いざゆけ乙女通信!瓶底メガネの令嬢は美形婚約者をざまぁ出来るか?

ぽんぽんぽん

文字の大きさ
9 / 24

おとつー作戦会議 その1

しおりを挟む
ビアンカです。

あの後、マルグリット様の身の上話を伺いました。

「父は、私を放任した罪滅ぼしのつもりで婿取りを急いで、ローラン家の話に飛び乗ったのだと思います。……家の切り盛りは自分が父から継ぐつもりで学んでいますし、私自身は結婚できなくとも伯爵領を困らせるつもりはありません。
父はそれは理解しているのでしょうが、女は添い遂げてこそ幸せだと思い込んでいるので。

でも、案の定、コール様は私では不満なのです。私と絆を結ぶつもりはないと判じました。

これはもしや白い結婚になるかもしれない。爵位と王都の館をコール様が持ち、私は領地に籠る事になるかもしれない。

そして、コール様が本当に添い遂げたいご婦人と子供を成して、爵位を譲るかもしれない。

そうやって、私は、家のために結婚しても、一族の血が一滴も入らない者に爵名を奪われたマルグリット直系一族最後の者になるかもしれません」

そんな風に理路整然と語る三年生に、若干引きますが、言わんとする事は明瞭です。

早い話が思ったよりローランがクズという事ですよね。

「ねえ」
キャロラインが、
「いっそ、やめたら?結婚。
 なんか、いい事一つもないように聞こえるの」

マルグリット様は、すかさず、
「今更破棄したら、瑕疵かしのある私に婿となる方なんて望めません」

「結んだのは数日前ですよね。だったらさっさと」
「既に周知されてます。乙女通信で」
これには、三名とも、ぐっとつまるしかありませんでした。要はなかった事にしようとしても、私たちのせいで無理という訳です。

「それに」
と、淡々と彼女は続けます。

「私だって、夫となる人がいるのだと、結婚できるのだと思うと、その事実は心が華やぐのです。
ましてや、一生独身で養子をもらうのと、義務としてコール様と結ばれて子をなす事がある可能性とを比べれば、家にとってもどちらが良いか明快です」

ローランが義務を果たして、後継さえもうければ、それで十分だと言うのですね。


「まどろっこしいなあー」
ザビーネが相変わらずのくだけた口調で受けます。この子これで人前では猫をかぶって使い分けるのですから、ある意味立派です。

「つまりは、ローランと添い遂げたいのね?」
「……はい」
「だったら、ローランに貴女の価値を認めさせる事よ」

「価値……」 

キャロラインが賛同します。
「そうよね。マルグリット様はまだ幼いからローランもちゃんと向き合ってないもの。これからよ」

「……私の外面に価値など」
「駄目ですよ、そんな事言ってると、心まで価値がなくなるから」

キャロラインが侃ただします。

「今日初めてのお付き合いですが、少々マルグリット様は見た目に対して卑屈におなりだわ。そんなに素敵な瞳を持っていて、かえって人は嫌味に感じますわ。ご自分が思うほど人は感じてないものですわよ?」

「キャリー」
私が間に入ります。

キャロラインは声は穏やかでも中身が正論すぎて、賢いマルグリット様にとっては反論できずに下を向くしかなくなります。

この口調で泣かせたんでしょうね。

「マルグリット様だって、初めからこんな風にはお考えではなかったと思うの。学園で同じ制服同じ年頃でひとまとめになると、気になる事ってあるじゃない?」

「そうそう!
 身分、出自、見た目、学業、外ヅラ、流行、相手に合わせるコミュニケーション能力、世渡り、そういったものが絡み合う!それが学校!」

ザビーネが参画します。

「スクールカースト!
 マウンティング!
 爽やかイケメン、スポーツキャプテン!
 可愛系女子!綺麗目女子!
 カースト底辺と中間モブは、ずっとテッペンには逆らえない!
 ……そんな社会に私たちは高等部を含めれば九年間もいなきゃいけないのよ?ほーんと、やってらんないわよ!」

ザビーネ。
名前の通りの黒髪黒目、異国風の美人がする啖呵たんかじゃないですわよ。

まあ、そのカーストやらのテッペンゾーンに位置するキャロラインには耳が痛いかもしれないですわね。
私?
ザビーネ好みの美少女ですが平民です。でも、何せ情報通ですからね。カーストやらのどこであろうと渡り合っておりますわ。

「私……王都に来るまで、親交のあるお家がなくって。女の子が何を好むのかも知らないし。社交が出来なくて……人といるより本といたほうが楽で。知識は裏切らないし、駆け引きもいらないし…」

マルグリット様が両手を握って語ります。お辛い事あったんですよね……

「残酷ですからね、特に一年生の頃って。男の子は虚勢はって、残酷な事平気で言うし。女の子は自分を守るために、仲良しを作ってその中に居ない人を蔑おとしめるし。
何とか自分の立ち位置作るのに必死ですから。純朴にお育ちになって、びっくりする事沢山あったのですよね」

「いえ、そんな。そのうち私諦めてしまいました。人に受け入れてもらわなくっても、勉強に差し障りはないって」

「でも、今、差し障るの。コール・ローランには受け入れさせなくっちゃ」

「………」

ど正論だけど、言い方!

