断罪の時間です! ざまぁには、ざまぁを!

ぽんぽんぽん

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A ランチの時間です

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「A伯爵令嬢!この度のアーディアへのいじめ、論外である!
私は、お前とは婚姻を結ばない!
破棄だっ!」


昼食時の混雑する食堂。
学園生活でお楽しみの時間に轟く大きな声に、一同はギョッとした。

テラスの一角で友達と食事していたA伯爵令嬢は、テーブルを挟んでふんぞり返って立つ、エー侯爵子息を見遣った。

「なりませんわね。」

緑の瞳は、しっかと向かい側の婚約者と対峙した。

「私が決めたのだ!
お前の様な腹黒いアバズレ!
アーディアは泣いてすがって来たぞ。
聞けば、お前にのけ者にされたり、悪口を目の前で言われたり!
淑女にあるまじき根性の悪さだな!
そのような品格の無い女を妻になどできん!」


(おい。エーは、宰相の)
(ああ。
 切れ物で、生徒会でも殿下の懐刀と信頼の厚い人物だよな。…利発なA嬢とは良縁だと思っていたが)

(平民の娘とねんごろだと言う噂ですわ。ふしだらな女よね)


こんな人目の多い所での修羅場である。回りは固唾を飲んで、成り行きを見守った。

A嬢は、勝気な表情を崩さない。

「わたくしの品格は兎も角。貴方の品性はどこにあるのでしょうね。
 少なくともわたくしは、婚約者のある身で殿方と親しげに身体に触ったり、2人きりで過ごしたりはしておりません」

「そ、それはっ!お前のいじめを告発するためにっ!」

「アーディアと会っていたと?」

「そうだ!」



おかしいですわね……
A嬢は、手帳を取り出し、パラパラとめくると、朗々と読み上げた。


「某月某日!
二限目をおサボりしてエー様はアーディア嬢に中庭で膝枕!ほぼ1時間過ごして、その後手を繋いで生徒会室へ!」

  

        ぐ、具合が悪くて介抱してもらって……



「某月某日!
図書館の片隅で、およそ半刻!
人の出入りのない古書の書架にて、うふふあははと歓びの声を忍んで密着!」


……べ、勉強を教えていてっ!


「某月某日!夜会にて婚約者のわたくしとのダンスをさっさと済ませ、アーディア嬢と3度も連続でダンス!
その後、飲み物を持って、腰を抱いてバルコニーに移動!
戻ったアーディア嬢は控え室にて何故か化粧直しを。エー様は胸元のジャボが裏返しに!」

………。


ここまで「ご報告」されれば、誰でもがエーの様に萎えてしまうだろう。
赤面を通り越して、やや青白くなる顔色に、A嬢は

「……を例として、まだまだございます。
わたくしのいじめとやらも、お可愛く見える事でございましょう。
……あら、まだご不満。ご納得がいかない。成程。
ではっ!どなたかわたくしに水をっ!残り58ページ頑張って朗唱させていただきますっ!」


止めてぇぇぇぇ!
許してぇぇぇぇえ!

周囲は、いたたまれずに、ぞろぞろと午後の教室へ三々五々散っていく。

その間もA嬢の声は響き続けた。


「某月某日っ!」
「ひええぇぇぇぇ……」
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