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魔王との邂逅編
僕や俺や私の秘密
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サミエルさんの気配が消え静寂に包まれた。でも彼の目を見ればわかる。その気持ちはすでに臨戦体制で………迂闊に近づけばやられる。俺は一歩後ずさった。
「やるなら一発で仕留めないといけないよ。………一撃に全て集中するんだ。そうじゃなきゃ君は勝てない」
聞こえてくるイリナのアドバイス………確かに彼女の言う通りだ。俺の速度、力で一撃与えられたらマシなレベル。更に言えば一撃が到達する前に敵から2~4発攻撃される可能性すら大いにある。普通にやったら攻撃など与えられない。俺はもう一歩後退り………走って後退した。ひとまず姿を隠す!格上相手に馬鹿正直に挑む必要はない!ここは森林なのだから姿を隠すだけならなんとでも…………
「バカ!そんなことしたら!」
「…………勝機を失ったね、飯田さん」
俺は1分間走り続け手頃な木の裏に隠れた。
戦う流れになってしまったが負けるわけにはいかない。もしイリナが魔族掃討戦に参加することになったらどうなる?決まってる、俺もそこに連れていかれるはずだ。今の俺の不安定な状態で危険な戦いを続けたらいずれ身を滅ぼすのは必然!なんとかしてサミエルさんに勝たなくては!なんとか………なんとか!
「そんな選択をする貴方が勝てるわけがない」
どこからともなく聞こえてくるサミエルさんの声!どこだ………どこにいるんだ?まさか俺がいる場所がバレたか?
「勇者の身体能力は常人のそれを遥かに上回る。筋力、肺活量、視力、聴力、思考能力、階級が上がれば上がるほど人間を逸脱する。…………当然、聞こえてくるよ飯田さんの鼓動が、痛いほどに」
背中を預けていた木が俺が頭を伏せると同時に切り裂かれた!俺は急いで走って逃げ出し後ろを見たが、サミエルさんはいない!斬撃を飛ばすとかできるのか!?
ザシュッ!!
俺の目の前にある地面が切り裂かれ吹き飛んだ!しかしそれでもサミエルさんの姿は見えない!俺はまた急いで木に背中を預けるように隠れて思考を整理する。
…………もしかしてミスったのか?相手は聴力で俺の位置を把握できるけれど、俺はこの暗闇のせいでサミエルさんの位置を把握することができないから、一方的に追い詰められている…………ってこと?ワンチャンすら消してしまったのか?
「…………終わりだ!」
トプンッ…………
「!!!」
俺は接触と同時に水を放出することで敵の剣の軌道を逸らし、更に左腕を使って防御しながらサミエルさんに突っ込んだ!軌道がぐらついたおかげで完璧に力が加わらなかった刃は、通常ならそう簡単に人体を切断することはできない。筋肉が阻み、骨にぶつかりその進行は止まるからだ。しかしそれは通常の話で、相手は圧倒的な格上、人間の身体能力を超えた勇者だ。普通ならあり得ないのだが左腕は切断され、だが軌道は逸れ頭上を通過していった!
ここだここ!ここしかない!相手の身体能力を考慮して殴るなんてことはしない!拳が到達する前に勇者なら簡単に逃げられるからだ!腕が伸び切る前に放水して吹き飛ばす!頼む!昨日と同じ出力がでてくれ!
「……………は?」
しかし、そもそも俺の背後にサミエルさんはいなかった。おかしい………確かに剣の感触はあった、この左腕の切断面がよく理解している。あの冷たくて痛々しい感触を忘れるわけがない。…………斬撃を飛ばす魔力ではないということだ。それなのにこれは一体……………
「まだ戦いますか?」
いつの間にか俺の背後にいたサミエルさんが、俺の首元に剣を置いた。少し力を入れたら首が切れてしまうほどに近い。
「……………遠慮しときます」
俺は気が抜けると、思い出したように痛み出した左腕の激痛に耐え切れずに地面に崩れ落ちのたうちまわった!
