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下弦の月
菖蒲 スネイクカース
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ウチは京極さんをバイクの後ろに乗せて水戸市内の大通りを走り抜ける。本当は素人さんをヤクザの事務所なんかに連れて行きたくないけど、彼女の真剣さに負けてしまった。茜も彼女に良くしてもらってるみたいだし、無傷で帰さないといけない。
京極さんはウチの後ろに力強くしがみついている。微かに震えているのはきっと恐怖からだろう。ウチは彼女の妹が無事であることを願いつつ、ZZRを走らせる。少し走ると小早川の事務所の近くまで来た。
小早川幾年組。咲冬と抗争を繰り返している任侠一家だ。今から行く事務所はその下部組織で、水戸市内では割と大きな勢力を持った高利貸しだ。〇九〇金融で荒稼ぎしているのが有名で多くの債務者に地獄を見せているようだった。まぁ、実際のところ、金を借りる方が悪いと言えばそれまでだけど、それを差し引いてもなお、エゲツない。
「よっしゃ! 京極さん着いたよ。来る前にも言ったけど、京極さんはウチの指示に従ってね! 相手さんも素人に闇雲に手出したりしないと思うし、案外妹ちゃんをすんなり帰してくれるかも知んないよ!」
ウチは京極さんを安心させるためにできる限り穏やかにそう言った。ほんとのこと言うと、手荒な真似をせざるを得ないかもしれないけど。
「わかってますよ。私だってそんな無茶しようなんて思ってません。ただ家でジッとなんかしてらんないから……」
「今からでも遅くないよ? ウチが出てくるまでそこら辺で待ってる?」
ウチは彼女に訊ねたけど、彼女の決意は変わらないようだった。この子は芯のしっかりした子だ。まだ幼さが残っているのに、もしかしたら菊丸よりも大人かもしれない。
「いえ……。行きましょう!」
京極さんは動揺しながらも力強くそう言った。
ウチは一見、平屋建ての一軒家のように見える事務所の前のインターフォンを押した。少しするとドスのきいた声がインターフォン越しに聞こえる。
「はい。どちら様ですか?」
「こんにちはー。咲冬の者ですけど、こちらの責任者の方います? 実はウチの組長から言付けを頼まれてきたんですが……」
「……。お待ちください」
ウチらはしばらく事務所の玄関前で待たされた。上には案の定、監視カメラが仰々しく設置されていた。五分くらい待つと玄関が開き、チンピラ風の男がウチらを中に案内した。
「いい京極さん? ウチがここの責任者と話すから、京極さんは黙って座ってればいいよ。あと、仮に暴力沙汰になったら地面に伏せててね。ウチが守ってあげるから」
「はい……。でも菖蒲さん? 大丈夫なんですか?」
「ハハハ、ウチのことは気にしないでいいよ。怪我したりしないから!」
事務所の奥に通されると黒服を着てサングラスをかけた男たちがウチらを待ち構えていた。
「咲冬さん。今から組長が参りますのでこちらでお待ちください。それと……。物騒ですからその得物を預かってよろしいですか?」
「ああ、ごめんね! じゃあ帰りに返してね」
ウチは兄貴の木刀を黒服に預けた。
ウチらは事務所のソファーに座らされてここの組長が来るのを待った。横を見ると京極さんは緊張しているのか震えている。ウチは彼女の手を握って「だいじょぶだよ!」と励ます。一見強そうだけどこの子は繊細なのかもしれない。
「どうもお待たせいたしました」
正面の扉からオールバックで高そうなスーツを着た三〇代後半くらいの男がやってきた。彼がここの組長らしい。思ったより若いな……。
「いえいえ、こちらこそアポもなしに押し掛けてすみません。ワタクシ咲冬口縄組藤乃会、咲冬藤乃の姪で菖蒲と申します」
