18 / 27
Episode.3 恋のダンスステップとプッティの逆ギレ説教
第18話 プッティの決意、忍び寄る軍靴の足音
しおりを挟む
それは、ルルーリアだった。
ズワルト・コッホ帝国の魔法少女は夜空の一隅からじっとトロワ・ポルムの祭の様子を見下ろしている。
そしてそれを見たとき、プッティは背筋が冷たくなるのを覚えた。
彼女は、今は自分が誰にも気づかれていないと思っているのに違いない。それをよいことに、ルルーリアの血走った目は喰い入る様にレディルとリーザロッテにひたすら注がれている。
それも尋常な見ようではない。その美しい顔を嫉妬に歪ませ、白銀と蒼穹のヘテロクロミアの瞳は張り裂けそうなほど見開かれて二人を睨みつけている。
握りしめた拳は震え、食いしばった唇からは血が滲み出ていた。あたかも拷問にでも掛けられて耐え忍んでいるかのように。
「リーザロッテ、よくも私のレディル様を……殺してやる……殺してやる……」
レディルに対しては伏し拝み、足元に這いつくばってでも添い遂げたいという一方、そのレディルへ慕い寄るリーザロッテに対しては嬲り殺しにしても飽き足らぬ……そんな狂おしい恋慕と憎悪が彼女の身体からめらめらと燃え立つようにさえ見える。
彼女は視線を感じて振り向き、そこに自分をじっと見る魔法人形の姿を認めた。
「……」
「……」
見交わした二人の視線の間に、激しい火花が散る。
憎しみに燃えるルルーリアの視線を受けてもプッティは大して動じた風もなく、唇の端を吊り上げ冷笑してみせた。
あの人々の温かい輪の中に、彼等を見下すお前など入れまい……と、嘲るように。
ルルーリアは「覚えてなさい! お前もいつか……」と言わんばかりの視線をプッティへ投げると、ふいっと姿を消した。
「プッティ、どうしたの? お空に何かいた?」
「……いんや、お月様が綺麗だなぁと思ってちょっと見てたのさ」
「あら、そういえばそうね……」
無邪気に満月を見上げるペルティニへ穏やかに笑ってみせたが、陰でプッティは唇を噛みしめた。
(リーザロッテ……)
その様子は特にいつもと変わらなかったが、瞳には何かあらたな想いと決意が浮かび、それは彼女の中で静かに固まり始めていた。
「ペルティニ。よかったら、もう一度あたいと踊らない? レストリア・ワルツ、楽しいな」
「まあ、嬉しくてよ。喜んで!」
プッティが小さな手を差し出すとペルティニはドレスの裾を摘まんで会釈し、その手を取った。
広場では曲が終わる度にパートナーを替え、村人達がレストリア・ワルツに興じていた。
壇上に上がる者は誰もいない。彼等はレディルとリーザロッテをずっと二人だけでいさせてくれた。
彼女にとって、それは生涯忘れえぬ夜になったに違いない。
恋する魔法少女は頬を染めたまま憧れの王子に手を取られ、繰り返し繰り返し、レストリア・ワルツを踊り続けるのだった……
☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆
「ムニャムニャ……レディルさまぁぁぁん♡」
翌朝。
手作りの「愛しのレディル様抱き枕」を抱きしめたまま、ようやく目を開けたリーザロッテは、窓の外でお日様が既に高く昇っていることを知って「はへ?」と、飛び起きた。
プッティが起こしに来ない。いつもなら朝ご飯くらいの時間になると朝寝を続けているリーザロッテの脳天へ「オラッ、いつまで寝てんだ!」と薪ざっぽが炸裂し無理やり起こされるのがお約束なのに。
「昨晩はお祭りでハッスルしちゃったからなぁ。まだ寝てんのか」
ノンキなことを言いながら、リーザロッテは昨晩レディルと踊り明かしたことを思い出し「デュエヘヘヘヘぇ~」とダラしなく緩んだ顔のまま起き上がった。
「でももうお昼だし。プッティー、プッティー、そろそろ起きようよー」
寝ぐせの酷い頭をボリボリ掻きながらリーザロッテは寝ぼけ眼で家の中を歩き回ったが、相棒の姿はどこにもない。
首を傾げた彼女がふとテーブルの上を見ると「リーザロッテへ」という書き置きがあった。
驚いて取り上げると、こんな文章が綴られている。
