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魔王との邂逅編
ルールブレイカー
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こんなことを言うのも変な話だけれど、無駄というのは必要である。人は寄り道をすればするほど、他の人が知らない経験値を蓄え人生に役立てることができるからだ。大学入学→就職→社会人生活→退職→老後→死。画一化された現代においてその[無駄]というものには需要が増している。マンガ、アニメ、ゲーム実況、キャンプがいい例だろう。
ただしその無駄というのは人生単位においてだ。仕事というミクロ的な視点において無駄とは一切排除されなければならない。………ミクロとマクロにおける認識の相違。これを理解できなければ人は失敗する。
俺は学校で授業を受けながら考え事をしていた。この授業内容は3ヶ月前に予習していたところだから、真剣に聞く必要がなくボーッとしていたのだ。ボーッとなどせずに予習を進めるというのもあるけれど、俺はそんなことよりも今後のことを考えなければいけない。
「今日もまた夢を見たのかい?」
後ろから紙が送られてきて中身を見ると、遼鋭からの質問だった。
「いつも通りだよ。イリナとカイが魔族を倒してくれる平和な夢だ」
俺はメモ帳を破り文字を走り書きすると後ろに渡した。
「君の夢が変わると良いね」
「変わらないさ。悪は断罪されなきゃいけない。有象無象ではなく誰もが認める正義に」
「それじゃあつまらないじゃないか。正義しか残らない世の中に楽しさなんて存在しない」
「そんなことはない、現実でだってそうじゃないか。弁護士や検事、警察官。罪を裁けるのは決められた職業の人間にしかできない。…………悪を滅ぼすのは決められた人間にのみ許された特権だ。悪は消えることしかできない」
「だったら変わると良いね。断罪のために」
「変わりはしないよ。ただ終わるだけさ」
この紙を最後に文通は終わり、俺は黒板を眺めた。
放課後、表面世界に来た俺とイリナはまたよく分からない街に来ていた。街路、建物がレンガで作られたレンガの街。建築物の形も珍妙なものばかりで芸術家気質の人が集まっているのかもしれない。
「この街は1人の第二類勇者の所有物なんだ。変な建物が多かったり、レンガばかり使われているのはそいつの趣味だからだよ」
「イリナと同じ階級かぁ、すげー」
勇者には階級が存在している。下から騎士、聖騎士、上位聖騎士、聖騎士長、第一類勇者、第二類勇者、王だ。上の階級に行けばいくほどその数は少なくなり、第二類勇者は9人、王に至っては1人だ。イリナとこの町の所有者はその数少ない9人のうちの1人というわけ。………一応カイも第二類勇者だったんだけど、彼が死んでしまったから枠が1つ空いた状態になってしまっている。
「それで、今日私がわざわざこんなところにまで来たのもそいつに会うためさ」
「まぁ………第二類勇者なら良い戦力になるよな」
俺達が魔族掃討戦に参加するのはすぐに決まった。実績豊富で名実共に勇者最強のイリナが戦力になるのだ、たとえ俺みたいなよく分からない奴が参加することが条件だとしても、イリナの参加はそれ以上に旨味が多い。断る理由などない。
しかしイリナは自分の部隊を1つ作ることが条件だと勇者のお偉いさん達に明示した。それも自分が選んだ人間だけで組織された私兵部隊。不足の事態が発生してもすぐに対処できるようにするには、やはり最低5人は欲しいとイリナは考えたらしい。たしかに1年前の炎帝との戦いでは、雷と水では圧倒的な火力の前には一切の有効打にならずやられてしまった。魔力に複数のレパートリーを持たせ、ほぼ全ての事態に対処できるようにするというのは良い作戦な気がする。
こういう深い理由があって、俺達は戦力集めのためにここに来たわけである。イリナが気に入った力を持つ人間………どんだけ強いのだろうか。
「グレンって言うんだけどさ、私もそんなに話したことがなくて初対面に近いんだよね」
「えーー……………そんな奴を仲間に引き入れようとしてるのか。もっと信頼厚い人間を引き込めよ」
「…………いないんだからしょうがないじゃん」
「うわ、ボッチじゃん。友達少なくて1人でばっか暇潰ししてる最高のボッチじゃん」
「私と対等な信頼関係を築ける人間なんてそうそういないんだからしょうがないじゃん!だって私強いんだもん!」
「それなら助けてあげたやつと友達になってだな………」
「[助けてあげたから友達になってよ!]ってどんだけ図々しいのさ!そういう一方的な関係は好きじゃないんだよわたし」
あーーまぁ、言いたいことはわかる気がする。助けて助けられる関係………この世界ではそういう関係性の方が友情を育みやすいのだろう。
「それじゃあ俺と友達になれないじゃん。一方的に助けられてばっかりなんだから。パートナーとか不可能じゃん」
聖騎士長のサミエルさんにすら一方的に負ける人間が勇者最強と釣り合うだろうか?答えはノーである。
「そ、それは………初日に助けてくれたじゃん?」
「元気づけただけだよ。俺じゃああんな強い魔物倒せないから」
俺達は街の中心地へと進んでいく。建物の造形がドンドン歪んでいく。まるで重力がねじ曲がっているみたいだ。
「あれだけでも私は助けられたんだよ。君のその一言で前に進みたいと思えたんだもん。…………炎帝を倒す決心がついた」
「…………そうか、それはよかった。発破かけた甲斐があったよ」
「………………」
「………………」
「……………ねぇ」
「……………なに?」
俺とイリナは歩きながら会話を続ける。暗い夜空だろうとなんだろうと、ただ言葉を重ねる。
「なんて呼んでほしい?飯田くん?狩虎ちゃん?」
「…………いきなりっすね。なんでもいいよ」
俺にはあだ名というのが大量にある。虎ちゃんだったり狩虎ちゃんだったり、飯田、氏名の頭文字をくっつけてイカ、イカから連想してタコやエビになったりもした。しかしまぁ、そんなあだ名をつけられて嫌になったことはない。唯一気分を害されたあだ名っていうのもあるが、俺の出生の秘密を知らない限りその発想に至ることはないから、イリナには好きにあだ名を決めさせてやろう。
「そういえばさ、君って卯年なんでしょ?」
「……………いや、寅年だけど?狩虎なんて名前ついてるんだから、そりゃあ寅じゃん?当たり前じゃん?」
「3月21日生まれで、早生まれだったから卯年になっちゃったんでしょ?もし12月以前に生まれてたら寅年だったのに。私寅年だもん。」
「いや、全然?寅年ですけど?誕生日なんてほら、一般的に多い9~10月だからね。9月9日でね、ほらノストラダムスの終末予言の一年前に生まれたからあだ名は[恐怖の大王]なんて呼ばれ」「ミフィーとか呼ばれてたんじゃないの?三二一で三二一」
「…………………」
俺は無言のまま歩き続けた。
なんで知ってんだこいつ…………そのあだ名は俺の幼馴染しか知らないはずだぞ。しかも小学生の時に発案され、俺があまりにも泣きぐずった為に3日しか使われなかった幻のあだ名なのに!
「ねぇミフィー君。これからいくグレンの性格なんだけどさ」
「狩虎だもんね!俺の名前は狩虎!虎を狩るの!兎が狩れるわけないじゃん!」
「虎に狩られるの間違いじゃない?ほらナヨナヨした君には兎の方が丁度いいよ。で、グレンなんだけどさ………」
「認めない!認めないからな!もっとマシなあだ名にしてくれ!」
ミフィーだけはマジでやめてくれ………俺の色々なアイデンティティが崩壊する。
「んーーじゃあ、クソ野郎」
「それはあだ名じゃないのよ。ユーモアも何もないただの罵倒なわけ」
「じゃあお漏らし野郎」
「この年でそのあだ名は勘弁してくれないかな……してないからね?小学生以来」
「じゃあミフィー君しかないよ。君のこと見てたら罵倒しか思い付かないもん」
「いいよもう………それじゃあ俺もあだな考えてやるからな!とびっきり酷いやつ!」
「残念、もう着いちゃった」
いつの間にかグレンの家に着いていた。東京ドームぐらいある超巨大な豪邸だ。レンガと鉄筋コンクリートで形作られ、合間合間に一面張りのガラスが張られている。伝統ある名家って感じだ。由緒正しい家系の人なのかな。
ボゴーーン!!