ウチは柄にもなく畏まって彼に挨拶した。
「それはそれは、ご丁寧にありがとうございます。私は小早川十三と申します。咲冬さんには成田辺りでお世話になったんですよ」
成田? と聞いて私は考えた。成田は藤乃会のシマではない。ウチの親戚でも違う組が取り仕切っている。松乃会のシマだったはずだ。
「小早川さん? 挨拶はこれくらいにして単刀直入申し上げます。ワタクシの叔父の娘。つまり藤乃の娘ですが、こちらにご厄介になってるようで……。どうかお返し願えませんか?」
それを聞くと彼の取り巻きたちは急に怖い顔になった。どうやらビンゴ。ここで間違いないらしい。
「咲冬さん? なんかの間違いじゃないでしょうか? なんで私どものところに咲冬さんのご息女がいるんです?」
彼はニコニコ笑っているが明らかに何かを隠しているようだ。
「そうですか……。実は藤乃の娘のスマートフォンにGPSがついておりまして、それを辿ったところなぜか小早川さんのところにたどり着いたんですよ……。これは何かの間違いなんですかねー?」
ウチが白々しく言うと、彼の周りのチンピラたちがウチらの周りを取り囲んだ。
「おい! 黙って聞いてりゃ何だ!? その言い草は! それじゃウチの組がテメーんとこのガキ攫ったって言ってるみてーじゃねーか!?」
「え? さっきからそう言ってるんだよ? お兄さんお馬鹿さん? だから迎えに来てんじゃんよ!」
「なんだどゴラー!?」
そのチンピラはウチの挑発にのって声を荒らげる。京極さんは……。思ったより大丈夫そうだ。良かった。
「うっさいよお兄さん! 声がでかけりゃ相手が言うこと聞くと思ってるようじゃ、侠客として半人前だ」
ウチはさらに挑発する。もう彼は今にも殴り掛かりそうな勢いだったけど組長が静止した。
「まぁ待てお前たち! 咲冬さんも落ち着いてください。それにここには咲冬さんの娘さんはいらしてないですよ。天地神明に誓ってこちらには来ておりません。私が言ってる言葉の意味わかりますよね?」
組長はそう言ってチンピラどもに目線を送る。チンピラどもは胸元からドスを取り出してウチの前にチラつかせた。
やれやれだ。できれば話し合いで解決したかった。すんなり返してくれればそれだけでよかったのに……。
「小早川さん? それは無理に詮索すれば無事には帰さないって意味ですよね? 悪いけど脅しに乗る気はありませんよ? ウチは従兄弟を迎えにきたんだ! それにこの子の妹もね」
ウチがそういうと組長は残念そうにため息をついた。
「わかりました……。仕方ありませんね。お前たち! このお嬢さんにわからせてやれ!!」
「そら来た!」
ウチは京極さんを地面に伏せさせるとソファーから立ち上がった。
「京極さんごめんねー。ウチも穏やかに済ませたかったんだけど無理っぽいから強硬手段にでるよ!」
チンピラどもはウチに飛びかかってきた。ウチはとりあえずグーパンチを相手の顔面に食らわせる。「ボキィ」という音とともに相手の鼻から血が溢れ出した。彼らの攻撃を避けつつ、ウチは兄貴の木刀を預けた黒服に蹴りを入れて木刀を取り返した。木刀を袋から取り出すとウチはその木刀を二本かまえる。
「テメーらよく聞け! ウチは咲冬宗家、次期当主咲冬菖蒲だ! テメーらみたいなクソチンピラにやられるよーなタマじゃねーんだよ!」
それからはすごく簡単だった。兄貴の木刀はかなりよくできている。チンピラどもを片付けるのに数分と掛からなかった。ウチは小早川のところに行って彼の胸ぐらを掴んだ。
「よー小早川さんよー! ウチにこんなに手荒な真似させやがって! さっさと茜と京極さんの妹返しやがれ!」
「ヒィィ。頼むから殺さないで」
やれやれ、大の男がこれじゃしょうがねーだろ?
