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第二章
第十八話
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それから少しして。
「できた!」
そういうセレナの右手には、小さな青色の球体が浮いている。
「これでいいんだよね⁉」
興奮した様子のセレナは、俺が頷いたのを見てその場で小さく跳ねている。
「よし、じゃあ忘れないうちに体に叩き込むぞ」
「へ? どうするの?」
「ちょっと待ってろ」
首を傾げるセレナを置いて、俺は1階層を練り歩く。
「お、いたいた」
そこにいたのはゴブリンだ。それも二体。
俺はあえて大きな音を立てて近づく。
すぐに反応したゴブリンの瞳が、俺を捕らえる。
「はッ」
瞬時に間合いを詰めて、右側のゴブリンの左手を切り落とす。
「グギャッ⁉」
ゴブリンが悲鳴を上げて、数歩よろめく。
それを確認して、俺は踵を返してダッシュ。
「グギャッ!」
怒りを覚えたゴブリンが俺の後を追ってくる。
後はこれを、セレナにプレゼントとして押し付けてやればいい。
「セレナ!」
「あ、帰ってきた。って、何そのゴブリン⁉」
俺の後を数秒遅れて追いかけてくるゴブリンを見つけ、瞬時に杖を構える。
ゴブリンも新たな敵が現れたため、路地の入口で止まった。
俺はその隙にセレナの背後まで走る。
「わかってるな? さっき覚えた魔力制御でセーブしつつ、ゴブリンを倒せ。俺は後ろにいるから、誤れば俺もダメージを負う」
「う、うん」
俺の意図を理解したらしいセレナが、目を瞑って深呼吸を一つ。
目を開ける。
「行くよ!」
杖の先端に魔力が集まる。が、オークを倒したときのように全力ではなく、きちんとセーブできている。
「爆ぜろ!」
セレナの杖の先端から放たれた魔力の塊がゴブリンに直撃し、爆ぜる。
「グギャッ⁉」
ゴブリン二体の悲鳴が重なる。
が、セーブすることに集中しすぎたためか、煙の中で動く影を、俺は捕らえた。
セレナはというと、俺に被害が出ていないのを確認するために後ろを向いていて、気が付いていない。
「グギャッ!」
俺が先ほど負傷させた方ではないゴブリンが、煙を突き破ってセレナに襲い掛かる。
「え?」
セレナの反応は間に合わない。
「ふッ!」
セレナの脇を抜け、俺の放った剣がゴブリンの首を刎ねた。
ドサリ。
セレナの前に、ゴブリンの首と胴体が分離して落ちる。
前方を確認すれば、そこには左手のないゴブリンの焼死体があった。
「ごめん、レイン」
「気にするな。こうやって助け合うのが仲間だろ?」
「あッ……。うん、そうだね!」
セレナが俺の言葉に笑みを咲かせた。
俺自身ちょっとカッコつけたことを言って恥ずかしい。
「でも、だ! まだ油断するなよ。今だってゴブリンは一体仕留め損ねてる。これからも練習するように」
「なによ、素直に褒めてくれてもいいじゃん。って、あれ? レインってば照れてる? ねぇ、照れてるの?」
俺の顔が赤くなってるのに気が付いたか。
セレナが俺をニヤニヤと笑いながら見つめてくるのだが、正直うざい。
「いい度胸だなセレナ? それだけ余裕があるなら、今から2階層に行くか? また一人でオークを倒せればいいな?」
「うぐッ⁉ そ、それは……」
「あれー? 自信があるんじゃなかったのか? ねぇねぇセレナさん?」
「あー、もう! 私が悪かったわよ!」
勝った!
膨れるセレナを見て、俺は内心でガッツポーズを決める。
「ほら、帰るぞ」
「あ、待って!」
さっさと先を歩きだす俺に、セレナが慌てて付いてくる。
まぁ、これでセレナが制御のできる魔法使いになれば、後衛を任せられる。そうすれば、階層をもう少し上がってみるのもありかもしれない。
以外に良い拾い物だったかもな。
そんな事を考えながら、セレナと共に帰還した。
「できた!」
そういうセレナの右手には、小さな青色の球体が浮いている。
「これでいいんだよね⁉」
興奮した様子のセレナは、俺が頷いたのを見てその場で小さく跳ねている。
「よし、じゃあ忘れないうちに体に叩き込むぞ」
「へ? どうするの?」
「ちょっと待ってろ」
首を傾げるセレナを置いて、俺は1階層を練り歩く。
「お、いたいた」
そこにいたのはゴブリンだ。それも二体。
俺はあえて大きな音を立てて近づく。
すぐに反応したゴブリンの瞳が、俺を捕らえる。
「はッ」
瞬時に間合いを詰めて、右側のゴブリンの左手を切り落とす。
「グギャッ⁉」
ゴブリンが悲鳴を上げて、数歩よろめく。
それを確認して、俺は踵を返してダッシュ。
「グギャッ!」
怒りを覚えたゴブリンが俺の後を追ってくる。
後はこれを、セレナにプレゼントとして押し付けてやればいい。
「セレナ!」
「あ、帰ってきた。って、何そのゴブリン⁉」
俺の後を数秒遅れて追いかけてくるゴブリンを見つけ、瞬時に杖を構える。
ゴブリンも新たな敵が現れたため、路地の入口で止まった。
俺はその隙にセレナの背後まで走る。
「わかってるな? さっき覚えた魔力制御でセーブしつつ、ゴブリンを倒せ。俺は後ろにいるから、誤れば俺もダメージを負う」
「う、うん」
俺の意図を理解したらしいセレナが、目を瞑って深呼吸を一つ。
目を開ける。
「行くよ!」
杖の先端に魔力が集まる。が、オークを倒したときのように全力ではなく、きちんとセーブできている。
「爆ぜろ!」
セレナの杖の先端から放たれた魔力の塊がゴブリンに直撃し、爆ぜる。
「グギャッ⁉」
ゴブリン二体の悲鳴が重なる。
が、セーブすることに集中しすぎたためか、煙の中で動く影を、俺は捕らえた。
セレナはというと、俺に被害が出ていないのを確認するために後ろを向いていて、気が付いていない。
「グギャッ!」
俺が先ほど負傷させた方ではないゴブリンが、煙を突き破ってセレナに襲い掛かる。
「え?」
セレナの反応は間に合わない。
「ふッ!」
セレナの脇を抜け、俺の放った剣がゴブリンの首を刎ねた。
ドサリ。
セレナの前に、ゴブリンの首と胴体が分離して落ちる。
前方を確認すれば、そこには左手のないゴブリンの焼死体があった。
「ごめん、レイン」
「気にするな。こうやって助け合うのが仲間だろ?」
「あッ……。うん、そうだね!」
セレナが俺の言葉に笑みを咲かせた。
俺自身ちょっとカッコつけたことを言って恥ずかしい。
「でも、だ! まだ油断するなよ。今だってゴブリンは一体仕留め損ねてる。これからも練習するように」
「なによ、素直に褒めてくれてもいいじゃん。って、あれ? レインってば照れてる? ねぇ、照れてるの?」
俺の顔が赤くなってるのに気が付いたか。
セレナが俺をニヤニヤと笑いながら見つめてくるのだが、正直うざい。
「いい度胸だなセレナ? それだけ余裕があるなら、今から2階層に行くか? また一人でオークを倒せればいいな?」
「うぐッ⁉ そ、それは……」
「あれー? 自信があるんじゃなかったのか? ねぇねぇセレナさん?」
「あー、もう! 私が悪かったわよ!」
勝った!
膨れるセレナを見て、俺は内心でガッツポーズを決める。
「ほら、帰るぞ」
「あ、待って!」
さっさと先を歩きだす俺に、セレナが慌てて付いてくる。
まぁ、これでセレナが制御のできる魔法使いになれば、後衛を任せられる。そうすれば、階層をもう少し上がってみるのもありかもしれない。
以外に良い拾い物だったかもな。
そんな事を考えながら、セレナと共に帰還した。
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