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翌日も葉奈は眠り続けた。日中、二賀斗は葉奈の側を一瞬たりとも離れずにいたが、逆に明日夏は小屋には近寄らず日没まで外に居た。
「風呂が沸いたよ。……あーちゃん、先に入れよ」
明日夏は居間の隅にうずくまったままでろくに返答もしなかった。
「……昨日、入ってないだろ。風呂入って、気持ち切り替えようぜ」
二賀斗は笑みを浮かべて明日夏を気遣った。
「……うん」
少しは気分が落ち着いたのか、素直に返事をすると明日夏は立ち上がってそばに畳んであったバスタオルを掴んだ。
「これ、借りるね」
「あ、それじゃないやつにしてくれ」
二賀斗はそのバスタオルを掴んだ。
「なんで? どれでもいいじゃない」
明日夏はまた眉をひそめた。
「ああ、いや。……これ、葉奈が気に入って使ってたやつなんだ。だから、これ以外のにしてくれよ」
「……ニーさん、もしかしてこの子のこと好きなの?」
二賀斗は無言でうつむいた。
「ハ――ッ。この子一体いくつなの。……なに、ニーさんってロリコンなの? だから大学のときもあんなに言い寄ってくる子がいたのに誰にもなびかなかったって訳なのねッ!」
明日夏はお構いなしに感情を二賀斗にぶつけた。それでも二賀斗は黙ったまま下を向いていた。
「ニーさん。……まさか、この子にいたずらしたんじゃないでしょうね!」
「しねーよ! 葉奈は、……俺にとって神聖なものなんだ」
二賀斗は下をむいたまま恥ずかしそうに答えた。
明日夏は首を横に振る。
「……ハァ。ニーさん、今年でいくつになるのよ。……まったく。中学生じゃないのよ!」
明日夏は別のタオルを掴み取ると、音を立てて風呂場に向かって行った。
〈……明らかにあいつの性格は変わった。あんなに感情をむき出しにしてくるなんて〉
二賀斗は眉をひそめると、葉奈が愛用するバスタオルを大事そうに胸に押し当てた。
三日目も葉奈は眠り続ける。
「……ねェニーさん。おかしくない? これだけ眠り続けるなんて」
居間の隅で膝を抱えたまま、明日夏は訝しい顔つきで二賀斗に尋ねた。
「でも自分で呼吸してるし、体温も平熱だ。もうじき起きるよ。……もうじき」
二賀斗は葉奈のそばに腰を落とし、ジッと葉奈を見ていた。
〈葉奈のやつ、なんか疲れてたんかな。こんなに寝るなんて……〉
二賀斗は無意識に右手の親指の爪を噛んだ。
〈……まさか、何かに触れてチカラが発動した? でも周りには変化がない〉
二賀斗は首を横に振った。
〈葉奈。悪いけど君の話してくれたこと、信用してないからな。だから早く起きろよ〉
四日目、葉奈は起きない。
「……やっぱ、病院行ったほうがいいんかな」
二賀斗はさすがに焦りだした。
「なに言ってんのよ! 今頃!」
吠えながらも明日夏は眠っている葉奈を遠目に見ていた。
「……。ねぇニーさん。この子、若くなってない?」
明日夏は眠っている葉奈に恐る恐る近寄った。
「はぁ? 若くなってるんじゃなくて若いんだよ。それよりさ……」
「ねえ! この子若返ってるよ! ねえ!」
明日夏が声を荒げた。
二賀斗は葉奈に顔を近づけた。
「……? いつもと、同じじゃ……」
「何なのよこの子! ……ほんとに、何なの?」
そう言うと明日夏は突然、掛け布団を剥がして葉奈の腹を触りだした。
「何やってんだよ!」
二賀斗は叫んだ。
「だまって! ……何か感じる。なんだろ……出産するような感じ。何かこう、生命力が集まってくるような感じがする。ニー、ホントにいたずらしてないんでしょうね!」
明日夏は二賀斗を睨みつけた。
「してねーって、しつけーよ!」
突如、葉奈の目が開いた。
「おおっ! 葉奈、葉奈ァ! よかったよ、死んだかと思った!」
二賀斗は明日夏を押しのけると、大喜びで葉奈の手を強く握りしめた。
「……ひろ」
かすれた、小さな声で葉奈は呼びかけた。
「なんだ、どうした、腹減ったか?」
二賀斗は微笑んで葉奈に話しかける。
「……ひろ、き。……わたしの、初めて好きになった人の……名前。やさしくて、あったかくて、テレ屋さん。だー、れだ」
葉奈は消えかかる灯のような虚ろな声を出した。
「だ、誰だよ」
二賀斗は葉奈の手を握ったまま目を見開いて尋ねた。
「だー……れだ」
葉奈は瞬きもせず二賀斗を見つめた。
「……お、俺か?」
「……正解」
葉奈はニコッと笑った。
「……あったかい。体が、あったかいよ。……お、お母さん。やっぱり、お母さんの子供だったみたい、私」
「おい、……葉奈?」
葉奈のその言葉に二賀斗は思わず葉奈の頬に手のひらを置いた。……何か、とてつもなく嫌な予感がする。二賀斗の脈動が早くなっていく。この場から逃げ出したい気持ちで胸がいっぱいになった。
「……ひろき。お願い、ね。私もうすぐ、眠りに就くから……そしたら、あの桜の木のそばに……埋めてね。何があっても、必ず……必ず埋めてね。……明日夏さん。明日夏さんの一番のもの、よく見えたよ。……いっぱい、実がつくと……いいね」
葉奈のまぶたが徐々に閉じようとしていた。
「えっ? な、なに?」
明日夏は顔を歪めた。
「……ひろき。あなたの……照れた顔、大好きだった。……また、逢いたいな。逢って……くれる?」
「あ、……あああ……」
「ありがと。……また、逢おう……ね」
そう言うと、葉奈は静かに目を閉じた。二賀斗が握りしめていた葉奈の手にちからは……もう無い。
二賀斗は目を見開いたまま、呆然と葉奈の顔を見つめた。……頭の中で葉奈の声が聞こえる。
“どお? にっかどさん”
“もう、にっかどさんてば!”
初めて出会ったときのこと、一緒に食事をしたときのこと、冗談を言い合ったときのこと、お互いの心の内を吐露したときのこと……。
葉奈と出会った時からのすべての出来事が、堰を切ったかのように一気に二賀斗の頭の中にあふれ出した。
そして大きく手を振りながら笑顔で後ずさりする葉奈の姿が脳裏をよぎる。
「待てェ! 行くなッ! 行くんじゃねえェェ、葉奈ァ! 葉奈アアア!」
二賀斗はとっさに葉奈の胸に耳をあてた。
〈……心臓の音が、聞こえない〉
二賀斗は両手を葉奈の胸に押しつけると、無我夢中になって何度も何度も葉奈の心臓を起こそうとした。
「葉奈アア! おい! 起きろよォォッ!」
それこそ何度も何度も何度も二賀斗は両手に自身の体重を乗せて葉奈の胸を押し続けた。
「はあ、はあ、はあ、はあ、起きろオオオッ!」
……三十分以上続いたその行為が突然、止まった。
二賀斗は小刻みに震える指で優しく、葉奈の小さな唇にふれた。葉奈の頬に涙の粒が落ちてくる。……雨粒のように、落ちてくる。
涙はまるで葉奈自身が流したかのように、彼女の頬を伝って流れていく。
「ハア……ハア、葉奈ァァ……お前、言ったじゃないか! 解消すんのかよオ、俺とのコンビをッ! 行かないでくれェ! 葉奈ああああああああ――――――――!」
二賀斗は葉奈のそばで幼い子どものように大きな声を上げて泣きじゃくった。頭を掻きむしり、こぶしを握り締め、この絶望と怒りを注ぐ矛先を求めた。
「あああああああ――――――――――!」
二賀斗は叫びながら両手を振り上げて思い切り床を叩いた。……何度も何度も叫びながら。そして泣き叫ぶ二賀斗のそばでは、明日夏が恐怖に目を見開いたまま腰を落としていた。
「……ああああ」
明日夏の歯が音を鳴らしながら小刻みに震えている。
「あああ……なんで? ……なんで死ぬの? ……ねえ、ねえ。 ……ねえェ!」
そう言いながら明日夏はその場から必死で逃げるかのようにヒステリックに足をバタつかせ、後ずさりした。
そして尻を引きずりすぐ後ろの居間の柱に背中を思い切り打ちつけても明日夏は狂ったように後ずさりし続けていた。
「い、いやぁぁああああああああ――――――――――――――!」
明日夏はその場でうずくまり大声で泣き出した。
二賀斗は混沌とする頭の中で思った。
〈こんな、こんなことになるなんて。なんでだ、なんでこうなった。……俺のせいか? 俺が……葉奈の命を奪ったのか? 生きていたいって強く願っていた葉奈の命をォ! あ、明日夏をここに呼ばなければ。……いや、こんなにも長くここに留まっていなければ。あの雨の日にここに来なければ。……そもそも葉奈を探すことなんかしなければ。……でも、でももう遅い、今さらもう遅い。巻き戻してくれ! 全部無かったことにしてくれェェ――ッ!〉
