55 / 67
第7章 開けてはいけない扉
第55話
しおりを挟む
そして、エミールを召喚してから五年の月日が経った。
エミールを召喚した事を忘れそうな程、エミールからは音沙汰もなく、安堵し始めていた。
ただ何をしてるかは、気になっていた。
そんな時、またダミアンがオルソと王都を出ると聞いた。
「実は今日、オルソの孫を迎えに行ってくる」
「は? 孫ですか? アージェですか?」
「いや。別の者だ」
フランクは、ダミアンが言っている意味がわからなかった。オルソにアージェ以外の孫がいるとは聞いた事がない。オルソの子供は一人娘で、魔術師になりその子供もアージェ一人。
「まあ、何と言うか。昔付き合っていた彼女がコッソリと生み落としていた息子がいてな。その子供だ」
「はぁ? 隠し子ですか!」
驚きの事実だった!
オルソとは、ダミアンと幼馴染の事もあって、仲良くしてもらっていた。とてもそんな事をするようには、見えなかった。
「勘違いするなよ? チェチーリアさんに子供が死ぬから会いに来てほしいと言われるまで、知らなかったのだ。そしてその時に、孫の存在も知った」
「チェチーリアさんですか……? で、何故いきなりそんな凄い話を私に話して聞かせるんです?」
きっと二人の秘密の話だろうと察しはついた。
だがそれを自分に話す意味がわからない。愚痴でもなく、相談でもなく、突然の暴露。
「その子は、これから王都に連れて来て、儀式を行う予定だ。そうなれば、オルソの家族に知れるだろう。それはオルソもわかっている。だから連れて来たら、アージェに紹介するそうだ」
「儀式ですか……? では十歳なのですか?」
「あぁ。そうだ。いや、私が言いたいのは、アージェのケアを頼みたいと思ってな。突然外から孫が現れたら、流石のアージェもな……」
アージェは、実年齢よりずっとしっかりしていた。それに、オルソを慕っていた。かなり衝撃を受ける事だろう。
先にフランクに伝えたのは、もし万が一噂で聞いてよりは、ちゃんとした事実を知って、アージェを支えてほしかったからだ。
「わかりました。私に出来る事はします。で、父さんは、大丈夫なんですか? たぶんそれ、陛下もご存知ない事では、ないんですか?」
「大丈夫だ。今オルソが、陛下にお伝えしている所だ。まあ彼もひと悶着あったからな。それよりお前は、いつまで独身でいるつもりだ? もう29だろうに……。ことごとく断るから、私の立場も……」
「あぁ! ほら早く行った方がいいんじゃないですか!」
フランクは、慌てて話を変える。
あれから五年、陛下から見合いの話があったもののフランクは全て断っていた。結婚など出来るはずもなかった。
魔獣がもし何か起こせば、家族にも迷惑がかかる。そう思うと、新たな家族を作る事など出来ない。
そんな事は知らないダミアンは、断る度にぐちぐち言っていた。なので研究が好きなんだと、いつも言い訳をしていたのだ。
そして、フランクが恐れていた事が、これから次々と起こる事になったのだった――。
エミールを召喚した事を忘れそうな程、エミールからは音沙汰もなく、安堵し始めていた。
ただ何をしてるかは、気になっていた。
そんな時、またダミアンがオルソと王都を出ると聞いた。
「実は今日、オルソの孫を迎えに行ってくる」
「は? 孫ですか? アージェですか?」
「いや。別の者だ」
フランクは、ダミアンが言っている意味がわからなかった。オルソにアージェ以外の孫がいるとは聞いた事がない。オルソの子供は一人娘で、魔術師になりその子供もアージェ一人。
「まあ、何と言うか。昔付き合っていた彼女がコッソリと生み落としていた息子がいてな。その子供だ」
「はぁ? 隠し子ですか!」
驚きの事実だった!
オルソとは、ダミアンと幼馴染の事もあって、仲良くしてもらっていた。とてもそんな事をするようには、見えなかった。
「勘違いするなよ? チェチーリアさんに子供が死ぬから会いに来てほしいと言われるまで、知らなかったのだ。そしてその時に、孫の存在も知った」
「チェチーリアさんですか……? で、何故いきなりそんな凄い話を私に話して聞かせるんです?」
きっと二人の秘密の話だろうと察しはついた。
だがそれを自分に話す意味がわからない。愚痴でもなく、相談でもなく、突然の暴露。
「その子は、これから王都に連れて来て、儀式を行う予定だ。そうなれば、オルソの家族に知れるだろう。それはオルソもわかっている。だから連れて来たら、アージェに紹介するそうだ」
「儀式ですか……? では十歳なのですか?」
「あぁ。そうだ。いや、私が言いたいのは、アージェのケアを頼みたいと思ってな。突然外から孫が現れたら、流石のアージェもな……」
アージェは、実年齢よりずっとしっかりしていた。それに、オルソを慕っていた。かなり衝撃を受ける事だろう。
先にフランクに伝えたのは、もし万が一噂で聞いてよりは、ちゃんとした事実を知って、アージェを支えてほしかったからだ。
「わかりました。私に出来る事はします。で、父さんは、大丈夫なんですか? たぶんそれ、陛下もご存知ない事では、ないんですか?」
「大丈夫だ。今オルソが、陛下にお伝えしている所だ。まあ彼もひと悶着あったからな。それよりお前は、いつまで独身でいるつもりだ? もう29だろうに……。ことごとく断るから、私の立場も……」
「あぁ! ほら早く行った方がいいんじゃないですか!」
フランクは、慌てて話を変える。
あれから五年、陛下から見合いの話があったもののフランクは全て断っていた。結婚など出来るはずもなかった。
魔獣がもし何か起こせば、家族にも迷惑がかかる。そう思うと、新たな家族を作る事など出来ない。
そんな事は知らないダミアンは、断る度にぐちぐち言っていた。なので研究が好きなんだと、いつも言い訳をしていたのだ。
そして、フランクが恐れていた事が、これから次々と起こる事になったのだった――。
0
あなたにおすすめの小説
王様の恥かきっ娘
青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。
本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。
孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます
物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります
これもショートショートで書く予定です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました
星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎
王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝――
路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。
熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。
「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」
甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。
よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、
気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて――
しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!?
「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」
年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。
ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる