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第二章 《選抜魔剣術大会》編
第124話 衝撃の真実(リクス目線)
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なんだか、ちょっと中二臭い名前の剣が出現した。
よくわからないが、聖剣を依り代に魔属性のオーラが浸透して、15本目のイレギュラーが誕生したっぽい。
「いやあ、不思議なこともあるもん……」
俺の言葉は、そこで途切れた。
シエンの魂へお邪魔していた俺の意識は、現世に舞い戻ったのだが――その瞬間、置かれている現状に気付いたからだ。
右手に魔剣 《怠惰魔剣》。左手に聖魔剣 《堕天使魔剣》。
そして――胸に顔を埋める美少女《シエン》。
「うぉおおお!?」
必定、俺は叫び声を上げ、飛び下がろうとする。
そういえば、シエンの攻撃を喰らいすぎないよう、彼女に密着していたんだった。
慌てて離れようとした俺だったが、離れられない。
ま、まさか! 身体は離れようとしているのに、心が拒絶している……だと!?
俺はそんなに欲求不満だったのか!?
と。戦々恐々とする俺の腰に、暖かさがあることに気付いた。
シエンの手が、俺の腰を掴んでいたのだ。
「え……あの、シエンさん!?」
「ありがと……」
「?」
シエンの突然の言葉に、俺は一瞬きょとんとする。
そして、次の瞬間驚愕した。
顔を上げ、俺を見上げるシエンが、笑っていたのだ。
瞳から涙をこぼしながら、無表情だった彼女とは同一人物と思えないほど、美しい表情で。
「……なんだ。可愛い表情、できるんじゃん」
「え……」
一瞬、何を言われたのかわからないというような顔をしていたシエンだったが、やがてぽっと頬を赤らめてそっぽを向いてしまった。
「そ、それは……リクスが助けてくれたから」
「いや……でも、これでいいのか? 普通の人生を送りたいんだろ? まだ魔剣が、お前の体内に残って……」
「ううん、大丈夫。贅沢は言わない。それに……もう呪いは解けたから」
そう言って、シエンは表情豊かに笑う。
「ああ、そういえばそうだな。暴走が収まったし、呪いが解けたっぽいな」
「……え?」
「え?」
きょとんとするシエン。
小首を傾げる俺。
「えっと……呪いって、なんのことだと思ってたの?」
「は? だから、お前の両親が、お前の能力に価値を見出して人生を束縛するために仕組んだ呪いじゃないの? さっきも、そのせいで暴走したんじゃないかと……」
「……ぷっ」
シエンは急に吹き出した。
「ははは……なにそれ。僕が“呪い”って言ったのは、聖剣と魔剣を同時に宿したことで、体内で拒絶反応が繰り返されてて、魂が圧迫され削られていくことだよ」
「……え」
ぽかんと口を開ける俺の前で、シエンははにかむ。
「勘違いさせちゃったみたいだね。僕は、この体質のせいでいずれ魂が削られて、自我を消滅させられる運命にあった。有り体に言えば、もう寿命が近かったんだ、僕」
「……えぇえええええ!?」
想定外の告白に、俺はすっとんきょうな叫び声を上げる。
何? じゃあ今まで、俺はいろいろ空回ってたってことか!?
「えーと……待てよ。つまり、俺が聖剣を抜き取ったから、魂の摩耗が止まった……ってことでいいのか?」
「うん。それに、数年前からどんどん希薄になっていった感情が戻りつつあるみたい。僕の魂に残った《傲慢魔剣《ルシファー》》が、強く根を張って、自我を支えてくれてるみたいなんだ。だから、もう死ぬ心配はないよ」
「お、おう。それは何よりで……」
俺は、曖昧に頷く。
「本当に、ありがと。僕はこの大会で、優勝して、自分の呪いを治すつもりでいた。僕はとっくに諦めかけていたけど、僕のパパは……両親だけは諦めなかった。僕の、ただ生きたいっていう夢を、ずっと叶えようとしてくれていた」
「……ん?」
「だから、両親にだけ僕の我が儘を背負わせるのが嫌で、僕は興味の無いこの大会に出場したんだ。だけど、リクスが教えてくれた。思い出させてくれた。僕の、もう消えてしまったはずの願いを。ただ、普通の人生を送りたいっていう、埋もれてしまいそうな、ちっぽけな、僕の全てを」
そう言って、シエンは頬を朱に染め……俺の方を見て怪訝そうに眉をひそめた。
「リクス? どうしたの? なんか顔が引きつってるよ」
「え!? そ、そうか? 気のせいだろ絶対! はは、はははー」
あれ、彼女の両親って悪役キャラじゃなかったの?
彼女の人生を束縛する的な話だったはず……まさか、これも俺の勘違い!?
なんかいろいろと解釈違いを起こしていたが、まあ概ね問題なしってことでよくね? いいよね?
成り行きで彼女を救えたから、結果オーライだ、うん。
「あ、あのー……」
そのとき、不意に別の方向から拡声魔法による声が飛んできた。
見れば、司会の女性が恐る恐ることらを見ている。
「なんだか抱き合ってラブコメ最終回ムードのところ悪いんですけど……決勝戦、継続しますか?」
言われてようやく思いだした。
そういや俺達、決勝戦の最中だった。
慌てて俺の胸から飛び退いたシエンが、「あの、これは、その……違くて、うぅ……」と少し涙目になって誤解を解こうとしている。
シエンの暴走による怪我人は、幸いにもゼロ。
ただし、避難を始めていたからか、出入り口付近にいる客が大半のようだ。
「どうする、シエン。まだやるか?」
「え? ううん。リクスの勝ちだよ。なんでかわからないけど、急に暴走した僕を止めて、救ってくれたのはリクスだし」
「そうか」
てことは、賞金2000万エーンは俺のもの!!
勝った。勝ちましたよ俺の人生!!
シエンの敗北宣言に頷いた司会者が、悠然と俺の勝利を宣言しようとする。
と、そのとき。
不意に俺は、ある違和感に気付いた。
あれ。さっきの暴走は、シエンに親がかけた呪いのせいだと思っていた。
でも、実際には違った。
シエン本人にも暴走した原因がわからず、しかしあの暴走は間違いなく人為的なもの。
であれば……誰が、シエンを暴走させたんだ?
その疑問に思い至った――刹那の出来事だった。
よくわからないが、聖剣を依り代に魔属性のオーラが浸透して、15本目のイレギュラーが誕生したっぽい。
「いやあ、不思議なこともあるもん……」
俺の言葉は、そこで途切れた。
シエンの魂へお邪魔していた俺の意識は、現世に舞い戻ったのだが――その瞬間、置かれている現状に気付いたからだ。
右手に魔剣 《怠惰魔剣》。左手に聖魔剣 《堕天使魔剣》。
そして――胸に顔を埋める美少女《シエン》。
「うぉおおお!?」
必定、俺は叫び声を上げ、飛び下がろうとする。
そういえば、シエンの攻撃を喰らいすぎないよう、彼女に密着していたんだった。
慌てて離れようとした俺だったが、離れられない。
ま、まさか! 身体は離れようとしているのに、心が拒絶している……だと!?
俺はそんなに欲求不満だったのか!?
と。戦々恐々とする俺の腰に、暖かさがあることに気付いた。
シエンの手が、俺の腰を掴んでいたのだ。
「え……あの、シエンさん!?」
「ありがと……」
「?」
シエンの突然の言葉に、俺は一瞬きょとんとする。
そして、次の瞬間驚愕した。
顔を上げ、俺を見上げるシエンが、笑っていたのだ。
瞳から涙をこぼしながら、無表情だった彼女とは同一人物と思えないほど、美しい表情で。
「……なんだ。可愛い表情、できるんじゃん」
「え……」
一瞬、何を言われたのかわからないというような顔をしていたシエンだったが、やがてぽっと頬を赤らめてそっぽを向いてしまった。
「そ、それは……リクスが助けてくれたから」
「いや……でも、これでいいのか? 普通の人生を送りたいんだろ? まだ魔剣が、お前の体内に残って……」
「ううん、大丈夫。贅沢は言わない。それに……もう呪いは解けたから」
そう言って、シエンは表情豊かに笑う。
「ああ、そういえばそうだな。暴走が収まったし、呪いが解けたっぽいな」
「……え?」
「え?」
きょとんとするシエン。
小首を傾げる俺。
「えっと……呪いって、なんのことだと思ってたの?」
「は? だから、お前の両親が、お前の能力に価値を見出して人生を束縛するために仕組んだ呪いじゃないの? さっきも、そのせいで暴走したんじゃないかと……」
「……ぷっ」
シエンは急に吹き出した。
「ははは……なにそれ。僕が“呪い”って言ったのは、聖剣と魔剣を同時に宿したことで、体内で拒絶反応が繰り返されてて、魂が圧迫され削られていくことだよ」
「……え」
ぽかんと口を開ける俺の前で、シエンははにかむ。
「勘違いさせちゃったみたいだね。僕は、この体質のせいでいずれ魂が削られて、自我を消滅させられる運命にあった。有り体に言えば、もう寿命が近かったんだ、僕」
「……えぇえええええ!?」
想定外の告白に、俺はすっとんきょうな叫び声を上げる。
何? じゃあ今まで、俺はいろいろ空回ってたってことか!?
「えーと……待てよ。つまり、俺が聖剣を抜き取ったから、魂の摩耗が止まった……ってことでいいのか?」
「うん。それに、数年前からどんどん希薄になっていった感情が戻りつつあるみたい。僕の魂に残った《傲慢魔剣《ルシファー》》が、強く根を張って、自我を支えてくれてるみたいなんだ。だから、もう死ぬ心配はないよ」
「お、おう。それは何よりで……」
俺は、曖昧に頷く。
「本当に、ありがと。僕はこの大会で、優勝して、自分の呪いを治すつもりでいた。僕はとっくに諦めかけていたけど、僕のパパは……両親だけは諦めなかった。僕の、ただ生きたいっていう夢を、ずっと叶えようとしてくれていた」
「……ん?」
「だから、両親にだけ僕の我が儘を背負わせるのが嫌で、僕は興味の無いこの大会に出場したんだ。だけど、リクスが教えてくれた。思い出させてくれた。僕の、もう消えてしまったはずの願いを。ただ、普通の人生を送りたいっていう、埋もれてしまいそうな、ちっぽけな、僕の全てを」
そう言って、シエンは頬を朱に染め……俺の方を見て怪訝そうに眉をひそめた。
「リクス? どうしたの? なんか顔が引きつってるよ」
「え!? そ、そうか? 気のせいだろ絶対! はは、はははー」
あれ、彼女の両親って悪役キャラじゃなかったの?
彼女の人生を束縛する的な話だったはず……まさか、これも俺の勘違い!?
なんかいろいろと解釈違いを起こしていたが、まあ概ね問題なしってことでよくね? いいよね?
成り行きで彼女を救えたから、結果オーライだ、うん。
「あ、あのー……」
そのとき、不意に別の方向から拡声魔法による声が飛んできた。
見れば、司会の女性が恐る恐ることらを見ている。
「なんだか抱き合ってラブコメ最終回ムードのところ悪いんですけど……決勝戦、継続しますか?」
言われてようやく思いだした。
そういや俺達、決勝戦の最中だった。
慌てて俺の胸から飛び退いたシエンが、「あの、これは、その……違くて、うぅ……」と少し涙目になって誤解を解こうとしている。
シエンの暴走による怪我人は、幸いにもゼロ。
ただし、避難を始めていたからか、出入り口付近にいる客が大半のようだ。
「どうする、シエン。まだやるか?」
「え? ううん。リクスの勝ちだよ。なんでかわからないけど、急に暴走した僕を止めて、救ってくれたのはリクスだし」
「そうか」
てことは、賞金2000万エーンは俺のもの!!
勝った。勝ちましたよ俺の人生!!
シエンの敗北宣言に頷いた司会者が、悠然と俺の勝利を宣言しようとする。
と、そのとき。
不意に俺は、ある違和感に気付いた。
あれ。さっきの暴走は、シエンに親がかけた呪いのせいだと思っていた。
でも、実際には違った。
シエン本人にも暴走した原因がわからず、しかしあの暴走は間違いなく人為的なもの。
であれば……誰が、シエンを暴走させたんだ?
その疑問に思い至った――刹那の出来事だった。
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