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第二話 ワタリガラス
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憂子と彼氏はとても仲が良かった。見ているこっちが恥ずかしくなるくらいには仲が良いと思う。当人たちはお花畑に居ることに気づいていないようだけれど。
「じゃあ……。ちょっと下の階見てくるよ。二人で話してて」
「ん? はいはい!」
憂子は彼氏と話すのに夢中なのか、話半分で私を見送った。こういう子なのだ。恋をすると周りが全く見えない――。
彼らと別れてから音楽室に向かった。そして即席のパイプ椅子に座って学生バンドの演奏を聴いた。弦楽器の音を聴くと本来の居場所に帰ってきたような気分になる。
学生バンドとしての彼らの演奏はかなり完成度が高かった。上の階で見た例の絵画たちよりなんぼか形になっている。もっとも、私に美術に関する知識がないだけで見る人が見れば「素晴らしい」とか言うのかもしれないけれど……。
彼らの演奏する曲はどれも流行の邦楽か洋楽だった。完全なるコピーバンド。本当はオリジナル曲が聴きたかったけれど致し方ないだろう。それなりに良い演奏とはいえあくまで学生アマチュアバンドなのだ。
音楽室には大学生とその父母、他には私と同じくらいの年代の中高生が何人かいた。身内が演奏しているから聴きに来た。そんな感じがする。それは空気感から察することができた。排他的とまでは言わないけれど、決して外部の人間を歓迎もしていない。そんな微妙な空気。
まぁこんなものだろう。私がフラッと参加するイベントはだいたい身内感があるのだ。ミーハーとは対極の存在。あくまで身内で楽しむバンド。ある意味でそれは私の音楽の理想だ。『音』を『楽』しむで『音楽』なのだから。
小一時間ほど彼らの演奏を聴くと私は立ち上がった。さすがに憂子のところに戻らなければ――。
「おーい! アリスー」
音楽室を出るとすぐに憂子を見つけた。どうやら彼女も降りてきたらしい。
「ごめんごめん。待ったよね?」
「大丈夫! そろそろ行く?」
「うん」
憂子は満足したのかかなり上機嫌だ。心なしか彼女の肌の色艶も来たときより鮮やかになった気がする。
大学を出る頃にはすっかり日が傾いていた。木々からはカラスの声も聞こえる。彼らは大げさに羽ばたくと木から木に飛び移っていった。きっと彼らはこれから夜に溶け込んでいくのだろう。深く、深い暗闇に。
「じゃあ……。ちょっと下の階見てくるよ。二人で話してて」
「ん? はいはい!」
憂子は彼氏と話すのに夢中なのか、話半分で私を見送った。こういう子なのだ。恋をすると周りが全く見えない――。
彼らと別れてから音楽室に向かった。そして即席のパイプ椅子に座って学生バンドの演奏を聴いた。弦楽器の音を聴くと本来の居場所に帰ってきたような気分になる。
学生バンドとしての彼らの演奏はかなり完成度が高かった。上の階で見た例の絵画たちよりなんぼか形になっている。もっとも、私に美術に関する知識がないだけで見る人が見れば「素晴らしい」とか言うのかもしれないけれど……。
彼らの演奏する曲はどれも流行の邦楽か洋楽だった。完全なるコピーバンド。本当はオリジナル曲が聴きたかったけれど致し方ないだろう。それなりに良い演奏とはいえあくまで学生アマチュアバンドなのだ。
音楽室には大学生とその父母、他には私と同じくらいの年代の中高生が何人かいた。身内が演奏しているから聴きに来た。そんな感じがする。それは空気感から察することができた。排他的とまでは言わないけれど、決して外部の人間を歓迎もしていない。そんな微妙な空気。
まぁこんなものだろう。私がフラッと参加するイベントはだいたい身内感があるのだ。ミーハーとは対極の存在。あくまで身内で楽しむバンド。ある意味でそれは私の音楽の理想だ。『音』を『楽』しむで『音楽』なのだから。
小一時間ほど彼らの演奏を聴くと私は立ち上がった。さすがに憂子のところに戻らなければ――。
「おーい! アリスー」
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「ごめんごめん。待ったよね?」
「大丈夫! そろそろ行く?」
「うん」
憂子は満足したのかかなり上機嫌だ。心なしか彼女の肌の色艶も来たときより鮮やかになった気がする。
大学を出る頃にはすっかり日が傾いていた。木々からはカラスの声も聞こえる。彼らは大げさに羽ばたくと木から木に飛び移っていった。きっと彼らはこれから夜に溶け込んでいくのだろう。深く、深い暗闇に。
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