異世界島流しの罪名は、世界樹の枝を折ったから!? ~一難さってまた一難な僕っ娘冒険記~

矢筈

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三章 王都にて

情報は大事

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「次の神様の場所だけどよ」
 
 夕食の時、皆から押しやられるがままに、アランと食卓を一緒に囲んでいる。
 もう恥ずかしい通り越して達観できそうだよね。
 
「近いところがギャレリア帝国っつー国なんだが」
 
 そこで早速得た情報をアランが教えてくれた。
 どうやら国を跨がないと次はないらしい。
 しかし今までと違って国を越えるとなるとなかなか厄介なのではないだろうか。
 
「問題はいま絶賛国境で紛争中なんだよな」
 
 厄介どころか戦争じゃん! 他に道はないのかな……
 
「んで、流石に戦争の真っ只中は抜けられねぇから、何か方法ねぇかなーって調べてたら、結構時間かかるけど方法は見つけたぜ」
 
 さっすがアラン。こういう時はキチンと気が効くね。
 
「時間かかるって、どれくらい?」
 
「んー、王都から東のファルカ領を越えてダルマン領の港にいって、そこから月一回のコドル王国への船便にのって、そっからまた月一度のギャレリア帝国行きの船に乗るって形だな。」
「うわぁ、面倒くさそう」
 
 あからさまな表情をする僕に渋い顔をするアラン。
 
「直でいくらなら命がけで戦地潜り抜けるか、見つかったら串刺し刑覚悟で山を抜けてくかだな」
 
 どっちもゴメンすぎる。これは迂回していくのが正解だろうなぁ。
 
「ちなみに最短で行ったとして、どのくらいかかりそう?」
「ここの卒業の時点からだと…… 船のタイミングがベストだとしても3ヶ月近くはかかるだろうな」
 
 思ったよりの長旅だ。
 
「取り敢えず、俺は明日ギルドで情報集めしてみるさ。そっちも何か調べておいてくれよ」
「勿論、相棒だからね」
 
 そして翌日、僕は学院の書庫へ赴いた。
 ここの蔵書は結構なものらしく、下手に歩き回るよりここで探すほうが都合が良さそうだからだ。
 分類もきちんとされているから、探すのも比較的楽だしね。
 本棚の端についているカテゴリーの書かれたプレートを確認しながら書庫を歩く。
 目指すは神話やおとぎ話に類する本だ。なにせあと7柱も合わないといけないんだから、あてずっぽうに探して歩いていたら、世界が滅亡する前に僕の寿命が尽きかねない。
 それにしても本当に広い図書館だ。
 この世界の識字率はそこまで高くないみたいだけど、それでもこれだけの本を揃えているなんて……。
 やはり王立だけあってお金をかけてるのかもしれない。
 そんなことを考えつつ、ようやくそれっぽいタイトルの本が並んでいるエリアを見つけて、何冊か手に取って席についた。
 ペラリとページを捲りながら読み進めていく。
 どうにもこう言ったものは苦手だが、幸いにして挿絵が多いおかげでなんとか読めた。
 うん、どこの国も神話は似たような形態が多いのがよくわかる。だが、問題は同時に取り寄せた地図の中に出てくる地名が見当たらないことだ。
 まぁそれも仕方ないといえば仕方ないのかもしれない。何せ日本の神話でも地名が残ってるなんてほとんどなかったはずだし。
 でもこうなってしまうと、予想がつかなくなってしまう。どこから攻めたものだろうか。
 そこでふと新たな考えが思い浮かぶ。そう歴史に頼るからわからないんであって、もしかして神様の縁の地って観光地なんかになっていないだろうか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 思い立ったが吉日、今手元にとった神話の本を棚にもどし、地理の棚の本拾い上げる。
 そして読み進めれば、予想が的中し、いくつかの街が候補にあがった。問題は縁の地が別に一つではないという点だろうか。
 そのうちのどれか一つが当たりになるのか、それともどれもが当たりになるのかがさっぱりわからない。
 事前に買っておいた地図にとりあえず片っ端から点を落としていけば、結構な量になった。こうしてみると今までがかなり運が良かったのだろう。なにせこの世界、すくなくとも地図に映っている範囲では宗教は一つで固まっている。というのも神様の奇跡が実際に目のまえで起こったり、人が神様へ至った過去もしっかり残っているからだ。そんなこんなで全世界に逸話も散らばっているし、それなりの数が伝承に残っているわけだ。
 今後はこの点の場所を埋めていくことになる。アランが昨日言っていたルートであれば、コドル王国に2か所、ギャレリア帝国で7か所だ。
 お金を稼ぎながらめぐることを考えると結構時間がかかりそうだ。
 これは本当に世界がどうにかなる前に終わらせることができるのだろうか。
 そう不安になりつつも、取り敢えずは今日の分のノルマをこなしておくことにした。
 
「それで?  どうだった?」
 
 夕食時、アランに進捗を聞いてみた。
 
「あー、あんまりいい話は聞けなかった」
「そっか、一応こっちは縁の地の候補を書き出してみたんだけど」
 
 お盆とお盆の間に地図を広げる。
 
「候補だけだとこれだけ数があるんだよね。全部めぐってたらどれだけかかるかわかんない」
「そうだなぁ、なんとかもうちょっと絞らねぇと厳しいな」
 
 知恵の神様に出会ったときに候補地を聞いておくべきだったかもしれない。とはいえ、あの神様厳しそうだから教えてくれなさそうだけど。
 というか、人に世界の命運押し付けてるんだからそれくらいはサービスしてくれてもいいと思うんだけど。
 まぁこれも魂の経験とやらのためだろう。まったくもってままならない。
 
「明日も図書館で調べてみるよ。取り敢えず当面の目的は卒業してコドル王国までいくことかな」 
「そうだな。あとは国境超えでいちいち引っかからないように、冒険者としての実績稼ぎも必要だ」
 
 あー、そういう面倒臭いのもあるのね。でも検問とかでひっかかるよりはましだろう。
 
「今度から休みの日、空けとけよ。できる限り狩りにでて実績つくっておこうぜ」
「そうだね、そうしよう」
 
 それだけ約束すると、僕らは食堂を離れてお互いの寮へ戻った。
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