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第三章 乗り越えろ! 期末試験編
第160話 女子風呂の大戦争
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《三人称視点》
リクス達が談笑している頃、女子風呂も大いに盛り上がっていた。
「はひー、疲れましたわ」
「そうだねぇ」
湯船に肩まで浸かりつつ、サリィとマクラは息を吐いた。
2人の頬は熱く上気し、雪のように白く艶めかしいうなじを、水滴がこぼれ落ちていく。
その空間は、どんな宗教画も色褪せて見えるほど、若々しい美を体現していた。
「はわぁ~、こんな広い大浴場で汗を流せるなんて感激です」
「ん。右に同じ」
そんな2人に向きあうように、身体を洗い終えたフランとシエンが湯船に浸かる。
「ええ、特訓後のお風呂は格別――」
なぜか途中で言葉を詰まらせたサリィを尻目に、フランはとろけきった表情で相槌を打つ。
「はい、本当に格別です。まさか伯爵様のお屋敷の温泉に浸かれるなんて夢みたいです……って、どうしたんですか? サリィさん?」
「……はっ! 一瞬あまりの大きさに我を忘れていましたわ!」
「え?」
一瞬、サリィの言うことの意味がわからず首を傾げるフランだったが、サリィの目が自分の胸元に向けられているのを感じ、咄嗟に腕で胸元を隠した。
「ちょ、ちょっとサリィちゃん!?」
「申し訳ありませんわ……でも、これは仕方ないと言うか、なんというか……自然に視線が吸い寄せられてしまいますの」
「うん。大きいと浮くって、本当なんだね」
「マクラさんまで……は、恥ずかしいのでやめてください」
フランは頑張って胸を隠そうとするが、ほっそりとした腕では全てを隠しきれていない。
「はぁ~、なんだか自分に自信がなくなってしまいますわ。同い年でこの差はなんですの?」
サリィは、自身の胸元に手を当て、ガックリと肩を落とす。
「サリィちゃんはまだいいじゃん。私なんてもう数百年生きてるのに、ぜんっっっぜん成長期が来ないんだもん」
「そ、それは……同情しますわ」
頬を膨らませて抗議するマクラに、流石のサリィもそう答えざるを得なかった。
精霊として長い時を生きてきて、見た目年齢が十二歳というのは、いろいろ思う所があるのだろう。
「ん。でもフランの大きさは反則。ちょっと欲張りすぎ」
「し、シエンさんまでぇ……胸なんて、所詮は脂肪の塊だよ? それに、大きくても肩が凝るばかりで良いことないし」
「それは持ってるヤツの感想ですわ」
「持つ者に、持たざる者の苦悩はわからない」
「ん。隣の芝は青いってよく言う」
三者、完全に一致した意見で畳みかけられたことで、フランは「そんなぁ」と項垂れるのだった。
「ていうか、フランさんのインパクトが強くて気付きませんでしたが、シエンさんも思いの外ありますのね」
「ほんとだ。身体細いのに……もしかして、着痩せするタイプ?」
「さあ。普通くらいだと思う」
そう答えたシエンは、自身の胸元に視線を落とす。
フランやエルザほどではないが、胸元はそれなりに女性らしい膨らみのラインを描いていた。
「うぐっ……シエンさんで普通なら、ワタクシは……くっ! 負けませんわ! こんなことで挫けるワタクシではありませんの!」
サリィは覚悟を胸に、勢いよく立ち上がる。
湯船に波が立ち、水しぶきが周囲に飛び散るのをいとわず、サリィは力強く拳を握りしめた。
「必ず、新しい自分に生まれ変わって見せますわ!」
「……人それぞれ、魅力があると思うんだけどな」
ぼそりと呟くシエンだったが、その声は興奮したサリィの耳には届かない。
「そうと決まれば、理想を頭にインプットしなければ……そのためには、触れて確かめるのが手っ取り早い! というわけで……」
「え……ちょ、何するつもりサリィちゃん。手をわきわきさせて、まさか……!」
「そのまさかですわフランさん! 理想の形と柔らかさを、ワタクシがこの手でぇえええええええ!!」
――その後の展開は、語るまでもない。
夕方の浴室は、カオスに包まれたのであった。
リクス達が談笑している頃、女子風呂も大いに盛り上がっていた。
「はひー、疲れましたわ」
「そうだねぇ」
湯船に肩まで浸かりつつ、サリィとマクラは息を吐いた。
2人の頬は熱く上気し、雪のように白く艶めかしいうなじを、水滴がこぼれ落ちていく。
その空間は、どんな宗教画も色褪せて見えるほど、若々しい美を体現していた。
「はわぁ~、こんな広い大浴場で汗を流せるなんて感激です」
「ん。右に同じ」
そんな2人に向きあうように、身体を洗い終えたフランとシエンが湯船に浸かる。
「ええ、特訓後のお風呂は格別――」
なぜか途中で言葉を詰まらせたサリィを尻目に、フランはとろけきった表情で相槌を打つ。
「はい、本当に格別です。まさか伯爵様のお屋敷の温泉に浸かれるなんて夢みたいです……って、どうしたんですか? サリィさん?」
「……はっ! 一瞬あまりの大きさに我を忘れていましたわ!」
「え?」
一瞬、サリィの言うことの意味がわからず首を傾げるフランだったが、サリィの目が自分の胸元に向けられているのを感じ、咄嗟に腕で胸元を隠した。
「ちょ、ちょっとサリィちゃん!?」
「申し訳ありませんわ……でも、これは仕方ないと言うか、なんというか……自然に視線が吸い寄せられてしまいますの」
「うん。大きいと浮くって、本当なんだね」
「マクラさんまで……は、恥ずかしいのでやめてください」
フランは頑張って胸を隠そうとするが、ほっそりとした腕では全てを隠しきれていない。
「はぁ~、なんだか自分に自信がなくなってしまいますわ。同い年でこの差はなんですの?」
サリィは、自身の胸元に手を当て、ガックリと肩を落とす。
「サリィちゃんはまだいいじゃん。私なんてもう数百年生きてるのに、ぜんっっっぜん成長期が来ないんだもん」
「そ、それは……同情しますわ」
頬を膨らませて抗議するマクラに、流石のサリィもそう答えざるを得なかった。
精霊として長い時を生きてきて、見た目年齢が十二歳というのは、いろいろ思う所があるのだろう。
「ん。でもフランの大きさは反則。ちょっと欲張りすぎ」
「し、シエンさんまでぇ……胸なんて、所詮は脂肪の塊だよ? それに、大きくても肩が凝るばかりで良いことないし」
「それは持ってるヤツの感想ですわ」
「持つ者に、持たざる者の苦悩はわからない」
「ん。隣の芝は青いってよく言う」
三者、完全に一致した意見で畳みかけられたことで、フランは「そんなぁ」と項垂れるのだった。
「ていうか、フランさんのインパクトが強くて気付きませんでしたが、シエンさんも思いの外ありますのね」
「ほんとだ。身体細いのに……もしかして、着痩せするタイプ?」
「さあ。普通くらいだと思う」
そう答えたシエンは、自身の胸元に視線を落とす。
フランやエルザほどではないが、胸元はそれなりに女性らしい膨らみのラインを描いていた。
「うぐっ……シエンさんで普通なら、ワタクシは……くっ! 負けませんわ! こんなことで挫けるワタクシではありませんの!」
サリィは覚悟を胸に、勢いよく立ち上がる。
湯船に波が立ち、水しぶきが周囲に飛び散るのをいとわず、サリィは力強く拳を握りしめた。
「必ず、新しい自分に生まれ変わって見せますわ!」
「……人それぞれ、魅力があると思うんだけどな」
ぼそりと呟くシエンだったが、その声は興奮したサリィの耳には届かない。
「そうと決まれば、理想を頭にインプットしなければ……そのためには、触れて確かめるのが手っ取り早い! というわけで……」
「え……ちょ、何するつもりサリィちゃん。手をわきわきさせて、まさか……!」
「そのまさかですわフランさん! 理想の形と柔らかさを、ワタクシがこの手でぇえええええええ!!」
――その後の展開は、語るまでもない。
夕方の浴室は、カオスに包まれたのであった。
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