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5――探求協会

20話目

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 そうだ。貰ったお金。
 ズボンのポケットに入れていた。
 俺は、学校帰りだったから制服のブレザーだ。他の人からは、浮いているけど探求者の格好がわからないから暫くはこのままのつもりだ。

 お金は、五円玉みたいに真ん中に穴が空いて丸い。それは、紐の様な物で一つになっていた。どちらかというと、江戸の銭って感じか?
 通貨単位はSセキ。黒っぽい方が価値が低いらしい。これが330枚。白っぽい方が21枚。
 これで21,330Sと言われた。
 つまり白い通貨は、一枚で黒い通貨の千枚分って事だ。文字も1,000って刻んである。
 しかしこのお金軽いなぁ。一円玉みたいに軽い。大きさは、500玉ぐらいあるのに。

 うーん。お金の価値が知りたいな。
 ノルマが月に、300値って言っていたからお金にすると、3,000S分かぁ。たぶん貰ったお金からすると、1値10Sだ。

 あ、そうだ。ひと月って数えるんだな。日にちの単位も知らなとな。

 「チロ、ひと月って何日?」

 『30日だって』

 「おぉ。地球に近いな。あ、そうだ。一日って何時間?」

 『20時間だって』

 「ふむ。そんなに違わないな。まあ同じ24時間を20時間に区切っている可能性もあるから感覚は一緒か?」

 『あのね。時間の感覚が同じような場所とリンクしたって、お母さんが言っていたよ』

 なるほど。似たような所に繋いだのか。魔素はないけどな。
 もしかしたら夜が存在しないとか、逆にずっと夜みたいな世界があるかもしれないもんな。

 さてとじゃ、今度はお金の価値を調べに行きますか。
 ご飯でも食べてみるかな。

 「よし、食堂に行くぞ」

 『ご飯?』

 「そう、ご飯。あ……チロにしたらご飯じゃないか」

 『チロのご飯は?』

 「ちょっとだけ待ってね」

 『う……我慢する』

 「えらいえらい」

 頭を撫でると嬉しそうにしっぽを振る。ふわふわで気持ちい。
 チロを抱き上げ、部屋を出る。
 内側からは普通に開くけど、外からは指輪がないと開かない仕組みらしい。鍵が指輪だから無くすこともないな。
 魔素エレベーターで一階に降りる。

 「お出かけですか? 気を付けていってらっしゃい」

 エレベーターから出ると、支部長のマイルさんがお見送り。あれだ、マンションの管理人。
 そう言えば、支部長が表立って働くって人手不足なんだろうか?
 それともこの世界では、そういうもん?
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