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二章 新たな出会いと冒険
新たな街へ
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「今回のことで一つわかったことがあるんだけどさ」
それなりの人手で賑わう街の中、僕はこう切り出した。
「組み合わせとして、もう一人くらいほしいよね」
「んー、そりゃまぁそうだなぁ。俺は適宜入れ換えできるとして、メルタが魔法使うなら前衛、前衛やるなら魔法に特化した奴が欲しいよな」
やっぱりアランも同じことは思っていたらしい。正直今回の対神様戦で、火力不足を思い知った。
それと――
「僕は前衛のが楽かなぁ。正直、魔法覚えるのがめんどくさい」
そう、それなのだ。フィリーネさんから教わりはしたものの、使うためには色々覚えることが多くてあっぷあっぷしてるのが現状。
一応覚える努力はするけども、できれば魔法を十全に使える人を入れて火力を強化したいというのが感想だ。
「俺はもう魔法はあきらめたよ。覚えりゃ使えるって言われても覚えらんねぇ」
彼に至っては完全放棄である。これは早急になんとかしたい、けど彼との出会いみたいに運が良いことなんてそうそうあるはずもないのも問題だ。
「そんで、どうやってそれを見つけるかだ。腕がいい魔法使いなんてそうそういねぇぞ」
「魔法使い目指してる人、でもいいんじゃない? 最悪、攻撃手段が増えるならなんでもいいし。あ、でも女の人のがいいなぁ」
メンバーとしてはできれば女の人がいいよね。男二人に囲まれたむさくるしい冒険者生活は勘弁してほしい。
それにアランだって両手に花になるからそっちのほうがいいはず。
「条件付け加えてどうすんだよ…… それにこれから覚えるってなると、その分の魔導書に勉強する時間まで出すってか? そんなの普通に本だけ貰って逃げる奴が大半だろ」
そうだよね。魔法を使うための歴史や背景、呪文の全部を網羅した本は高い。一冊買うだけで今回の稼ぎの三分の一は消えてしまうほどに。それも僕らが魔法を覚える気をなくすのに拍車をかけている。そんなのもらえるってなったら貰うだけ貰って逃げて売ればちょっとした稼ぎになっちゃうし。
「まぁ手がないわけじゃねぇんだけど、うーん…… メルタ、今回の稼ぎにプラスちょいぐらいの金を吹っ飛ばす覚悟はあるか?」
お、お金さえあれば何か解決する策があるのだろうか。金額的には結構きっつい金額だけど。
「それで今後が楽になるなら、お金を払うのはありかなぁ」
「今日の買い物もほとんどおじゃんになるけど、一つ方法はあるんだよ」
「ほうほう、してそれはどんなの? まさかお金で人を買ってくるとかじゃないよね?」
それだとしたら僕はドン引きだ。売られた側だからアランの事ちょっと見下げちゃうかも。
「ちっげーよ。王都の方に冒険者の養成ってわけじゃねぇけど、戦い方と魔法教えてる学校があんだ。そこで魔法得意なやつとっ捕まえるのが早いんじゃねぇかなって」
それって、フィリーネさんが言っていた学院とやらだろうか。それにしてもここで起死回生の一手を持ってくるあたり、わかってるねぇアラン君。この世界にはあるかわからないけど、座布団を上げたいぐらいだよ。
「そこの入学金が確か一人金貨10枚。こないだの稼ぎが残り金貨17枚。避けておいた使えそうな石も売れば何とか届く金額だろ」
うっ、せっかくゲットしたよさげな石を手放すことになるのか…… でもここから金貨3枚分追加で稼ごうとすると、宿代とかで目減りしていくことも考えるといつになるかわからない。
断捨離して戦力増強って考えればわるくはないのかも。
「王都へは馬車が何かしら出てるはずだから、それにのって護衛兼用すりゃ出費も最低限にできるし、悪くはねぇだろ」
「悪いどころか完璧じゃん、アラン。それでいこう! そうしよう! すぐしよう!」
普段の行いからちょっとおバカっぽいとか思ってた僕が間違いだったね! 心の中で謝って彼の案に乗る。そうなれば行動はすぐ起こすに限る。
「落ち着けって。その手で行くにも、食料とかは買っておかないといけねぇし、石売りにいくのと二手にわかれようぜ」
そりゃそうか。馬車に乗れたにしても食料は自前になるよね。
「そんで、王都までってどれくらいかかるの?」
「馬車で6日、歩きなら10日くらいか」
「めっちゃかかるじゃん!」
予想以上の日数に思わず声が出る。そっかー、この国の大きさとかよくわかってなかったけど、この街の規模でもそれだけ距離が離れてるんだ。
「……やめとくか? 馬車に乗ってりゃ尻も痛くなるし、水浴びとかもいつできるかわかんねぇくらいし」
「うー、一回決めた事だからいきまぁす」
もうちょっと気軽に行ける距離にあると思ってたよ王都…… 異世界系のテンプレじゃあさくっと移動してるのに、現実はやっぱこうなんだね。
「なら、ちゃっちゃと用意しようぜ。俺が食料かってくるから、部屋に置いてある石売ってきてくれよ」
「はーい」
二人でお買い物っていうのがちょっと悪戯チャンスだと思って楽しみにしていたけど、仕方ない。
