133 / 153
第三章 乗り越えろ! 期末試験編
第141話 同級生からの評価
しおりを挟む
翌々日。
六日ぶりに学校に登校した俺は、敷地内を歩いている中で、いつもと違う違和感を感じていた。
しかし、周りの反応からして大体の想像はつく。
「ねぇ、聞いた? リクスくんが《選抜魔剣術大会》で優勝したって話」「聞いた聞いた。一年生なのに凄いよね」「副騎士団長エレンも参加してたのに、それを差し置いて優勝しちゃうって……凄すぎない?」「少なくともエレン先輩よりは強いことが確定してるわけだもんね」「いやぁ~ん。お嫁に貰ってくれないかしらぁん」「妾めかけでもいいから、なんとかして玉の輿を……じゅるり」
――なんか、後半変な単語が聞こえた気がするが、きっと気のせいだろう、うん。
肉食獣のような目を向けてくる一部の女子生徒から逃れるように、俺は早足で教室へと向かった。
「おはよう――」
ドアを開け、教室に入った瞬間。
「お、来た! 我等が期待の星の凱旋がいせんだぞ!」「きゃー! こっち向いてリクスく~ん!」「昨日聞いたぞ! 大会で優勝したんだってな!」「流石、勇者より強いとか言われてるリクスくんですね!」「賞金何に使うの?」「フェザー勲章貰ったんでしょ? 見せてよ!」
もの凄い勢いで、クラスメイト達が寄ってきた。
なるほど。やはり、昨日のうちに俺が優勝したという情報が入っていたようである。
祝われるというのは、嬉しいな。嬉しいが、しかし――
「あの……ちょっとみんな。押さないで……!」
詰め寄ってくる同級生達に、壁際へと追いやられる俺。
なおも同級生達の追求は留まらず、同級生と壁の間に挟まれ、プレスされていく。
「ちょ、ストップストップ! ぐえっ!」
まずい。このままでは押し潰される。
戦々恐々としつつ、この状況から逃れる術を探していると――
パーンと頭上で光と音が咲いた。
あれは……主に味方への指示だしや、撤退時の信号で使う非殺傷系の火属性魔法――“ファイア・ワークス”だ。
桃色の炎が頭上で花開いたことで、意識がそちらに集約され、半ば暴動と化していた同級生達の動きが止まる。
「はいはい、そこまでですわ」
かつんと靴音を鳴らし、1人の少女が同級生達の塊の中に足を踏み入れた。
自然と道を空けた同級生達の間を縫って俺の前へと現れたのは、サリィだった。
彼女は軽く俺に目配せすると、生徒達の方を振り返り、
「まったく。リクスさんが困っているでしょう? 何か話したいことがあるなら、後で順番に来てくださいまし」
そう言って、サリィは俺の前に、バリケードのように立ち塞がった。
「確かにな、すまん」「少しばかり興奮しすぎていましたわ」「ごめんねリクスくん、悪気はなかったんだ」「また後で、大会の様子を聞かせてくれよ」
サリィの発言で我に返ったのか、生徒の波が引いていく。
「助かったよサリィ、ありがとう」
「礼なんて要りませんわ。ワタクシは今まで、リクスさんに散々助けられてきましたもの」
照れ隠しをするかのように小さく鼻を鳴らすサリィ。
俺は思わず口元をほころばせ――
「ちっ。ちょっと強いからって調子に乗りやがって」
不意に、そんな台詞が耳に届いた。
見やれば、窓際にいる数人の男女が俺に敵意を向けていた。
今呟いたのは、ポケットに手を突っ込んでいる、鼻にピアスをつけた不良じみた見た目の少年だ。
「それな。アイツ、絶対自分のこと主役だと思ってるだろ」
それに同調するのは、ボサボサの白髪で制服を着崩した少女だ。
いや、そりゃまあ俺はこの物語の主人公だし――っと、これはメタ発言だからやめておこう。
「勇者の弟なんだから強いに決まってるよ。いいよねぇ、才能のある人は。ほんとムカつく」
そう吐き捨てたのは、ボーイッシュな見た目をした小柄の女子生徒だ。
「ちょっと。あんまりそんなこと言うべきじゃないって」
あたふたと彼等をなだめるのは、そばかすに丸めがねで、見るからに地味な見た目の少年。
全員が全員、Sクラスの生徒である。
まあ、彼等の言い分もわからなくはない。
強すぎる光には、憧れと同時に嫉妬も抱く。
俺の友達であるシエンがそうであったように、打算抜きで隣にいてくれる人というのは、それだけで貴重なのだ。
だから俺も、サリィやサルム、フラン、シエン、マクラ。それに姉さんなど、一緒にいて楽しい人は大切にしなきゃいけない。
俺はそんなことを思い、頬を綻ばせるのだった。
――しかし、このときの俺はまだ知らない。
この平穏な日常が、とある人物達の暴走によってかき乱されるということを。
六日ぶりに学校に登校した俺は、敷地内を歩いている中で、いつもと違う違和感を感じていた。
しかし、周りの反応からして大体の想像はつく。
「ねぇ、聞いた? リクスくんが《選抜魔剣術大会》で優勝したって話」「聞いた聞いた。一年生なのに凄いよね」「副騎士団長エレンも参加してたのに、それを差し置いて優勝しちゃうって……凄すぎない?」「少なくともエレン先輩よりは強いことが確定してるわけだもんね」「いやぁ~ん。お嫁に貰ってくれないかしらぁん」「妾めかけでもいいから、なんとかして玉の輿を……じゅるり」
――なんか、後半変な単語が聞こえた気がするが、きっと気のせいだろう、うん。
肉食獣のような目を向けてくる一部の女子生徒から逃れるように、俺は早足で教室へと向かった。
「おはよう――」
ドアを開け、教室に入った瞬間。
「お、来た! 我等が期待の星の凱旋がいせんだぞ!」「きゃー! こっち向いてリクスく~ん!」「昨日聞いたぞ! 大会で優勝したんだってな!」「流石、勇者より強いとか言われてるリクスくんですね!」「賞金何に使うの?」「フェザー勲章貰ったんでしょ? 見せてよ!」
