう言ったのよ。どんな事が起きても私の娘に王位を継がせる。それだけは約束すると!」
「な、なんだそれは……」
「なぜそのような事を……」
カンデラの言葉に二人は、意味がわからなかった。
「それはいつの事ですか?」
「そうね、あなたが枢機卿の地位についた頃かしら」
カンデラが嫌味を含ませて言うも、アルデンはイグナシオと目くばせをするだけだ。
オーガスは、その頃色々混乱していたのだろう。二人は、アルデンの子に王位を継がせないというつもりで言ったのだと思った。
アルデンには王位継承権はない。もし万が一、オーガスと双子だと知れてもそれは覆されない。
「全く余計な事を」
「余計な事とは何よ! 絶対に許さないわ」
「女など連れ込んでいない。探してみればいいだろう」
急に余裕を取り戻したイグナシオにフンと鼻をならし、カンデラは寝室に入りそこら辺をひっくり返す。それを二人はため息交じりで見つめる。
「気が済んだか?」
「どうして……では、一時間以上も二人はここで何をしていたというの!」
グルンと振り返えり言うカンデラは、悲しみに満ちていた。
「あの子は、カモフラージュだというの?」
「待て! 枢機卿とも何もないからな。今日はここで話し合っていただけだ」
少し苦しい言い訳をするイグナシオだが、そう言うしかない。
「しかし、彼女の存在をどのように知ったのですか?」
「お義父様が教えて下さったのよ」
「なぜ、父上が!?」
アルデンの問いの答えに、イグナシオは驚きの声を上げた。
オーガスにも告げてはいなかったのだ。出来るだけアルデンにかかわる事柄は報告しないようにしていた。しかし、オーガスは自身で調べていたのだ。
「そんなに私が気になりますか……」
アルデンがボソッと呟く。
調べるのはいいが、それをカンデラに告げるなど色々こじれるだけだ。
「カンデラ。私が愛しているのは君だけだ」
イグナシオは、そっとカンデラを抱きしめそう言った。
リダージリ国は、一夫一妻制だ。そして、王位は男女どちらでも継げる。二人には、娘しかいないが問題はなかった。
「本当?」
「あぁ、本当だ」
「ご、ごめんなさい。私……」
「よい。父上が紛らわしい事を言ったからだ」
カンデラは、今までずっと不安でたまらなかった。今までは女の影はなかったのに、寝室に結界を張りこもっていたので、確かめずにいられなくなったのだ。
「本当に、枢機卿とも……」
「当たり前だ! 彼は相談役だからな」
枢機卿は、宰相の様な役割も担っていた。なので、カンデラはそうよねと頷く。
事は収まったと、イグナシオは安堵した。なのに……
「一つお聞きしても宜しいですか? 先王はどのように聖女の事を言っておられましたか?」
アルデンが蒸し返すように聞いた。
「お、おい!」
「偽聖女を使い王宮に乗り込んできたと言っておられましたわ」
「……そうですか。ありがとうございます。陛下、お話がありますので私はここでお待ちしていて宜しいですか?」
「はぁ……わかった。送って来る」
カンデラを部屋に送る為、アルデンを残しイグナシオは部屋を出て行った。しばらくしてイグナシオが戻って来る。
「落ち着きましたか?」
「あぁ。全く父上は何を考えておられるんだ」
イグナシオはしっかりと部屋のドアのカギを掛け、自分の指定席のソファーに腰を下ろす。
「その事なのですが、おかしな点があります」
「おかしな点? カンデラが嘘を言っていると?」
「いえ。そういう事ではなく、私の行動を監視していたとして、なぜカンデラ様に言ったのかです」
アルデンの言葉にイグナシオは首を傾げる。
「言う相手がいなかったからではないか?」
「いえ。言う必要があるでしょうか。私が王座を狙っていると思っていたとして、それが偽聖女につながりません。陛下に内緒で行っていたのならまだしも、一緒に行ったからこそカンデラ様も勘違いなさったのですし」
「それもそうだな。では父上はどういうつもりでカンデラに言ったんだ?」
イグナシオが怪訝な顔でうなる。
「何か思い当たる事はございませんか?」
「私にか?」
「私も初め、私を監視していたのかと思ったのですが先王の言い回しですと、私ではないようです」
「どういう意味だ?」
「王宮に乗り込んできたと仰った。浮気をされていると思い込んでいたカンデラ様は、浮気相手が乗り込んで来たと思ったのでしょう。ですが、乗り込んで来た相手はランゼーヌ様ではなく、騎士のクレイという事になりませんか?」
「………」
アルデンの言葉に、イグナシオが固まった。
「やはりそうですか」
「……や、やはりってなんだ」
「私はランゼーヌ様を気にかけていると思っていたのですが、彼女ではなく騎士の方だった。さて、陛下と先王が気にかけている彼の正体とは何でしょうね」
鋭い目つきで問うアルデンに、イグナシオはごくりと唾を飲み込むのだった。
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