「ヴああああああああああああああああああ―――――――――――――!」
部屋の中に二賀斗の咆哮が響き渡った。
「風呂が沸いたよ。……あーちゃん、先に入れよ」
明日夏は居間の隅にうずくまったままでろくに返答もしなかった。
「……昨日、入ってないだろ。風呂入って、気持ち切り替えようぜ」
二賀斗は笑みを浮かべて明日夏を気遣った。
「……うん」
少しは気分が落ち着いたのか、素直に返事をすると明日夏は立ち上がってそばに畳んであったバスタオルを掴んだ。
「これ、借りるね」
「あ、それじゃないやつにしてくれ」
二賀斗はそのバスタオルを掴んだ。
「なんで? どれでもいいじゃない」
明日夏はまた眉をひそめた。
「ああ、いや。……これ、葉奈が気に入って使ってたやつなんだ。だから、これ以外のにしてくれよ」
「……ニーさん、もしかしてこの子のこと好きなの?」
二賀斗は無言でうつむいた。
「ハ――ッ。この子一体いくつなの。……なに、ニーさんってロリコンなの? だから大学のときもあんなに言い寄ってくる子がいたのに誰にもなびかなかったって訳なのねッ!」
明日夏はお構いなしに感情を二賀斗にぶつけた。それでも二賀斗は黙ったまま下を向いていた。
「ニーさん。……まさか、この子にいたずらしたんじゃないでしょうね!」
「しねーよ! 葉奈は、……俺にとって神聖なものなんだ」
二賀斗は下をむいたまま恥ずかしそうに答えた。
明日夏は首を横に振る。
「……ハァ。ニーさん、今年でいくつになるのよ。……まったく。中学生じゃないのよ!」
明日夏は別のタオルを掴み取ると、音を立てて風呂場に向かって行った。
〈……明らかにあいつの性格は変わった。あんなに感情をむき出しにしてくるなんて〉
二賀斗は眉をひそめると、葉奈が愛用するバスタオルを大事そうに胸に押し当てた。
三日目も葉奈は眠り続ける。
「……ねェニーさん。おかしくない? これだけ眠り続けるなんて」
居間の隅で膝を抱えたまま、明日夏は訝しい顔つきで二賀斗に尋ねた。
「でも自分で呼吸してるし、体温も平熱だ。もうじき起きるよ。……もうじき」
二賀斗は葉奈のそばに腰を落とし、ジッと葉奈を見ていた。
〈葉奈のやつ、なんか疲れてたんかな。こんなに寝るなんて……〉
二賀斗は無意識に右手の親指の爪を噛んだ。
〈……まさか、何かに触れてチカラが発動した? でも周りには変化がない〉
二賀斗は首を横に振った。
〈葉奈。悪いけど君の話してくれたこと、信用してないからな。だから早く起きろよ〉
四日目、葉奈は起きない。
「……やっぱ、病院行ったほうがいいんかな」
二賀斗はさすがに焦りだした。
「なに言ってんのよ! 今頃!」
吠えながらも明日夏は眠っている葉奈を遠目に見ていた。
「……。ねぇニーさん。この子、若くなってない?」
明日夏は眠っている葉奈に恐る恐る近寄った。
「はぁ? 若くなってるんじゃなくて若いんだよ。それよりさ……」
「ねえ! この子若返ってるよ! ねえ!」
明日夏が声を荒げた。
二賀斗は葉奈に顔を近づけた。
「……? いつもと、同じじゃ……」
「何なのよこの子! ……ほんとに、何なの?」
そう言うと明日夏は突然、掛け布団を剥がして葉奈の腹を触りだした。
「何やってんだよ!」
二賀斗は叫んだ。
「だまって! ……何か感じる。なんだろ……出産するような感じ。何かこう、生命力が集まってくるような感じがする。ニー、ホントにいたずらしてないんでしょうね!」
明日夏は二賀斗を睨みつけた。
「してねーって、しつけーよ!」
突如、葉奈の目が開いた。
「おおっ! 葉奈、葉奈ァ! よかったよ、死んだかと思った!」
二賀斗は明日夏を押しのけると、大喜びで葉奈の手を強く握りしめた。
「……ひろ」
かすれた、小さな声で葉奈は呼びかけた。
「なんだ、どうした、腹減ったか?」
二賀斗は微笑んで葉奈に話しかける。
「……ひろ、き。……わたしの、初めて好きになった人の……名前。やさしくて、あったかくて、テレ屋さん。だー、れだ」
葉奈は消えかかる灯のような虚ろな声を出した。
「だ、誰だよ」
二賀斗は葉奈の手を握ったまま目を見開いて尋ねた。
「だー……れだ」
葉奈は瞬きもせず二賀斗を見つめた。
「……お、俺か?」
「……正解」
葉奈はニコッと笑った。
