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葉奈が深い眠りに就いてから何時間経ったろうか。居間の中は物音一つなく静まり返っている。
二賀斗も明日夏も泣き疲れ、二人はそれぞれ黙ったままじっと居間の柱にもたれ掛かっていた。
両人とも目を赤く腫らし、焦燥しきった表情をしていた。二賀斗は足を放り投げ、ぼんやりと床を見ている。……ただぼんやりと、床をその目に映していた。
風になびく栗色の短い髪。こちらを向いて柔らかく微笑む少女の姿。
抜け殻のように柱に寄りかかった二賀斗の脳裏には、いくつもの葉奈の笑顔が浮かんでいた。
“……必ずね。お願い”
二賀斗の頭にふと葉奈の言葉が浮かんだ。二賀斗は二、三回まばたきをするとおもむろに立ち上がり、明日夏に声をかけた。
「行くぞ」
明日夏はぼんやりと顔を上げた。
「……え? 帰るの?」
明日夏は覇気のない声で二賀斗に尋ねた。
「いや、葉奈を埋める」
「はあ? う、埋めちゃっていいの? 警察、呼ぼうよ」
明日夏は今にも泣きそうな顔つきで二賀斗に言った。
「……やってあげなきゃ。これが……葉奈の最後の願いなんだから」
二賀斗は準備をしだした。
「い、いいの? 動物埋めるのとちがうのよ。勝手に埋めちゃったら犯罪になるんじゃないの?」
明日夏もおもわず立ち上がった。
「……責任は俺がとる。明日夏はここに居なかった。それでいいだろ? 俺は何があっても葉奈との約束だけは果たさなきゃならないんだッ」
何かに駆り立てられたかのように二賀斗は眠りについた葉奈を背負うと、そのまま満天の星空が輝く真夜中の世界へ連れ出した。
「葉奈、見てごらん。君の好きだった星がこんなにも輝いているよ」
二賀斗は口をつぐんだままもたれ掛かる葉奈に声をかけながら山桜の木に向かった。明日夏はスコップを持ってその後を追いかける。
山桜の木に着くと二賀斗はそうっとやさしく葉奈を地面に下ろし、桜の木の近くにスコップで穴を掘り始めた。
静かな夜中の山に地面を割き、そして土をかき出す音が響く。
「グズッ、……ハァ……ハァ……」
鼻をすすりながら二賀斗は穴を掘り進める。明日夏は腰を下ろしてぼんやりと二賀斗の様子を眺めていた。
「ハア……、ハア……。これくらいでいいだろう」
二賀斗は穴から出ると、土で汚れた手を腰に押し当てて土をぬぐった。
「あー。……手伝って、くれないか?」
「……ん」
明日夏は無表情のままそう答えた。
そして二人で葉奈を掘り起こした穴にそっと沈めた。
二賀斗はしばらくのあいだ横たわった葉奈の姿を虚ろな目で見つめた。明日夏も黙ったまま同じように葉奈を見つめていた。
いつの間にか夜空には何処からともなく雲が現れ始めた。
冷たい風が明日夏の髪をフワッと揺らす。ふと長いこと立ち尽くしていたことに気付いた明日夏は顔を上げて二賀斗を見た。
「……ニーさん。葉奈ちゃん、寒がってるかもよ。……埋めてあげよ」
明日夏は耳を澄まさないと聞こえないほどのか細い声で二賀斗を促した。
その言葉を聞いても二賀斗は立ち尽くしたままでいる。明日夏はそれ以上何も言わず、黙って二賀斗を見つめてた。
しばらくすると二賀斗はスコップを握り、横たわっている葉奈の足元から静かに土を被せていった。
足が覆われ、膝が覆われ、葉奈の身体が徐々に土で覆われていく。
……こんなにも涙ってものは出てくるのか。そう思うくらい二賀斗の目からは葉奈を想う涙が止めどなく流れていた。
顔以外の部分が土で覆われると、ふいに明日夏がハンカチを取り出した。
「ニーさん、これ。……女の子の顔に直接、土なんかかけちゃだめよ」
二賀斗は明日夏のそのやさしさに思わず唇を噛みしめた。
「……ありがと」
二賀斗は明日夏からハンカチを受け取ると、そのまま膝を突き、葉奈の顔にそっとハンカチを乗せた。
「……葉奈。こんな俺に飽きもせずいままで付き合ってくれてありがとう。……君と過ごした何気ない毎日が……本当に、本当に大切な時間だったんだってわかったよ。ありがとう、好きになってくれて。……大好きだよ葉奈。……また、逢おうな」
二賀斗は涙声でそう言うと、手のひらで土をすくい静かにハンカチの上に被せていった。
明日夏は二賀斗の姿を目に映しながら、ぼんやりと収と過ごした日々を思い出していた。
二人が穴を埋め終わったあたりから急に雨が降り出してきた。
本降りというほどではない、弱い雨が大地に染み込んでゆく。
二人は小屋の縁側に並んで座り、しばらく佇んでいた。
「……あーちゃん、ごめんな」
二賀斗はうつむいて明日夏に謝った。
「……ん? なんで?」
明日夏もうつむきながら答えた。
「……俺、あーちゃんが収を失った気持ちをきちんと理解できてなかったよ。……ホント、どうしようもないバカな人間だ」
二賀斗が発したそんな言葉に対し、明日夏は寂しそうに微笑んで応えた。
「……失ったことのある人じゃないとたぶん、そういう気持ちってわからないよね。……でも、こんなこと分かりあいたくないけどね」
二賀斗は明日夏の何気ない台詞を聞くと、うつむいたまま唇を噛みしめた。
「あーちゃんは強いよ。あんなに大切な収がいなくなったって、前を向いて歩いてる。それに比べて俺は弱い人間だ。……もう、このまま消えてしまいたい」
二賀斗はそう言うと背中を丸めた。
「やめてよ! もうこれ以上私を苦しめないでッ! 大好きな人と信頼できる人の両方を失うなんて、そんなの……どっちか一人でもう十分よ!」
明日夏は下を向いたまま吠えるように言い放った。
「……」
背中を丸めたまま二賀斗は何も答えなかった。……なにも、答えられなかった。
「……ニーさん、葉奈ちゃんは何で死んじゃったんだろ。持病かなにか持ってたの?」
二賀斗は背中を丸めたまま口を開いた。
「……わかんない。……今さら言うことじゃないけど、葉奈の話だと葉奈の家族ってさ、人間が持っている願望ってヤツを実現させるチカラを持っていたんだってさ。ただ、自分じゃそれをコントロールできないんだって。……強烈な願望に触れちまうと突発的にそのチカラが発動しちまうんだってよ。……でも、死んじまうなんて話、俺は聞いてなかった……」
「……えっ? じ、じゃあ、おじいちゃんの言ってたことって、ウソじゃなかったってこと?」
二賀斗の丸まった背中に向けて明日夏は目を見開いて尋ねた。
「さあてね。……今さらそんな話、どうだっていいよ。……それよりお前、力が欲しいって言ってたよな、葉奈に向かって。お前、どんな力が欲しかったんだよ!」
突然、二賀斗は身体を起こすと明日夏に食ってかかった。
明日夏は怯えた顔をすると、横を向いて二賀斗の視線から逃れた。
「……ご、ごめんなさい! 私、ニーさんのこといいように使ってた。……ホ、ホントはね、本当は私、収のこと生き返らせたかったの! お、おじいちゃんの話を思い出したとき、もしかしたら奇跡のチカラってあるのかもって思ったの。もう……、もうそう思っちゃったらどうしてもあの人のことを見つけたくなっちゃったのよッ!でも私なんかじゃとても探し出せないから、一か八かでニーさんを頼ったの。……私、どうしても収を取り戻したかった! だってあいつ、どんどん先に行っちゃうんだもん! なんで私のこと置いてくの? 置いてかないでよッ! うええ……えええん……」
明日夏は両手で顔を覆うと子供のように泣き出した。
「……置いてかないでって、先頭行ってたのはお前なんじゃないのか?」
眉をひそめて二賀斗は言った。
「ううっ……そ、そんなことない。初めは収を誘ってやってたよ。でもね、だんだんあれもやろう、こうしたほうがいいって、私なんかよりもずっといいアイデア出したり、動き回ってた。……私、収に追いつきたかった。収と一緒にやっていきたかったのに……勝手に海まで渡って……うえええ……」
明日夏は背中を丸めて泣きじゃくる。
〈……あいつも一本気なところがあったからなぁ〉
二賀斗は下を向いてため息をついた。
「グスッ……でもね、でもニーさんにお願いした後、ボランティアしたときに収と一緒に撮った写真とか、イベントの企画書とかを見返してみたの。……そしたらね、もしかしたら私にできることって収を取り戻すことじゃなくって、収の想いに追いつくことなんじゃないかなって思い始めたの。……だから今の私には、森の生き物を救うことしか、グスッ……それしか頭にないわ。そのために力が欲しかったのよ。……うええ」
明日夏は涙を含んだ声で答えた。
「……ハァ」
二賀斗は深いため息をついた。
〈……俺も明日夏も、なんでこんなに暗い渦の中に入り込んじまったんだろう〉
明日夏はいつまでも泣き続ける。二人の足元のくぼみには小さな水たまりができ始めていた。
