姉(勇者)の威光を借りてニート生活を送るつもりだったのに、姉より強いのがバレて英雄になったんだが!?

果 一

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第三章 乗り越えろ! 期末試験編

第150話 リクスの激怒と、果たし状

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「なぁ、マクラ」



 マクラが落ち着くのを待ってから、俺は本題に入ることにした。

 ついつい仲直りがメインに思われそうだが、元を正せば仲直りしたのも早急にそうする必要があったからだ。



「話があるんだけど」

「なあに、ご主人様」



 すっかり機嫌を直したマクラは、なんでも言ってと言わんばかりに食いついてくる。



「明後日、サリィの家で勉強会があるんだけど、来る?」

「うん、行く!」



 あっさりと、二つ返事で了承した。



「そっか、よかった。みんなも喜ぶと思う」

「ていうか、行かないなんて選択肢はないよ。私の義兄おにいちゃんが、誘ってくれたんだから」



 そう、日だまりのような笑顔を向けてくるマクラに対し、俺は不覚にもドキッとしてしまった。

 久々にマクラの笑顔を見たというのもあるが、今までより数段可愛らしい表情で、驚いてしまったというのが本音だ。



「あれぇ~? どうしたのご主人様。顔赤いよ~?」

「っ! き、気のせいだ!」

「そんなことないでしょ~。もしかして、照れちゃった?」

「だから違うって!」



 からかってくるマクラから逃げるように、俺はその場から飛び退く。

 その拍子に、ポケットから何かが落ちた。



「? なにそれ」

「あ、ああ……俺の机に置いてあった手紙だな」



 俺は、落ちたを拾い上げながら、答える。

 そういえば、学校で拾ってからまだ封を開けていなかった。後で見ようと思って、すっかり忘れていた。



 一体、何の要件だろうか?

 俺は、封を切って中から便せんを取りだし、内容を確認する。

 その内容を見た瞬間――背筋が凍り付いた。



 “果たし状”

 リクス=サーマル。随分、調子に乗っているじゃないか。ただ少し強いだけで、英雄を気取っているつもりか。女子を何人も侍らせて、いい気なもんだな。はお前を決して許さない。二週間後の期末試験で、どんな手を使ってでもお前を退学に追い込んでやる。無論、お前に張り付いているだけの、無能な取り巻き連中のクビもまとめて飛ばす予定だ。せいぜい、残りの青春を謳歌するといい。



「……は?」



 シャリっと乾いた音がする。

 自分でも気付かぬうちに、その“果たし状”を握りつぶしていた。



「どうしたの、ご主人様。怖い顔しちゃって」



 マクラが何やら話しかけているようだが、俺の耳には入ってこない。

 

 この手紙の差出人は、俺に憎悪を持っているらしい。

 それは勝手に持っていればいいし、俺を退学させるために罠を仕掛けて来るのも別に構わない。

 今でこそ、青春している自分も悪くないと感じているが、一昔前まではむしろ退学するため立ち回っていた。

 だから、特に何も感じない。

 けれど――



「あいつらに手を出すって言うなら、話は別だぞ」



 俺は、自分でも驚くくらい底冷えするような声を出していた。



 差出人の標的は、俺とその友人全て。

 両親の死を乗り越え、治癒魔法使いを目指すサルム。

 サルムと一緒に魔法医院を開設するため、治癒魔法以外の様々な技術を勉強し、お金を稼ごうとしているフラン。

 貴族でありながら、強くなろうと必死に足搔いているサリィ。

 そして、ようやく長いプロローグを終え、自分の人生を歩み出したシエン。



 彼等の夢も、目標も、努力さえも。

 ただ俺に張り付いているだけの無能などと揶揄して、意味のない独善だけで妨害しようとするのなら。



「……少し、覚悟して貰う必要がありそうだな」



 俺の全身のうぶ毛が逆立つのに合わせて、殺気が漏れ出す。

 それを見ていたマクラが、「ひっ」と喉を鳴らし、腰が抜けたのか尻餅をついた。



 期末テストまで、残り約一週間半。

 新たなる波乱の展開が、幕を開けたのだった。

 
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