「……あったかい。体が、あったかいよ。……お、お母さん。やっぱり、お母さんの子供だったみたい、私」
「おい、……葉奈?」
葉奈のその言葉に二賀斗は思わず葉奈の頬に手のひらを置いた。……何か、とてつもなく嫌な予感がする。二賀斗の脈動が早くなっていく。この場から逃げ出したい気持ちで胸がいっぱいになった。
「……ひろき。お願い、ね。私もうすぐ、眠りに就くから……そしたら、あの桜の木のそばに……埋めてね。何があっても、必ず……必ず埋めてね。……明日夏さん。明日夏さんの一番のもの、よく見えたよ。……いっぱい、実がつくと……いいね」
葉奈のまぶたが徐々に閉じようとしていた。
「えっ? な、なに?」
明日夏は顔を歪めた。
「……ひろき。あなたの……照れた顔、大好きだった。……また、逢いたいな。逢って……くれる?」
「あ、……あああ……」
「ありがと。……また、逢おう……ね」
そう言うと、葉奈は静かに目を閉じた。二賀斗が握りしめていた葉奈の手にちからは……もう無い。
二賀斗は目を見開いたまま、呆然と葉奈の顔を見つめた。……頭の中で葉奈の声が聞こえる。
“どお? にっかどさん”
“もう、にっかどさんてば!”
初めて出会ったときのこと、一緒に食事をしたときのこと、冗談を言い合ったときのこと、お互いの心の内を吐露したときのこと……。
葉奈と出会った時からのすべての出来事が、堰を切ったかのように一気に二賀斗の頭の中にあふれ出した。
そして大きく手を振りながら笑顔で後ずさりする葉奈の姿が脳裏をよぎる。
「待てェ! 行くなッ! 行くんじゃねえェェ、葉奈ァ! 葉奈アアア!」
二賀斗はとっさに葉奈の胸に耳をあてた。
〈……心臓の音が、聞こえない〉
二賀斗は両手を葉奈の胸に押しつけると、無我夢中になって何度も何度も葉奈の心臓を起こそうとした。
「葉奈アア! おい! 起きろよォォッ!」
それこそ何度も何度も何度も二賀斗は両手に自身の体重を乗せて葉奈の胸を押し続けた。
「はあ、はあ、はあ、はあ、起きろオオオッ!」
……三十分以上続いたその行為が突然、止まった。
二賀斗は小刻みに震える指で優しく、葉奈の小さな唇にふれた。葉奈の頬に涙の粒が落ちてくる。……雨粒のように、落ちてくる。
涙はまるで葉奈自身が流したかのように、彼女の頬を伝って流れていく。
「ハア……ハア、葉奈ァァ……お前、言ったじゃないか! 解消すんのかよオ、俺とのコンビをッ! 行かないでくれェ! 葉奈ああああああああ――――――――!」
二賀斗は葉奈のそばで幼い子どものように大きな声を上げて泣きじゃくった。頭を掻きむしり、こぶしを握り締め、この絶望と怒りを注ぐ矛先を求めた。
「あああああああ――――――――――!」
二賀斗は叫びながら両手を振り上げて思い切り床を叩いた。……何度も何度も叫びながら。そして泣き叫ぶ二賀斗のそばでは、明日夏が恐怖に目を見開いたまま腰を落としていた。
「……ああああ」
明日夏の歯が音を鳴らしながら小刻みに震えている。
「あああ……なんで? ……なんで死ぬの? ……ねえ、ねえ。 ……ねえェ!」
そう言いながら明日夏はその場から必死で逃げるかのようにヒステリックに足をバタつかせ、後ずさりした。
そして尻を引きずりすぐ後ろの居間の柱に背中を思い切り打ちつけても明日夏は狂ったように後ずさりし続けていた。
「い、いやぁぁああああああああ――――――――――――――!」
明日夏はその場でうずくまり大声で泣き出した。
二賀斗は混沌とする頭の中で思った。
〈こんな、こんなことになるなんて。なんでだ、なんでこうなった。……俺のせいか? 俺が……葉奈の命を奪ったのか? 生きていたいって強く願っていた葉奈の命をォ! あ、明日夏をここに呼ばなければ。……いや、こんなにも長くここに留まっていなければ。あの雨の日にここに来なければ。……そもそも葉奈を探すことなんかしなければ。……でも、でももう遅い、今さらもう遅い。巻き戻してくれ! 全部無かったことにしてくれェェ――ッ!〉
「ヴああああああああああああああああああ―――――――――――――!」
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