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《三話》勇馬のこと
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みやびの家に向かっている車内で、勇馬は運転をしながら口を開いた。
「今日は珍しく、嫌がらないで乗ったね」
嫌だった訳ではないが、訳の分からない電話が後だったので、怖かったのだ。それに今日は、勇馬と言い合う気力がなかったのもあった。
「……疲れてるんです、話しかけないでください」
今のみやびには、そうやって反抗することがやっとだった。
そもそも、勇馬の車に甘んじて乗っているのは、以前に強く拒否をして、公共機関を使って帰った時、勇馬と勇馬が雇ったと思われる護衛の人たちが、どこのお嬢さまだと言わんばかりにぞろぞろと着いてきて、恥ずかしかったからだ。
それ以来、毎日文句を言いつつも、仕方なく従っている状態だ。
ちなみに、みやびと勇馬の関係は、完全な他人であり、ましてや、恋人同士ではない。
知り合ったきっかけは、兄の友だちだというだけである。
それなのに、なぜ、勇馬がみやびにご執心なのかと言うと、親友の妹だから、ただそれだけの理由であるらしいのだ。それにしても、ストーカーのごとくつきまとわれているような気がするのだけど、改めて考えてもおかしいとしか思えない。
初対面の時、みやびは三歳で、幼稚園に行き始めたばかりだった。
みやびには三歳離れた兄がいて、名前を北杜という。北杜も小学一年生になったばかりだった。
詳しい経緯は知らないのだが、勇馬はそのとき、小学五年生で、北杜と登下校の方向が一緒ということで、よく一緒に行動していたらしい。
らしい、と伝聞なのは、みやびは当時のことをあまり覚えていないからだ。
勇馬お兄ちゃんと呼んで、よく遊んでいたようなのだが、そのことももちろん、みやびは覚えていない。
覚えているのは、勇馬の家は共働きということで、よくみやびの家に入り浸っていたことと、一緒に夕飯を食べたり、ひらがなを教えてもらったことくらいだ。
そんなこんなで、一人っ子の勇馬にとって、みやびは妹のようなものらしい。
兄の北杜は放任主義というとおかしいが、積極的にみやびに関わろうとしないのに対して、勇馬は必要以上に構ってきていた。幼い頃はともかくとして、長じるにつれ、勇馬の行動がエスカレートしてきたのもあり、正直、みやびにとって勇馬は鬱陶しい存在になっていった。
というのも、幼稚園の時には送迎バスがあったので問題なかったのだが、みやびが小学生になってから、勇馬は過保護になった。
勇馬は小学校は公立に通っていたが、中学からは私立に通い出した。みやびは当然、近所の兄も通った小学校に通うことになったのだが、朝は反対方向に関わらず、毎朝、みやびを学校まで送り、下校時は、さすがに勇馬が間に合わないため、勇馬の家人を派遣して、家まで送り届けていた。
そして、勇馬はクラブ活動など一切せず、授業が終わると速攻で帰ってきて、みやびが友だちの家に遊びに行く際も着いていくという徹底ぶりだったのだ。家に友だちを呼んでも、勇馬は側に着いていた。
そんな感じだったので、次第にみやびは友だちと遊ぶことをしなくなり、家に篭もるようになった。
みやびの両親はそれとなく勇馬に何度か言ってくれたようなのだが、勇馬は聞き入れず、さらにみやびに我関せずの北杜でさえもさすがに言ってくれたようなのだが、改善はまったくされなかった。どころか、みやびが長じるにつれて、段々とひどくなっていった。
勇馬が大学生になると、時間に余裕ができるようになった上、車の免許を取ったため、みやびの送り迎えは勇馬がすべて勝手に請け負っていた。
そのおかげで、学校内には友だちはいたけれど、休みの日に一緒に遊びに行くほど仲良くなることはなかった。
しかも勝手に門限まで決められていて、クラブ活動もできなかった。
その代わり、勇馬は自分のお金でみやびに専属の教師を付けて、色んな習い事はさせられた。
そして、みやびが大学生になった時、アルバイトをしようとしたのを勇馬に止められて、さすがに切れた。
『沖谷さんなんて、嫌い!』
と言って、部屋に引きこもったら、さすがに勇馬も折れて、アルバイトはさせてくれた。
さらに、就職でも揉めた。
勇馬の両親は、いくつもの会社を経営していて、勇馬も複数の会社で役員になっていた。だから、勇馬の目の届く沖谷の関連会社に入社させようとしたが、ここでもみやびは切れた。
今度は、『沖谷さんなんて、大っ嫌い! 勝手に就職先を決めたり、わたしが受かった就職先の内定取り消しなんてしたら、一生、口をきかない!』
その言葉に、勇馬はかなりショックを受けたようだったが、それが功を成して、無事にエダス出版に入社したのだ。
とはいえ、会社への送迎は相変わらず続いているし、勇馬はみやびがいるからとエダス出版に出資もしているし、仕事は忙しいはずなのに、結構な頻度でプレイン編集部に入り浸っていたりする。