呆然と眺めていたら家が爆発した!!内側から発生した強力なエネルギーに吹き飛ばされ、屋根も壁も全てが飛び散り鉄と岩の雨となって俺らに落ちてくる。
「ぶべっ!」
しかしそんなことは問題ではなかった。いや、力のない俺からすれば大問題なのだけれど、瓦礫が当たる前にイリナの雷が全てぶっ壊したから関係ない。問題があるとすれば、そのイリナの雷を突き破って俺に激突してきた男の方だ。
「んだてめぇ……邪魔だからどいてろ」
イリナの雷に焼かれたはずなのにすぐに立ち直った男は倒れている俺を蹴飛ばすと、屋敷があった方に目を向ける。
「ちょ、ちょっと!どういう歓迎の仕方さ!」
「ん?……ああ、なんだイリナか。丁度いい、クソガキ止めるのにちょっと手を貸せ」
「手を貸せって、第二類勇者だよ。あんたが本気を出せばなんとでも………」
ボフッ!!!
空間が爆発した!!………空間が爆発なんて変な表現だと思うかもしれないが、本当に空間が爆発したのだ。何もない場所が突如として爆発し乱気流が発生!!その1秒後に凍りつき、そこから氷が増殖して空間を凍てつかせた!!
「あははははははははっっ!!!」
ドンッ!!!
子供の笑い声と共に聞こえた爆発を皮切りに、今度はこの街全体が凍りついた!!急激に冷え込んだ空気が俺の髪やまつ毛をしばれさせる!!
「なんとかなったら苦労はしねーんだよ興奮しちまったあのバカはな」
ピチャン…………
凍りついていたこの街が一瞬で融解し、氷が溶けた時にできた水で池が生まれた!その深さは俺達の膝まで到達するほど深く…………なんだこれ?普通からかけ離れすぎて頭が狂いそうだ!
「先生あーーそぼっ!!!」
ミシミシミシッッ!!!
目の錯覚だと思うのだけれど、水の上を駆け抜けてきた男の子がグレンを思いっきり蹴飛ばした!!そして吹き飛んだグレンを追って男の子は水上を駆け抜け追尾する!!
「………………」
俺は呆然としていた。なにあれ?いや、その………え?こんなこと言いたかないけど、水を操れるだけの俺の完全上位互換がもう出てきたんだけど。どうなってんのこれ?
「み、ミフィー君ちょっとここで待ってて!!私も加勢してくる!!」
ことの深刻さを理解したイリナが俺を残してグレンの方に走っていく。これあれだな………この小説に俺いらないな。俺は全力で理解した。
ただしその無駄というのは人生単位においてだ。仕事というミクロ的な視点において無駄とは一切排除されなければならない。………ミクロとマクロにおける認識の相違。これを理解できなければ人は失敗する。
俺は学校で授業を受けながら考え事をしていた。この授業内容は3ヶ月前に予習していたところだから、真剣に聞く必要がなくボーッとしていたのだ。ボーッとなどせずに予習を進めるというのもあるけれど、俺はそんなことよりも今後のことを考えなければいけない。
「今日もまた夢を見たのかい?」
後ろから紙が送られてきて中身を見ると、遼鋭からの質問だった。
「いつも通りだよ。イリナとカイが魔族を倒してくれる平和な夢だ」
俺はメモ帳を破り文字を走り書きすると後ろに渡した。
「君の夢が変わると良いね」
「変わらないさ。悪は断罪されなきゃいけない。有象無象ではなく誰もが認める正義に」
「それじゃあつまらないじゃないか。正義しか残らない世の中に楽しさなんて存在しない」
「そんなことはない、現実でだってそうじゃないか。弁護士や検事、警察官。罪を裁けるのは決められた職業の人間にしかできない。…………悪を滅ぼすのは決められた人間にのみ許された特権だ。悪は消えることしかできない」
「だったら変わると良いね。断罪のために」
「変わりはしないよ。ただ終わるだけさ」
この紙を最後に文通は終わり、俺は黒板を眺めた。
放課後、表面世界に来た俺とイリナはまたよく分からない街に来ていた。街路、建物がレンガで作られたレンガの街。建築物の形も珍妙なものばかりで芸術家気質の人が集まっているのかもしれない。
「この街は1人の第二類勇者の所有物なんだ。変な建物が多かったり、レンガばかり使われているのはそいつの趣味だからだよ」
「イリナと同じ階級かぁ、すげー」
勇者には階級が存在している。下から騎士、聖騎士、上位聖騎士、聖騎士長、第一類勇者、第二類勇者、王だ。上の階級に行けばいくほどその数は少なくなり、第二類勇者は9人、王に至っては1人だ。イリナとこの町の所有者はその数少ない9人のうちの1人というわけ。………一応カイも第二類勇者だったんだけど、彼が死んでしまったから枠が1つ空いた状態になってしまっている。
