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二章 新たな出会いと冒険
切り抜けて
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なんだろう、二人目の神様であれって、先が思いやられるなぁ…… 頭痛がしそう。
意識を戻すと、ちょっとくったりした僕の体を、アランが支えていてくれた。おお、そういうのは高ポイントだよ。
「おい? 大丈夫か?」
「んー、ちょっと頭ガンガンするかも。主に筋肉神のせいで」
「言いたいことはわかるが、一応狩猟神、な。」
大声の感覚が未だ離れぬまま、頭を巡らせる。遺跡だってことは価値があったはずだろうに、何処ぞの誰かの所為で穴ぼこだらけだ。
「それより、こっち来てみろよ」
未だにクラクラする頭を押さえながら、アランに手を引かれて廃屋の一つに入る。
そこにはーー
「狩猟神さまが討伐した魔物のスキル石、好きに持ってって良いってよ」
正に山と積まれた色とりどりの小石、スキル石だ。ぱっと見ただけでかなりの量が見える。これはもしかしてもしかする?
「こんだけあれば、結構な金になるぞ!」
アランも大喜びだ。実際これを全部売り払えば当面は何もしなくても生きていけるだけのお金になる。二人で荷物用のリュックを広げ、中に詰め込んでいく。
「でもこんだけの量、何がどのスキルで使えるやつとかつか会えないやつとかどう仕分けするのさ」
「大きさと透明度合いで大体の重要さはわかるから、綺麗な奴とデカい奴だけよけとけばいい」
うーん、確かにほとんどが小指の爪と同じ程度の大きさかそれ以下の中、時々親指の先程度のものが混じっていたり、まるで宝石の如く澄み切ったものも混じっている。つまりこれが使えそうなやつだろう。
めぼしいものは別の小袋にいれつつ整理を進める。ついでに混じっている白い石、光に属するスキル石も燃料用に避けておく。
それでも全体の量は本当に結構な量になった。
「こんだけあったら、受け取りが金貨だって夢じゃないし、晩飯沢山食えるぞ!」
いや、君あれ以上に食べるつもりなの? 見てて毎日若干胸焼けしそうなんだけど、あの量。
それはそれとして、全部売り払って金貨ってのは夢があるね。今まで見たことあるのは大銀貨が最大で、金貨なんて見たこともない。
一瞬、そんなことはないだろうとは思うけど、金貨に埋もれる自分を夢見てしまう。
うん、お金は良いものだ。
「よし、全部しまえたな。さっさと戻ろう」
「えぇ、ちょっと一休み位しようよ」
「狩猟神様のお言葉だ。ちょっと席外すけど、待っててくれるならもう一戦やろう。だってよ」
「よし帰ろう、すぐ帰ろう、急いで帰ろう!」
あんなのもう一戦だなんて絶対ゴメンだ。次は目くらましも通じないし勝てる見込みなんてありゃしない。
慌てて荷物を全部しょい込んで外へ出る。あー、太陽のチラつき加減があの神様とダブって少しイラッてするね。
でもこうしてお金になるものごっそりくれたからきっと悪い神さまじゃないんだろう。まぁ悪意がない悪行が一番最悪だけど。
兎にも角にももう一度遭遇する前に遺跡は出てしまいたい。崩されまくった瓦礫を乗り越え、街を目指す。
「いやー、肝が冷えたぜ。無事になんとかなってよかった」
「アランの一撃がなかったら最後詰んでたからね。ナイスショット」
「今回は俺、後ろに引っ込んでばっかだったからな。次、こういう時のために俺も盾でも買っておくかぁ」
あ、地味に気にしてただね。でもアランの弓の腕がなかったら完全に手も足もでなかっただろうし、助かったのは事実だ。むしろ猫だましのためには僕が前に出るしかなかったんだけどね。彼の視線が僕の顔の傷に向いているあたり、前に出たかったのは男の子ならではなのかもしれない。
「このくらいのかすり傷なら大丈夫だよ。ほんと、腕がちぎれたりとかそういう事にならなくてよかった」
「あの威力の弓矢に当たってたら、冗談抜きでそうなるか、体に大穴開くかになりそうだもんな」
試しに当たってみろって言われたら全力で拒否する自信がある。あの大斧だって、目くらましの後にがむしゃらに振るわれていたら、今頃僕は物言わぬ肉片になっていただろう。結局なんだかんだで手加減してくれていたんだと思う。
「それより、アランは狩猟神さまからどんな力もらったの?」
「俺? 目立たねぇよ。普通に今までの加護に加えて矢を思い通りに飛ばしやすくなるとかそんなの」
それでも便利そうじゃん。僕の絶妙に使えないラインを攻めてくる力とは大違いだ。
「とにかく、さっさと帰って買い取りにだしたらその金でパーっといこうぜ」
「パーっと使いすぎない程度にね」
盾も買い直さないといけないし。流石にここまでひしゃげたのは使えないし、もうちょっとしっかり耐えられる大きめの盾にしておきたい。
それに、他の魔法を覚えたり、戦いの腕を磨くためにもフィリーネさんの言っていた学院だって気になる。
「予定通り、良い稼ぎになった!」
アランは結構良い気分の様だ。
確かに試練には打ち勝って、お金になるスキル石も山程手に入れた。これはもはや凱旋といってもいいだろう。
澄み切った空の下、僕たちは重い荷物と共に街へ帰り着いた。
意識を戻すと、ちょっとくったりした僕の体を、アランが支えていてくれた。おお、そういうのは高ポイントだよ。
「おい? 大丈夫か?」
「んー、ちょっと頭ガンガンするかも。主に筋肉神のせいで」
「言いたいことはわかるが、一応狩猟神、な。」
大声の感覚が未だ離れぬまま、頭を巡らせる。遺跡だってことは価値があったはずだろうに、何処ぞの誰かの所為で穴ぼこだらけだ。
「それより、こっち来てみろよ」
未だにクラクラする頭を押さえながら、アランに手を引かれて廃屋の一つに入る。
そこにはーー
「狩猟神さまが討伐した魔物のスキル石、好きに持ってって良いってよ」
正に山と積まれた色とりどりの小石、スキル石だ。ぱっと見ただけでかなりの量が見える。これはもしかしてもしかする?
「こんだけあれば、結構な金になるぞ!」
アランも大喜びだ。実際これを全部売り払えば当面は何もしなくても生きていけるだけのお金になる。二人で荷物用のリュックを広げ、中に詰め込んでいく。
「でもこんだけの量、何がどのスキルで使えるやつとかつか会えないやつとかどう仕分けするのさ」
「大きさと透明度合いで大体の重要さはわかるから、綺麗な奴とデカい奴だけよけとけばいい」
うーん、確かにほとんどが小指の爪と同じ程度の大きさかそれ以下の中、時々親指の先程度のものが混じっていたり、まるで宝石の如く澄み切ったものも混じっている。つまりこれが使えそうなやつだろう。
めぼしいものは別の小袋にいれつつ整理を進める。ついでに混じっている白い石、光に属するスキル石も燃料用に避けておく。
それでも全体の量は本当に結構な量になった。
「こんだけあったら、受け取りが金貨だって夢じゃないし、晩飯沢山食えるぞ!」
いや、君あれ以上に食べるつもりなの? 見てて毎日若干胸焼けしそうなんだけど、あの量。
それはそれとして、全部売り払って金貨ってのは夢があるね。今まで見たことあるのは大銀貨が最大で、金貨なんて見たこともない。
一瞬、そんなことはないだろうとは思うけど、金貨に埋もれる自分を夢見てしまう。
うん、お金は良いものだ。
「よし、全部しまえたな。さっさと戻ろう」
「えぇ、ちょっと一休み位しようよ」
「狩猟神様のお言葉だ。ちょっと席外すけど、待っててくれるならもう一戦やろう。だってよ」
「よし帰ろう、すぐ帰ろう、急いで帰ろう!」
あんなのもう一戦だなんて絶対ゴメンだ。次は目くらましも通じないし勝てる見込みなんてありゃしない。
慌てて荷物を全部しょい込んで外へ出る。あー、太陽のチラつき加減があの神様とダブって少しイラッてするね。
でもこうしてお金になるものごっそりくれたからきっと悪い神さまじゃないんだろう。まぁ悪意がない悪行が一番最悪だけど。
兎にも角にももう一度遭遇する前に遺跡は出てしまいたい。崩されまくった瓦礫を乗り越え、街を目指す。
「いやー、肝が冷えたぜ。無事になんとかなってよかった」
「アランの一撃がなかったら最後詰んでたからね。ナイスショット」
「今回は俺、後ろに引っ込んでばっかだったからな。次、こういう時のために俺も盾でも買っておくかぁ」
あ、地味に気にしてただね。でもアランの弓の腕がなかったら完全に手も足もでなかっただろうし、助かったのは事実だ。むしろ猫だましのためには僕が前に出るしかなかったんだけどね。彼の視線が僕の顔の傷に向いているあたり、前に出たかったのは男の子ならではなのかもしれない。
「このくらいのかすり傷なら大丈夫だよ。ほんと、腕がちぎれたりとかそういう事にならなくてよかった」
「あの威力の弓矢に当たってたら、冗談抜きでそうなるか、体に大穴開くかになりそうだもんな」
試しに当たってみろって言われたら全力で拒否する自信がある。あの大斧だって、目くらましの後にがむしゃらに振るわれていたら、今頃僕は物言わぬ肉片になっていただろう。結局なんだかんだで手加減してくれていたんだと思う。
「それより、アランは狩猟神さまからどんな力もらったの?」
「俺? 目立たねぇよ。普通に今までの加護に加えて矢を思い通りに飛ばしやすくなるとかそんなの」
それでも便利そうじゃん。僕の絶妙に使えないラインを攻めてくる力とは大違いだ。
「とにかく、さっさと帰って買い取りにだしたらその金でパーっといこうぜ」
「パーっと使いすぎない程度にね」
盾も買い直さないといけないし。流石にここまでひしゃげたのは使えないし、もうちょっとしっかり耐えられる大きめの盾にしておきたい。
それに、他の魔法を覚えたり、戦いの腕を磨くためにもフィリーネさんの言っていた学院だって気になる。
「予定通り、良い稼ぎになった!」
アランは結構良い気分の様だ。
確かに試練には打ち勝って、お金になるスキル石も山程手に入れた。これはもはや凱旋といってもいいだろう。
澄み切った空の下、僕たちは重い荷物と共に街へ帰り着いた。
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