「それじゃあ交渉成立ですね。イリナさん、参加してもらいますよ魔族掃討戦に」
「あーはいはい、わかったよ。それよりもさっさと勇者領に行くよ。彼の傷の手当てしないと。………ちょっとごめんねー」
「え?いや、ちょっ………!!」
ゴンッ!!!
俺の頭を掴んで地面に叩きつけるイリナ!思いっきり脳が揺れて俺は気絶した。
「それしか手段ないからってその失神のさせ方はあんまりじゃないですかね」
「君の魔力で長距離のワープって無理だよね?」
「無視ですか………自分だけならともかく人を連れては無理です。移動に適してませんから」
「オッケー。ちょっと運ぶわ」
「イリナさんの速さなら10分もかからないでしょうね……………」
「………………」
「………………」
「…………なにさ」
「本当に良かったんですか、こんなに強引にことを運んで」
狩虎をおぶるイリナを見ながらサミエルは聞いた。
「わざわざこんな演技までさせて…………危険ですよ、魔族掃討戦に彼を参加させるの」
今回のサミエルと狩虎の戦いはイリナによって仕組まれたものだった。勇者領で依頼を探しているときに偶然見つけたサミエルを捕まえ、偶然を装いながら戦うことを計画した。つまりイリナが場所を間違えたのはわざとである。
「ノンビリしてられないんだよ」
「………気持ちは分かりますけどね。去年から魔族も魔物も活発化していて、いつどこで何が暴発するか分かったもんじゃないですから」
「それもあるんだけどなんていうかね、私の直感が警鐘を鳴らしてるんだ。ノンビリ構えていたらあっという間に訪れる危険によって崩壊しかねないってさ。水面下で何かが蠢いているんだ、私達勇者の知らない何かが」
炎帝がカイを倒してから何か大きなことが進行している気がする。いや、もっと前からだったのかもしれない。計画されていた何かがカイが倒されたのをきっかけに動き出した…………そんな予感。確証はないんだけどね。
「まっ、とにかく、彼のパワーアップはさっさとやっちゃわないとさ。手続きしといてよねちゃんと」
「はぁ……分かりましたよ。それじゃあ飯田さんをさっさと治療してあげてください」
「言われなくても」
パァァアアンンン!!!
イリナが踏み込んだ地面が弾け飛び、彼女は勇者領の中心地へと飛行機並みの速度で駆ける。そしてイリナが勇者領の中心地に辿り着いたのは駆け出してから4分後だった。
「…………僕が危険視しているのはそこじゃあないんですけどね」
飛び去ったイリナに聞こえるはずもないのに語りかけるサミエル。
「危険なんですよ彼の性格は…………僅かでも勝機があるとみると、リスクを無視して彼は飛び込む。僕に腕を切られることを前提でカウンターを決めようとしたのが良い証拠です。……………彼の考え方はいずれ自身の身を滅ぼしかねない。大きな戦いは避けるべきだと思いますよ」
ただ勇者最強のイリナさんがそばについているのだ、よほどのことは起きないだろう。………しかしもし彼女が離れたら………飯田さんは死んでしまうかもしれない、自身の手で。
サミエルは闇に溶けて消えた。
「…………………」
目を覚ましたときにみんなはどこを見るだろうか。俺は壁だ。ベットの横にある左横の壁。仰向けで寝てたはずなのに、起きたときにはうつ伏せになり、しかも足の方に頭が向いている始末。俺は寝相というのが致命的なまでに悪い。子供の頃はよくベッドが落ちてたし………そう考えると落ちなくなっただけ成長してはいるのだ。そして今回も俺が目を覚ましたときに目に入ってきたのは花瓶だった。赤と黄色の鮮やかな造花が入った花瓶。それを見ただけでなんとなく病室だと察した。根が張った上体をなんとかして起こして周りを見てみるも、病室特有の白さといえばいいのか…………清潔感のある部屋の中に俺はいた。
「……………あーー聞こえます?」
俺は頭の中で念じた。
「うんうん、そう…………こんなに早くことが進むと思ってなかったんだけどさ。うん、あいつに伝えといて」
テレパシーごしに伝わる彼女の声は安堵していた。