もの凄い勢いで、クラスメイト達が寄ってきた。
なるほど。やはり、昨日のうちに俺が優勝したという情報が入っていたようである。
祝われるというのは、嬉しいな。嬉しいが、しかし――
「あの……ちょっとみんな。押さないで……!」
詰め寄ってくる同級生達に、壁際へと追いやられる俺。
なおも同級生達の追求は留まらず、同級生と壁の間に挟まれ、プレスされていく。
「ちょ、ストップストップ! ぐえっ!」
まずい。このままでは押し潰される。
戦々恐々としつつ、この状況から逃れる術を探していると――
パーンと頭上で光と音が咲いた。
あれは……主に味方への指示だしや、撤退時の信号で使う非殺傷系の火属性魔法――“ファイア・ワークス”だ。
桃色の炎が頭上で花開いたことで、意識がそちらに集約され、半ば暴動と化していた同級生達の動きが止まる。
「はいはい、そこまでですわ」
かつんと靴音を鳴らし、1人の少女が同級生達の塊の中に足を踏み入れた。
自然と道を空けた同級生達の間を縫って俺の前へと現れたのは、サリィだった。
彼女は軽く俺に目配せすると、生徒達の方を振り返り、
「まったく。リクスさんが困っているでしょう? 何か話したいことがあるなら、後で順番に来てくださいまし」
そう言って、サリィは俺の前に、バリケードのように立ち塞がった。
「確かにな、すまん」「少しばかり興奮しすぎていましたわ」「ごめんねリクスくん、悪気はなかったんだ」「また後で、大会の様子を聞かせてくれよ」
サリィの発言で我に返ったのか、生徒の波が引いていく。
「助かったよサリィ、ありがとう」
「礼なんて要りませんわ。ワタクシは今まで、リクスさんに散々助けられてきましたもの」
照れ隠しをするかのように小さく鼻を鳴らすサリィ。
俺は思わず口元をほころばせ――
「ちっ。ちょっと強いからって調子に乗りやがって」
不意に、そんな台詞が耳に届いた。
見やれば、窓際にいる数人の男女が俺に敵意を向けていた。
今呟いたのは、ポケットに手を突っ込んでいる、鼻にピアスをつけた不良じみた見た目の少年だ。
「それな。アイツ、絶対自分のこと主役だと思ってるだろ」
それに同調するのは、ボサボサの白髪で制服を着崩した少女だ。
いや、そりゃまあ俺はこの物語の主人公だし――っと、これはメタ発言だからやめておこう。
「勇者の弟なんだから強いに決まってるよ。いいよねぇ、才能のある人は。ほんとムカつく」
そう吐き捨てたのは、ボーイッシュな見た目をした小柄の女子生徒だ。
「ちょっと。あんまりそんなこと言うべきじゃないって」
あたふたと彼等をなだめるのは、そばかすに丸めがねで、見るからに地味な見た目の少年。
全員が全員、Sクラスの生徒である。
まあ、彼等の言い分もわからなくはない。
強すぎる光には、憧れと同時に嫉妬も抱く。
俺の友達であるシエンがそうであったように、打算抜きで隣にいてくれる人というのは、それだけで貴重なのだ。
だから俺も、サリィやサルム、フラン、シエン、マクラ。それに姉さんなど、一緒にいて楽しい人は大切にしなきゃいけない。
俺はそんなことを思い、頬を綻ばせるのだった。
――しかし、このときの俺はまだ知らない。
この平穏な日常が、とある人物達の暴走によってかき乱されるということを。
12
あなたにおすすめの小説
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
美醜逆転世界の学園に戻ったおっさんは気付かない
仙道
ファンタジー
柴田宏(しばたひろし)は学生時代から不細工といじめられ、ニートになった。
トラックにはねられ転移した先は美醜が逆転した現実世界。
しかも体は学生に戻っていたため、仕方なく学校に行くことに。
先輩、同級生、後輩でハーレムを作ってしまう。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう
果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。
名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。
日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。
ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。
この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。
しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて――
しかも、その一部始終は生放送されていて――!?
《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》
《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》
SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!?
暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する!
※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。
※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる