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それからの二賀斗は、のめり込むように仕事に打ち込んだ。あの子が明日夏の家族の一員として受け入れられるかどうか分からないが、あの子のために少しでも金を稼ごうと昼夜を問わず、報酬の多寡を問わず、できる仕事は何でも引き受けた。資格として所持していた社労士の登録をし、扱える職域も広げた。以前はほとんど顔を出していなかった書士会にも頻繁に足を運び、先輩書士の手伝いや書士会が主催する無料相談会にも積極的に参加するようになった。そして徐々にではあるが、依頼が増えるようになっていった。そのうち、繋がりのある人の紹介で専門学校の講師の依頼を受けるようになると、講師の仕事にも注力するようになった。
二賀斗はひたすら走る、”あの子”のために。葉奈かもしれない、でも葉奈ではないかもしれない”あの子”のためだけにひたむきに真っ直ぐ走った。
そして、自身の運命に負けないと誓った“あの日”から、すでに一年が経とうとしていた。
二賀斗はいつものように疲れ切った顔でアパートの玄関ドアを開けて部屋に入る。時刻は午前0時を過ぎていた。暗く沈んだ部屋に入ると、照明のスイッチをつける。照明が部屋を明るく照らす。カバンをソファの上に放り投げると、二賀斗もソファに勢いよく腰を落とした。疲れた顔つきで閉められたままのカーテンをぼんやりと見つめる。
「……はぁ。……疲れたなぁ」
呟きながらそのまま頭を落とす。伸びきった髪の中に数本ではあるが、白い髪の毛が目立つようになっていた。
「明日の予定は……」
そう言うと、すぐに頭を上げ、カバンの中から予定帳を引っ張り出す。
「えーっと、相続人の調査か。それと午後に講義が入ってるな。依頼者の連絡先は……」
二賀斗はズボンのポケットに手を突っ込むと、スマホを取り出した。
「ん? 着信がある。誰だ?」
画面に着信履歴が表示されている。明日夏からだった。
「……そう言えばしばらく会ってねえな。前は月一ぐらいは必ず会ってたからなぁ。明日夏の家には行けないし、ここんところ俺も忙しくて連絡もしてないから、心配でもしてくれたんかな。……ふぅ、疲れた」
二賀斗は背もたれにもたれると目を閉じた。時刻は午前一時、静まり返った部屋。照明を点けたまま、二賀斗はそっと眠りに就いた。
次の日の正午、二賀斗は明日夏に連絡を入れる。スマホを耳に当てながら二賀斗は顔を上げる。街路樹が小さな若葉で若草色に染まっていた。
「もしもし」
明日夏の優しい声。
「ああ、俺だけど。悪かったね、電話もらったのに出れなくて。気が付いたの夜中だったからさ」
二賀斗は謝りながら、久しぶりに聞く明日夏の柔らかい声に心地よさを感じていた。
「ううん。……忙しいの? ニーさん」
「うん、まあ。ただ駆けずり回ってるだけだけどさ」
歩きながら二賀斗は、やけ気味に苦笑した。
「でもニーさんの声、生き生きとしてるわよ」
明日夏は柔らかい声で答えた。
「……よせよ、疲れ果ててんのに、それよりどうした。久しぶりに飯でも食うか?」
「そうね。しばらく会ってないもんね。……ニーさん、今日って予定どうなってるの?」
「今日は、これから講義があるだけだな。あとは家帰って書類作るだけだから、別にいいよ」
「え? 何、講義って聴講生にでもなってるの?」
明日夏は驚いた声で二賀斗に尋ねた。
「ああ、言ってなかったっけ。専門学校でちょっと講師をしてんだよ。はは、何を教えてんだか」
二賀斗は恥ずかしそうに頭を掻きながら早口で答えた。
「すっごーい。ニーさんすごいよ、頑張ってる。うん」
「いやいやいや、俺のことなんかどうでもいいよ。それより、今日どうすんだ?」
二賀斗は、すこし声を荒げて明日夏に尋ねた。
「じゃあ、ウチで食事しよ。七時でどう?」
その言葉に二賀斗は眉をひそめた。
「……それって。……なあ、今までなんも話が無かったけど。あの子さ、あれからどうなったんだよ」
二賀斗は歩みを停めると、声に力を込めて明日夏に問いかけた。
「それは、お父さんに聞いて。ニーさんとお父さんとの話なんだから」
明日夏の声のトーンが急に静かになった。真冬の寒空に吹く北風のような、冷たい声。
「明日夏、お前知らないのか!」
二賀斗はスマホを耳にこれでもかと言うくらいに押し当てたまま、荒げた声を出した。
「……とりあえず今日ウチに来て、そこでお父さんに直接訪ねてみてよ。じゃ」
無慈悲にも明日夏との通話は、そこで切られた。
「ハア……、ハア……」
二賀斗は立ち止まったまま眼を見開き、荒く息をしていた。行き交う通行人が二賀斗に奇異な視線を向ける。
〈な、何なんだよ、あの言い方。まるで“ショックを受けないように前もって”みたいな言い方で。……もしかして、ダメだったんか?〉
二賀斗の口元が無意識のうちに歪む。
〈まずい、まずいよッ。ダメだなんて! あの日からもう一年近く経ってんだぞ! 今更ダメだなんて。葉奈はもう児童相談所どころか、どっかの施設に入れられてるんだろ? そんな、もう探しようがないじゃないかよ! どうすんだッ! 俺はみすみすこの手から葉奈を離しちまったのかッ!〉
二賀斗は、おぼつかない足取りで街路樹の方に歩み寄ると、そのまま街路樹によりかかった。そして両手で顔を覆うと、力なく腰を落とした。両手の指が小刻みに震えている。
〈クソッ! こんなことになるんなら、始めっから葉奈を連れてどこかに行っちまったほうがよかった! あああッ……〉
身を屈めて小さくうずくまる二賀斗のそばを、人々は関心もなく忙しく行き交っていた。
午後七時。二賀斗の車が明日夏の自宅に到着する。
運転席のドアが開き、二賀斗がゆっくりと車から出てくる。サイドガラスに映る自分自身の顔。陰惨な顔つきを目の当たりにすると、両手を顔に押し当て、洗うかのように顔を擦った。
「……はぁ」
ため息を一つ口から吐くと、門に埋め込まれたドアホンの呼鈴を押した。
「……ニーさん、いらっしゃい。いま玄関を開けるね」
ドアホンから明日夏の声が聞こえてきた。明日夏には何の罪もないが、その声が今の二賀斗にはどうしても忌々しく思えてならなかった。
二賀斗は硬い表情のまま、重い足取りで玄関に向かって歩き出した。
すぐに玄関のドアが開き、明日夏がいつものように目を細めて優しい笑顔で出迎えてくれた。……ただ、二賀斗にはそれがひどく寂しそうに見えてならなかった。
「ニーさん、どうぞ」
「……お邪魔いたします」
二賀斗は、明日夏に向かって他人行儀な口調で挨拶をした。
玄関を抜け、ダイニングに通される。ダイニングテーブルにはすでに鐡哉が陣取っていた。
「おお、よく来た。座れよ」
いやに小さな声で鐡哉が話しかける。
「はい。……ありがとうございます」
二賀斗は、ふて腐れたような言い方で返した。
「今日はいっぱい作ったから、たくさん食べてくださいね」
キッチンから容子が小声で二賀斗に話しかけた。
「……はい」
苦虫を噛むような顔で二賀斗は答える。
二賀斗は鐡哉の正面に座り、明日夏は二賀斗の隣に座った。容子も席に着くと、鐡哉が二賀斗に話しかける。
「頑張ってるそうじゃないか、ヒロ。明日夏から聞いたよ、学校の先生までやるようになったって。すごいな、お前」
二賀斗は思わず苦笑した。
「ああ、いえ。すぐクビになりますよ。大したこと話してませんから」
「そんなことないわよ、すごいことよ」
容子は強く否定するように二賀斗に話しかけた。
「……どうした、元気ないじゃないか。ん?」
鐡哉が眉をひそめて二賀斗を見つめる。
二賀斗は黙ったまま、寂しそうに顔をうつむかせていた。
「うふふふふっ。だからニーさんはいつまでたってもいい人つくれないのよ。ほんっと、鈍感にも程があるわよ」
明日夏は三日月のような目をして、笑いを堪えている。
「はぁ?」
二賀斗は、おぼつかない表情で明日夏を見た。
「明日夏、そんなこと言っちゃ陽生さんに失礼でしょ」
容子が明日夏をたしなめる。
「だって、……もしかしてここからじゃ見えないの?」
「何が見えないんだよ」
二賀斗は、ふて腐れた顔のまま明日夏に冷たく問いかけた。
「あれよ」
明日夏は、左の人差し指をリビングの方に向けた。二賀斗は訝しい顔つきでリビングに目をやる。
「……?」
ソファの奥。南側の掃き出し窓に、白い小さな布団の端が見える。二賀斗は身体をずらしてその先を窺う。
「ん?」
小さな黒い頭が見えた。小さな布団にくるまれて静かに眠っている緑児。
二賀斗は瞬き一つせず、ジッとその姿を見つめた。意識がその子にだけ向けられる。何も聞こえない。真っ白い風景の中にその子の寝姿だけが映し出されている。自分自身がその風景の中にそのまま溶け込んで行ってしまう様な感覚……。
突然、無意識に二賀斗の足がリビングに向かって動き出す。座っていた椅子の足が足首に引っかかり、大きな音を立てて椅子と二賀斗が無様に床に転がる。
「おい!」
「ちょっ!、ニーさん!」
鐡哉と明日夏が驚いて声をかける。
聞こえているのか、いないのか。二賀斗は声も出さずにゆっくり立ち上がると、返答もしないでそのまま真っ直ぐに眠っている稚子に歩み寄った。
「…………」
床に膝を付くと、一心に赤児を見つめる。……母性とも、父性とも違う、包み込むような優しい眼差し。
二賀斗の眼が徐々に赤く染まると、感情のしずくが静かに頬を伝って膝に落ちていく。
「……会いたかったァ。……ほんとに、会いたかったよ」
二賀斗は小さくつぶやいた。その言葉の中には、永く焦がれた二賀斗の想いが凝縮されていた。
明日夏も、鐡哉も、黙って二賀斗の姿を見守っていた。
赤児は小さな布団に包まれて静かに眠っている。四人は、仕切り直しをして夕食を摂り始めた。
「ごめんね、ニーさん。ちょっと驚かせようと思って黙ってたんだけど、……やっぱり、やり過ぎだったよね」
明日夏は、申し訳なさそうな顔で二賀斗に謝った。
「てっきりもう明日夏が話していたと思ってたんだよ。ほんと悪かったな、ヒロ。でもこれでお前の真剣な気持ちってやつが俺にはわかった。いやー、すまなかったな」
鐡哉は、ビールを口に注ぎながら上機嫌で二賀斗に詫びを入れた。
「はは……。いや、ほんとに、とんだところを見せちゃって。……すいません」
二賀斗は、照れながら頭を下げる。
「ごめんなさいね、陽生さん。驚かせちゃって。……これなら私が直接陽生さんに話してたほうがよかったわね。……ほら、陽生さん、食べて」
容子は、そう言いながら二賀斗に取り皿を渡すよう、促した。
「あ、すみません」
恐縮しながら二賀斗は、取り皿を容子に渡した。
明日夏が、箸を取り皿の端に置いた。
「ニーさん、ほんとにゴメンね。少し演出が過ぎちゃった。……ほんとはね、半年前からあの子、ウチに居たのよ。ウチに来てから半年の監護期間の状況で、裁判所が縁組を認めるかどうか判断するってことだったから。……縁組できたのもホント、一週間前のことなのよ」
「……」
二賀斗は微笑みながら黙って明日夏の話を聞いていた。
「ヒロ、お前もよく待っていたな。待ちわびたろ」
鐡哉は、手にしていたグラスをテーブルに置いた。
「……ええ、まあ。運よく仕事が忙しくなったんで、考えてる暇もなかったんですが。……やっぱり気が気でないところもありましたね」
寂しそうに二賀斗は口角を上げた。
「ねー、ニーさん。あの子ね、名前ついてるのよ」
明日夏は嬉しそうに声を出した。
「な、なんて名前になったの」
二賀斗は、眉を曇らせて明日夏に尋ねた。
「如月……葉奈よ!」
「え? ……マジ?」
二賀斗は驚嘆の表情を見せた。
「いい名前でしょ。……身元が分からない子どもって、事務処理上、まずは市町の長が名前をつけるんだって。大体が、そこの地名とか適当な名前を職員が付けちゃうらしいんだけど、お父さんが市長さんに、……まぁ、“葉奈”って名前にして欲しいって、言ってくれたんだって」
明日夏は、心配そうな表情で二賀斗を見つめる。
「他の名前の方が、よかったか?」
鐡哉は、口角を上げて二賀斗に尋ねた。
二賀斗は真っ直ぐ鐡哉を見つめると、背筋を伸ばして答えた。
「めっそうもありません! 本当にありがとうございました。自分には……これ以上、感謝の言葉が見つかりません」
鐡哉は軽くうなずいた。明日夏も安心した表情を見せる。
「まあ、子どもの成長ってのは早いからな。……あっと言う間だぞ、本当に。だから暇が無くても顔を見に来いよ」
鐡哉はそう言うと、うまそうにビールをノドに流し込んだ。
「でもね。こんなこと言うとあれだけど、あの子ほんとに手がかからないのよ。静かに空を見つめているか、寝ているか、どっちかしかしてないのよ。時々、死んじゃってるんじゃないかって心配になるときがあるわ」
容子が笑いながら葉奈の様子を語る。
「……ほんとね。何か赤ん坊らしくないってゆうか、不気味なくらい泣かないのよ。行儀がいいってゆうか。お母さんが二時間おきにミルクを飲ませてるらしいんだけど、それを静かに待ってるってゆうか。……ねえ」
明日夏は母の顔を見ると、母が微笑んでうなづいた。
「……子育てって、こんな楽なのかなーって思っちゃった」
明日夏は笑顔を見せながら肩を上げた。
「……本当にすみません。おばさんにも明日夏にも大変な思いをさせてしまって」
二賀斗は、恐縮した表情でうつむいた。
「だからァ、思ったほど大変じゃないって。ねえ、お母さん」
「そうよ。頭上げて、陽生さん。あっと言う間に大きくなって巣立って行っちゃうわよ」
「ゴメンねぇ、巣立ってなくて」
明日夏は、笑いながら厭味ったらしく母に言う。
テーブルを囲み、明日夏と母・容子が楽しくおしゃべりをしている。そのうち、父も加わり明日夏の幼少期の話で盛り上がっていった。二賀斗はその話に相づちを打ちながらも、視線は小さな布団にくるまれて静かに眠っている葉奈の方に向いていた。
「ほんとに、ありがとうございました」
二賀斗は、玄関先で明日夏の父と母にお辞儀をした。
「ヒロ。お前もこの子の保護者だ。忘れるなよ」
「はい」
二賀斗は背筋を伸ばし、顔を引き締めて鐡哉に答えた。
「ニーさんのこと送ってくるね」
明日夏は二賀斗とともに玄関を出る。
「……明日夏。俺さ、ホントは苛立ってたんだよ。お前が何も言わずにウチに来いって言ってたからさ。……もしかしてダメだったって言われるんじゃないかって思ってた。ほんとにゴメン!」
二賀斗は明日夏に向かって深く頭を下げた。
「謝んないで、私が原因なんだから。……ニーさんはあの子のことほんとに真剣に考えていたのに、ごめんね」
明日夏も申し訳なさそうに二賀斗に言葉をかけた。
「ニーさん。遠慮しないで葉奈ちゃんのこと見に来てよ」
「……ん。ありがと。……それよりさ、俺にできることがあれば何でも言ってくれよ、ホントに。何でもするからさ」
「わかってる。……ねえ。あの子、どんな風に育って行くのかな」
明日夏は、微笑んでみせた。
「……どんな風になって行くんだろね」
二賀斗は下を向くと、頬を緩ませた。
四月間もない惜春の候。深い青色をした夜空には三つの星、春の大三角形が輝いている。
二賀斗は車に乗り込むと、エンジンをかけた。冷え切ったエンジンが高音を鳴らす。
運転席のサイドガラスがゆっくりと降りる。
「……たまに、お邪魔してもいいかな」
二賀斗は、かしこまった顔で明日夏に尋ねた。
明日夏は、笑顔でため息をする。
「だから、言ったでしょ。暇が無くても顔を出してって。子どもなんてすぐ人見知りしちゃうんだからね。遠慮して来ないと、葉奈ちゃんに“知らないおじさん”って言われちゃうぞ。それこそ本末転倒でしょ?」
「うん。そうだね。……いろいろありがとう」
二賀斗は、静かに微笑んだ。
「……葉奈ちゃんのこと、見守って行こうね。二人で」
明日夏は、真剣な表情で二賀斗を見つめた。
「……そうだね。見守っていきたい、ずっと」
二賀斗は伏し目がちになって明日夏から視線をそらすと、控えめに答えた。
車は、ゆっくりと動き出す。ハザードランプが数回、夜の住宅街に点滅すると、車は静かに暗闇に消えていった。
明日夏は、その姿が見えなくなるまで見送っていた。
二賀斗はひたすら走る、”あの子”のために。葉奈かもしれない、でも葉奈ではないかもしれない”あの子”のためだけにひたむきに真っ直ぐ走った。
そして、自身の運命に負けないと誓った“あの日”から、すでに一年が経とうとしていた。
二賀斗はいつものように疲れ切った顔でアパートの玄関ドアを開けて部屋に入る。時刻は午前0時を過ぎていた。暗く沈んだ部屋に入ると、照明のスイッチをつける。照明が部屋を明るく照らす。カバンをソファの上に放り投げると、二賀斗もソファに勢いよく腰を落とした。疲れた顔つきで閉められたままのカーテンをぼんやりと見つめる。
「……はぁ。……疲れたなぁ」
呟きながらそのまま頭を落とす。伸びきった髪の中に数本ではあるが、白い髪の毛が目立つようになっていた。
「明日の予定は……」
そう言うと、すぐに頭を上げ、カバンの中から予定帳を引っ張り出す。
「えーっと、相続人の調査か。それと午後に講義が入ってるな。依頼者の連絡先は……」
二賀斗はズボンのポケットに手を突っ込むと、スマホを取り出した。
「ん? 着信がある。誰だ?」
画面に着信履歴が表示されている。明日夏からだった。
「……そう言えばしばらく会ってねえな。前は月一ぐらいは必ず会ってたからなぁ。明日夏の家には行けないし、ここんところ俺も忙しくて連絡もしてないから、心配でもしてくれたんかな。……ふぅ、疲れた」
二賀斗は背もたれにもたれると目を閉じた。時刻は午前一時、静まり返った部屋。照明を点けたまま、二賀斗はそっと眠りに就いた。
次の日の正午、二賀斗は明日夏に連絡を入れる。スマホを耳に当てながら二賀斗は顔を上げる。街路樹が小さな若葉で若草色に染まっていた。
「もしもし」
明日夏の優しい声。
「ああ、俺だけど。悪かったね、電話もらったのに出れなくて。気が付いたの夜中だったからさ」
二賀斗は謝りながら、久しぶりに聞く明日夏の柔らかい声に心地よさを感じていた。
「ううん。……忙しいの? ニーさん」
「うん、まあ。ただ駆けずり回ってるだけだけどさ」
歩きながら二賀斗は、やけ気味に苦笑した。
「でもニーさんの声、生き生きとしてるわよ」
明日夏は柔らかい声で答えた。
「……よせよ、疲れ果ててんのに、それよりどうした。久しぶりに飯でも食うか?」
「そうね。しばらく会ってないもんね。……ニーさん、今日って予定どうなってるの?」
「今日は、これから講義があるだけだな。あとは家帰って書類作るだけだから、別にいいよ」
「え? 何、講義って聴講生にでもなってるの?」
明日夏は驚いた声で二賀斗に尋ねた。
「ああ、言ってなかったっけ。専門学校でちょっと講師をしてんだよ。はは、何を教えてんだか」
二賀斗は恥ずかしそうに頭を掻きながら早口で答えた。
「すっごーい。ニーさんすごいよ、頑張ってる。うん」
「いやいやいや、俺のことなんかどうでもいいよ。それより、今日どうすんだ?」
二賀斗は、すこし声を荒げて明日夏に尋ねた。
「じゃあ、ウチで食事しよ。七時でどう?」
その言葉に二賀斗は眉をひそめた。
「……それって。……なあ、今までなんも話が無かったけど。あの子さ、あれからどうなったんだよ」
二賀斗は歩みを停めると、声に力を込めて明日夏に問いかけた。
「それは、お父さんに聞いて。ニーさんとお父さんとの話なんだから」
明日夏の声のトーンが急に静かになった。真冬の寒空に吹く北風のような、冷たい声。
「明日夏、お前知らないのか!」
二賀斗はスマホを耳にこれでもかと言うくらいに押し当てたまま、荒げた声を出した。
「……とりあえず今日ウチに来て、そこでお父さんに直接訪ねてみてよ。じゃ」
無慈悲にも明日夏との通話は、そこで切られた。
「ハア……、ハア……」
二賀斗は立ち止まったまま眼を見開き、荒く息をしていた。行き交う通行人が二賀斗に奇異な視線を向ける。
〈な、何なんだよ、あの言い方。まるで“ショックを受けないように前もって”みたいな言い方で。……もしかして、ダメだったんか?〉
二賀斗の口元が無意識のうちに歪む。
〈まずい、まずいよッ。ダメだなんて! あの日からもう一年近く経ってんだぞ! 今更ダメだなんて。葉奈はもう児童相談所どころか、どっかの施設に入れられてるんだろ? そんな、もう探しようがないじゃないかよ! どうすんだッ! 俺はみすみすこの手から葉奈を離しちまったのかッ!〉
二賀斗は、おぼつかない足取りで街路樹の方に歩み寄ると、そのまま街路樹によりかかった。そして両手で顔を覆うと、力なく腰を落とした。両手の指が小刻みに震えている。
〈クソッ! こんなことになるんなら、始めっから葉奈を連れてどこかに行っちまったほうがよかった! あああッ……〉
身を屈めて小さくうずくまる二賀斗のそばを、人々は関心もなく忙しく行き交っていた。
午後七時。二賀斗の車が明日夏の自宅に到着する。
運転席のドアが開き、二賀斗がゆっくりと車から出てくる。サイドガラスに映る自分自身の顔。陰惨な顔つきを目の当たりにすると、両手を顔に押し当て、洗うかのように顔を擦った。
「……はぁ」
ため息を一つ口から吐くと、門に埋め込まれたドアホンの呼鈴を押した。
「……ニーさん、いらっしゃい。いま玄関を開けるね」
ドアホンから明日夏の声が聞こえてきた。明日夏には何の罪もないが、その声が今の二賀斗にはどうしても忌々しく思えてならなかった。
二賀斗は硬い表情のまま、重い足取りで玄関に向かって歩き出した。
すぐに玄関のドアが開き、明日夏がいつものように目を細めて優しい笑顔で出迎えてくれた。……ただ、二賀斗にはそれがひどく寂しそうに見えてならなかった。
「ニーさん、どうぞ」
「……お邪魔いたします」
二賀斗は、明日夏に向かって他人行儀な口調で挨拶をした。
玄関を抜け、ダイニングに通される。ダイニングテーブルにはすでに鐡哉が陣取っていた。
「おお、よく来た。座れよ」
いやに小さな声で鐡哉が話しかける。
「はい。……ありがとうございます」
二賀斗は、ふて腐れたような言い方で返した。
「今日はいっぱい作ったから、たくさん食べてくださいね」
キッチンから容子が小声で二賀斗に話しかけた。
「……はい」
苦虫を噛むような顔で二賀斗は答える。
二賀斗は鐡哉の正面に座り、明日夏は二賀斗の隣に座った。容子も席に着くと、鐡哉が二賀斗に話しかける。
「頑張ってるそうじゃないか、ヒロ。明日夏から聞いたよ、学校の先生までやるようになったって。すごいな、お前」
二賀斗は思わず苦笑した。
「ああ、いえ。すぐクビになりますよ。大したこと話してませんから」
「そんなことないわよ、すごいことよ」
容子は強く否定するように二賀斗に話しかけた。
「……どうした、元気ないじゃないか。ん?」
鐡哉が眉をひそめて二賀斗を見つめる。
二賀斗は黙ったまま、寂しそうに顔をうつむかせていた。
「うふふふふっ。だからニーさんはいつまでたってもいい人つくれないのよ。ほんっと、鈍感にも程があるわよ」
明日夏は三日月のような目をして、笑いを堪えている。
「はぁ?」
二賀斗は、おぼつかない表情で明日夏を見た。
「明日夏、そんなこと言っちゃ陽生さんに失礼でしょ」
容子が明日夏をたしなめる。
「だって、……もしかしてここからじゃ見えないの?」
「何が見えないんだよ」
二賀斗は、ふて腐れた顔のまま明日夏に冷たく問いかけた。
「あれよ」
明日夏は、左の人差し指をリビングの方に向けた。二賀斗は訝しい顔つきでリビングに目をやる。
「……?」
ソファの奥。南側の掃き出し窓に、白い小さな布団の端が見える。二賀斗は身体をずらしてその先を窺う。
「ん?」
小さな黒い頭が見えた。小さな布団にくるまれて静かに眠っている緑児。
二賀斗は瞬き一つせず、ジッとその姿を見つめた。意識がその子にだけ向けられる。何も聞こえない。真っ白い風景の中にその子の寝姿だけが映し出されている。自分自身がその風景の中にそのまま溶け込んで行ってしまう様な感覚……。
突然、無意識に二賀斗の足がリビングに向かって動き出す。座っていた椅子の足が足首に引っかかり、大きな音を立てて椅子と二賀斗が無様に床に転がる。
「おい!」
「ちょっ!、ニーさん!」
鐡哉と明日夏が驚いて声をかける。
聞こえているのか、いないのか。二賀斗は声も出さずにゆっくり立ち上がると、返答もしないでそのまま真っ直ぐに眠っている稚子に歩み寄った。
「…………」
床に膝を付くと、一心に赤児を見つめる。……母性とも、父性とも違う、包み込むような優しい眼差し。
二賀斗の眼が徐々に赤く染まると、感情のしずくが静かに頬を伝って膝に落ちていく。
「……会いたかったァ。……ほんとに、会いたかったよ」
二賀斗は小さくつぶやいた。その言葉の中には、永く焦がれた二賀斗の想いが凝縮されていた。
明日夏も、鐡哉も、黙って二賀斗の姿を見守っていた。
赤児は小さな布団に包まれて静かに眠っている。四人は、仕切り直しをして夕食を摂り始めた。
「ごめんね、ニーさん。ちょっと驚かせようと思って黙ってたんだけど、……やっぱり、やり過ぎだったよね」
明日夏は、申し訳なさそうな顔で二賀斗に謝った。
「てっきりもう明日夏が話していたと思ってたんだよ。ほんと悪かったな、ヒロ。でもこれでお前の真剣な気持ちってやつが俺にはわかった。いやー、すまなかったな」
鐡哉は、ビールを口に注ぎながら上機嫌で二賀斗に詫びを入れた。
「はは……。いや、ほんとに、とんだところを見せちゃって。……すいません」
二賀斗は、照れながら頭を下げる。
「ごめんなさいね、陽生さん。驚かせちゃって。……これなら私が直接陽生さんに話してたほうがよかったわね。……ほら、陽生さん、食べて」
容子は、そう言いながら二賀斗に取り皿を渡すよう、促した。
「あ、すみません」
恐縮しながら二賀斗は、取り皿を容子に渡した。
明日夏が、箸を取り皿の端に置いた。
「ニーさん、ほんとにゴメンね。少し演出が過ぎちゃった。……ほんとはね、半年前からあの子、ウチに居たのよ。ウチに来てから半年の監護期間の状況で、裁判所が縁組を認めるかどうか判断するってことだったから。……縁組できたのもホント、一週間前のことなのよ」
「……」
二賀斗は微笑みながら黙って明日夏の話を聞いていた。
「ヒロ、お前もよく待っていたな。待ちわびたろ」
鐡哉は、手にしていたグラスをテーブルに置いた。
「……ええ、まあ。運よく仕事が忙しくなったんで、考えてる暇もなかったんですが。……やっぱり気が気でないところもありましたね」
寂しそうに二賀斗は口角を上げた。
「ねー、ニーさん。あの子ね、名前ついてるのよ」
明日夏は嬉しそうに声を出した。
「な、なんて名前になったの」
二賀斗は、眉を曇らせて明日夏に尋ねた。
「如月……葉奈よ!」
「え? ……マジ?」
二賀斗は驚嘆の表情を見せた。
「いい名前でしょ。……身元が分からない子どもって、事務処理上、まずは市町の長が名前をつけるんだって。大体が、そこの地名とか適当な名前を職員が付けちゃうらしいんだけど、お父さんが市長さんに、……まぁ、“葉奈”って名前にして欲しいって、言ってくれたんだって」
明日夏は、心配そうな表情で二賀斗を見つめる。
「他の名前の方が、よかったか?」
鐡哉は、口角を上げて二賀斗に尋ねた。
二賀斗は真っ直ぐ鐡哉を見つめると、背筋を伸ばして答えた。
「めっそうもありません! 本当にありがとうございました。自分には……これ以上、感謝の言葉が見つかりません」
鐡哉は軽くうなずいた。明日夏も安心した表情を見せる。
「まあ、子どもの成長ってのは早いからな。……あっと言う間だぞ、本当に。だから暇が無くても顔を見に来いよ」
鐡哉はそう言うと、うまそうにビールをノドに流し込んだ。
「でもね。こんなこと言うとあれだけど、あの子ほんとに手がかからないのよ。静かに空を見つめているか、寝ているか、どっちかしかしてないのよ。時々、死んじゃってるんじゃないかって心配になるときがあるわ」
容子が笑いながら葉奈の様子を語る。
「……ほんとね。何か赤ん坊らしくないってゆうか、不気味なくらい泣かないのよ。行儀がいいってゆうか。お母さんが二時間おきにミルクを飲ませてるらしいんだけど、それを静かに待ってるってゆうか。……ねえ」
明日夏は母の顔を見ると、母が微笑んでうなづいた。
「……子育てって、こんな楽なのかなーって思っちゃった」
明日夏は笑顔を見せながら肩を上げた。
「……本当にすみません。おばさんにも明日夏にも大変な思いをさせてしまって」
二賀斗は、恐縮した表情でうつむいた。
「だからァ、思ったほど大変じゃないって。ねえ、お母さん」
「そうよ。頭上げて、陽生さん。あっと言う間に大きくなって巣立って行っちゃうわよ」
「ゴメンねぇ、巣立ってなくて」
明日夏は、笑いながら厭味ったらしく母に言う。
テーブルを囲み、明日夏と母・容子が楽しくおしゃべりをしている。そのうち、父も加わり明日夏の幼少期の話で盛り上がっていった。二賀斗はその話に相づちを打ちながらも、視線は小さな布団にくるまれて静かに眠っている葉奈の方に向いていた。
「ほんとに、ありがとうございました」
二賀斗は、玄関先で明日夏の父と母にお辞儀をした。
「ヒロ。お前もこの子の保護者だ。忘れるなよ」
「はい」
二賀斗は背筋を伸ばし、顔を引き締めて鐡哉に答えた。
「ニーさんのこと送ってくるね」
明日夏は二賀斗とともに玄関を出る。
「……明日夏。俺さ、ホントは苛立ってたんだよ。お前が何も言わずにウチに来いって言ってたからさ。……もしかしてダメだったって言われるんじゃないかって思ってた。ほんとにゴメン!」
二賀斗は明日夏に向かって深く頭を下げた。
「謝んないで、私が原因なんだから。……ニーさんはあの子のことほんとに真剣に考えていたのに、ごめんね」
明日夏も申し訳なさそうに二賀斗に言葉をかけた。
「ニーさん。遠慮しないで葉奈ちゃんのこと見に来てよ」
「……ん。ありがと。……それよりさ、俺にできることがあれば何でも言ってくれよ、ホントに。何でもするからさ」
「わかってる。……ねえ。あの子、どんな風に育って行くのかな」
明日夏は、微笑んでみせた。
「……どんな風になって行くんだろね」
二賀斗は下を向くと、頬を緩ませた。
四月間もない惜春の候。深い青色をした夜空には三つの星、春の大三角形が輝いている。
二賀斗は車に乗り込むと、エンジンをかけた。冷え切ったエンジンが高音を鳴らす。
運転席のサイドガラスがゆっくりと降りる。
「……たまに、お邪魔してもいいかな」
二賀斗は、かしこまった顔で明日夏に尋ねた。
明日夏は、笑顔でため息をする。
「だから、言ったでしょ。暇が無くても顔を出してって。子どもなんてすぐ人見知りしちゃうんだからね。遠慮して来ないと、葉奈ちゃんに“知らないおじさん”って言われちゃうぞ。それこそ本末転倒でしょ?」
「うん。そうだね。……いろいろありがとう」
二賀斗は、静かに微笑んだ。
「……葉奈ちゃんのこと、見守って行こうね。二人で」
明日夏は、真剣な表情で二賀斗を見つめた。
「……そうだね。見守っていきたい、ずっと」
二賀斗は伏し目がちになって明日夏から視線をそらすと、控えめに答えた。
車は、ゆっくりと動き出す。ハザードランプが数回、夜の住宅街に点滅すると、車は静かに暗闇に消えていった。
明日夏は、その姿が見えなくなるまで見送っていた。
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