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第1章 最初の《契約》、竜の少女
第9話 予想外にバズってた件
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「は、え、ちょ、伴侶って……はぁ!? 君、それ意味わかって言ってる!?」
「もちろんじゃ、心外じゃぞ」
シャルは、少し不機嫌そうに眉根をよせる。
しかし、俺を番いと決める要素なんてどこにあった!?
「まさか――《契約》とかいうスキルのせいか!?」
確かキスをして、《契約》が発動したのだ。
たぶん、その権能の中に《契約》した相手とは問答無用でそういう関係になるトラップが仕組まれていたり――
「いいや、妾が勝手に決めた事じゃ。レベル1の矮小なる人間に、あんなにも熱烈に助けられたら、惚れない方が無理という話じゃ」
「うぇ……」
そう言われると、なんだか照れくさいんだけど。
――て、思わず流しそうになったけど、ちょっと待てよ!?
「ちょっと待って。シャルが勝手に僕を伴侶と決めたって、それ僕は合意してないよね!?」
「ちっ、気付きおったか。まったく、女子に言い寄られたんだから、黙って鼻の下を伸ばしておればよいものを。据え膳食わぬは男の恥じゃぞ?」
「よくそんな言葉知ってるね!」
この子、本当にモンスターなのかよ。
こうして話している分には、本当に人間と変わらない。
それが嬉しくもあり、厄介でもあった。
「とにかく、僕はシャルのことは好きだけど、その……そういう関係にはまだ早いと思うんだ。その……いろいろすっ飛ばし過ぎちゃってると思うから、申し訳ないんだけど僕は君の旦那様にはなれない」
僕は、シャルにはっきりとそう告げた。
シャルを悲しませてしまうかもしれない。それは辛いし、シャルのことは好きだ。
けど、だからこそいろんな関係をすっ飛ばしていきなり夫婦みたいな、そういういい加減なことはできない。
それが伝わったのか、シャルはふと力の抜けた笑みを浮かべて、
「仕方ないのう、まあ、ドラゴンと人間では在り方が違うじゃろうし、構わぬよ」
「シャル!」
僕は感極まって、シャルの名を呼び――
「じゃが、妾の旦那様はおぬし以外いないからのう? 今後も全力で正妻力を見せつけるつもりぞ?」
「……ねぇ、僕の話聞いてた?」
どうやら、僕はシャルのお眼鏡に適ってしまったらしい。
僕がシャルのことを妻と認められないのは許してくれたが、彼女自身は勝手に妻を名乗り続けるようだ。
なんというか、とんでもない厄介ファンが誕生してしまった。
「だいたい、正妻力なんてどこの誰に見せつける必要があるのさ 僕、恋人なんていないよ?」
当たり前のことを聞いた僕だったが、しかしシャルは意外そうな顔をした。
「そんなわけがなかろう。既に旦那様は、注目の的じゃよ」
「?」
シャルの言うことがわからず、僕は頸を傾げる。
「まあ、旦那様は気絶していて知らなかったじゃろうから、仕方ないかの。旦那様を取り巻く環境がどうなっているのか、実際に見た方が早いじゃろうて」
そう言うと、シャルはテレビのリモコンの電源を、器用にしっぽの先で押す。
すると、テレビに映ったのは――
『続いてのニュースです。昨夜、ダンジョン冒険者の経験値獲得数ランキングにおいて、まったくの無名冒険者――「神結絆」さんがランキングトップに躍り出たことで、日本中が騒然となっています』
「はぁああああああああああああああッ!?」
ニュースキャスターのお姉さんが淡々とした口調で話すのは、間違い無く僕のことだ。
え? うそだろ、なんでニュースになってんの!?
『レベル1から一気に20までレベルアップを果たしたことで、疑念の声も上がっていますが、それ以上に驚きと賞賛の声が多く――』
開いた口が塞がらない僕をちらりと見て、シャルが言った。
「のう? Sランクモンスターを4匹も単独撃破したせいで、おぬしは今や好奇の的じゃ。これから注目を浴びることは免れぬ故、しっかりと粉を掛けさせて貰うぞ」
「…………」
シャルが何やら言っているが、正直僕はそれにツッコミを返す余裕などない。
――ど、どうなるんだ。僕のこれからの生活は。
一気に食欲が失せた僕は朝ご飯を半分ほど残し、戦々恐々としながら学校へ向かった。
「もちろんじゃ、心外じゃぞ」
シャルは、少し不機嫌そうに眉根をよせる。
しかし、俺を番いと決める要素なんてどこにあった!?
「まさか――《契約》とかいうスキルのせいか!?」
確かキスをして、《契約》が発動したのだ。
たぶん、その権能の中に《契約》した相手とは問答無用でそういう関係になるトラップが仕組まれていたり――
「いいや、妾が勝手に決めた事じゃ。レベル1の矮小なる人間に、あんなにも熱烈に助けられたら、惚れない方が無理という話じゃ」
「うぇ……」
そう言われると、なんだか照れくさいんだけど。
――て、思わず流しそうになったけど、ちょっと待てよ!?
「ちょっと待って。シャルが勝手に僕を伴侶と決めたって、それ僕は合意してないよね!?」
「ちっ、気付きおったか。まったく、女子に言い寄られたんだから、黙って鼻の下を伸ばしておればよいものを。据え膳食わぬは男の恥じゃぞ?」
「よくそんな言葉知ってるね!」
この子、本当にモンスターなのかよ。
こうして話している分には、本当に人間と変わらない。
それが嬉しくもあり、厄介でもあった。
「とにかく、僕はシャルのことは好きだけど、その……そういう関係にはまだ早いと思うんだ。その……いろいろすっ飛ばし過ぎちゃってると思うから、申し訳ないんだけど僕は君の旦那様にはなれない」
僕は、シャルにはっきりとそう告げた。
シャルを悲しませてしまうかもしれない。それは辛いし、シャルのことは好きだ。
けど、だからこそいろんな関係をすっ飛ばしていきなり夫婦みたいな、そういういい加減なことはできない。
それが伝わったのか、シャルはふと力の抜けた笑みを浮かべて、
「仕方ないのう、まあ、ドラゴンと人間では在り方が違うじゃろうし、構わぬよ」
「シャル!」
僕は感極まって、シャルの名を呼び――
「じゃが、妾の旦那様はおぬし以外いないからのう? 今後も全力で正妻力を見せつけるつもりぞ?」
「……ねぇ、僕の話聞いてた?」
どうやら、僕はシャルのお眼鏡に適ってしまったらしい。
僕がシャルのことを妻と認められないのは許してくれたが、彼女自身は勝手に妻を名乗り続けるようだ。
なんというか、とんでもない厄介ファンが誕生してしまった。
「だいたい、正妻力なんてどこの誰に見せつける必要があるのさ 僕、恋人なんていないよ?」
当たり前のことを聞いた僕だったが、しかしシャルは意外そうな顔をした。
「そんなわけがなかろう。既に旦那様は、注目の的じゃよ」
「?」
シャルの言うことがわからず、僕は頸を傾げる。
「まあ、旦那様は気絶していて知らなかったじゃろうから、仕方ないかの。旦那様を取り巻く環境がどうなっているのか、実際に見た方が早いじゃろうて」
そう言うと、シャルはテレビのリモコンの電源を、器用にしっぽの先で押す。
すると、テレビに映ったのは――
『続いてのニュースです。昨夜、ダンジョン冒険者の経験値獲得数ランキングにおいて、まったくの無名冒険者――「神結絆」さんがランキングトップに躍り出たことで、日本中が騒然となっています』
「はぁああああああああああああああッ!?」
ニュースキャスターのお姉さんが淡々とした口調で話すのは、間違い無く僕のことだ。
え? うそだろ、なんでニュースになってんの!?
『レベル1から一気に20までレベルアップを果たしたことで、疑念の声も上がっていますが、それ以上に驚きと賞賛の声が多く――』
開いた口が塞がらない僕をちらりと見て、シャルが言った。
「のう? Sランクモンスターを4匹も単独撃破したせいで、おぬしは今や好奇の的じゃ。これから注目を浴びることは免れぬ故、しっかりと粉を掛けさせて貰うぞ」
「…………」
シャルが何やら言っているが、正直僕はそれにツッコミを返す余裕などない。
――ど、どうなるんだ。僕のこれからの生活は。
一気に食欲が失せた僕は朝ご飯を半分ほど残し、戦々恐々としながら学校へ向かった。
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