『リーザロッテ、昨晩はでかしたぞ! お前が今まで色々頑張ったことで王子様のハートは確実にお前に近づいている。ペルティニも村の人達も王子様とお前がお似合いだと言ってた。もう一押しだ! 汽車賃が二人分貯まるのなんて、もう悠長に待っていられねえ。クレンメルタの魔法協会本部へはあたい一人で行く。いい子で吉報を待っていろ。 ……プッティより』
「プッティ!」
外へ飛び出したが、家の外に広がる木立の中に、あの魔法人形の姿はどこにもない。
リーザロッテは言葉もなく、その場に立ち尽くした……
☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆
「我が軍の配置はここまで進んでおります」
ズワルト・コッホ帝国王宮内の大広間に設けられた作戦室。
長方形のテーブルの上に広がる巨大な地図を前に、先ほどから一人の参謀が長い棒で各部隊を指し示しながら状況を説明している。
テーブルの周囲には将軍や官僚が居並んでいた。彼等はテーブルの一番奥の暗がりにいる皇帝を常に意識しながら発言しており、どこか芝居じみていた。
「先日、外務省が申し入れた平和的なレストリア全土の領土返還要求に対して到底受け容れられないという回答がありました」
受け入れられないのも当然だった。国土を明け渡して追い出されたレストリア人に、一体どこへ行けというのだろう。
「これにより我が帝国は武力侵攻、もしくは進駐のいずれかになるものと想定し、機甲師団が昨日より国境へ展開を始めています」
「アルトイーゲル中将、侵攻を開始するのに、あとどれほどの時間が要るかね?」
「現在の兵力でも明日から始められます。全部隊が国境に展開するのを待つなら一週間」
「対峙しているレストリア軍の状況は?」
「国境の森に塹壕線とトーチカ、野砲陣地が確認されています。動員兵の他に王城の臼砲も持ち出したようで、予想兵力は総数二個連隊、砲は大小約二〇門、戦車が一〇両程度と見られます」
「我が軍が圧倒的に優勢だが、レストリア軍の士気も高いと聞く。抵抗は激しいだろう。やはり、全軍が配置されるまで待つべきだ」
「どのみち我が軍の勝利は揺るがぬだろうがな」
誰もが余裕の笑みを浮かべ、うなずきあった。
列席の端に一人、沈痛な顔の魔法少女だけが黙って俯いている。
「ルルーリア嬢は何かご不満かな。先日の会談が不首尾に終わったのは残念だったが」
揶揄するように一人の将軍が尋ねかける。「お前のやったことは無駄だったな」と言わんばかりのその顔を、彼女はキッとなって睨んだ。
「いいえ、わたくしはズワルト・コッホ人の血をなるだけ流さずに済む方法があればと思って申し上げたまでのことですわ」
「ふん」
「おや、会談はジーグラー陛下からご採可をいただいて開きましたのに。シャイベルト少将閣下は皇帝陛下のご意向に異存をお持ちでしたの?」
居丈高な将軍も、皇帝への服従を疑われかねない皮肉に青ざめた。慌てて「ワ、ワシはそのようなつもりで言ったのではない!」と否定する。その狼狽する様に、ルルーリアは「小心者が……図に乗るな」と言わんばかりの冷笑を浮かべた。
「止めぬか卿ら。陛下の御前であるぞ」
長老格の将軍が軽く叱ったが、当の皇帝は彫像のように玉座に深く腰かけたまま。その表情には何の感情も見られない。
閣僚や軍人達は再び地図の上……俎上のレストリアへ目を落とした。
「さて。併合か占領か、いずれにせよレストリアがわが帝国の版図に組み入れられた後にやるべき政策もそろそろ考えておかねばならぬ」
「準備は進めております。レストリア人を下等国民としてどう政治教育するかも現在検討しているところです」
「それと閣僚や……王族をどう扱うか」
それは誰が言った言葉だったか。
ズワルト・コッホ帝国の重鎮達は顔を見合わせ、黙り込んだ。
王族とは一国の象徴である。さすがに軽々しく処遇を決められるものではない。それは皇帝自身しか決められないことなのだ。彼等は恐る恐る玉座にうずくまった老人の顔を伺った
ルルーリアは下を向き、唇を噛む。
レストリア王族の運命。そこには当然レディル王子も含まれる。
(いよいよ、自分の進むべき先を見極めるべき時が来た……)
ここが分水嶺になる。
強大で傲慢な帝国にこのまま追従を続けるか、ひそかに見限り反旗を翻すか……
そんな己の心を悟られぬよう、彼女はさり気なく「そのことですが……」と口を開いた。
