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第2章 人魚姫の涙、因縁の対峙

第14話 人魚姫救出作戦

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 ――と言いつつ、僕にだってなんとなくステータスが人外じみてきていることは理解していた。
 今のレベルをちらっと確認した僕は――

――

名前:神結絆
種族:人間(?)
 性別:男
 レベル:20→21

 HP(体力):4180→4290
 MP(魔力):2860→2990
 STR(攻撃力):520→550
 DEF(防御力):400→420
 DEX(命中):440→490
 AGI(敏捷):1800→1960
 LUK(運):430→460

 魔法:《ファイア・ボール》《バーニング・ブレス》
 固有スキル:《契約》《龍鱗》《龍翼りゅうよく》《-龍之鉤爪《ドラゴン・クロー》》《透視龍眼ドラゴン・アイ
 所持アイテム:――
 称号:ドラゴンの夫・愛妻家

――

 ――そっとステータスを閉じた。
 うん、僕は何も見ていない。
 だから、基礎ステータスが10倍になっているせいで、レベル21なのに(いるかどうかすらわからない)レベル3桁の冒険者と同等のスペックになってるとか。
 いつのまにか、愛妻家とかいう謎の称号が追加されているとか。
 繰り返すが僕は何も見ていないぞ?

 ……そんなこんなで現実逃避しつつ、僕等は72階層の最奥付近まで来ていた。
 
「そろそろじゃな」
「そろそろって何が?」

 問い返した僕に対し、前を行くシャルが答えた。

「人魚姫が捕まっている場所じゃ」
「そういえば、さっきそんなこと言ってたね」

 人魚姫、と言うとあれか。上半身が人間の女の子で下半身が魚という、男の子なら一度は夢を見るあれだ。
 
「囚われのって言うんだから、誰か悪い奴に捕まってるの?」
「う……うむ。まあ? そんなとこじゃ」

 なんか歯切れが悪いが、そんなとこらしい。

「あやつらは酷いのじゃ! いたいけな人魚姫を部屋に閉じ込めておる! そんなことが許されるかの?」
「許されないとは思うけど……一応確認なんだけどさ。その人魚も“最強種”?」
「何を当たり前のことを聞いておるのじゃ?」

 そっか。“最強種”か。
 
「……ねぇ、シャル。僕思うんだけどさ」
「なんじゃ、旦那様?」
「“最強種”ってつくくらいだからさ、強いわけじゃん?」
「うむ」
「たぶん、そうそう簡単に監禁とかされるわけないじゃん」
「……う、うむ」

 徐々に、シャルの額に冷や汗が浮いてくる。

「てことはだよ。“最強種”を監禁してるのも、“最強種”ってことになるよね?」
「…………」

 おい、なんとか言えよ。
 シャルの頼みだからついて来たけど、最悪これから“最強種”相手に全面戦争することになるんじゃないの!?

「ま、まあ心配いらんよ! ヤツらの誰にも見つからずに出られる抜け道を知ってるからのう?」
「……ほう、。つまり敵は複数と」
「…………ふひゅー、ふひゅー」

 いたたまれなくなったのか、口笛を吹き始めるシャル。
 しかしこの子、なんで抜け道なんて知っているのだろうか?
 疑問に答えが出ないまま、気付けば72階層の一番奥まで来ていた。行き止まりとなっている壁には大きな穴が開いており、見た感じ下の階層へと続いていそうだ。

「目的地は73階層。この先じゃ」
「……わかった」

 もう、どうとでもなるがいい。
 半分くらい自暴自棄になりつつ、僕とシャルは暗いトンネルの中へと吸い込まれるように入っていった。

――。

 73階層。
 随分下るのだなと思ったら、その理由は視界が開けた瞬間にわかった。
 
 72階層は通路じみた洞窟が続く場所だったが、73階層は違った。
 全体は野球場かサッカースタジアムがすっぽり収まりそうなほどの広さ。中央には大きな島がアリ、その周りを湖が堀のように取り囲んでいる。
 湖と言っても、波が穏やかということはなく、見上げるほど高い天井からは水が滝のように轟々と流れ落ちていて、ところどころ渦潮まで生まれていた。

 そして、最も目を見張るのは中央の島にある建物だろう。
 平安時代の貴族の館みたいな、とにかく現代では見ない立派なお屋敷が建っている。物語で言うと、浦島太郎に出てくる竜宮城のような感じだ。

 その巨大なお屋敷の周りと堀のような湖の間には、大きな石塀が築かれ、冒険者の侵入を拒むかのような作りになっている。

「……今から攻城戦でもするっていうのか」

 しかも2人でここを攻めるの? アホすぎない?

「ま、まああくまで我等は隠密行動じゃからのう? 逃げ切れれば勝ちじゃよ」

 シャルはそう言うが、それが難しいと思うんだが?
 僕とシャルはとりあえず正面に架かっているアーチ型の橋を渡り、塀の近くまで近寄る。
 それから塀沿いをぐるりと回って、お屋敷の丁度裏側まで来た。そこには、橋を渡った先にある正門とは違い、小さめの門が設置されていた。

「ここから先は、妾が彼奴のへや――じゃなく、牢屋まで案内しよう。なに、心配はいらぬ。この時間は、裏門から入れば見張りに見つからないからのう?」

 そう言って、軽く僕の背中を叩くシャル。
 それから、意気揚々と裏門を開け、中に入り――

「「……」」

 僕とシャルは、そのまま固まった。
 まず正面には、槍で武装したトカゲのようなモンスター――リザードマンがいた。
 右を見ると、剣で武装したトカゲのようなモンスター――すなわちリザードマンがいた。
 左を見ると、斧で武装したトカゲのようなモンスター――やはりリザードマンがいた。
 そして、その奥にも、奥の奥にも。奥の奥の奥にも。リザードマンがいた。その数、ざっと50体。

「…………なあ、シャル。一応聞くけど、この時間は見張りがいないんじゃなかったっけ?」

 頬をひくつかせながらなんとかシャルに問う。
 するとシャルは、俺の方を振り返って可愛らしく舌をだした。

「てへっ☆」

 ――このヤロウあとでしばく!
 
 僕がそう心に決めた瞬間、もの凄い雄叫びを上げ、リザードマンの群れが襲いかかってきた。
 
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