「あー、殺しゃしねーよ! 他の連中も殺してないから安心していい。だからさっさと言った通りにしろ!」
「む、娘なら地下の倉庫に、い、いる」
「よし! よく言った! しばらく寝てな!」
ウチは小早川の顔面にパンチして彼を気絶させた。顎の骨が砕けたかもしれない。
「京極さん? もういいよ! 心配かけたね」
ウチは京極さんに声をかける。
「え? 何があったんすか? なんでみんな倒れてんの?」
京極さんは混乱しているようだ。
「ハハハ、ごめんねー。つい力入れすぎてみんなボコッちゃったよ」
ウチは呪われていた。口縄様に噛まれてからというものやたら身体が丈夫になってしまった。力も異常な程強くなったし、並の人間じゃウチには敵わない気がする。まるで漫画みたいな体質になってしまって後悔することもあったけど、こんなことがあると便利だと思える。でも首元の噛み傷は今でもコンプレックスかな……。
ウチらは事務所の地下へと向かった。
「信じらんないよ。菖蒲さん何者なの? 私だって腕っ節には自信あるけど菖蒲さんはそんなレベルじゃないよね?」
「そうかもねー。ウチはすごく丈夫なんだよ! だから菊坊みたいな軟弱男子連れてくる必要なんてないんだよね」
京極さんは驚いてはいたけどそれでもウチを怖がったりしなかった。だいたいウチがこんなことするとみんな化け物扱いした。友達だと思ってた奴に急に拒絶されたことなんて一回や二回じゃなかった。だから京極さんみたいにウチを人間として見てくれるのは嬉しい。この子に茜が懐くのも納得だ。
地下に着くと、物置に使われている薄暗い部屋を見つけた。ウチはそのドアに体当たりしてぶち破った。
「誰かいる?」
ウチはぶち破ったドアをどかすと中に声を掛けた。
「誰?」
暗闇の奥から女の子の声が聞こえた。
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「……。お待ちください」
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「いい京極さん? ウチがここの責任者と話すから、京極さんは黙って座ってればいいよ。あと、仮に暴力沙汰になったら地面に伏せててね。ウチが守ってあげるから」
「はい……。でも菖蒲さん? 大丈夫なんですか?」
「ハハハ、ウチのことは気にしないでいいよ。怪我したりしないから!」
事務所の奥に通されると黒服を着てサングラスをかけた男たちがウチらを待ち構えていた。
「咲冬さん。今から組長が参りますのでこちらでお待ちください。それと……。物騒ですからその得物を預かってよろしいですか?」
「ああ、ごめんね! じゃあ帰りに返してね」
ウチは兄貴の木刀を黒服に預けた。
ウチらは事務所のソファーに座らされてここの組長が来るのを待った。横を見ると京極さんは緊張しているのか震えている。ウチは彼女の手を握って「だいじょぶだよ!」と励ます。一見強そうだけどこの子は繊細なのかもしれない。
「どうもお待たせいたしました」
正面の扉からオールバックで高そうなスーツを着た三〇代後半くらいの男がやってきた。彼がここの組長らしい。思ったより若いな……。
「いえいえ、こちらこそアポもなしに押し掛けてすみません。ワタクシ咲冬口縄組藤乃会、咲冬藤乃の姪で菖蒲と申します」
ウチは柄にもなく畏まって彼に挨拶した。
「それはそれは、ご丁寧にありがとうございます。私は小早川十三と申します。咲冬さんには成田辺りでお世話になったんですよ」
成田? と聞いて私は考えた。成田は藤乃会のシマではない。ウチの親戚でも違う組が取り仕切っている。松乃会のシマだったはずだ。
「小早川さん? 挨拶はこれくらいにして単刀直入申し上げます。ワタクシの叔父の娘。つまり藤乃の娘ですが、こちらにご厄介になってるようで……。どうかお返し願えませんか?」
それを聞くと彼の取り巻きたちは急に怖い顔になった。どうやらビンゴ。ここで間違いないらしい。
「咲冬さん? なんかの間違いじゃないでしょうか? なんで私どものところに咲冬さんのご息女がいるんです?」
彼はニコニコ笑っているが明らかに何かを隠しているようだ。
「そうですか……。実は藤乃の娘のスマートフォンにGPSがついておりまして、それを辿ったところなぜか小早川さんのところにたどり着いたんですよ……。これは何かの間違いなんですかねー?」
ウチが白々しく言うと、彼の周りのチンピラたちがウチらの周りを取り囲んだ。
「おい! 黙って聞いてりゃ何だ!? その言い草は! それじゃウチの組がテメーんとこのガキ攫ったって言ってるみてーじゃねーか!?」
「え? さっきからそう言ってるんだよ? お兄さんお馬鹿さん? だから迎えに来てんじゃんよ!」
「なんだどゴラー!?」
そのチンピラはウチの挑発にのって声を荒らげる。京極さんは……。思ったより大丈夫そうだ。良かった。
「うっさいよお兄さん! 声がでかけりゃ相手が言うこと聞くと思ってるようじゃ、侠客として半人前だ」
ウチはさらに挑発する。もう彼は今にも殴り掛かりそうな勢いだったけど組長が静止した。
「まぁ待てお前たち! 咲冬さんも落ち着いてください。それにここには咲冬さんの娘さんはいらしてないですよ。天地神明に誓ってこちらには来ておりません。私が言ってる言葉の意味わかりますよね?」
組長はそう言ってチンピラどもに目線を送る。チンピラどもは胸元からドスを取り出してウチの前にチラつかせた。
やれやれだ。できれば話し合いで解決したかった。すんなり返してくれればそれだけでよかったのに……。
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「テメーらよく聞け! ウチは咲冬宗家、次期当主咲冬菖蒲だ! テメーらみたいなクソチンピラにやられるよーなタマじゃねーんだよ!」
それからはすごく簡単だった。兄貴の木刀はかなりよくできている。チンピラどもを片付けるのに数分と掛からなかった。ウチは小早川のところに行って彼の胸ぐらを掴んだ。
「よー小早川さんよー! ウチにこんなに手荒な真似させやがって! さっさと茜と京極さんの妹返しやがれ!」
「ヒィィ。頼むから殺さないで」
やれやれ、大の男がこれじゃしょうがねーだろ?
「あー、殺しゃしねーよ! 他の連中も殺してないから安心していい。だからさっさと言った通りにしろ!」
「む、娘なら地下の倉庫に、い、いる」
「よし! よく言った! しばらく寝てな!」
ウチは小早川の顔面にパンチして彼を気絶させた。顎の骨が砕けたかもしれない。
「京極さん? もういいよ! 心配かけたね」
ウチは京極さんに声をかける。
「え? 何があったんすか? なんでみんな倒れてんの?」
京極さんは混乱しているようだ。
「ハハハ、ごめんねー。つい力入れすぎてみんなボコッちゃったよ」
ウチは呪われていた。口縄様に噛まれてからというものやたら身体が丈夫になってしまった。力も異常な程強くなったし、並の人間じゃウチには敵わない気がする。まるで漫画みたいな体質になってしまって後悔することもあったけど、こんなことがあると便利だと思える。でも首元の噛み傷は今でもコンプレックスかな……。
ウチらは事務所の地下へと向かった。
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「そうかもねー。ウチはすごく丈夫なんだよ! だから菊坊みたいな軟弱男子連れてくる必要なんてないんだよね」
京極さんは驚いてはいたけどそれでもウチを怖がったりしなかった。だいたいウチがこんなことするとみんな化け物扱いした。友達だと思ってた奴に急に拒絶されたことなんて一回や二回じゃなかった。だから京極さんみたいにウチを人間として見てくれるのは嬉しい。この子に茜が懐くのも納得だ。
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