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望月
茜 セイレーン
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あたしは咲冬茜、千葉県の香取に住んでいました。上に二人のお兄ちゃんがいました。あたしが小さい頃に上のお兄ちゃんが銃に撃たれたのを見てから、しゃべれなくなっちゃったんですよね。自分でも口がきけないのが不思議だけどずっとこんな感じです。上のお兄ちゃんは銃で撃たれて死んじゃったけど、下のお兄ちゃんがあたしの面倒をずっと見てくれてました。上のお兄ちゃんは藤丸兄ちゃん、下のお兄ちゃんは菊丸兄ちゃん。二人とも大好きだったから、藤丸兄ちゃんいなくなって悲しかったなー。この前、菊丸兄ちゃんが危ないからっていって、あたしを茨城まで連れてきてくれました。何が危ないのかよくわからないけど、お兄ちゃんがいれば安心だよね。
「茜、もう具合いいのか?」
菊丸兄ちゃんがあたしのこと心配してくれます。
『だいじょうぶだよ。ルナちゃんのお陰ですっかり良くなったよ』
あたしは手話でお兄ちゃんに応えます。
「そっか、よかったよ。悪いな、お前に大変な思いさせてよー」
『そんなことないって! 気にしない、気にしない! それより今からお部屋見に行くんでしょう?』
「ああ、そうだ! さっき電話掛けたらすぐに来ていいっていうからさ! 助かるよなー、奇特な大家さんだよ」
『うん、そうだね! あとルナちゃんの先輩にもお礼していかなきゃね』
「そうだな、皆川さんも本当に良くしてくれたもんなー」
あたしとお兄ちゃんは泊めてもらったホテルをチェックアウトすることにしました。フロントのところに、ルナちゃんの先輩のお姉さんがいたから挨拶しにいきました。
「あの、皆川さん! マジ助かりました。この恩は必ずお返しします」
「いえいえ、お客様お気になさらないでください。ぜひまたご利用ください」
「はい! また厄介になるかもしれませんがその時はよろしくお願いします」
「はい、お待ちしております。茜ちゃんもまた来てね」
あたしはお姉さんにそう言われて、何回も頷いてみた。それ以外にうまく伝えられそうにないし。
外に出て、水戸駅の北口に向かって歩いていきました。北口に着くとバスロータリーへ行って、お兄ちゃんとバスに乗りました。あたしたちは新しい家を見つけることができました。お兄ちゃんの話だと安くて、面倒くさくない家らしい。バスは一〇分くらいで目的地に着きました。
バスを降りると路地裏に向かって歩いた。五分もかからないであたしたちの新しい家候補が見えた。古い木造二階建で《シェアハウスゆの》って書いてある。お兄ちゃんはその家のドアを開けた。
「こんちわー、電話した咲冬です!」
お兄ちゃんの声に反応して入り口のソファーに座っていたおばちゃんが振り返った。
「はーい、いらっしゃい。待ってたよ。内見かい?」
「そうっすね。できたら今日から入居させてもらえると助かるんすけど」
「空いてるから今日からでもOKだよ。ただねー、空き部屋の掃除まだしてないから自分で掃除してもらうことになるけど」
おばちゃんはテキトーそうな感じだったけど悪い人じゃなさそうだ。あたしとお兄ちゃん二人だと怪しいと思われてもしょうがないのになにも聞かないでくれた。
あたしたちは新居になる部屋を見せてもらった。掃除してないっていってたけど部屋はきれいだった。
「ああそうだ! あの子、隣だからってついでに掃除してくれてるんだったね!」
「お隣さんいるんですか?」
「ああ、いるよ! ちょっと変わってるけど悪い子じゃないから安心していいよ。バンドもしてて、元気なんだ」
あたしはお隣にバンドやってるお姉さんがいると聞いてワクワクした。いったいどんなお姉さんなんだろう?
「それじゃ、咲冬さん? 色々事情はあるだろうけど今日から入居でいいかい? 妹さんと一緒の部屋だから少しせまいかもしんないけど、寝るだけなら問題ないだろう」
「はい、部屋お借りします! 湯野さんこれからよろしくお願いします!」
それからお兄ちゃんは湯野さんと部屋を借りるための簡単な打ち合わせをした。お金を払うと湯野さんはニッコリ笑ってこう言った。
「ようこそ咲冬さん! 今日からここがあんたたちの家だからね! 困ったことあったら言いな、お金かからないことならなんとかしてあげっからねー」
こうしてあたしとお兄ちゃんの新生活が始まった。早くお隣のバンドマンさんに会いたいなー。
「茜、もう具合いいのか?」
菊丸兄ちゃんがあたしのこと心配してくれます。
『だいじょうぶだよ。ルナちゃんのお陰ですっかり良くなったよ』
あたしは手話でお兄ちゃんに応えます。
「そっか、よかったよ。悪いな、お前に大変な思いさせてよー」
『そんなことないって! 気にしない、気にしない! それより今からお部屋見に行くんでしょう?』
「ああ、そうだ! さっき電話掛けたらすぐに来ていいっていうからさ! 助かるよなー、奇特な大家さんだよ」
『うん、そうだね! あとルナちゃんの先輩にもお礼していかなきゃね』
「そうだな、皆川さんも本当に良くしてくれたもんなー」
あたしとお兄ちゃんは泊めてもらったホテルをチェックアウトすることにしました。フロントのところに、ルナちゃんの先輩のお姉さんがいたから挨拶しにいきました。
「あの、皆川さん! マジ助かりました。この恩は必ずお返しします」
「いえいえ、お客様お気になさらないでください。ぜひまたご利用ください」
「はい! また厄介になるかもしれませんがその時はよろしくお願いします」
「はい、お待ちしております。茜ちゃんもまた来てね」
あたしはお姉さんにそう言われて、何回も頷いてみた。それ以外にうまく伝えられそうにないし。
外に出て、水戸駅の北口に向かって歩いていきました。北口に着くとバスロータリーへ行って、お兄ちゃんとバスに乗りました。あたしたちは新しい家を見つけることができました。お兄ちゃんの話だと安くて、面倒くさくない家らしい。バスは一〇分くらいで目的地に着きました。
バスを降りると路地裏に向かって歩いた。五分もかからないであたしたちの新しい家候補が見えた。古い木造二階建で《シェアハウスゆの》って書いてある。お兄ちゃんはその家のドアを開けた。
「こんちわー、電話した咲冬です!」
お兄ちゃんの声に反応して入り口のソファーに座っていたおばちゃんが振り返った。
「はーい、いらっしゃい。待ってたよ。内見かい?」
「そうっすね。できたら今日から入居させてもらえると助かるんすけど」
「空いてるから今日からでもOKだよ。ただねー、空き部屋の掃除まだしてないから自分で掃除してもらうことになるけど」
おばちゃんはテキトーそうな感じだったけど悪い人じゃなさそうだ。あたしとお兄ちゃん二人だと怪しいと思われてもしょうがないのになにも聞かないでくれた。
あたしたちは新居になる部屋を見せてもらった。掃除してないっていってたけど部屋はきれいだった。
「ああそうだ! あの子、隣だからってついでに掃除してくれてるんだったね!」
「お隣さんいるんですか?」
「ああ、いるよ! ちょっと変わってるけど悪い子じゃないから安心していいよ。バンドもしてて、元気なんだ」
あたしはお隣にバンドやってるお姉さんがいると聞いてワクワクした。いったいどんなお姉さんなんだろう?
「それじゃ、咲冬さん? 色々事情はあるだろうけど今日から入居でいいかい? 妹さんと一緒の部屋だから少しせまいかもしんないけど、寝るだけなら問題ないだろう」
「はい、部屋お借りします! 湯野さんこれからよろしくお願いします!」
それからお兄ちゃんは湯野さんと部屋を借りるための簡単な打ち合わせをした。お金を払うと湯野さんはニッコリ笑ってこう言った。
「ようこそ咲冬さん! 今日からここがあんたたちの家だからね! 困ったことあったら言いな、お金かからないことならなんとかしてあげっからねー」
こうしてあたしとお兄ちゃんの新生活が始まった。早くお隣のバンドマンさんに会いたいなー。
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