陰キャでオタクな修行僧とキャビンアテンダント

僕が修行僧になったきっかけ

修行僧とは

”修行僧”

一般的な意味としては、悟りを開くために修行を行う僧侶のことを意味している。

しかし、もう一つの意味では、ある特定の目的を達成するために苦行を続ける人を揶揄する意味でも使われる。

僕は後者の意味で使われる修行僧に該当する。




僕が熱中しているのは、エアラインのマイレージプログラムにおいて、上級会員と呼ばれるステータスを獲得するために何度も飛行機に搭乗することである。

本来であれば、仕事で飛行機を何度も利用する人を対象としたマイレージプログラム制度であり、ヘビーユーザーを囲い込むための施策であると思われるが、私のようにステータス獲得に執念を燃やして参加する猛者も後を絶たない。
最近ではバラエティー番組にて芸能人がエアラインの上級会員制度について解説したり、ラウンジや優先登場の仕組みを紹介したりしていることから、飛行機にほとんど乗らない人にも認知が進んでいるように感じる。


この飛行機に何度も搭乗する修行より得られるものは、エアラインの上級会員ステータスだけ。
よって、飛行機やステータスに興味のない一般人には理解しがたい行為かもしれない。
そのため、修行中はキャビンアテンダントやグランドスタッフ、そして周囲の乗客から自分が修行僧であることが知られると、思わず白い目で見られることは日常茶飯事だ。

但し、修行を経た者はその経験を快感と思うような境地に達する。

僕もその境地に達する”悟り”を開きたく修行に勤しむ。

上級会員のステータスを獲得した者に与えられる特権というのは、空港にあるラウンジを無料で利用できたり、優先搭乗により誰よりも早く機内で着席ができたり、専用のチェックインカウンターにて荷物を預けることができたり、様々な特典がある。
その特典を受ける度に自分が上級会員であることの快楽に浸ることができる。

30代半ばになっても結婚しておらず、更には年齢＝彼女いない歴の僕には趣味がなかった。
平日は家と会社を往復し、しがない中小企業に勤める平凡なサラリーマン生活を送る僕に、修行というイベントは上級会員のステータスを得るだけではなく目標を持つということで人生に華を咲かせてくれた。