だから、無闇に無碍にもできない、という、大人の事情もあったりして、みやびは今のポジションに甘んじているのだ。
でも、我慢するのも良くないので、ほどよく発散はしている。
とはいえ、どういう思考回路をしているのか、みやびが拒絶する発言をしても、
「相変わらずのツンデレで、僕は嬉しいよ」
という発言が出てくるのである。
正直、そんな相手とまともにやり合っていたら、こちらの神経がおかしくなってしまう。
だから、無視を決め込むのが一番だと、みやびは学んだ。
会社から、みやびの実家まで、約二十分の道のり。
公共機関を使うと、四十分ほど掛かるので、助かってはいるけれど、毎朝、毎晩、二十分もの間、嫌な男と車内に二人っきりというのも正直、苦痛である。
だからみやびはいつも、スマートフォンに曲を入れて、それを聞くことにしていた。
しかし、今日はイヤホンをする前に、聞いておきたいことがあったため、口を開いた。
「沖谷さん」
みやびのかたい声に、勇馬は少しだけみやびに視線を向け、すぐに前を向いた。
「みやびちゃん、僕のことは勇馬って呼んでって言ってるでしょ」
そのやりとりも、すでになん百回と続いたもので、みやびは無視をして、自分の聞きたいことを口にした。
「今日、プレイン編集部に電話をしてきましたか?」
いつもは入り浸っている勇馬が、先週からほとんどプレイン編集部に姿を現さないのだ。もしかして、勇馬がいたずらで電話を掛けてきていたら、それを理由にたまっている鬱憤を晴らせるのにと思ったが、勇馬の答えは残念なことに、予想どおりだった。
「いや、今日は一日中、会議で、電話なんて掛ける暇はなかったよ。もしかして、僕が編集部に行かなかったから、淋しかったのかい?」
淋しいなんてない。むしろ、いない方が仕事がはかどって大変助かるから、できたら、一生、来て欲しくないとみやびは思っていた。
「掛けていないのなら、結構です」
「やだなぁ、みやびちゃん。照れちゃって。かわいいなぁ、もう」
そんな歯が浮くような科白はいつものことだったので、みやびはスルーして、イヤホンを耳にはめた。みやびがイヤホンをしている間は、勇馬は話しかけてこない。
勇馬は電話を掛けてないという。
ストーカーのごとくみやびのことを追いかけてくるけれど、嘘をつくような人物ではない。だからあの電話は、勇馬ではないのだろう。
勇馬であれば、どれだけ良かっただろうか。
結局、電話の主がだれなのか分からなくて、みやびは不安になった。
「今日は珍しく、嫌がらないで乗ったね」
嫌だった訳ではないが、訳の分からない電話が後だったので、怖かったのだ。それに今日は、勇馬と言い合う気力がなかったのもあった。
「……疲れてるんです、話しかけないでください」
今のみやびには、そうやって反抗することがやっとだった。
そもそも、勇馬の車に甘んじて乗っているのは、以前に強く拒否をして、公共機関を使って帰った時、勇馬と勇馬が雇ったと思われる護衛の人たちが、どこのお嬢さまだと言わんばかりにぞろぞろと着いてきて、恥ずかしかったからだ。
それ以来、毎日文句を言いつつも、仕方なく従っている状態だ。
ちなみに、みやびと勇馬の関係は、完全な他人であり、ましてや、恋人同士ではない。
知り合ったきっかけは、兄の友だちだというだけである。
それなのに、なぜ、勇馬がみやびにご執心なのかと言うと、親友の妹だから、ただそれだけの理由であるらしいのだ。それにしても、ストーカーのごとくつきまとわれているような気がするのだけど、改めて考えてもおかしいとしか思えない。
初対面の時、みやびは三歳で、幼稚園に行き始めたばかりだった。
みやびには三歳離れた兄がいて、名前を北杜という。北杜も小学一年生になったばかりだった。
詳しい経緯は知らないのだが、勇馬はそのとき、小学五年生で、北杜と登下校の方向が一緒ということで、よく一緒に行動していたらしい。
らしい、と伝聞なのは、みやびは当時のことをあまり覚えていないからだ。
勇馬お兄ちゃんと呼んで、よく遊んでいたようなのだが、そのことももちろん、みやびは覚えていない。
覚えているのは、勇馬の家は共働きということで、よくみやびの家に入り浸っていたことと、一緒に夕飯を食べたり、ひらがなを教えてもらったことくらいだ。
そんなこんなで、一人っ子の勇馬にとって、みやびは妹のようなものらしい。
兄の北杜は放任主義というとおかしいが、積極的にみやびに関わろうとしないのに対して、勇馬は必要以上に構ってきていた。幼い頃はともかくとして、長じるにつれ、勇馬の行動がエスカレートしてきたのもあり、正直、みやびにとって勇馬は鬱陶しい存在になっていった。
というのも、幼稚園の時には送迎バスがあったので問題なかったのだが、みやびが小学生になってから、勇馬は過保護になった。