「なんとか掃討戦に潜り込めたから、そっちの計画進めといてー。…………ばっ、大丈夫だって!なんも無理してないから俺!うんうん………じゃあねー」
俺はテレパシーによる交信を終えると再度布団を羽織った。
「さーーてと…………どこまで上手くいくかな?」
俺はニヤけたまま眠りについた。
「やるなら一発で仕留めないといけないよ。………一撃に全て集中するんだ。そうじゃなきゃ君は勝てない」
聞こえてくるイリナのアドバイス………確かに彼女の言う通りだ。俺の速度、力で一撃与えられたらマシなレベル。更に言えば一撃が到達する前に敵から2~4発攻撃される可能性すら大いにある。普通にやったら攻撃など与えられない。俺はもう一歩後退り………走って後退した。ひとまず姿を隠す!格上相手に馬鹿正直に挑む必要はない!ここは森林なのだから姿を隠すだけならなんとでも…………
「バカ!そんなことしたら!」
「…………勝機を失ったね、飯田さん」
俺は1分間走り続け手頃な木の裏に隠れた。
戦う流れになってしまったが負けるわけにはいかない。もしイリナが魔族掃討戦に参加することになったらどうなる?決まってる、俺もそこに連れていかれるはずだ。今の俺の不安定な状態で危険な戦いを続けたらいずれ身を滅ぼすのは必然!なんとかしてサミエルさんに勝たなくては!なんとか………なんとか!
「そんな選択をする貴方が勝てるわけがない」
どこからともなく聞こえてくるサミエルさんの声!どこだ………どこにいるんだ?まさか俺がいる場所がバレたか?
「勇者の身体能力は常人のそれを遥かに上回る。筋力、肺活量、視力、聴力、思考能力、階級が上がれば上がるほど人間を逸脱する。…………当然、聞こえてくるよ飯田さんの鼓動が、痛いほどに」
背中を預けていた木が俺が頭を伏せると同時に切り裂かれた!俺は急いで走って逃げ出し後ろを見たが、サミエルさんはいない!斬撃を飛ばすとかできるのか!?
ザシュッ!!
俺の目の前にある地面が切り裂かれ吹き飛んだ!しかしそれでもサミエルさんの姿は見えない!俺はまた急いで木に背中を預けるように隠れて思考を整理する。
…………もしかしてミスったのか?相手は聴力で俺の位置を把握できるけれど、俺はこの暗闇のせいでサミエルさんの位置を把握することができないから、一方的に追い詰められている…………ってこと?ワンチャンすら消してしまったのか?
「…………終わりだ!」
トプンッ…………
「!!!」
俺は接触と同時に水を放出することで敵の剣の軌道を逸らし、更に左腕を使って防御しながらサミエルさんに突っ込んだ!軌道がぐらついたおかげで完璧に力が加わらなかった刃は、通常ならそう簡単に人体を切断することはできない。筋肉が阻み、骨にぶつかりその進行は止まるからだ。しかしそれは通常の話で、相手は圧倒的な格上、人間の身体能力を超えた勇者だ。普通ならあり得ないのだが左腕は切断され、だが軌道は逸れ頭上を通過していった!
ここだここ!ここしかない!相手の身体能力を考慮して殴るなんてことはしない!拳が到達する前に勇者なら簡単に逃げられるからだ!腕が伸び切る前に放水して吹き飛ばす!頼む!昨日と同じ出力がでてくれ!
「……………は?」
しかし、そもそも俺の背後にサミエルさんはいなかった。おかしい………確かに剣の感触はあった、この左腕の切断面がよく理解している。あの冷たくて痛々しい感触を忘れるわけがない。…………斬撃を飛ばす魔力ではないということだ。それなのにこれは一体……………
「まだ戦いますか?」
いつの間にか俺の背後にいたサミエルさんが、俺の首元に剣を置いた。少し力を入れたら首が切れてしまうほどに近い。
「……………遠慮しときます」
俺は気が抜けると、思い出したように痛み出した左腕の激痛に耐え切れずに地面に崩れ落ちのたうちまわった!
「それじゃあ交渉成立ですね。イリナさん、参加してもらいますよ魔族掃討戦に」
「あーはいはい、わかったよ。それよりもさっさと勇者領に行くよ。彼の傷の手当てしないと。………ちょっとごめんねー」
「え?いや、ちょっ………!!」
ゴンッ!!!