静かな小雨が降り続く中、二賀斗も明日夏もしばらくうつむいたまま、その場を離れようとはしなかった。
二賀斗も明日夏も泣き疲れ、二人はそれぞれ黙ったままじっと居間の柱にもたれ掛かっていた。
両人とも目を赤く腫らし、焦燥しきった表情をしていた。二賀斗は足を放り投げ、ぼんやりと床を見ている。……ただぼんやりと、床をその目に映していた。
風になびく栗色の短い髪。こちらを向いて柔らかく微笑む少女の姿。
抜け殻のように柱に寄りかかった二賀斗の脳裏には、いくつもの葉奈の笑顔が浮かんでいた。
“……必ずね。お願い”
二賀斗の頭にふと葉奈の言葉が浮かんだ。二賀斗は二、三回まばたきをするとおもむろに立ち上がり、明日夏に声をかけた。
「行くぞ」
明日夏はぼんやりと顔を上げた。
「……え? 帰るの?」
明日夏は覇気のない声で二賀斗に尋ねた。
「いや、葉奈を埋める」
「はあ? う、埋めちゃっていいの? 警察、呼ぼうよ」
明日夏は今にも泣きそうな顔つきで二賀斗に言った。
「……やってあげなきゃ。これが……葉奈の最後の願いなんだから」
二賀斗は準備をしだした。
「い、いいの? 動物埋めるのとちがうのよ。勝手に埋めちゃったら犯罪になるんじゃないの?」
明日夏もおもわず立ち上がった。
「……責任は俺がとる。明日夏はここに居なかった。それでいいだろ? 俺は何があっても葉奈との約束だけは果たさなきゃならないんだッ」
何かに駆り立てられたかのように二賀斗は眠りについた葉奈を背負うと、そのまま満天の星空が輝く真夜中の世界へ連れ出した。
「葉奈、見てごらん。君の好きだった星がこんなにも輝いているよ」
二賀斗は口をつぐんだままもたれ掛かる葉奈に声をかけながら山桜の木に向かった。明日夏はスコップを持ってその後を追いかける。
山桜の木に着くと二賀斗はそうっとやさしく葉奈を地面に下ろし、桜の木の近くにスコップで穴を掘り始めた。
静かな夜中の山に地面を割き、そして土をかき出す音が響く。
「グズッ、……ハァ……ハァ……」
鼻をすすりながら二賀斗は穴を掘り進める。明日夏は腰を下ろしてぼんやりと二賀斗の様子を眺めていた。
「ハア……、ハア……。これくらいでいいだろう」
二賀斗は穴から出ると、土で汚れた手を腰に押し当てて土をぬぐった。
「あー。……手伝って、くれないか?」
「……ん」
明日夏は無表情のままそう答えた。
そして二人で葉奈を掘り起こした穴にそっと沈めた。
二賀斗はしばらくのあいだ横たわった葉奈の姿を虚ろな目で見つめた。明日夏も黙ったまま同じように葉奈を見つめていた。
いつの間にか夜空には何処からともなく雲が現れ始めた。
冷たい風が明日夏の髪をフワッと揺らす。ふと長いこと立ち尽くしていたことに気付いた明日夏は顔を上げて二賀斗を見た。
「……ニーさん。葉奈ちゃん、寒がってるかもよ。……埋めてあげよ」
明日夏は耳を澄まさないと聞こえないほどのか細い声で二賀斗を促した。
その言葉を聞いても二賀斗は立ち尽くしたままでいる。明日夏はそれ以上何も言わず、黙って二賀斗を見つめてた。
しばらくすると二賀斗はスコップを握り、横たわっている葉奈の足元から静かに土を被せていった。
足が覆われ、膝が覆われ、葉奈の身体が徐々に土で覆われていく。
……こんなにも涙ってものは出てくるのか。そう思うくらい二賀斗の目からは葉奈を想う涙が止めどなく流れていた。
顔以外の部分が土で覆われると、ふいに明日夏がハンカチを取り出した。
「ニーさん、これ。……女の子の顔に直接、土なんかかけちゃだめよ」
二賀斗は明日夏のそのやさしさに思わず唇を噛みしめた。
「……ありがと」
二賀斗は明日夏からハンカチを受け取ると、そのまま膝を突き、葉奈の顔にそっとハンカチを乗せた。
「……葉奈。こんな俺に飽きもせずいままで付き合ってくれてありがとう。……君と過ごした何気ない毎日が……本当に、本当に大切な時間だったんだってわかったよ。ありがとう、好きになってくれて。……大好きだよ葉奈。……また、逢おうな」
二賀斗は涙声でそう言うと、手のひらで土をすくい静かにハンカチの上に被せていった。
明日夏は二賀斗の姿を目に映しながら、ぼんやりと収と過ごした日々を思い出していた。
二人が穴を埋め終わったあたりから急に雨が降り出してきた。
本降りというほどではない、弱い雨が大地に染み込んでゆく。
二人は小屋の縁側に並んで座り、しばらく佇んでいた。
「……あーちゃん、ごめんな」
二賀斗はうつむいて明日夏に謝った。
「……ん? なんで?」
明日夏もうつむきながら答えた。
「……俺、あーちゃんが収を失った気持ちをきちんと理解できてなかったよ。……ホント、どうしようもないバカな人間だ」
二賀斗が発したそんな言葉に対し、明日夏は寂しそうに微笑んで応えた。
「……失ったことのある人じゃないとたぶん、そういう気持ちってわからないよね。……でも、こんなこと分かりあいたくないけどね」
二賀斗は明日夏の何気ない台詞を聞くと、うつむいたまま唇を噛みしめた。
「あーちゃんは強いよ。あんなに大切な収がいなくなったって、前を向いて歩いてる。それに比べて俺は弱い人間だ。……もう、このまま消えてしまいたい」
二賀斗はそう言うと背中を丸めた。
「やめてよ! もうこれ以上私を苦しめないでッ! 大好きな人と信頼できる人の両方を失うなんて、そんなの……どっちか一人でもう十分よ!」
明日夏は下を向いたまま吠えるように言い放った。
「……」
背中を丸めたまま二賀斗は何も答えなかった。……なにも、答えられなかった。
「……ニーさん、葉奈ちゃんは何で死んじゃったんだろ。持病かなにか持ってたの?」
二賀斗は背中を丸めたまま口を開いた。
「……わかんない。……今さら言うことじゃないけど、葉奈の話だと葉奈の家族ってさ、人間が持っている願望ってヤツを実現させるチカラを持っていたんだってさ。ただ、自分じゃそれをコントロールできないんだって。……強烈な願望に触れちまうと突発的にそのチカラが発動しちまうんだってよ。……でも、死んじまうなんて話、俺は聞いてなかった……」
「……えっ? じ、じゃあ、おじいちゃんの言ってたことって、ウソじゃなかったってこと?」
二賀斗の丸まった背中に向けて明日夏は目を見開いて尋ねた。
「さあてね。……今さらそんな話、どうだっていいよ。……それよりお前、力が欲しいって言ってたよな、葉奈に向かって。お前、どんな力が欲しかったんだよ!」
突然、二賀斗は身体を起こすと明日夏に食ってかかった。
明日夏は怯えた顔をすると、横を向いて二賀斗の視線から逃れた。
「……ご、ごめんなさい! 私、ニーさんのこといいように使ってた。……ホ、ホントはね、本当は私、収のこと生き返らせたかったの! お、おじいちゃんの話を思い出したとき、もしかしたら奇跡のチカラってあるのかもって思ったの。もう……、もうそう思っちゃったらどうしてもあの人のことを見つけたくなっちゃったのよッ!でも私なんかじゃとても探し出せないから、一か八かでニーさんを頼ったの。……私、どうしても収を取り戻したかった! だってあいつ、どんどん先に行っちゃうんだもん! なんで私のこと置いてくの? 置いてかないでよッ! うええ……えええん……」
明日夏は両手で顔を覆うと子供のように泣き出した。
「……置いてかないでって、先頭行ってたのはお前なんじゃないのか?」
眉をひそめて二賀斗は言った。
「ううっ……そ、そんなことない。初めは収を誘ってやってたよ。でもね、だんだんあれもやろう、こうしたほうがいいって、私なんかよりもずっといいアイデア出したり、動き回ってた。……私、収に追いつきたかった。収と一緒にやっていきたかったのに……勝手に海まで渡って……うえええ……」
明日夏は背中を丸めて泣きじゃくる。
〈……あいつも一本気なところがあったからなぁ〉
二賀斗は下を向いてため息をついた。
「グスッ……でもね、でもニーさんにお願いした後、ボランティアしたときに収と一緒に撮った写真とか、イベントの企画書とかを見返してみたの。……そしたらね、もしかしたら私にできることって収を取り戻すことじゃなくって、収の想いに追いつくことなんじゃないかなって思い始めたの。……だから今の私には、森の生き物を救うことしか、グスッ……それしか頭にないわ。そのために力が欲しかったのよ。……うええ」
明日夏は涙を含んだ声で答えた。
「……ハァ」
二賀斗は深いため息をついた。
〈……俺も明日夏も、なんでこんなに暗い渦の中に入り込んじまったんだろう〉
明日夏はいつまでも泣き続ける。二人の足元のくぼみには小さな水たまりができ始めていた。
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