勇馬は小学校は公立に通っていたが、中学からは私立に通い出した。みやびは当然、近所の兄も通った小学校に通うことになったのだが、朝は反対方向に関わらず、毎朝、みやびを学校まで送り、下校時は、さすがに勇馬が間に合わないため、勇馬の家人を派遣して、家まで送り届けていた。
そして、勇馬はクラブ活動など一切せず、授業が終わると速攻で帰ってきて、みやびが友だちの家に遊びに行く際も着いていくという徹底ぶりだったのだ。家に友だちを呼んでも、勇馬は側に着いていた。
そんな感じだったので、次第にみやびは友だちと遊ぶことをしなくなり、家に篭もるようになった。
みやびの両親はそれとなく勇馬に何度か言ってくれたようなのだが、勇馬は聞き入れず、さらにみやびに我関せずの北杜でさえもさすがに言ってくれたようなのだが、改善はまったくされなかった。どころか、みやびが長じるにつれて、段々とひどくなっていった。
勇馬が大学生になると、時間に余裕ができるようになった上、車の免許を取ったため、みやびの送り迎えは勇馬がすべて勝手に請け負っていた。
そのおかげで、学校内には友だちはいたけれど、休みの日に一緒に遊びに行くほど仲良くなることはなかった。
しかも勝手に門限まで決められていて、クラブ活動もできなかった。
その代わり、勇馬は自分のお金でみやびに専属の教師を付けて、色んな習い事はさせられた。
そして、みやびが大学生になった時、アルバイトをしようとしたのを勇馬に止められて、さすがに切れた。
『沖谷さんなんて、嫌い!』
と言って、部屋に引きこもったら、さすがに勇馬も折れて、アルバイトはさせてくれた。
さらに、就職でも揉めた。
勇馬の両親は、いくつもの会社を経営していて、勇馬も複数の会社で役員になっていた。だから、勇馬の目の届く沖谷の関連会社に入社させようとしたが、ここでもみやびは切れた。
今度は、『沖谷さんなんて、大っ嫌い! 勝手に就職先を決めたり、わたしが受かった就職先の内定取り消しなんてしたら、一生、口をきかない!』
その言葉に、勇馬はかなりショックを受けたようだったが、それが功を成して、無事にエダス出版に入社したのだ。
とはいえ、会社への送迎は相変わらず続いているし、勇馬はみやびがいるからとエダス出版に出資もしているし、仕事は忙しいはずなのに、結構な頻度でプレイン編集部に入り浸っていたりする。
だから、無闇に無碍にもできない、という、大人の事情もあったりして、みやびは今のポジションに甘んじているのだ。
でも、我慢するのも良くないので、ほどよく発散はしている。
とはいえ、どういう思考回路をしているのか、みやびが拒絶する発言をしても、
「相変わらずのツンデレで、僕は嬉しいよ」
という発言が出てくるのである。
正直、そんな相手とまともにやり合っていたら、こちらの神経がおかしくなってしまう。
だから、無視を決め込むのが一番だと、みやびは学んだ。
会社から、みやびの実家まで、約二十分の道のり。
公共機関を使うと、四十分ほど掛かるので、助かってはいるけれど、毎朝、毎晩、二十分もの間、嫌な男と車内に二人っきりというのも正直、苦痛である。
だからみやびはいつも、スマートフォンに曲を入れて、それを聞くことにしていた。
しかし、今日はイヤホンをする前に、聞いておきたいことがあったため、口を開いた。
「沖谷さん」
みやびのかたい声に、勇馬は少しだけみやびに視線を向け、すぐに前を向いた。
「みやびちゃん、僕のことは勇馬って呼んでって言ってるでしょ」
そのやりとりも、すでになん百回と続いたもので、みやびは無視をして、自分の聞きたいことを口にした。
「今日、プレイン編集部に電話をしてきましたか?」
いつもは入り浸っている勇馬が、先週からほとんどプレイン編集部に姿を現さないのだ。もしかして、勇馬がいたずらで電話を掛けてきていたら、それを理由にたまっている鬱憤を晴らせるのにと思ったが、勇馬の答えは残念なことに、予想どおりだった。
「いや、今日は一日中、会議で、電話なんて掛ける暇はなかったよ。もしかして、僕が編集部に行かなかったから、淋しかったのかい?」
淋しいなんてない。むしろ、いない方が仕事がはかどって大変助かるから、できたら、一生、来て欲しくないとみやびは思っていた。
「掛けていないのなら、結構です」
「やだなぁ、みやびちゃん。照れちゃって。かわいいなぁ、もう」
そんな歯が浮くような科白はいつものことだったので、みやびはスルーして、イヤホンを耳にはめた。みやびがイヤホンをしている間は、勇馬は話しかけてこない。
勇馬は電話を掛けてないという。
ストーカーのごとくみやびのことを追いかけてくるけれど、嘘をつくような人物ではない。だからあの電話は、勇馬ではないのだろう。
勇馬であれば、どれだけ良かっただろうか。
結局、電話の主がだれなのか分からなくて、みやびは不安になった。
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