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第2章 人魚姫の涙、因縁の対峙
第19話 人魚姫救出へ
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「と、とと、とりあえず私何をしたらいいかしら!? そうだ! 73階層の水をダンジョンに流して洪水を起こせば、あの子に危害を加えそうなヤツは全員押し流せるわ! 泳ぎが得意なあの子なら余裕で帰ってこれるはず!」
「お、落ち着け! 妾がまず上層に向かって《バーニング・ブレス》を放つ。ダンジョンの階層を丸ごと破壊すれば、わざわざ上昇会へ向かう階段やワープポータルを見つけずとも、捜索時間が短縮できるはずじゃ!」
「す、ストーップ!」
あたふたと慌てる二人へ、僕はたまらず待ったをかける。
「そんなことしたら、ダンジョン全体に被害が出るでしょ!?」
翌日のニュースで“ダンジョン至上過去最多の死病者数”というテロップが全てのチャンネルで流れている様子が容易に想像できる。
ていうか、ナチュラルに今言ったことができる力をこの人達は秘めているわけで、もう恐怖しか湧かない。
「し、しかしじゃな旦那様!」
「この状況で、焦るなと言うのが無理よ。それに……」
ただでさえ顔を青くしていた人魚母が、更に顔を青白くして震えた声で呟いた。
「このことを旦那が知ったら、どうなるか……」
「旦那?」
え、旦那がいたの? ってそうか。娘がいるんだから当然父親もいるのか。
てことは待って? 人魚姫の母が人魚ということは、父親も人魚!?
僕の頭の中で、筋肉モリモリのボディビルダーみたいな男の下半身が魚という、とんでもないビジュアルが浮かんで――
「ええ。旦那はケルピーで、すごく怒りっぽい性格だから……」
え? ケルピーっていうと、確か水に住む馬のような見た目をした妖精のことだよな?
人魚じゃないんかい。
「それに、娘に何かあるとすぐに察してそこへ向かうの」
「え。それは別にいいんじゃ……」
むしろ、そんな特殊能力があるのなら、ミリーさんに何かあっても大丈夫なんじゃ……
そんな風に思ったが、人魚母は首を横に振った。
「そういうわけにはいかないの。言ったでしょ。旦那はすごく怒りっぽい性格なのよ。昔、ミリーと外に出たときモンスターのせいで軽いケガを負ったの。そしたら、激怒したあの人が――」
「旦那さんが?」
「……そのモンスターと同種族の者をざっと3000匹、巣ごと壊滅させてしまったわ」
「…………」
絶句した。
ちょっとケガを負っただけで、それ。
正直、さっきまで気が動転してダンジョン内に洪水を起こすとか言っていた人でも、実行には移していない。
しかし、旦那さんは平気でそれをやるということだ。
つまり――
「もし、ミリーさんに何かあったら、ダンジョン全体がとんでもないことになる……ってことですか?」
「おそらく。貴方たち人間なんて、紙くずのように吹き飛ばされて終わりでしょうね」
これはマズい。
こんなところで話している場合ではなさそうだ。
事態は一刻を争う。
「とにかく、手分けして探しましょう! お母さんも、娘さんの行っている場所に心当たりとかないんですか?」
「あいにく。今まで連れ出したことはほとんどなかったから……」
「そうですか。シャルは? 今までどこに連れてったの?」
「さあ。妾も数えるほどしか連れ出していないから、特に心当たりというのは……あ!」
難しい顔をしていたシャルが、次の瞬間何かを思いだしたように声を上げた。
「何か心当たりがあるの?」
「そういえば、前ワープポータルに乗って中層に行ったとき、「ここ綺麗」って言って、離れようとしない場所があった!」
「きっとそこだ! シャル行こう! ワープポータルまで案内お願い!」
「もちろんじゃ!」
「私も行くわ。娘を放っておけないもの」
かくして、僕達三人はシャルの先導の元ダンジョンの中層へ向かう。
しかし――このときはまだ、わかっていなかった。
事態は、最悪の方向へと舵を切っていることに。
「お、落ち着け! 妾がまず上層に向かって《バーニング・ブレス》を放つ。ダンジョンの階層を丸ごと破壊すれば、わざわざ上昇会へ向かう階段やワープポータルを見つけずとも、捜索時間が短縮できるはずじゃ!」
「す、ストーップ!」
あたふたと慌てる二人へ、僕はたまらず待ったをかける。
「そんなことしたら、ダンジョン全体に被害が出るでしょ!?」
翌日のニュースで“ダンジョン至上過去最多の死病者数”というテロップが全てのチャンネルで流れている様子が容易に想像できる。
ていうか、ナチュラルに今言ったことができる力をこの人達は秘めているわけで、もう恐怖しか湧かない。
「し、しかしじゃな旦那様!」
「この状況で、焦るなと言うのが無理よ。それに……」
ただでさえ顔を青くしていた人魚母が、更に顔を青白くして震えた声で呟いた。
「このことを旦那が知ったら、どうなるか……」
「旦那?」
え、旦那がいたの? ってそうか。娘がいるんだから当然父親もいるのか。
てことは待って? 人魚姫の母が人魚ということは、父親も人魚!?
僕の頭の中で、筋肉モリモリのボディビルダーみたいな男の下半身が魚という、とんでもないビジュアルが浮かんで――
「ええ。旦那はケルピーで、すごく怒りっぽい性格だから……」
え? ケルピーっていうと、確か水に住む馬のような見た目をした妖精のことだよな?
人魚じゃないんかい。
「それに、娘に何かあるとすぐに察してそこへ向かうの」
「え。それは別にいいんじゃ……」
むしろ、そんな特殊能力があるのなら、ミリーさんに何かあっても大丈夫なんじゃ……
そんな風に思ったが、人魚母は首を横に振った。
「そういうわけにはいかないの。言ったでしょ。旦那はすごく怒りっぽい性格なのよ。昔、ミリーと外に出たときモンスターのせいで軽いケガを負ったの。そしたら、激怒したあの人が――」
「旦那さんが?」
「……そのモンスターと同種族の者をざっと3000匹、巣ごと壊滅させてしまったわ」
「…………」
絶句した。
ちょっとケガを負っただけで、それ。
正直、さっきまで気が動転してダンジョン内に洪水を起こすとか言っていた人でも、実行には移していない。
しかし、旦那さんは平気でそれをやるということだ。
つまり――
「もし、ミリーさんに何かあったら、ダンジョン全体がとんでもないことになる……ってことですか?」
「おそらく。貴方たち人間なんて、紙くずのように吹き飛ばされて終わりでしょうね」
これはマズい。
こんなところで話している場合ではなさそうだ。
事態は一刻を争う。
「とにかく、手分けして探しましょう! お母さんも、娘さんの行っている場所に心当たりとかないんですか?」
「あいにく。今まで連れ出したことはほとんどなかったから……」
「そうですか。シャルは? 今までどこに連れてったの?」
「さあ。妾も数えるほどしか連れ出していないから、特に心当たりというのは……あ!」
難しい顔をしていたシャルが、次の瞬間何かを思いだしたように声を上げた。
「何か心当たりがあるの?」
「そういえば、前ワープポータルに乗って中層に行ったとき、「ここ綺麗」って言って、離れようとしない場所があった!」
「きっとそこだ! シャル行こう! ワープポータルまで案内お願い!」
「もちろんじゃ!」
「私も行くわ。娘を放っておけないもの」
かくして、僕達三人はシャルの先導の元ダンジョンの中層へ向かう。
しかし――このときはまだ、わかっていなかった。
事態は、最悪の方向へと舵を切っていることに。
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