ダンジョンに迷い込んだ落ちこぼれの僕。偶然助けた“最強種”の少女と契約したら、強さがバグってSランクモンスターをブッ飛ばしちゃった件

果 一

文字の大きさ
9 / 61
第1章 最初の《契約》、竜の少女

第9話 予想外にバズってた件

しおりを挟む
「は、え、ちょ、伴侶って……はぁ!? 君、それ意味わかって言ってる!?」
「もちろんじゃ、心外じゃぞ」

 シャルは、少し不機嫌そうに眉根をよせる。
 しかし、俺をつがいと決める要素なんてどこにあった!?

「まさか――《契約》とかいうスキルのせいか!?」

 確かキスをして、《契約》が発動したのだ。
 たぶん、その権能の中に《契約》した相手とは問答無用でになるトラップが仕組まれていたり――

「いいや、妾が勝手に決めた事じゃ。レベル1の矮小なる人間に、あんなにも熱烈に助けられたら、惚れない方が無理という話じゃ」
「うぇ……」

 そう言われると、なんだか照れくさいんだけど。
 ――て、思わず流しそうになったけど、ちょっと待てよ!?

「ちょっと待って。シャルが勝手に僕を伴侶と決めたって、それ僕は合意してないよね!?」
「ちっ、気付きおったか。まったく、女子に言い寄られたんだから、黙って鼻の下を伸ばしておればよいものを。据え膳食わぬは男の恥じゃぞ?」
「よくそんな言葉知ってるね!」

 この子、本当にモンスターなのかよ。
 こうして話している分には、本当に人間と変わらない。
 それが嬉しくもあり、厄介でもあった。

「とにかく、僕はシャルのことは好きだけど、その……そういう関係にはまだ早いと思うんだ。その……いろいろすっ飛ばし過ぎちゃってると思うから、申し訳ないんだけど僕は君の旦那様にはなれない」

 僕は、シャルにはっきりとそう告げた。
 シャルを悲しませてしまうかもしれない。それは辛いし、シャルのことは好きだ。
 けど、だからこそいろんな関係をすっ飛ばしていきなり夫婦みたいな、そういういい加減なことはできない。

 それが伝わったのか、シャルはふと力の抜けた笑みを浮かべて、

「仕方ないのう、まあ、ドラゴンと人間では在り方が違うじゃろうし、構わぬよ」
「シャル!」

 僕は感極まって、シャルの名を呼び――

「じゃが、妾の旦那様はおぬし以外いないからのう? 今後も全力で正妻力を見せつけるつもりぞ?」
「……ねぇ、僕の話聞いてた?」
 
 どうやら、僕はシャルのお眼鏡に適ってしまったらしい。
 僕がシャルのことを妻と認められないのは許してくれたが、彼女自身は勝手に妻を名乗り続けるようだ。
 なんというか、とんでもない厄介ファンが誕生してしまった。

「だいたい、正妻力なんてどこの誰に見せつける必要があるのさ 僕、恋人なんていないよ?」

 当たり前のことを聞いた僕だったが、しかしシャルは意外そうな顔をした。

「そんなわけがなかろう。既に旦那様は、注目の的じゃよ」
「?」

 シャルの言うことがわからず、僕は頸を傾げる。

「まあ、旦那様は気絶していて知らなかったじゃろうから、仕方ないかの。旦那様を取り巻く環境がどうなっているのか、実際に見た方が早いじゃろうて」

 そう言うと、シャルはテレビのリモコンの電源を、器用にしっぽの先で押す。
 すると、テレビに映ったのは――

『続いてのニュースです。昨夜、ダンジョン冒険者の経験値獲得数ランキングにおいて、まったくの無名冒険者――「神結絆」さんがランキングトップに躍り出たことで、日本中が騒然となっています』
「はぁああああああああああああああッ!?」

 ニュースキャスターのお姉さんが淡々とした口調で話すのは、間違い無く僕のことだ。
 え? うそだろ、なんでニュースになってんの!?

『レベル1から一気に20までレベルアップを果たしたことで、疑念の声も上がっていますが、それ以上に驚きと賞賛の声が多く――』

 開いた口が塞がらない僕をちらりと見て、シャルが言った。

「のう? Sランクモンスターを4匹も単独撃破したせいで、おぬしは今や好奇の的じゃ。これから注目を浴びることは免れぬ故、しっかりと粉を掛けさせて貰うぞ」
「…………」

 シャルが何やら言っているが、正直僕はそれにツッコミを返す余裕などない。

 ――ど、どうなるんだ。僕のこれからの生活は。

 一気に食欲が失せた僕は朝ご飯を半分ほど残し、戦々恐々としながら学校へ向かった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...