「それで、今日私がわざわざこんなところにまで来たのもそいつに会うためさ」
「まぁ………第二類勇者なら良い戦力になるよな」
俺達が魔族掃討戦に参加するのはすぐに決まった。実績豊富で名実共に勇者最強のイリナが戦力になるのだ、たとえ俺みたいなよく分からない奴が参加することが条件だとしても、イリナの参加はそれ以上に旨味が多い。断る理由などない。
しかしイリナは自分の部隊を1つ作ることが条件だと勇者のお偉いさん達に明示した。それも自分が選んだ人間だけで組織された私兵部隊。不足の事態が発生してもすぐに対処できるようにするには、やはり最低5人は欲しいとイリナは考えたらしい。たしかに1年前の炎帝との戦いでは、雷と水では圧倒的な火力の前には一切の有効打にならずやられてしまった。魔力に複数のレパートリーを持たせ、ほぼ全ての事態に対処できるようにするというのは良い作戦な気がする。
こういう深い理由があって、俺達は戦力集めのためにここに来たわけである。イリナが気に入った力を持つ人間………どんだけ強いのだろうか。
「グレンって言うんだけどさ、私もそんなに話したことがなくて初対面に近いんだよね」
「えーー……………そんな奴を仲間に引き入れようとしてるのか。もっと信頼厚い人間を引き込めよ」
「…………いないんだからしょうがないじゃん」
「うわ、ボッチじゃん。友達少なくて1人でばっか暇潰ししてる最高のボッチじゃん」
「私と対等な信頼関係を築ける人間なんてそうそういないんだからしょうがないじゃん!だって私強いんだもん!」
「それなら助けてあげたやつと友達になってだな………」
「[助けてあげたから友達になってよ!]ってどんだけ図々しいのさ!そういう一方的な関係は好きじゃないんだよわたし」
あーーまぁ、言いたいことはわかる気がする。助けて助けられる関係………この世界ではそういう関係性の方が友情を育みやすいのだろう。
「それじゃあ俺と友達になれないじゃん。一方的に助けられてばっかりなんだから。パートナーとか不可能じゃん」
聖騎士長のサミエルさんにすら一方的に負ける人間が勇者最強と釣り合うだろうか?答えはノーである。
「そ、それは………初日に助けてくれたじゃん?」
「元気づけただけだよ。俺じゃああんな強い魔物倒せないから」
俺達は街の中心地へと進んでいく。建物の造形がドンドン歪んでいく。まるで重力がねじ曲がっているみたいだ。
「あれだけでも私は助けられたんだよ。君のその一言で前に進みたいと思えたんだもん。…………炎帝を倒す決心がついた」
「…………そうか、それはよかった。発破かけた甲斐があったよ」
「………………」
「………………」
「……………ねぇ」
「……………なに?」
俺とイリナは歩きながら会話を続ける。暗い夜空だろうとなんだろうと、ただ言葉を重ねる。
「なんて呼んでほしい?飯田くん?狩虎ちゃん?」
「…………いきなりっすね。なんでもいいよ」
俺にはあだ名というのが大量にある。虎ちゃんだったり狩虎ちゃんだったり、飯田、氏名の頭文字をくっつけてイカ、イカから連想してタコやエビになったりもした。しかしまぁ、そんなあだ名をつけられて嫌になったことはない。唯一気分を害されたあだ名っていうのもあるが、俺の出生の秘密を知らない限りその発想に至ることはないから、イリナには好きにあだ名を決めさせてやろう。
「そういえばさ、君って卯年なんでしょ?」
「……………いや、寅年だけど?狩虎なんて名前ついてるんだから、そりゃあ寅じゃん?当たり前じゃん?」
「3月21日生まれで、早生まれだったから卯年になっちゃったんでしょ?もし12月以前に生まれてたら寅年だったのに。私寅年だもん。」
「いや、全然?寅年ですけど?誕生日なんてほら、一般的に多い9~10月だからね。9月9日でね、ほらノストラダムスの終末予言の一年前に生まれたからあだ名は[恐怖の大王]なんて呼ばれ」「ミフィーとか呼ばれてたんじゃないの?三二一で三二一」
「…………………」
俺は無言のまま歩き続けた。
なんで知ってんだこいつ…………そのあだ名は俺の幼馴染しか知らないはずだぞ。しかも小学生の時に発案され、俺があまりにも泣きぐずった為に3日しか使われなかった幻のあだ名なのに!
「ねぇミフィー君。これからいくグレンの性格なんだけどさ」
「狩虎だもんね!俺の名前は狩虎!虎を狩るの!兎が狩れるわけないじゃん!」
「虎に狩られるの間違いじゃない?ほらナヨナヨした君には兎の方が丁度いいよ。で、グレンなんだけどさ………」
「認めない!認めないからな!もっとマシなあだ名にしてくれ!」
ミフィーだけはマジでやめてくれ………俺の色々なアイデンティティが崩壊する。
「んーーじゃあ、クソ野郎」
「それはあだ名じゃないのよ。ユーモアも何もないただの罵倒なわけ」
「じゃあお漏らし野郎」
「この年でそのあだ名は勘弁してくれないかな……してないからね?小学生以来」
「じゃあミフィー君しかないよ。君のこと見てたら罵倒しか思い付かないもん」
「いいよもう………それじゃあ俺もあだな考えてやるからな!とびっきり酷いやつ!」
「残念、もう着いちゃった」
いつの間にかグレンの家に着いていた。東京ドームぐらいある超巨大な豪邸だ。レンガと鉄筋コンクリートで形作られ、合間合間に一面張りのガラスが張られている。伝統ある名家って感じだ。由緒正しい家系の人なのかな。
ボゴーーン!!
呆然と眺めていたら家が爆発した!!内側から発生した強力なエネルギーに吹き飛ばされ、屋根も壁も全てが飛び散り鉄と岩の雨となって俺らに落ちてくる。
「ぶべっ!」
しかしそんなことは問題ではなかった。いや、力のない俺からすれば大問題なのだけれど、瓦礫が当たる前にイリナの雷が全てぶっ壊したから関係ない。問題があるとすれば、そのイリナの雷を突き破って俺に激突してきた男の方だ。
「んだてめぇ……邪魔だからどいてろ」
イリナの雷に焼かれたはずなのにすぐに立ち直った男は倒れている俺を蹴飛ばすと、屋敷があった方に目を向ける。
「ちょ、ちょっと!どういう歓迎の仕方さ!」
「ん?……ああ、なんだイリナか。丁度いい、クソガキ止めるのにちょっと手を貸せ」
「手を貸せって、第二類勇者だよ。あんたが本気を出せばなんとでも………」
ボフッ!!!
空間が爆発した!!………空間が爆発なんて変な表現だと思うかもしれないが、本当に空間が爆発したのだ。何もない場所が突如として爆発し乱気流が発生!!その1秒後に凍りつき、そこから氷が増殖して空間を凍てつかせた!!
「あははははははははっっ!!!」
ドンッ!!!
子供の笑い声と共に聞こえた爆発を皮切りに、今度はこの街全体が凍りついた!!急激に冷え込んだ空気が俺の髪やまつ毛をしばれさせる!!
「なんとかなったら苦労はしねーんだよ興奮しちまったあのバカはな」
ピチャン…………
凍りついていたこの街が一瞬で融解し、氷が溶けた時にできた水で池が生まれた!その深さは俺達の膝まで到達するほど深く…………なんだこれ?普通からかけ離れすぎて頭が狂いそうだ!
「先生あーーそぼっ!!!」
ミシミシミシッッ!!!
目の錯覚だと思うのだけれど、水の上を駆け抜けてきた男の子がグレンを思いっきり蹴飛ばした!!そして吹き飛んだグレンを追って男の子は水上を駆け抜け追尾する!!
「………………」
俺は呆然としていた。なにあれ?いや、その………え?こんなこと言いたかないけど、水を操れるだけの俺の完全上位互換がもう出てきたんだけど。どうなってんのこれ?
「み、ミフィー君ちょっとここで待ってて!!私も加勢してくる!!」
ことの深刻さを理解したイリナが俺を残してグレンの方に走っていく。これあれだな………この小説に俺いらないな。俺は全力で理解した。
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