「ねえねえ!私たちがいるじゃない!」
斜め上のザビーネが再び、です。
「今夜、私たち3人は、マルグリット様の事理解したわ!そして、確実に、私好みのメガネっ子に自立する事も確信が持てたわ!
 まずは、マルグリット様を目立たせましょう。見た目がご自分でも嫌なら、いくらでもプロデュースするわ!それに、私たちが友達なら、公爵お取り巻きにも対抗できる!
少なくとも、私は、マルグリット様ともっともっと親しくなりたい!」

おお、ザビーネの暴投も結果オーライな事があるのですね。

「私も、マルグリット様と親しくなりたいわ。平民で四年生だけど、宜しいかしら?ビアンカと呼んでくださいな」
「私もよ。私、妹が居なくて、先ほどからマルグリット様が、妹みたいで可愛くて…是非、キャリーって呼んで!」
「ザビーネ!呼び捨てにしてよね!」

三人力技の強気です。マルグリット様は、程なくにっこり微笑んで

「私も、シャロンと。お姉様が三人もできて嬉しいです」
と、受け止めました。

こうして、シャロンは私たち乙女通信の三人娘との絆が出来たのです。
それは、
私たちにとっても、これからの人生に関わる分岐点だったのです。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の逆襲

すけさん
恋愛
断罪される1年前に前世の記憶が甦る! 前世は三十代の子持ちのおばちゃんだった。 素行は悪かった悪役令嬢は、急におばちゃんチックな思想が芽生え恋に友情に新たな一面を見せ始めた事で、断罪を回避するべく奮闘する!

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧乏人とでも結婚すれば?と言われたので、隣国の英雄と結婚しました

ゆっこ
恋愛
 ――あの日、私は確かに笑われた。 「貧乏人とでも結婚すれば? 君にはそれくらいがお似合いだ」  王太子であるエドワード殿下の冷たい言葉が、まるで氷の刃のように胸に突き刺さった。  その場には取り巻きの貴族令嬢たちがいて、皆そろって私を見下ろし、くすくすと笑っていた。  ――婚約破棄。

真実の愛は水晶の中に

立木
恋愛
学園の卒業を祝うパーティーの最中、レイシア・マレーニ侯爵令嬢は第三王子とピンク髪の女、その取り巻きたちによって断罪されようとしていた。 しかし断罪劇は思わぬ方向へ進んでいく。 ※「なろう」にも重複投稿しています。

悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません

由香
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。 破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。 しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。 外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!? さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、 静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。 「恋をすると破滅する」 そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、 断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。

乙女ゲームの断罪シーンの夢を見たのでとりあえず王子を平手打ちしたら夢じゃなかった

恋愛
気が付くとそこは知らないパーティー会場だった。 そこへ入場してきたのは"ビッターバター"王国の王子と、エスコートされた男爵令嬢。 ビッターバターという変な国名を聞いてここがゲームと同じ世界の夢だと気付く。 夢ならいいんじゃない?と王子の顔を平手打ちしようと思った令嬢のお話。  四話構成です。 ※ラテ令嬢の独り言がかなり多いです! お気に入り登録していただけると嬉しいです。 暇つぶしにでもなれば……! 思いつきと勢いで書いたものなので名前が適当&名無しなのでご了承下さい。 一度でもふっと笑ってもらえたら嬉しいです。

婚約破棄された王太子妃候補ですが、私がいなければこの国は三年で滅びるそうです。

カブトム誌
恋愛
王太子主催の舞踏会。 そこで私は「無能」「役立たず」と断罪され、公開の場で婚約を破棄された。 魔力は低く、派手な力もない。 王家に不要だと言われ、私はそのまま国を追放されるはずだった。 けれど彼らは、最後まで気づかなかった。 この国が長年繁栄してきた理由も、 魔獣の侵攻が抑えられていた真の理由も、 すべて私一人に支えられていたことを。 私が国を去ってから、世界は静かに歪み始める。 一方、追放された先で出会ったのは、 私の力を正しく理解し、必要としてくれる人々だった。 これは、婚約破棄された令嬢が“失われて初めて価値を知られる存在”だったと、愚かな王国が思い知るまでの物語。 ※ざまぁ要素あり/後半恋愛あり ※じっくり成り上がり系・長編

毒姫の婚約騒動

SHIN
恋愛
卒業式を迎え、立食パーティーの懇談会が良い意味でも悪い意味でもどことなくざわめいていた。 「卒業パーティーには一人で行ってくれ。」 「分かりました。」 そう婚約者から言われて一人で来ましたが、あら、その婚約者は何処に? あらあら、えっと私に用ですか? 所で、お名前は? 毒姫と呼ばれる普通?の少女と常に手袋を着けている潔癖症?の男のお話し。

処理中です...