俺の頭を掴んで地面に叩きつけるイリナ!思いっきり脳が揺れて俺は気絶した。
「それしか手段ないからってその失神のさせ方はあんまりじゃないですかね」
「君の魔力で長距離のワープって無理だよね?」
「無視ですか………自分だけならともかく人を連れては無理です。移動に適してませんから」
「オッケー。ちょっと運ぶわ」
「イリナさんの速さなら10分もかからないでしょうね……………」
「………………」
「………………」
「…………なにさ」
「本当に良かったんですか、こんなに強引にことを運んで」
狩虎をおぶるイリナを見ながらサミエルは聞いた。
「わざわざこんな演技までさせて…………危険ですよ、魔族掃討戦に彼を参加させるの」
今回のサミエルと狩虎の戦いはイリナによって仕組まれたものだった。勇者領で依頼を探しているときに偶然見つけたサミエルを捕まえ、偶然を装いながら戦うことを計画した。つまりイリナが場所を間違えたのはわざとである。
「ノンビリしてられないんだよ」
「………気持ちは分かりますけどね。去年から魔族も魔物も活発化していて、いつどこで何が暴発するか分かったもんじゃないですから」
「それもあるんだけどなんていうかね、私の直感が警鐘を鳴らしてるんだ。ノンビリ構えていたらあっという間に訪れる危険によって崩壊しかねないってさ。水面下で何かが蠢いているんだ、私達勇者の知らない何かが」
炎帝がカイを倒してから何か大きなことが進行している気がする。いや、もっと前からだったのかもしれない。計画されていた何かがカイが倒されたのをきっかけに動き出した…………そんな予感。確証はないんだけどね。
「まっ、とにかく、彼のパワーアップはさっさとやっちゃわないとさ。手続きしといてよねちゃんと」
「はぁ……分かりましたよ。それじゃあ飯田さんをさっさと治療してあげてください」
「言われなくても」
パァァアアンンン!!!
イリナが踏み込んだ地面が弾け飛び、彼女は勇者領の中心地へと飛行機並みの速度で駆ける。そしてイリナが勇者領の中心地に辿り着いたのは駆け出してから4分後だった。
「…………僕が危険視しているのはそこじゃあないんですけどね」
飛び去ったイリナに聞こえるはずもないのに語りかけるサミエル。
「危険なんですよ彼の性格は…………僅かでも勝機があるとみると、リスクを無視して彼は飛び込む。僕に腕を切られることを前提でカウンターを決めようとしたのが良い証拠です。……………彼の考え方はいずれ自身の身を滅ぼしかねない。大きな戦いは避けるべきだと思いますよ」
ただ勇者最強のイリナさんがそばについているのだ、よほどのことは起きないだろう。………しかしもし彼女が離れたら………飯田さんは死んでしまうかもしれない、自身の手で。
サミエルは闇に溶けて消えた。
「…………………」
目を覚ましたときにみんなはどこを見るだろうか。俺は壁だ。ベットの横にある左横の壁。仰向けで寝てたはずなのに、起きたときにはうつ伏せになり、しかも足の方に頭が向いている始末。俺は寝相というのが致命的なまでに悪い。子供の頃はよくベッドが落ちてたし………そう考えると落ちなくなっただけ成長してはいるのだ。そして今回も俺が目を覚ましたときに目に入ってきたのは花瓶だった。赤と黄色の鮮やかな造花が入った花瓶。それを見ただけでなんとなく病室だと察した。根が張った上体をなんとかして起こして周りを見てみるも、病室特有の白さといえばいいのか…………清潔感のある部屋の中に俺はいた。
「……………あーー聞こえます?」
俺は頭の中で念じた。
「うんうん、そう…………こんなに早くことが進むと思ってなかったんだけどさ。うん、あいつに伝えといて」
テレパシーごしに伝わる彼女の声は安堵していた。
「なんとか掃討戦に潜り込めたから、そっちの計画進めといてー。…………ばっ、大丈夫だって!なんも無理してないから俺!うんうん………じゃあねー」
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