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第4話
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シオミは、トボトボと街中を歩いていた。
『どうするのだ?』
「どうすると言われても、どうしよう」
リリアンナが言っていた通り、もう帰る場所はないのだ。全財産は持って出てきたが、お小遣いとして貰っていたお金で数日しかもたないだろう。
「どうしたらいい?」
『まあ聖女ではないと放っておけば、いづれは気が付くだろうが、シオミがそれでは困るだろう。しかし人の話を聞かない役人だな。まずすり替えが可能なやり方ではだめだろう』
「そんな事、私に言われても」
はぁ。とため息をついてシオミは、公園のベンチに腰を下ろした。
ぼーっと、行き交う人々をシオミは見つめる。
幸せそうだな……。
『どうしても聖女になりたいか?』
「私は聖女になりたいんじゃなくて、聖女になって動物達を助けたいだけ」
聖女の力で守られているのは、基本街や村で人が住む場所だ。森も結界が張ってある場所も存在するが、それは食料となる動物が狩れる場所だけだ。
この世界には、動物を狂暴化する邪気が発生しそれに触れると防つは狂暴化する。森の結界は、この邪気を払う結界だ。
自然豊かな場所は、邪気が発生すれば動物は狂暴化する。
『だったらアルケミストになったらどうだ?』
「何それ?」
『私がいた森に結界を施した者がそう名乗っていた。色んなモノを作り出すらしい』
「それって結界も作り出したって事?」
『そういう事らしい。そこらへんはよくわからないが、調べてみたらどうだ?』
「うん。探してみる」
シオミは、歩きだした。街中をアルケミストという単語を探して彷徨い、日が傾いた頃アルケミストギルドという看板を見つけたのだ。
「あった!」
シオミは、そっとドアを開け中を覗いた。
棚には見たことがない商品が並び、本も置いてある。
「いらっしゃい」
店番だと思われるおじさんがにこやかに声を掛けてきた。
「何かお探しですか?」
「え? ここってお店屋さん?」
「マジックアイテムを売っているお店だよ」
「じゃ、アルケミストってそれを作る人の事?」
「……君、お客じゃなさそうだね。魔力を使って違う物に作り替えるというか、付加を加えたりする能力を持った人の事だよ。それをできればこのギルドに登録でき、商品を売る事も可能だ」
親切にそう教えてくれた。
能力がないとできないみたいだけどどうしよう。
シオミは、がっくしと項垂れるのだった。
『どうするのだ?』
「どうすると言われても、どうしよう」
リリアンナが言っていた通り、もう帰る場所はないのだ。全財産は持って出てきたが、お小遣いとして貰っていたお金で数日しかもたないだろう。
「どうしたらいい?」
『まあ聖女ではないと放っておけば、いづれは気が付くだろうが、シオミがそれでは困るだろう。しかし人の話を聞かない役人だな。まずすり替えが可能なやり方ではだめだろう』
「そんな事、私に言われても」
はぁ。とため息をついてシオミは、公園のベンチに腰を下ろした。
ぼーっと、行き交う人々をシオミは見つめる。
幸せそうだな……。
『どうしても聖女になりたいか?』
「私は聖女になりたいんじゃなくて、聖女になって動物達を助けたいだけ」
聖女の力で守られているのは、基本街や村で人が住む場所だ。森も結界が張ってある場所も存在するが、それは食料となる動物が狩れる場所だけだ。
この世界には、動物を狂暴化する邪気が発生しそれに触れると防つは狂暴化する。森の結界は、この邪気を払う結界だ。
自然豊かな場所は、邪気が発生すれば動物は狂暴化する。
『だったらアルケミストになったらどうだ?』
「何それ?」
『私がいた森に結界を施した者がそう名乗っていた。色んなモノを作り出すらしい』
「それって結界も作り出したって事?」
『そういう事らしい。そこらへんはよくわからないが、調べてみたらどうだ?』
「うん。探してみる」
シオミは、歩きだした。街中をアルケミストという単語を探して彷徨い、日が傾いた頃アルケミストギルドという看板を見つけたのだ。
「あった!」
シオミは、そっとドアを開け中を覗いた。
棚には見たことがない商品が並び、本も置いてある。
「いらっしゃい」
店番だと思われるおじさんがにこやかに声を掛けてきた。
「何かお探しですか?」
「え? ここってお店屋さん?」
「マジックアイテムを売っているお店だよ」
「じゃ、アルケミストってそれを作る人の事?」
「……君、お客じゃなさそうだね。魔力を使って違う物に作り替えるというか、付加を加えたりする能力を持った人の事だよ。それをできればこのギルドに登録でき、商品を売る事も可能だ」
親切にそう教えてくれた。
能力がないとできないみたいだけどどうしよう。
シオミは、がっくしと項垂れるのだった。
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