ズワルト・コッホ帝国の魔法少女は夜空の一隅からじっとトロワ・ポルムの祭の様子を見下ろしている。
そしてそれを見たとき、プッティは背筋が冷たくなるのを覚えた。
彼女は、今は自分が誰にも気づかれていないと思っているのに違いない。それをよいことに、ルルーリアの血走った目は喰い入る様にレディルとリーザロッテにひたすら注がれている。
それも尋常な見ようではない。その美しい顔を嫉妬に歪ませ、白銀と蒼穹のヘテロクロミアの瞳は張り裂けそうなほど見開かれて二人を睨みつけている。
握りしめた拳は震え、食いしばった唇からは血が滲み出ていた。あたかも拷問にでも掛けられて耐え忍んでいるかのように。
「リーザロッテ、よくも私のレディル様を……殺してやる……殺してやる……」
レディルに対しては伏し拝み、足元に這いつくばってでも添い遂げたいという一方、そのレディルへ慕い寄るリーザロッテに対しては嬲り殺しにしても飽き足らぬ……そんな狂おしい恋慕と憎悪が彼女の身体からめらめらと燃え立つようにさえ見える。
彼女は視線を感じて振り向き、そこに自分をじっと見る魔法人形の姿を認めた。
「……」
「……」
見交わした二人の視線の間に、激しい火花が散る。
憎しみに燃えるルルーリアの視線を受けてもプッティは大して動じた風もなく、唇の端を吊り上げ冷笑してみせた。
あの人々の温かい輪の中に、彼等を見下すお前など入れまい……と、嘲るように。
ルルーリアは「覚えてなさい! お前もいつか……」と言わんばかりの視線をプッティへ投げると、ふいっと姿を消した。
「プッティ、どうしたの? お空に何かいた?」
「……いんや、お月様が綺麗だなぁと思ってちょっと見てたのさ」
「あら、そういえばそうね……」
無邪気に満月を見上げるペルティニへ穏やかに笑ってみせたが、陰でプッティは唇を噛みしめた。
(リーザロッテ……)
その様子は特にいつもと変わらなかったが、瞳には何かあらたな想いと決意が浮かび、それは彼女の中で静かに固まり始めていた。
「ペルティニ。よかったら、もう一度あたいと踊らない? レストリア・ワルツ、楽しいな」
「まあ、嬉しくてよ。喜んで!」
プッティが小さな手を差し出すとペルティニはドレスの裾を摘まんで会釈し、その手を取った。
広場では曲が終わる度にパートナーを替え、村人達がレストリア・ワルツに興じていた。
壇上に上がる者は誰もいない。彼等はレディルとリーザロッテをずっと二人だけでいさせてくれた。
彼女にとって、それは生涯忘れえぬ夜になったに違いない。
恋する魔法少女は頬を染めたまま憧れの王子に手を取られ、繰り返し繰り返し、レストリア・ワルツを踊り続けるのだった……
☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆
「ムニャムニャ……レディルさまぁぁぁん♡」
翌朝。
手作りの「愛しのレディル様抱き枕」を抱きしめたまま、ようやく目を開けたリーザロッテは、窓の外でお日様が既に高く昇っていることを知って「はへ?」と、飛び起きた。
プッティが起こしに来ない。いつもなら朝ご飯くらいの時間になると朝寝を続けているリーザロッテの脳天へ「オラッ、いつまで寝てんだ!」と薪ざっぽが炸裂し無理やり起こされるのがお約束なのに。
「昨晩はお祭りでハッスルしちゃったからなぁ。まだ寝てんのか」
ノンキなことを言いながら、リーザロッテは昨晩レディルと踊り明かしたことを思い出し「デュエヘヘヘヘぇ~」とダラしなく緩んだ顔のまま起き上がった。
「でももうお昼だし。プッティー、プッティー、そろそろ起きようよー」
寝ぐせの酷い頭をボリボリ掻きながらリーザロッテは寝ぼけ眼で家の中を歩き回ったが、相棒の姿はどこにもない。
首を傾げた彼女がふとテーブルの上を見ると「リーザロッテへ」という書き置きがあった。
驚いて取り上げると、こんな文章が綴られている。
『リーザロッテ、昨晩はでかしたぞ! お前が今まで色々頑張ったことで王子様のハートは確実にお前に近づいている。ペルティニも村の人達も王子様とお前がお似合いだと言ってた。もう一押しだ! 汽車賃が二人分貯まるのなんて、もう悠長に待っていられねえ。クレンメルタの魔法協会本部へはあたい一人で行く。いい子で吉報を待っていろ。 ……プッティより』
「プッティ!」