彼の言葉におとなしく従って、僕は石を取りに戻って準備を進めることにした。
それなりの人手で賑わう街の中、僕はこう切り出した。
「組み合わせとして、もう一人くらいほしいよね」
「んー、そりゃまぁそうだなぁ。俺は適宜入れ換えできるとして、メルタが魔法使うなら前衛、前衛やるなら魔法に特化した奴が欲しいよな」
やっぱりアランも同じことは思っていたらしい。正直今回の対神様戦で、火力不足を思い知った。
それと――
「僕は前衛のが楽かなぁ。正直、魔法覚えるのがめんどくさい」
そう、それなのだ。フィリーネさんから教わりはしたものの、使うためには色々覚えることが多くてあっぷあっぷしてるのが現状。
一応覚える努力はするけども、できれば魔法を十全に使える人を入れて火力を強化したいというのが感想だ。
「俺はもう魔法はあきらめたよ。覚えりゃ使えるって言われても覚えらんねぇ」
彼に至っては完全放棄である。これは早急になんとかしたい、けど彼との出会いみたいに運が良いことなんてそうそうあるはずもないのも問題だ。
「そんで、どうやってそれを見つけるかだ。腕がいい魔法使いなんてそうそういねぇぞ」
「魔法使い目指してる人、でもいいんじゃない? 最悪、攻撃手段が増えるならなんでもいいし。あ、でも女の人のがいいなぁ」
メンバーとしてはできれば女の人がいいよね。男二人に囲まれたむさくるしい冒険者生活は勘弁してほしい。
それにアランだって両手に花になるからそっちのほうがいいはず。
「条件付け加えてどうすんだよ…… それにこれから覚えるってなると、その分の魔導書に勉強する時間まで出すってか? そんなの普通に本だけ貰って逃げる奴が大半だろ」
そうだよね。魔法を使うための歴史や背景、呪文の全部を網羅した本は高い。一冊買うだけで今回の稼ぎの三分の一は消えてしまうほどに。それも僕らが魔法を覚える気をなくすのに拍車をかけている。そんなのもらえるってなったら貰うだけ貰って逃げて売ればちょっとした稼ぎになっちゃうし。
「まぁ手がないわけじゃねぇんだけど、うーん…… メルタ、今回の稼ぎにプラスちょいぐらいの金を吹っ飛ばす覚悟はあるか?」
お、お金さえあれば何か解決する策があるのだろうか。金額的には結構きっつい金額だけど。
「それで今後が楽になるなら、お金を払うのはありかなぁ」
「今日の買い物もほとんどおじゃんになるけど、一つ方法はあるんだよ」
「ほうほう、してそれはどんなの? まさかお金で人を買ってくるとかじゃないよね?」
それだとしたら僕はドン引きだ。売られた側だからアランの事ちょっと見下げちゃうかも。
「ちっげーよ。王都の方に冒険者の養成ってわけじゃねぇけど、戦い方と魔法教えてる学校があんだ。そこで魔法得意なやつとっ捕まえるのが早いんじゃねぇかなって」
それって、フィリーネさんが言っていた学院とやらだろうか。それにしてもここで起死回生の一手を持ってくるあたり、わかってるねぇアラン君。この世界にはあるかわからないけど、座布団を上げたいぐらいだよ。
「そこの入学金が確か一人金貨10枚。こないだの稼ぎが残り金貨17枚。避けておいた使えそうな石も売れば何とか届く金額だろ」
うっ、せっかくゲットしたよさげな石を手放すことになるのか…… でもここから金貨3枚分追加で稼ごうとすると、宿代とかで目減りしていくことも考えるといつになるかわからない。
断捨離して戦力増強って考えればわるくはないのかも。
「王都へは馬車が何かしら出てるはずだから、それにのって護衛兼用すりゃ出費も最低限にできるし、悪くはねぇだろ」
「悪いどころか完璧じゃん、アラン。それでいこう! そうしよう! すぐしよう!」
普段の行いからちょっとおバカっぽいとか思ってた僕が間違いだったね! 心の中で謝って彼の案に乗る。そうなれば行動はすぐ起こすに限る。
「落ち着けって。その手で行くにも、食料とかは買っておかないといけねぇし、石売りにいくのと二手にわかれようぜ」
そりゃそうか。馬車に乗れたにしても食料は自前になるよね。
「そんで、王都までってどれくらいかかるの?」
「馬車で6日、歩きなら10日くらいか」
「めっちゃかかるじゃん!」
予想以上の日数に思わず声が出る。そっかー、この国の大きさとかよくわかってなかったけど、この街の規模でもそれだけ距離が離れてるんだ。
「……やめとくか? 馬車に乗ってりゃ尻も痛くなるし、水浴びとかもいつできるかわかんねぇくらいし」
「うー、一回決めた事だからいきまぁす」
もうちょっと気軽に行ける距離にあると思ってたよ王都…… 異世界系のテンプレじゃあさくっと移動してるのに、現実はやっぱこうなんだね。
「なら、ちゃっちゃと用意しようぜ。俺が食料かってくるから、部屋に置いてある石売ってきてくれよ」
「はーい」
二人でお買い物っていうのがちょっと悪戯チャンスだと思って楽しみにしていたけど、仕方ない。
彼の言葉におとなしく従って、僕は石を取りに戻って準備を進めることにした。
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