異世界転移ノ魔術師々

両翼視前

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第二襲 災炎嵐龍編

君を見つめて ――アクセル・ファイター――

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【アルム視点】

 それはあまりにも一瞬のこと――。

「――――キリエェーっ!」

 空に俺の叫び声が響き渡っていた。
 煙が晴れたその先では、仮面野郎にキリエが攻撃を受け、瞬く間に一緒に消えてしまった。
 これまで厄介な敵と戦ってきたが、ここまで出来る敵、久しぶりかもしれねェ。
 身体は充分に動くのだが、目の前にゴブリンが俺たちを通さないように立ち塞がっている。
 いや、――動かされていたが正しいな。

「……タ……ずけ……て……」

 ――地面が割れる。

 俺よりも幾倍も体格をした追い剝ぎゴブリンは苦しむように言いながら向かって殴ってきたが、動きが遅い。

 動きを見て上へ飛ぶように回避してハイネの元へ着地した。

「アル! どうやってキリエさんを追いかけますか!」
「それよりもまずはこいつら殴り飛ばすしかねェだろ!」

 ――追い剥ぎゴブリンたちの目が充血している。

 さっきの魔術で強制的に身体を強化されたからだろう。
 魔力耐性持たない生物が暴走した魔力を受けたら――耐え切れずに死ぬ。
 直に持たずに全員、死んでいくだろう。
 しかし、俺たちをこうして邪魔している。
 俺たちは連れ去られたキリエを追い掛けたくても、強制的に動かされてるゴブリンたちに
囲まれて動けない。

「ひぃ……、ふぅ……、みぃ……、ざっと53体か……。ハイネ、サポート頼んだぜ!」
「――はいっ!」

 俺はハイネの声を聞くと、両腕、両足に魔力を押し込むように貯め始める。

 ハイネは俺の肩を掴みながら、燃えているゴブリンの家の灰を操ろうと、
「灰魔術! 【灰被りシンデレラ】!」
 魔術を発動した。

 燃えて出来た灰が彼女の魔力に反応するように動いていく。

「み……ミ……え……なイ…………」

 ゴブリンたちがきょろきょろと俺たちを探し出そうと、辺りを殴り始めた。

 響く、大地が割れる音と辺りがメラメラと燃える音。

 火がゴブリンたちが暮らしていただろう家を燃やし尽くしているから、徐々に徐々に息が吸えなくなってくる。
 そんな状況下でハイネが灰で探知した位置情報がお構いなしに頭に流れ込んでくる。

 気になってしまうなら――短期決戦で決めてやる!

「――集中……っ!」

 ゴブリンたちが¨どこ¨にいるか、¨どこ¨に俺がいればまとめて殴り込めるか、頭の中で即興で作ったマップの中に俺を置いていく。

 次に安全に殴りに行けるルートを作る。――見えた! ¨終点¨!

「みぞおちワンパンを狙い打つ! 【獅子王の爪ライオ・ネイル】クロー・オフ!」

 深く意識を集中するように目を閉じながら、両腕のライオ・ネイルの爪が盾部分へ仕舞われる。

「強化魔術……【明鏡止時めいきょうしじ】……」
 身体に魔力を溜める。

「コ……コろ……す……」

 上からゴブリンの拳が¨視¨えた時――。
「発動! 【「そく】!」

 魔術の発動と同時に目を見開くと、魔力を解放され――¨終点¨まで加速した。

 あまりにも一瞬の刹那の如く――¨終点¨に辿り着くまでに質量を持った俺の残像をゴブリンたちの目の前に置いていく。

 一点へ、また一点と、ほんの僅かな時を着地してはまた終点に向かって脚は加速する。

 終点へ辿り着いたとき、
「セイハァァァアアア――!」
 気合を込めた掛け声と同時に爪を閉じたライオ・ネイルの気持ちのいい打撃の音が同時に鳴り響かせる。
 腰布をはためかせながら、魔力を込め血管が浮き出た右腕をひたすら前へ、前へ伸ばしている。
 後ろは見ていないが、きっとハイネが操っている灰に俺が走った跡が見えるだろう。
 腕から飛び散る汗は残像周りで吹き飛んでいく53体のゴブリンのように横へ飛ぶように流れていく。

「着地! っと」
 土煙を舞うように滑りながら着地すると、ハイネが駆け寄ってくる。
 殴り飛ばされたゴブリンも地面に落ちていく。どうやら無事に全員、倒せたようだった。

「ちょっと私がいる位置も考えてくださいよっ! ゴブリンが私の方まで……」
「――ハイネだから超ヨユーで避けられるだろ! って!」
「ああああああああぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ、そのなんですかっ! 『ハイネだから超ヨユーで避けられるだろ!』って!」

 彼女がそう言うと両手をグーにして頭をぐりぐりしてくる。

「痛っ!」
 確かにどう回避するかは考えてねェ。
 ハイネならきっと――――ってか、どんどんぐりぐり強くなってんだけどっ!?

「痛い! 痛いって! ってか、言葉そのまんまの意味だけれど。俺のモノマネかよ!」
「モノマネですよっ!」
「いったァァァアアアアアアアアアア!」
 また、一段とぐりぐりが強くなる。ハイネのぐりぐりは限界がねェのかよ。
「『ごめんなさい』は?」

「俺のモノマネ、素直に似てたと思う」

「……はぁ……、お世辞はいいですから……、早く行きますよ……」
 ハイネはため息を吐きながらぐりぐりやめる。

 頭の痛みの落ち着きを確認したら、
「おぉよ!」

 キリエが連れていかれた方に向かって走り出した。

「ちょっと速いですって! この方向音痴!」

 ハイネにぐりぐりされないためにも、キリエを助けるためにも、俺は脚を力強く駆け出していく。
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