外へ飛び出したが、家の外に広がる木立の中に、あの魔法人形の姿はどこにもない。
リーザロッテは言葉もなく、その場に立ち尽くした……
☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆
「我が軍の配置はここまで進んでおります」
ズワルト・コッホ帝国王宮内の大広間に設けられた作戦室。
長方形のテーブルの上に広がる巨大な地図を前に、先ほどから一人の参謀が長い棒で各部隊を指し示しながら状況を説明している。
テーブルの周囲には将軍や官僚が居並んでいた。彼等はテーブルの一番奥の暗がりにいる皇帝を常に意識しながら発言しており、どこか芝居じみていた。
「先日、外務省が申し入れた平和的なレストリア全土の領土返還要求に対して到底受け容れられないという回答がありました」
受け入れられないのも当然だった。国土を明け渡して追い出されたレストリア人に、一体どこへ行けというのだろう。
「これにより我が帝国は武力侵攻、もしくは進駐のいずれかになるものと想定し、機甲師団が昨日より国境へ展開を始めています」
「アルトイーゲル中将、侵攻を開始するのに、あとどれほどの時間が要るかね?」
「現在の兵力でも明日から始められます。全部隊が国境に展開するのを待つなら一週間」
「対峙しているレストリア軍の状況は?」
「国境の森に塹壕線とトーチカ、野砲陣地が確認されています。動員兵の他に王城の臼砲も持ち出したようで、予想兵力は総数二個連隊、砲は大小約二〇門、戦車が一〇両程度と見られます」
「我が軍が圧倒的に優勢だが、レストリア軍の士気も高いと聞く。抵抗は激しいだろう。やはり、全軍が配置されるまで待つべきだ」
「どのみち我が軍の勝利は揺るがぬだろうがな」
誰もが余裕の笑みを浮かべ、うなずきあった。
列席の端に一人、沈痛な顔の魔法少女だけが黙って俯いている。
「ルルーリア嬢は何かご不満かな。先日の会談が不首尾に終わったのは残念だったが」
揶揄するように一人の将軍が尋ねかける。「お前のやったことは無駄だったな」と言わんばかりのその顔を、彼女はキッとなって睨んだ。
「いいえ、わたくしはズワルト・コッホ人の血をなるだけ流さずに済む方法があればと思って申し上げたまでのことですわ」
「ふん」
「おや、会談はジーグラー陛下からご採可をいただいて開きましたのに。シャイベルト少将閣下は皇帝陛下のご意向に異存をお持ちでしたの?」
居丈高な将軍も、皇帝への服従を疑われかねない皮肉に青ざめた。慌てて「ワ、ワシはそのようなつもりで言ったのではない!」と否定する。その狼狽する様に、ルルーリアは「小心者が……図に乗るな」と言わんばかりの冷笑を浮かべた。
「止めぬか卿ら。陛下の御前であるぞ」
長老格の将軍が軽く叱ったが、当の皇帝は彫像のように玉座に深く腰かけたまま。その表情には何の感情も見られない。
閣僚や軍人達は再び地図の上……俎上のレストリアへ目を落とした。
「さて。併合か占領か、いずれにせよレストリアがわが帝国の版図に組み入れられた後にやるべき政策もそろそろ考えておかねばならぬ」
「準備は進めております。レストリア人を下等国民としてどう政治教育するかも現在検討しているところです」
「それと閣僚や……王族をどう扱うか」
それは誰が言った言葉だったか。
ズワルト・コッホ帝国の重鎮達は顔を見合わせ、黙り込んだ。
王族とは一国の象徴である。さすがに軽々しく処遇を決められるものではない。それは皇帝自身しか決められないことなのだ。彼等は恐る恐る玉座にうずくまった老人の顔を伺った
ルルーリアは下を向き、唇を噛む。
レストリア王族の運命。そこには当然レディル王子も含まれる。
(いよいよ、自分の進むべき先を見極めるべき時が来た……)
ここが分水嶺になる。
強大で傲慢な帝国にこのまま追従を続けるか、ひそかに見限り反旗を翻すか……
そんな己の心を悟られぬよう、彼女はさり気なく「そのことですが……」と口を開いた。
0
あなたにおすすめの小説
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さくら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる